Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(95)
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み「あ、そろそろ、いい時間になってきた。
 なんとか広場に行ってみよ」
律「ごまかすんだから」

中央に聳える樹木は、ドイツトウヒ。冬には、イルミネーションで彩られます。
↑中央に聳える樹木は、ドイツトウヒ。冬には、イルミネーションで彩られます。

律「さすがにもう、暗くなると冷えるわね」
み「そうだね。
 やっぱり、お風呂入らないで正解だったな」
やっぱり、お風呂入らないで正解だったな

み「湯冷めするとこだよ。
 今夜は、地酒の熱燗かな」
今夜は、地酒の熱燗かな

律「ここのお店も、もう開いてるわね」
み「どんなお店があるのかな?」
律「ちょっと探検してみようか」
どんなお店があるのかな?

み「お~。
 いい匂い。
 ここは、焼肉屋だな」
律「『焼肉ホルモン ガっつ』だって」
『焼肉ホルモン ガっつ』

み「翌朝のトイレが臭くなりそうだな」
律「そういう話はやめなさい」
み「匂いだけなら、その心配もなしと。
 はふはふ、はふ~」
律「鼻の穴、膨らまさないでちょうだい」
み「コンビニで白いご飯だけ買えば、このベンチで匂いだけで食べれるね」
このベンチで匂いだけで食べれるね

律「落語じゃないんだから」
み「ランチもやってるよ」
ランチもやってるよ

律「安いわね。
 ワンコインだって」
み「1円か?」
律「そんなわけないでしょ。
 500円よ」
み「そう言えば、先生。
 日本で、縁にギザギザが付いてる硬貨って、どれだか知ってる?」
律「みんな付いてるんじゃないの?」
み「違います。
 基本的に、昔から、一番高額なコインには付いてます」
律「てことは、500円だけ?」
500円硬貨だけは、ギザが斜めに入ってます。高度な技術なのだとか。
↑500円硬貨だけは、ギザが斜めに入ってます。高度な技術なのだとか。

み「昔ならね。
 でも今は、100円と50円にも付いてる」
でも今は、100円と50円にも付いてる

み「それはなぜでしょう?」
律「知らないわよ」
み「少しは考えなさいな」
律「じゃ、付いてないのは、10円と5円?」
み「そうです」
律「高い方から3つが付いてるってことでしょ。
 その硬貨が一番高額だったころの名残りじゃないの?」
み「うんにゃ。
 今でも、ちゃんと合理的な意味があるのです。
 100円と10円、50円と5円を、区別するためなんです」
100円と10円、50円と5円を、区別するためなんです

律「見りゃわかるじゃないの」
み「見えない人がいるでしょ。
 目の不自由な人が、手触りで区別できるようにという配慮なんです」
律「あ、そうか。
 500円は、大きいからわかるってわけね。
 あ、そう言えば思い出した」
み「何を?」
律「ギザ十」
み「何じゃそりゃ?」
律「縁にギザギザが付いた10円玉があったのよ」
縁にギザギザが付いた10円玉があったのよ

み「ほんとか?
 贋金じゃないの?」
律「10円玉の贋金作ってどうするのよ。
 割にあわないわ」
み「そりゃそうだ」

 ここで、一服。
 律子先生の言うとおり、縁にギザギザが刻まれた10円玉は、一時期存在しました。
 正確に言うと、“ギザ十”が製造されたのは、1951(昭和26)年~1958(昭和33)年まで。
正確に言うと、“ギザ十”が製造されたのは、1951(昭和26)年~1958(昭和33)年まで

 ただし、1956(昭和31)年だけは、発行がありません。
 もともと、コインの縁にギザギザを刻んだ目的は……。
 金貨や銀貨の縁を削って、地金を盗む行為を防止するためだったそうです。
明治23年発行の一圓銀貨
↑明治23年発行の一圓銀貨。

 10円玉の材質は、銅・95/亜鉛・4/錫・1であり、この地金を削るアホはいません。
 なので、10円玉のギザには、装飾の意味しかありません。
 さて、それでは、この“ギザ十”のコレクション価値ですが……。
 ほぼ、ゼロと云ってもいいそうです。
 大量に発行されてるからです。
 コインショップに持ち込んでも、相手にされないか、額面通りの10円で交換されるのがオチです。
 でも、50年以上前の製造ですので、流通しているのを見かけることは滅多に無いでしょう。
 ということで、一部好事家からは、自分に回ってくるといい事があるラッキーアイテムとされ……。
 趣味としてコレクションされてる場合もあるそうです。
趣味としてコレクションされてる場合もあるそうです

 なお、“ギザ十”は、もともと質量が少し軽いうえ、経年により摩耗して、現在の硬貨との質量差が大きくなっているものもあり……。
 自動販売機などで、はじかれてしまうものもあるそうです。
 わたしも、仕事で硬貨を扱う機会が多いので……。
 今度、気をつけてみたいと思います。
 見つけたら、財布の10円と交換しておこうかな。

 さて、それでは続きをどうぞ。

み「次の店は……。
 ここは、お寿司屋さんだね」
律「『三金寿司』だって」
『三金寿司』

み「回らない寿司だな。
 寿司は、ま、いいや」
律「何でいいのよ?」
み「海鮮もの、苦手だし。
 そもそも寿司なんて、生で食べるわけだから……。
 どこで食べたって、一緒でしょ」
律「一緒のわけないでしょ。
 東京には、目の玉が飛び出そうな値段のお店があるわよ」
銀座の高級寿司店。ランチでも5,000円だそうです。
↑銀座の高級寿司店。ランチでも5,000円だそうです。夜、食ったら、いくら取られるんじゃ?

み「だって、生魚を包丁で切って出してるだけじゃない」
だって、生魚を包丁で切って出してるだけじゃない

み「百円寿司と何が違うの?」
百円寿司と何が違うの?

律「当然、材料が違うんでしょ。
 養殖じゃなくて、天然ものとか」
み「魚ってさ、どうして養殖より、天然ものの方がランクが上なのかね?」
魚ってさ、どうして養殖より、天然ものの方がランクが上なのかね?

律「だって、美味しいじゃない?
 天然ものの方が」
天然ものの方が

み「お肉は違うでしょ」
律「どう違うっての?」
み「三つ星レストランで出してる牛の肉って……。
 野生の牛じゃないじゃない」
鹿児島県口之島に生息する野生の牛。和牛の原種だそうです。
↑鹿児島県口之島に生息する野生の牛。和牛の原種だそうです。

律「そんなの当たり前でしょ。
 酪農家の人が、特別にこだわって育てた牛じゃないの」
酪農家の人が、特別にこだわって育てた牛じゃないの

み「何で、野生じゃないのよ?」
律「野生の牛なんて、栄養が悪くて痩せてたり……。
 筋張ってたりするんじゃないの。
 霜降り牛なんて、特別な育て方するわけでしょ」
霜降り牛なんて、特別な育て方するわけでしょ

み「ビールを飲ませるとか言うわよね」
ビールを飲ませるとか言うわよね

律「そうそう。
 そうやって、味を良くしてるわけよ」
み「つまり……。
 天然ものより、養殖ものの方が美味しいってことでしょ」
律「養殖って何よ?」
み「人が育ててるわけでしょ。
 養殖じゃないの。
 なのにどうして、魚は、養殖より天然の方が珍重されるの?」
律「わたしに聞かないでちょうだい」
み「たらふく食べて、のんびり育った魚のほうが、ぜったい美味しいと思うな」
たらふく食べて、のんびり育った魚のほうが、ぜったい美味しいと思うな

律「そうかしら。
 大洋を泳ぎまわってる魚のほうが、美味しいと思うけど」
み「だから!
 さっき先生は、野生の牛は栄養が悪くて筋張ってるとか言ったでしょ」
さっき先生は、野生の牛は栄養が悪くて筋張ってるとか言ったでしょ

み「おんなじことじゃないの。
 海の生存競争の厳しさは、陸上以上だと思うぞ」
律「知らないわよ。
 でも、天然ものより養殖が高かったら、絶対納得出来ないと思う」
み「つまりは、それなんだよ」
律「何よ?」
み「早い話、日本人は“天然もの”という語感に弱いんですよ」
早い話、日本人は“天然もの”という語感に弱いんですよ

み「“天然もの”と聞いただけで、味覚と臭覚が魔法にかかるの。
 それだけ」
律「そうかしら」
み「そうです。
 だから、“高い寿司=美味い”なんて等式は成り立たないの。
 高いのは、家賃とかの原価が高いだけじゃないの」
律「そうかしら。
 一度、医療機器メーカーの人に連れられて、高級寿司店で食べたけど……。
 もう、うっとりするくらい美味しかったわ」
み「それって、収賄じゃないすか?」
それって、収賄じゃないすか?

律「違うわよ!」
み「お金払ったの?」
律「あっち持ちに決まってるでしょ。
 向こうは、経費で落とすんだから」
み「見返りになんかしてやったんじゃないの?」
律「するわけないでしょ。
 わたしに、医療機器選定の権限なんて無いんだから」
CT装置(東芝メディカルシステムズ)。22億円だそうです。
↑CT装置(東芝メディカルシステムズ)。22億円だそうです。

み「そんなら、純粋に先生に対する下心かね?」
律「それは、あえて否定しないけど」
み「背負ってますな」
背負ってますな

律「よくありますから」
み「腹立って来た」
律「そうそう。
 包丁が違うんじゃない?
 寿司職人の包丁って、堺の包丁なんだって」
寿司職人の包丁って、堺の包丁なんだって

み「百均じゃないわけね」
百均じゃないわけね

律「当たり前でしょ。
 百均の包丁なんて、鉄板を切り抜いただけじゃないの。
 堺の包丁は、鋼から打ち鍛えるんです」
堺の包丁は、鋼から打ち鍛えるんです

律「堺の包丁で切ったネタは、細胞が潰れてないの」
堺の包丁で切ったネタは、細胞が潰れてないの

律「だから美味しい」
み「ずいぶんと堺の肩を持ちますな」
律「受け売りだけど」
み「やっぱり。
 あ、そう言えば、前にテレビでやってたな。
 寿司職人のスゴい特技」
律「どんな特技?」
み「手の温度が変わるんだよ」
律「えー。
 どんなふうに?」
み「家にいるときは、普通に温かいわけ」
家にいるときは、普通に温かいわけ

み「でも、家を出て、市場でネタを仕入れるころから、温度が下がり始め……。
 店に入ると、さらに下がる。
 そして、板場に立つころには、手の温度が16度くらいになってるんだって」
板場に立つころには、手の温度が16度くらいになってるんだって

律「なんで温度が下がるの?
 冷え性?」
み「アホかーい!
 温かい手でネタを触ったら、鮮度が落ちるでしょ。
 ネタを触るために、手が冷たくなるの」
律「どうしてそんなことが出来るの?
 そういうトレーニングをするわけ?」
み「テレビじゃ、どうやってそうなったかは、やってなかったみたいだけど……。
 たぶん、修行時代には……。
 ネタに触る前に、手を氷水に漬けるとかするんじゃないの?」
ネタに触る前に、手を氷水に漬けるとかするんじゃないの?

律「冬は辛いわね」
み「辛い修行でしょうね。
 で、毎日、氷水に手を漬けてるうちに……。
 ネタに触るまでの過程で、自然と手が冷たくなるようになってくるんだよ」
ネタに触るまでの過程で、自然と手が冷たくなるようになってくるんだよ

 実は、手を氷水に漬けるというのは、当てずっぽうで書いたのですが……。
 調べてみたら、どうやら本当のようです。
 でも、その目的は、ネタを痛めないためではありませんでした。
 シャリが、手にくっつかないようにするためでした。
 手が温かいと、シャリがベタベタくっつくのだそうです。
 素人がうまく握れないのは、このためだとか。
握り寿司体験教室での子供の手。子供の手は暖かいので、こうなります。
↑こちら、握り寿司体験教室での子供の手。子供の手は暖かいので、こうなります。

 素人さんが寿司を握るときは、手を氷水で冷やしてみましょう。
酢を水で薄めた“手酢”をこまめに付けるという方法もあるそうです。薄めない酢では、ネタが変色してしまうのでご注意。
↑酢を水で薄めた“手酢”をこまめに付けるという方法もあるそうです。薄めない酢では、ネタが変色してしまうのでご注意。

律「条件反射ね」
ご存知、パブロフの犬
↑ご存知、パブロフの犬。

み「そうそう。
 だから、素人が温かい手で握った寿司と……。
 寿司職人が氷のような手で握った寿司とでは、味が全然違ってくるの」
寿司職人が氷のような手で握った寿司とでは、味が全然違ってくるの

律「ちょっと、待ちなさいよ。
 あんた、さっきまで、生魚なんか、誰が握っても同じだとか言ってたじゃないの」
み「そうでしたっけ?」
律「いい加減な女」
み「さ、次の店、行きましょ」
律「誤魔化すんだから。
 ここは、ラーメン屋さんね。
 『中華そば なり田』だって」
『中華そば なり田』

み「おー。
 昔ながらの中華そばって感じだね。
 でも、こういう店は、うっかりすると醤油味しか無いからな」
もちもちの極太麺だそうです
↑もちもちの極太麺だそうです。

律「醤油ラーメン、美味しいじゃないの」
み「わたしは、イマイチなのです。
 塩味のタンメンが所望です。
 なければ、せめて味噌味」
律「もう1軒、ラーメン屋さんがあるわよ」
み「『ラァメン ぼーんず』」
『ラァメン ぼーんず』

み「豚骨醤油か。
 やっぱり醤油味なんだな」
シンプルで美味しそうですね。“ぼーんず”はもちろん、“骨”のこと。
↑シンプルで美味しそうですね。“ぼーんず”はもちろん、“骨”のこと。

律「ここは、居酒屋ね」
み「『旬菜タパス』か」
『旬菜タパス』

み「次は……」
律「ここも居酒屋みたいね」
み「『和酒バル おだし』」
『和酒バル おだし』

み「和酒ってのは、日本酒のことかな?」
律「そうなんじゃない」
み「“バル”ってのはなんじゃい?」
律「知らないわよ」

 “バル”の綴りは、“bar”です。
 早い話、“バー”のことですね。
早い話、“バー”のことですね

 イタリア、スペインなどの南ヨーロッパでは、軽食喫茶、酒場のことを指すそうです。
 『おだし』は、もちろん“お出汁”のこと。
 オデンなど、出汁を使った料理で、日本酒を飲む趣向のようです。
オデンなど、出汁を使った料理で、日本酒を飲む趣向のようです
↑値段、不明。

み「ここも飲み屋だな」
律「『南国酒家 てぃだかんかん』」
『南国酒家 てぃだかんかん』
↑南国と雪。風情ありますね。

み「南国ってのは、酋長のいる南国か?」
南国ってのは、酋長のいる南国か?
↑かなり問題あり。

律「店構えを見た感じ、沖縄じゃないの?」
み「胃が絶好調のときしか、入れない感じだのぅ」
胃が絶好調のときしか、入れない感じだのぅ
↑飲み始めて1時間後には、何も注文できなくなりそうです。

律「ここは、本格的なバーみたいね」
『BAR WANDERER'S 9』

み「『BAR WANDERER'S 9』。
 さすがに、まだ開いてないな」
律「この時間から、バーはないでしょう」
み「さて、次の店で終わりみたいだね」
律「あら、ここは飲み屋じゃないわよ。
 『もみ処 和~なごみ~』」
『もみ処 和~なごみ~』

み「マッサージ店か。
 風俗じゃないだろうな」
律「市の事業で、風俗店が出せるわけないでしょ」
み「短時間のコースもあるのかな?
 あ、15分ってのがある」
空き時間とぴったり合えば、絶好のスポットだと思います
↑空き時間とぴったり合えば、絶好のスポットだと思います。

み「待ち合わせまで、あと何分?」
律「残念ながら、もう時間ね」
み「もっと早く来てればよかったね」
律「仕方ないじゃない。
 さっきの大きな木があったところでお待ちしましょう」
さっきの大きな木があったところでお待ちしましょう

み「この広場、待ち合わせにも使えるよね」
律「冬は寒いでしょうけど」
奥の黄色いビルが、『ハイパーホテルズパサージュ』
↑奥の黄色いビルが、『ハイパーホテルズパサージュ』

み「凍死するわな」
凍死するわな

み「そろそろ、30分過ぎてるんじゃないの?」
律「そうね。
 道が混んでるのかしら?」
老「お待たせしました!」
み「……」
律「……」
老「どうかなされましたか?」
律「あの……。
 これから、何かおありなんですか?」
老「もちろん、安くて美味しい店にご案内しますよ」
み「それじゃ、何で、そんな格好なわけ?」
老「相応しい格好に着替えたわけです」
み「白のタキシードの、どこが相応しいんじゃ!
 奇術師か!」
奇術師か!

老「よくお分かりですな。
 ボランティア仲間に、手品をやる男がいましてな。
 デイサービスなんかを巡回して、喜ばれてるんですよ」
デイサービスなんかを巡回して、喜ばれてるんですよ

老「その男から借りて来ました」
み「ほら、もう子供が集まってきた」
ほら、もう子供が集まってきた

み「何かやると思われてるぞ」
老「それでは、早々に出かけますか」
み「タクシー、つかまえないとな」
老「何、すぐ近くです。
 歩いて行きましょう」
み「一緒に歩きたくないから、タクシー乗りたいの!」
律「いいじゃないの。
 こんなのも、楽しいわよ」
み「開き直ってますな。
 旅の恥は何とやらというやつだな。
 どのくらい歩くんだ?」
老「5分もかかりません」
み「雪だったら、もっとかかるとこだったな」
老「雪だったら、こんなタキシードは着てきませんよ」
み「そんなペラペラじゃ、寒くてたまらんわな」
老「いえ。
 雪の中で、白では目立ちませんので」
新潟県十日町市の雪上結婚式
↑新潟県十日町市の雪上結婚式。さすがに男性は、白いタキシードじゃありませんね。

み「そっちかい!
 まさか、電車で来たんじゃあるまいな?」
老「さすがに、一人では恥ずかしいので……。
 タクシーで来ました」
み「自分で恥ずかしいんなら、そんな格好して来るなよ!」
老「手品師だって、家からステージ衣装で来る人はいないでしょ。
 さて、そうこう言ってるうちに、もう着きますぞ。
 そこの信号を渡ればすぐです」
そこの信号を渡ればすぐです

み「どこじゃい」
老「ここですよ。
 ほら、看板がでかでかと出てます」
ほら、看板がでかでかと出てます

み「『六兵衛』。
 “たる酒と貝焼”か」
“たる酒と貝焼”か

み「『おんな酒場放浪記』に出てきそうな店だな」
『おんな酒場放浪記』に出てきそうな店だな

老「あれは面白いですね。
 ぜひ、青森まで足を伸ばしていただきたいものです。
 ほら、モデルの人が出てるでしょ。
 わたし、ファンなんです」
倉本康子さん。飲みっぷり、いいです(ほとんどオッサン)
↑倉本康子さん。飲みっぷり、いいです(ほとんどオッサン)。

み「どんなに長い脚でも、青森までは伸びんだろ。
 ここは、地下なわけね」
老「そうです」
表の縄のれんを潜ると、地下への階段になります。転げ落ちないよう、ご注意!
↑表の縄のれんを潜ると、地下への階段になります。転げ落ちないよう、ご注意!

み「何も、青森で地下に店を作らなくても良さそうなものだが。
 地上にたくさん、空き地があるだろ」
老「青森駅前は、そうでもないんですよ」
み「しかし……。
 旅人が、一人でフラッと入れそうな雰囲気ではないな」
老「だからいいんじゃないですか。
 フリの観光客相手の店じゃないんですよ」
み「とても、タキシードで入る店とも思えんが」
とても、タキシードで入る店とも思えんが

老「それは、言えてます。
 この格好は、飛び切り浮くでしょうな」
み「わかってて、着てきたのか!
 先生、こんなとこでいい?」
律「いいわよ。
 こういうお店、大好き」
み「さよか。
 ま、確かに、値段は高く無さそうだわな」
老「さ、入りましょう」
地震のないことを、心から祈ります
↑地震のないことを、心から祈ります。

老「こんばんわ」
店「いらっしゃい!」
いらっしゃい!

老「予約の津島です」
店「お待ちしてました。
 3名さまね。
 カウンターにどうぞ」
み「予約してたの?」
老「もうこの時間で、びっしりでしょ。
 予約しなければ、3人並んでは座れませんよ」
み「小上がりも一杯だね」
なぜか、お客のいる画像が無いのです。でもほんとに、17時半には満席になるのだとか。
↑なぜか、お客のいる画像が無いのです。でもほんとに、17時半には満席になるのだとか。

老「4人座れる座卓が、3つしかありませんからね。
 料理の注文をするには、カウンターが一番です。
 座敷には、メニューも置いてないですから」
み「カウンターにも無いぞ」
老「メニューは、壁に貼ってあるだけです」
メニューは、壁に貼ってあるだけです

み「なるほど。
 考えてみたら、チェーン店じゃない居酒屋って、久しぶりかも。
 東京時代以来かな」
老「東京に住んでられたんですか?」
み「いかにも、洗練されとるじゃろ」
老「……」
み「黙るな!」
老「何、飲みますか?」
み「居酒屋に入ったら、まずはビールでしょ」
居酒屋に入ったら、まずはビールでしょ

老「とりあえず、というやつですな。
 じゃ、ビールで喉を湿しましょうか。
 しばらくしたら、日本酒もどうです?」
み「うむ、良かろう」
老「じゃ、生でいいですね。
 生、3つね」
店「へい。
 生、3丁。
 津島さん、今日はえらくめかしこんで……。
 結婚式の帰りですか?」
老「招待客が、白のタキシードなんか着るわけないでしょうが」
店「てことはまさか……。
 ご自分の?」
老「アホ言わんでください。
 結婚式の後、タキシードで居酒屋に来る花婿がいますか」
店「あなたなら、来かねない」
老「わはは。
 それもそうですな。
 今日はわたし、このお2人の客なんですよ」
店「それで、めかしこんだと。
 さっぱりわかりませんな」
老「ま、人生は楽しいということです」
店「それは、素晴らしい」

↑『What a wonderful world』。うら若きころ、西新宿の高層ビル街を、ウォークマン(古!)でこの曲を聞きながら帰るとき……。ほんとに人生って素晴らしいと思ったものです。

み「ちょっと、あなたさ」
老「はい」
み「津島さんって云うの?
 まさか、太宰の関係者?」
まさか、太宰の関係者?

老「ボランティアの芸名です」
み「なんじゃそりゃ!」
老「そうだ。
 名刺を差しあげてませんでしたな」
み「けっこうです」
老「そう言わずに。
 あれ?
 あちゃー。
 着替えたとき、名刺入れ忘れてきた」
み「重畳」
店「へい、生3つ、お待ち」
律「じゃ、乾杯しましょうか」
老「はい。
 両手に花で、こんな時間が過ごせるんですから……。
 人生、捨てたもんじゃありませんな」
み「カンパーイ」
律「カンパーイ」
老「お2人の楽しいご旅行と、健康に」
み「美貌にも」
3人「カンパーイ」
カンパーイ

み「うまい!」
律「1杯めのビールって、どうしてこんなに美味しいのかしらね」
老「ボランティア仲間には、旨いビールを飲むために、昼間、水分を取らないヤツもいますよ」
律「それは、健康によくありませんわ。
 水分を取らないと、血液がドロドロになって……」
水分を取らないと、血液がドロドロになって……

律「血栓が出来ることもあります」
血栓が出来ることもあります

老「わたしもそう言っているんですがね。
 頑固者で、ダメなんです。
 命がけで飲むから旨いんだなんて開き直ってますよ。
 まったくツマミも食べずに、大ジョッキを空にするんだから」
やっぱり、1杯目は大ジョッキですよね
↑やっぱり、1杯目は大ジョッキですよね。

律「それも、胃によくありませんわ。
 アルコールが急激に吸収されて、血中濃度が急上昇します」
アルコールが急激に吸収されて、血中濃度が急上昇します

老「安あがりに酔えるとうそぶいてますよ」
み「よーし。
 われわれは、血中濃度を上げないために、大いに食べるとしましょう。
 しかし、みんな安いね」
しかし、みんな安いね

老「どれも、500円までですな」
み「ほー、それでこんなに流行ってるのか」
老「そういうことです」
み「おススメは?」
老「表看板にも書いてありましたでしょ。
 まずは、『貝焼みそ』です」
まずは、『貝焼みそ』です
↑小上がりの衝立の裏にも、品書きがありました。

み「よーし。
 じゃ、それ3つか」
老「ここは、量も多いですからね。
 2つにして、3人で分けましょう。
 いろんなものを食べて頂きたいですから」
み「おー。
 複数人での楽しみ方を、わかっておるではないか。
 じゃ、注文してちょ」
老「ご主人、『貝焼みそ』を2つ」
店「へい。
 『貝焼き』2丁」
み「あとは?」
老「あんまり注文すると、カウンターが一杯になっちゃいます。
 でも、もう1品くらい取りましょうか」
み「まかせる」
老「それじゃ、『はたはた唐揚』なんてどうです?
 ビールに、ぴったりですよ」
み「おー、魚のから揚げは好物じゃ」
老「ご主人、『はたはた唐揚』を1つ」
店「へい。
 『はたはた唐揚』、1丁」
み「じゃ、そいつが来るまで、お通しを食べよう。
 これも貝だよね」
これも貝だよね

老「『つぶ貝の煮つけ』です」
つぶ貝の煮つけ

み「うむ、こりゃ珍味ですの。
 楊枝でくるっと身を取り出すのが、また一興じゃ」
律「甘辛くて、東北の味って感じよね」
老「日本酒には最高です」
み「『貝焼き』ってのは、焼いた貝なわけ?」
老「いえ。
 そうじゃありません。
 青森に昔からある料理法です。
 貝は、ホタテの貝殻のことです」
貝は、ホタテの貝殻のことです

老「こいつを鍋代わりにして、いろんなものを焼いたり煮たりするんですね。
 それで、『貝焼き』です。
 これが詰まって、地元では『かやき』と呼ばれてます。
 昔は、青森駅前の市場で、ホタテの貝殻だけを売ってる店があったほどです」
札幌中央卸売市場
↑札幌中央卸売市場の画像。350個入りということは、10,500円ですよね。旅館とかが買うんでしょうか?

老「観光客がそれを見て、何に使うのか不思議がってましたよ」
み「じゃ、ホタテの貝殻で作る料理は、みんな『貝焼き』なわけ?」
老「基本的にはそうです。
 でも、今『貝焼き』と言えば……。
 味噌味で、卵を溶きかけた『貝焼きみそ』が一般的です。
 ここ津軽では、『貝焼きみそ』ですが……。
 下北の方では、『みそ貝焼き』と呼ばれてます」
下北の方では、『みそ貝焼き』と呼ばれてます

老「卵が貴重だった昔は、産後や病後に栄養をつける特別料理でした」
み「でも、貝に載せた料理なんて、一口だろ」
老「それは、青森のホタテの大きさを知らない人が言う言葉です」
懐かしの『ホタテマン』
↑懐かしの『ホタテマン』。『ホタテのロックンロール(作詞:内田裕也/作曲:加瀬邦彦/アレンジ:小室哲哉』)は、32万枚を販売。その宣伝効果から、北海道のホタテ漁業組合から表彰されたそうです。『ホタテマン』を演じた安岡力也さん(祖父と父がシチリアンマフィア)も、2012年死去されました。

老「10年ものの貝殻を使いますからね」
店「『貝焼きみそ』、お待ち」
『貝焼きみそ』

老「さぁ、来ましたぞ」
律「あら、ほんとに大きいわね」
あら、ほんとに大きいわね

み「確かに、これなら鍋代わりになるわ」
老「卵が半熟に、ふんわりと仕上がってるでしょ。
 これが、なかなか難しいんです」
み「腕の見せ所だな」
律「オムレツも難しいのよね」
オムレツも難しいのよね

み「作ったことあります?」
律「作ってるとこを、見たことならあります」
み「やっぱり。
 でも、卵でとじられてる料理って、ほんと美味しそうだよね」
律「親子丼とか?」
親子丼とか?

み「そう。
 そしてもちろん、カツ丼」
そしてもちろん、カツ丼

み「新潟なんて、卵で閉じてないカツ丼が名物なんだよ」
律「あら、そんなカツ丼があるの?」
み「タレカツ丼って言ってね。
 甘辛のタレに漬けられたカツが、そのままご飯に載ってるだけ」
甘辛のタレに漬けられたカツが、そのままご飯に載ってるだけ

律「でも、名物なら、美味しいんじゃない?」
み「ま、確かに味はいいんだろうけどね。
 でも、卵で閉じないなら、なんで丼で出てくるのって話よ。
 お皿に、千切りキャベツと一緒に載せて、『タレカツ定食』にすればいいでしょ」
『かつ力(新潟市中央区米山)』さんの“とんかつ定食”
↑『かつ力(新潟市中央区米山)』さんの“とんかつ定食”。カツは、タレカツではないようですが、揚げずに、焼いてあるそうです。

み「あんなの、キャベツと一緒に食べなきゃ、ぜったい胸焼けするって。
 あなた方も、新潟でカツ丼を注文するときは……。
 卵で閉じたものかどうか、確認した方がいいよ」
老「わたしのこれからの人生で……。
 新潟でカツ丼を食べるというシーンが、巡ってきますかな」
新潟でカツ丼を食べるというシーンが、巡ってきますかな
↑新潟で捕まる、という手も……。

み「なに、遠い目してるのよ」
なに、遠い目してるのよ

み「さ、今は、この瞬間を楽しみましょう。
 いただきま~す。
 熱ちっ。
 あちちあち」

↑郷ひろみ『GOLDFINGER '99』

律「懐かしいわね、その歌」
み「はふ、はふ。
 歌ってるわけじゃないわい!
 わたしは猫舌なの!」
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