Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(93)
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爺「この先に、『不動ノ滝』という滝があるんです」
不動ノ滝
↑2004年撮影。

爺「そのため、このダム湖も、『不動湖』という名がついています。
 たしか、ダム周りが公園になってたと思いますよ」
み「やっぱり『不動公園』?」
爺「当たりです。
 ちょっと、寄ってみますか。
 まだ、日暮れには間がありますから」
み「この地図に、公園なんか載ってないぞ」
爺「あんまりメジャーな公園じゃないですからね」
み「行ったことあるの?」
爺「だいぶ前に1度だけ。
 確か、キャンプ場とか、フィールドアスレチックの設備もあったはずです。
 公園を通って、『不動ノ滝』まで行けました。
 どうします?」
み「公園なら、トイレある?」
律「さっき、したばっかりじゃないのよ」
み「だって、これからずーっと山道なんでしょ。
 たぶん、トイレなんて無いよ。
 だろ?」
爺「青森側に下り切るまではありませんね」
み「ほら。
 いちおう、しておいた方がいいんじゃないの?
 道端でケツ出すよりか」
律「そんなことしますか。
 藪に入ればいいじゃないの」
み「ヤブ蚊にケツを刺されます」
デング熱の媒介者でもあります
↑デング熱の媒介者でもあります。

律「蚊なんか、もういないわよ」
み「いるよ~。
 まだ、10月初旬じゃん。
 ヤブ蚊は、平気で生きてます」
律「そんな話するから、なんだか催して来たじゃないの」
み「寄ってこうよ」
律「そうね」
爺「じゃ、駐車場に入りますよ。
 確か、赤い橋の脇に公園の駐車場があったはずです。
 えーっと。
 これかな?」
赤い橋の脇に公園の駐車場があったはずです

み「ぜんぜん赤くないではないか」
爺「ですね。
 でも、たしかにこの橋でした。
 ペンキが剥げてしまったみたいですね。
 降りてみましょう」
み「ここが駐車場?
 砂利敷きじゃん。
 単なる空き地にしか思えん」
爺「ここのはずです」
み「人っ子一人、おらん」
律「ほんとに公園なのかしら?」
み「トイレの順番待ちが無いことだけは確かだ」
トイレの順番待ちが無いことだけは確かだ

爺「こっちです。
 行ってみましょう。
 ありゃ」
み「どうしたの?」
爺「あれです」
市の掲示物にしては、字体がポップです
↑市の掲示物にしては、字体がポップです。

み「土砂崩れに倒木……。
 復旧は行なわれなかったってこと?」
復旧は行なわれなかったってこと?
↑2006年の画像です。現在はどうなってるんでしょう?

爺「予算的に無理だったのかも知れませんね。
 この先に民家があるわけじゃないですから」
み「復旧を待つ住民はいないってことね」
爺「どうします?」
み「滝までは行けなくても、公園は行けるんじゃないの」
爺「行ってみますか?」
み「このまま帰ったら、ケツを蚊に刺されるハメになるかも知れん」
爺「じゃ、橋を渡りましょう」
み「ひょえー。
 けっこう高いな、この橋」
律「眺めが良くて、気持ちいいわ」
み「おー。
 山の木々が湖面に映ってる。
 ここって、紅葉の名所じゃないの?」
ここって、紅葉の名所じゃないの?
↑2007年10月25日の画像。まだ少し早いようです。

爺「湖面に映えて、綺麗でしょうね」
湖面に映えて、綺麗でしょうね

み「さすがにここらでも、まだ早いな」
爺「来月、もう1回、来られませんか?」
み「それほどヒマじゃないわい。
 しかーし。
 誰も人がいる気配が無いんですけど。
 今日は日曜だろ。
 滝は見れなくても……。
 キャンプ場やフィールドアスレチックがあれば、楽しめるんじゃないの?」
律「そうよね」
み「ふ~。
 やっと、渡りきった。
 なんか、まったく人の気配がしないけど」
爺「先に行ってみましょう」
先に行ってみましょう

律「あら。
 チェーンが張ってあるわよ」
チェーンが張ってあるわよ

み「しかもこれって……。
 近ごろ張られたチェーンじゃ無いよね。
 真っ赤に錆びてる」
爺「鉄杭も真っ赤ですな」
律「今日は、休園なんじゃないの?」
み「日曜日に休園してどうすんじゃい。
 チェーンは張ってあるけど……。
 入るなって看板は無いよね」
爺「このチェーンは、単なる車止めかも知れませんね。
 行ってみますか」
み「うむ。
 今、ここで引き返したら……。
 後々、尻を蚊に刺されてから後悔することになりかねん。
 いざ行かん」
律「でもなんだか……。
 この先にキャンプ場なんかありそうな道じゃないわね」
み「山奥に分け入っていく感じだよな。
 道、間違えたんじゃないのか?」
爺「一本道でしたよ」

 キー、ケケケケケケケケケケケケ。

み「どひゃー。
 何だ、今の?」
何だ、今の?

律「鳥じゃないの?」
み「うんにゃ。
 こないだ『ダーウィンが来た!』で聞いた声に似てた」
律「何の鳴き声よ?」
み「サル。
 テナガザルだったか、オランウータンだったか」
テナガザルだったか、オランウータンだったか

律「青森にオランウータンがいるわけないでしょ」
み「逃げたのかも知れん」
律「冬はどうするのよ」
み「オランウータンなんか、毛がボーボーなんだから大丈夫だろ」
爺「サルだとしたら、日本猿しかありえませんよ。
 地球上で北限に住むサルです」
地球上で北限に住むサルです

み「外人に人気なんだよね」
律「日本猿が?」
み「温泉に入るサルがいるでしょ。
 長野じゃなかった?」
爺「地獄谷野猿公苑ですね」
地獄谷野猿公苑

爺「外国人にとっては、サルは南国の生き物なんです。
 だから、雪深い場所に住む日本猿は、スノーモンキーと呼ばれ、珍しがられるようです」
み「しかも、温泉に入るんだからね」
爺「外人さんは、大喜びするみたいですよ」
左手が余裕です
↑左手が余裕です。

み「しかし、温泉に入るのはいいけど、湯冷めしないもんかね?」
温泉に入るのはいいけど、湯冷めしないもんかね?

律「わたしに聞かないでよ。
 獣医じゃ無いんだから」
爺「毛に覆われた動物は、人間に比べて汗腺が少ないので、熱が逃げないらしいですね」
み「夏は、暑いわな。
 あ、だから、青森にいるのか。
 彼らにとっては、冬の寒さより、夏の暑さを避けることの方が大事なのかも」
足湯ならぬ、足水で酷暑を耐える豊橋の猿
↑足湯ならぬ、足水で酷暑を耐える豊橋の猿。

律「なんか、さっき聞いた論拠と似てるけど」
み「そんなこと言いました?」
律「何の話だったかしら。
 そうそう。
 住宅の話よ。
 これからの住宅は、夏の暑さ対策の方が重要だって」
み「おー、そうじゃそうじゃ。
 『旧齋藤家別邸』の話だったな」
北向きの座敷。当然のことながら、窓際にも陽が差し込みません。夏快適!
↑北向きの座敷。当然のことながら、窓際にも陽が差し込みません。夏快適!

律「サルと論拠が同じってことじゃないの」
み「やかましい。
 あ、案内板がある」
あ、案内板がある

律「字が消えかけてるわ」
み「『野外トレーニング』なんとかってことは……。
 ここが、フィールドアスレチック場ってこと?」
爺「そうでしょうね」
律「なんか……。
 すさんでるわね」
み「滅びてると言ったほうがいいかも。
 どう考えても、営業してる感が無いぞ」
律「そうよね」
み「とにかく、人っ子一人いないのが不気味すぎ」
律「まだ、先行くの?」
み「この先に何かありそうな気配はないな」
この先に何かありそうな気配はないな

律「トイレは、もっと手前じゃないの?
 あ、これ見て。
 さっきは、ただの朽木だと思ってたけど」
さっきは、ただの朽木だと思ってたけど

み「ここが、キャンプ場だな」
ここが、キャンプ場だな

律「ずいぶん狭いわね。
 テントが、4つくらいしか張れないんじゃない?」
み「しかし……。
 営業してないのは明らかではないか」
律「そうよね」
み「でも、トイレだけならやってないか?」
律「そんなわけないでしょ」
み「あ、あった」
律「見事に、板で塞がれてるわね」
み「『松神駅』を思い出すな」
『松神駅』を思い出すな

み「青森のトイレって、みんな床が抜けるのか?」
爺「あぁ、思い出しました。
 ここだったのか……」
み「何が?」
爺「湖畔のキャンプ場で起きた、ある事件のことです。
 当時は、ワイドショーなんかで、連日のように報道されてましたよ」
み「どんな事件?」
爺「事件の元となったのは、その数年前の事故です。
 ここで、地元の子供会がキャンプをしてたんです。
 引率してたのは、青年団の若者たちでした。
 若者たちは、夕食のオカズを調達すると称して、飯詰ダムでの釣りに興じてたんです」
飯詰ダムでの釣りに興じてたんです
↑飯詰ダムでの画像です。魚は、バスだとか。

爺「子供たちから、目を離してしまったんですね」
み「いやな予感」
爺「子供のひとりがダム湖に落ち、亡くなってしまいました」
飯詰ダム

み「悲惨だね」
爺「それで、子供会のキャンプは、しばらく中止になったんです。
 でも次第に、過去の過ちを教訓にすることこそが、亡くなった子供への供養だという意見が多くなり……。
 数年後、復活することになりました。
 しかし、久々のキャンプに、いきなり子供たちを連れて行って、また何かあると大変だってことで……。
 まず引率する青年たちだけでキャンプしてみて、役割分担や連携などを詰めることになりました。
 キャンプ場は事件後荒れてましたから、その整備も兼ねてです。
 その、プレキャンプで、事件が起こりました」
その、プレキャンプで、事件が起こりました

み「ものすごく嫌な予感」
爺「翌々日、予定時間になっても帰らない若者たちを心配して、地元の人たちが探しに来たんですが……。
 そこで、変わり果てた若者たちの姿を発見することになりました」
み「絶望的に嫌な予感」
爺「全員、殺されてました。
 斧で額を割られた者……」
斧で額を割られた者

爺「ナイフで喉を裂かれた者……」
ナイフで喉を裂かれた者

爺「尖らせた杭で、胸を貫かれた者もいました」
尖らせた杭で、胸を貫かれた者もいました

み「犯人はつかまったの?」
爺「いいえ」
み「まだ逃げてるってわけ?」
爺「あれだけ探しても見つからないんだから……。
 ダムに身を投げたんだろうとも言われてます」
岐阜県大野郡白川村にある『白水ダム(電源開発㈱)』
↑岐阜県大野郡白川村にある『白水ダム(電源開発㈱)』です。

み「誰かはわかってるわけ?」
爺「ダム湖で溺れた少年の父親です」
少年と父親

み「逆恨みじゃん!
 その時引率してた青年団とは、違う若者たちだったんじゃないの?」
爺「精神に異常を来していたんでしょうな」
み「殺される方は、たまったもんじゃないわい」
爺「その父親が犯人だとわかったのは……。
 ひとりの若者が、携帯で動画を撮ってたからなんです」
ひとりの若者が、携帯で動画を撮ってたからなんです

爺「その若者も亡くなってしまったんですが……。
 地面に落ちた携帯の角度が良くて、現場が写ってました」
地面に落ちた携帯の角度が良くて、現場が写ってました

み「そこに、犯人が?」
爺「顔は仮面のようなもので隠してましたが……。
 誰が見ても、その父親であることは、明白だったそうです」
み「何でよ?」
爺「その父親は、地元では有名な元アイスホッケー選手だったんです」
地元では有名な元アイスホッケー選手だったんです

み「アイスホッケーと何の関わりがあるんだ?」
爺「まだわかりませんか?
 その仮面とは……。
 アイスホッケーのフェイスマスクだったんです。
 ほら、これですよ」
アイスホッケーのフェイスマスクだったんです

み「あぎゃー」
爺「ふぉっふぉっふぉっ。
 犯人は、ダム湖に沈んだりしてはおらんわ。
 こうして、ここに生きておる!
 再び、息子に生贄を捧げるためにな!」
再び、息子に生贄を捧げるためにな!

み「ぎょえー」
爺「ちょっと、大げさだな」
律「泡、吹いちゃった」
泡、吹いちゃった

爺「もしもし。
 大丈夫ですか?
 冗談ですよ」
律「ほら、しっかりしなさい!」
み「あわ、あわ、あわ」
律「情けない女。
 まさか、漏らしたんじゃないでしょうね」
わたしのことではありません。大人になってから、おしっこを漏らしたことは無いです。うんこならありますが。
↑わたしのことではありません。大人になってから、おしっこを漏らしたことは無いです。うんこならありますが。

み「くそー。
 た、たばかりおって……。
 でも、先生はどうして怖がらなかったわけ?」
爺「この方がマスクを出したとき、目が合っちゃったもの。
 で、人差し指を唇に当てて、しーって顔なされたから」
み「2人して騙したわけね」
爺「あそこまで驚くとは、こっちが驚きました」
み「おのれ。
 この恨み、はらさでおくべきか」
この恨み、はらさでおくべきか

爺「途中で気づきそうなものですけどね。
 完全に『十三日の金曜日』のパクリじゃないですか。
 これ、そのまま書いたら剽窃ですよ」
み「作家失格!」
爺「書きませんって。
 あのキャンプ場の杭を見て、たまたま思いついたんです。
 さんざん、白タクだとか言われましたからな。
 ちょっと仕返しです」
み「案外、根に持つタイプだったわけね」
爺「さ、そろそろ行きましょうか。
 ほんとに暗くなってしまいます」

 『不動公園』での一連の描写は、↓のページを参考にさせていただきました(画像もほとんどこちらから拝借してます)。

【青森旅】恐怖★不動公園の紅葉(前編)
【青森旅】恐怖★不動公園の紅葉(中編)
【青森旅】恐怖★不動公園の紅葉(後編)

 ↑の記事は、2007年に書かれたものです。
 現在、『不動公園』は、トイレも綺麗になり、再整備されてるようです(参照)。

律「ずいぶん、山道らしくなってきたわね」
山道らしくなってきたわね

み「それより、薄暗くなってきたではないか。
 こんなとこ、街灯も無いんだろ?」
爺「あるわけありません」
み「急いでちょ」
爺「大丈夫です。
 列車を使うより、ずっと早く着けますから」
列車を使うより、ずっと早く着けますから

み「そうでなく!
 暗い山道は、怖いではないか」
爺「さっきの話は、冗談ですって」
み「わかっとるわい。
 オバケが怖いわけじゃないの。
 道から飛び出したら、一巻の終わりでしょ」
道から飛び出したら、一巻の終わりでしょ

爺「わたしの運転技術を侮ってはいけませんぞ。
 これでも昔は、ケンメリに乗ってましたから」
み「何じゃそりゃ。
 メリケンなら知ってるが」
神戸市中央区元町通。“メリケン”はもちろん、“アメリカン”の訛りですね。
↑神戸市中央区元町通。“メリケン”はもちろん、“アメリカン”の訛りですね。

爺「知りませんか?
 日産のスカイラインのことですよ」
日産のスカイラインのことですよ

み「最初から、そう言えばいいではないか」
爺「昔のテレビCMのキャッチフレーズが……。
 『ケンとメリーのスカイライン』だったんです」
『ケンとメリーのスカイライン』だったんです

爺「当時の若者は、みんな憧れたものです。
 CMソングも流行りましたし。
 ♪いつぅだ~って、どこにぃ~だって」

↑いい歌です。

み「歌うな!」
爺「う~ん。
 なんだか、昔を思い出したら、アクセルを踏みたくなりました。
 お望み通り、急いで差しあげましょう。
 行きますよ」

 ブォォォォォ~。
カングーが変身!
↑カングーが変身!

み「ぎゃー。
 早すぎだろ。
 思いっきり“G”がかかったぞ」
素人が戦闘機に乗ると、加速Gでこんな顔になるそうです。
↑素人が戦闘機に乗ると、加速Gでこんな顔になるそうです。

爺「まだまだまだ」
まだまだまだ

み「スピード違反!」
爺「こんなとこに警察がいますか。
 パトカーを隠しとく場所がありませんがな」
わたしは、4回ほど捕まりました
↑わたしは、4回ほど捕まりました。

爺「スピードは、出し放題です。
 それそれそれ!」
それそれそれ!

み「やめれー。
 せ、先生、止めて」
律「楽しいじゃないの。
 わたしも、このくらいの運転するわよ」
爺「ほー、頼もしいですな。
 何にお乗りですか?」
律「ジャガーです」
ジャガーです

爺「そりゃ、おみそれしました。
 しかし……。
 このフランスの大衆車も、決してイギリスのスポーツカーに負けておりませんぞ。
 いいですか、コーナーに突っこみますよ。
 見よ!、秘技『ヒール・アンド・トゥ』」

↑高度な技術ですが、決して“秘技”ではありません。

み「あぎゃー」

 ♪パパラパ、パパラパ。
この技術を、もっと建設的な方向で活かせぬものか……
↑この技術を、もっと建設的な方向で活かせぬものか……。

み「暴走族か!」
爺「『警笛鳴らせ』の標識が見えませんか」
『警笛鳴らせ』の標識が見えませんか

み「そんなとこで、スピード出すな!」
爺「対向車がセンターラインを越えてきたら、ちょっと怖いですけどね。
 大丈夫。
 これまで死んだことありませんから」
これまで死んだことありませんから

み「当たり前だろ!
 くそ!
 これ以上スピード出したら、おしっこ漏らしてやる」
これ以上スピード出したら、おしっこ漏らしてやる

爺「信じられない脅し方ですな」
律「この人、ほんとにするかも知れませんわ」
爺「そりゃ怖いな」
み「お~、やっとブレーキ掛けたな」
爺「坂を登り切りましたから。
 そこに景色のいい展望台があります」
そこに景色のいい展望台があります

爺「ちょっと降りて見ましょう。
 青森湾が見えますよ」
み「トイレ、ある?」
爺「ありませんがな」
み「くそ」
爺「大は勘弁してくださいよ」
み「誰がするか」
爺「そこです。
 それじゃ、止めますよ」
み「ふ~、助かった。
 危うく、命が死ぬとこだったわい」
律「あらほんと、いい景色」
9月中旬の画像のようです
↑9月中旬の画像のようです。

爺「でしょう。
 青森の海が穏やかなのも、あとわずかですな」
律「今、眺めてるのが、青森の海だなんて……。
 なんだか夢みたいね」
み「旅情を感じるのぅ。
 思いがけず海を見られて良かったな。
 列車からじゃ、見えないでしょ」
爺「そうですね。
 奥羽本線は、内陸から平地を北上して来ますからな。
 ここからだと、タイミングが良ければ、函館行きのフェリーも見えますよ」
ここからだと、タイミングが良ければ、函館行きのフェリーも見えますよ

み「函館までどれくらい?」
爺「4時間弱です」
み「そんなにかかるの。
 すぐそばみたいだけど」
爺「青森湾は、津軽半島と下北半島の奥に挟まれた奥にありますから……」
青森湾は、津軽半島と下北半島の奥に挟まれた奥にありますから……

爺「距離にして、113キロほどあるんです」
み「なるほど。
 それは遠いわ。
 新潟と両津の航路が、60キロちょっとだからね。
 2倍弱もあるってことか。
 それなら、4時間で行けば早い方だよ。
 佐渡汽船のフェリーなんか、2時間半もかかるんだぜ」
佐渡汽船のフェリーなんか、2時間半もかかるんだぜ

爺「そりゃちょっと、かかりすぎですな」
み「だよな。
 青函連絡船ってのは、龍飛岬から出てたの?」
青函連絡船ってのは、龍飛岬から出てたの?

爺「違いますがな。
 青森港ですよ」
あまりにもボロっちく、とても日本の船とは思えません
↑あまりにもボロっちく、とても日本の船とは思えません。

み「『津軽海峡冬景色』の歌詞に、龍飛岬が出てくるではないか」
『津軽海峡冬景色』の歌詞に、龍飛岬が出てくるではないか

爺「あれは、連絡船から見えるという場面でしょ。
 龍飛崎から船が出たわけじゃありません。
 青函トンネルは、龍飛崎から海に潜りますが」
青函トンネルは、龍飛崎から海に潜りますが

み「そうか。
 青函連絡船は、やっぱりターミナル駅の青森から連絡しなきゃならんわけね」
青函連絡船は、やっぱりターミナル駅の青森から連絡しなきゃならんわけね

爺「ですね」
み「でも、フェリーの客なら、車でしょ。
 何も青森港から出なくていいんじゃないの?
 もっと先の、下北半島の先っぽ……。
 ほれ、マグロで有名な……」
マグロで有名な……

爺「大間ですな」
大間ですな

み「それそれ」
爺「ありますよ。
 大間と函館の航路」
み「あるんかい!」
爺「大間からなら、函館まで、1時間半です」
大間からなら、函館まで、1時間半です

み「ぜんぜん違うではないか。
 青森からと比べて、2時間以上節約できるじゃん。
 なんで、そっちに集約しないわけ?」
爺「青森から大間まで行くには……。
 下北半島を、ぐるっと回らにゃなりません」
下北半島を、ぐるっと回らにゃなりません

爺「移動距離は、150キロになります。
 もちろん、高速道はありません。
 ルートによっては峠道もあります。
 時間にして、3時間かかるんです」
み「にゃんと。
 それじゃ、青森からフェリーに乗ったほうが、1時間早く函館に着くわけか」
爺「それに、フェリーなら休めますからね」
『青函フェリー』のカーペット席。運賃は、たったの1,540円。
↑『青函フェリー』のカーペット席。運賃は、たったの1,540円。佐渡汽船は、一番安くても2,510円です。なぜじゃ!

爺「下北半島に用事でもない限り、みんな青森から乗るでしょう」
み「そもそも、青函連絡船ってのは、いつまで運行されてたの?」
五色のテープが舞う全盛期の出航風景
↑五色のテープが舞う全盛期の出航風景。

爺「1988年。
 昭和63年です」
昭和63年です

み「おー、昭和の終わりだね」
爺「バブルの頂点に向かって一直線のころです」
バブルの頂点に向かって一直線のころです

み「連絡船が廃止になって、青函トンネルに移行したわけだよね。
 なんで、またフェリーが就航したわけ?」
爺「新しく就航したわけじゃありませんよ。
 青函連絡船の前から、フェリーはあったんです」
み「そうなの?」
爺「青函連絡船の就航は、明治41年ですが……。
 民間の船が定期航路を開設したのは、江戸末期にさかのぼります」
み「フェリーか?」
爺「江戸時代にフェリーがあるわけないでしょ。
 民間の帆船です。
 明治6年には、当時の開拓使という官庁が、汽船を就航させてます」
明治6年には、当時の開拓使という官庁が、汽船を就航させてます
↑明治15年ころの絵。なんだか漁船みたいです。

爺「その後、この航路を、今の日本郵船の前身の会社が引き継いだんです。
 連絡船が廃止になってからも、フェリーは運行され続けてます。
 いろいろ統廃合がありましたが、今も、2社のフェリーが就航してますよ」
み「なーんだ。
 青函連絡船が無くなってからは、青森から船で北海道には行けないと思ってた」
爺「そう言われてみれば……。
 そんなふうに思われてる方も、おられるかも知れませんな」

↑『津軽海峡冬景色』。1977年の映像。石川さゆり、19歳です。

爺「さて、そろそろ行きましょうか。
 薄暗くなってきました」

爺「それでは、ここからは下り坂になります」
み「カングーも、登りが終わってホッとしてるだろうね」
爺「ですかね。
 昔は、自転車で越えたものですよ。
 そのときは、ほんと、この展望台に着くと嬉しかったものです」
そのときは、ほんと、この展望台に着くと嬉しかったものです

爺「あとは下りだけなんですから」
あとは下りだけなんですから

み「下ったら、戻るのに、また上らにゃならんではないか」
爺「Uターンして、同じ方向に下ればいいだけです」
み「何しに登って来たんじゃ!」
爺「別に用事があったわけじゃないですからね。
 あそこで青森湾を眺めて……。
 あとは下りを楽しむ」
あとは下りを楽しむ

み「カングーに自転車積んで来ればいいではないか。
 この車なら、余裕で積めるでしょ」
後部座席を畳めば、ママチャリも余裕で載ります
↑後部座席を畳めば、ママチャリも余裕で載ります。

み「で、下りだけ自転車」
爺「車はどうするんです?
 あそこに置いて帰るんですか?」
み「2人で来ればいいのじゃ。
 1人は、車を運転して帰る」
爺「下り坂が楽しいのは……。
 苦しい登りを耐えぬいたからこそですよ。
 下り坂の喜びは、登り坂あってこそのものです」
推定年齢75歳。急な登り坂を、時速20キロを超えるスピードで駆けあがってたそうです。
↑推定年齢75歳。急な登り坂を、時速20キロを超えるスピードで駆けあがってたそうです。

み「何か、深いこと言ってるつもりか?」
爺「そんなつもりはありません。
 さ、出発しますよ。
 シートベルトをお締めください」
シートベルトをお締めください

み「スピード、出すなよ」
爺「わかりました。
 エンジンブレーキをかけながら、ゆっくりと下ります」
エンジンブレーキをかけながら、ゆっくりと下ります

み「なんじゃそれ?」
爺「エンジンブレーキ、知らないんですか?」
み「わたしのパッソには付いておらん」
爺「あのね。
 エンジンブレーキってのは、装置じゃないんです。
 アクセルを戻すだけです」
アクセルを戻すだけです

爺「アクセルを戻せば……。
 エンジンの回転が落ち、駆動輪の回転も落ちます。
 これによって車体が減速しますから……。
 これを、エンジンブレーキと呼ぶんです。
 さらに強い制動力を得ようとしたら、ギヤを落とせばいいんですね」
さらに強い制動力を得ようとしたら、ギヤを落とせばいいんですね

み「わたしのパッソはマニュアルじゃないから、ギヤなんか落とせんわい」
爺「AT車でも出来ますって。
 『D』レンジの下に『2』『1(L)』とあるでしょ」
『D』レンジの下に『2』『1(L)』とあるでしょ

爺「あれに入れてやれば、ギヤが落ちます。
 でも、『2』で、エンジンブレーキが効きすぎるようなら……。
 『オーバードライブ』のスイッチを、OFFにしてやればいいんです」
『オーバードライブ』のスイッチを、OFFにしてやればいいんです

爺「それで、軽いエンジンブレーキがかかります」
み「そんなスイッチ、どこにあるんじゃ?」
爺「これは、マニュアル車なのでありません。
 AT車にしか付いてないんです。
 帰ったら、探してみてください。
 必ずありますから。
 でも、1度も触ったことがないって人も多いみたいですね」
み「存在自体、知らんかった」
爺「ぜひ使って下さい。
 高速道路に入るときなど、急加速したいときにも使えますし。
 とにかく、エンジンブレーキを使わずに長い坂道を下るのは、自殺行為です」
み「なんでじゃ?」
爺「フットブレーキってのは、摩擦力で減速させてるんです」
フットブレーキってのは、摩擦力で減速させてるんです

爺「長く使ってたら、ブレーキパッドが焼けちゃいますよ。
 よく今まで生きてましたね」
み「新潟平野しか走ったことないでな」
爺「そんなに平らなんですか?」
み「地平線まで田んぼじゃ」
地平線まで田んぼじゃ

爺「ど田舎じゃないですか」
み「失敬な!
 新潟市は、政令指定都市じゃぞ」
爺「そうでしたね」
み「新潟市は、日本一、水田面積の大きい自治体なのじゃ。
 2位の北海道旭川市の倍以上という、ぶっちぎりでな」
爺「やっぱり、田舎じゃないですか」
み「新潟平野には、スーパーの屋上駐車場しか坂道が無い(言い過ぎです)。
 だから、足のブレーキだけで事が済み申す」
爺「でも、いつ坂道で運転する機会があるか分かりませんよ。
 覚えといて損はないです。
 いいですか。
 下り坂では、エンジンブレーキ。
 ガッテンしていただけましたでしょうか?」
み「ガッテン!
 ガッテン!」
上は、1997年。下が、2011年。小野文惠アナは、29歳と43歳。立川志の輔は、43歳と57歳。
↑上は、1997年。下が、2011年。小野文惠アナは、29歳と43歳。立川志の輔は、43歳と57歳。

爺「それじゃ、そろそろ坂を下りきりますよ」
み「下りは早いな」
爺「当然です。
 自転車のときは、特にそう感じました」
下り坂での自転車の世界記録は、時速210.4㎞だそうです。
↑下り坂での自転車の世界記録は、時速210.4㎞だそうです。

爺「登りの長さに比べ、下りのなんと短いことかと」
み「さもありなん。
 用もないのに登るのが悪いのじゃ」
爺「そこに坂があるからです」
そこに坂があるからです

み「アホとしか思えん」
爺「あ、ここに大きい都市公園があるんですよ。
 野木和公園(のぎわこうえん)と云います」
野木和公園(のぎわこうえん)と云います
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