Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
東北に行こう!(15)
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老「ほー。
 わしの正体を知っておったか」
み「知らいでか。
 三千世界、まなこのうちに尽きなん!」
老「あのセリフだけで見破るとは……。
 侮れんヤツ」
み「どんなもんだい」
老「ふっふっふ。
 しかし……。
 わしの正体を知ってしまったからには……。
 生かしておくわけにはいかん。
 わしといっしょに、冥途に参れ!」
み「メイド喫茶に?」
メイド喫茶に?

老「ばかもん。
 なんでわしが、メイド喫茶に行かにゃならんのじゃ。
 冥途とは、あの世のことじゃ」
冥途とは、あの世のこと

み「びぇ~。
 ゆ、許してください。
 『三千世界』は、ガイドさんに教えてもらったんですぅ。
 わたしは、何にも知らなかったんですぅ」
老「ばかもん。
 冗談じゃ。
 何も泣くことは無かろう、臆病者じゃな」
み「うぅ。
 ヒドい……。
 こんなにビックリしたのに、何で夢から醒めないんだろう」
老「今醒められたら、わしの出てきた意味が無いではないか」
み「何しに来たんです?」
老「すっかり、邪魔物あつかいじゃな」
み「夢見てたら、しっかり睡眠が取れないじゃないですか」
夢見てたら、しっかり睡眠が取れない

老「睡眠は、夜取ればいいのじゃ。
 早寝早起き!」
早寝早起き!

み「お昼寝も大事ですよ」
お昼寝も大事

老「大人の昼寝は、ただの怠け者じゃ」
大人の昼寝は、ただの怠け者

み「う。
 減らず口ジジイ」
老「何か言ったか?」
み「耳はいいのね」
老「3キロ先まで聞こえるぞ」
み「コウモリか!」
コウモリか!

老「いい加減、話を進めんと、読者に怒られるぞ」
み「はいはい。
 ご心配ありがとうございます。
 それじゃ、再登場のわけをお聞かせください」
老「忘れ物をしたからじゃ」
み「なんだ。
 ベンチに巾着でも忘れたんですか?
 そんなら、ここじゃなくて、展望台でしょ」
寒風山展望台のベンチ

老「忘れたのは、持ち物ではない」
み「じゃ、何です?」
老「話じゃ」
み「なるほど。
 入れ歯を忘れたんですね。
 それで、“歯無し”」
入れ歯を忘れた

老「つくずく……。
 アホなオナゴじゃ。
 語る相手を間違えたかの。
 話というのは、お話。
 “Story”。
 ワ~カリマスカぁ?」
ワ~カリマスカぁ?

み「わかるわい!
 何で突然外人口調になるんだ。
 ちょっとボケただけでしょ」
老「天然のように聞こえたがの」
み「お話を忘れたってのは、どういうことです?」
老「三湖伝説じゃよ」
み「だって、ちゃんと落ちが付いてたじゃないですか。
 十和田湖を追われた八郎太郎が……。
 父親の消えた寒風山の麓に湖を作ったって。
 それが、八郎潟ってわけでしょ」
老「だから、まだ二湖しか出てきてないじゃろ」
三湖伝説

み「あ、そうか。
 もうひとつは……。
 田沢湖でしたよね。
 日本一深い湖の」
日本一深い湖・田沢湖

老「そうじゃ。
 実は……。
 あんたらが田沢湖を訪れたときに……。
 登場しようかと思ったんじゃがな」
み「その方が、わかりやすいのに」
老「しかし、田沢湖に立ち寄るとは限らない」
み「まだ、予定立ててませんからね」
老「うっかりすると……。
 二湖だけ語って、わしの出番はおしまいということもあり得るわけじゃ」
み「大いにあり得ましたね~」
老「それじゃ、あまりにも無念じゃ。
 この世に未練が残る」
み「もう死んでるじゃないですか」
老「ま、そう言わんと聞きなさい。
 わしも、中途まで語って中断するのは……。
 なんだか、うんこを途中で止めたようで……。
 すっきりせんわい」
み「お下品……」
老「おまえが言うな!
 スカトロ、書いといて」
み「げ。
 そんなことまで、知ってるんですか」
老「あたりまえじゃ。
 三千世界、まなこのうちに尽きなん!
 何もかもお見通しじゃ。
 あんたが毎朝、手淫しとるのも知っとるぞ」
手淫

み「しゅ、手淫って……。
 まさか、見てたんじゃないでしょうね?」
老「ケツメドまで見えとるわい」
ケツメド

み「ヘンタイじじい!」
老「安心せい。
 わしは、男のケツにしか興味がない」
男のケツにしか興味がない

み「ひえ~」
老「いい加減語り出さんと、読者が怒り出しそうじゃな」
み「なんの話でしたっけ?」
老「じゃから!
 三湖伝説の、残りのひとつ。
 田沢湖が出来た因縁話じゃよ」
田沢湖が出来た因縁話

み「それじゃ、どうぞ」
老「あんたと話しとると……。
 どうも、調子が狂うの。
 聞き手を間違えたようじゃ。
 隣で寝とる美人さんに聞かせりゃ良かった」
み「言っときますけど……。
 律子先生は、日本史には、まったく疎いですよ。
 日本史の時間は、睡眠タイムだったそうですから。
 何語っても、『馬の耳に念仏』状態だと思います」
馬の耳に念仏

老「うーむ。
 それもまた、語り甲斐が無いのぅ」
み「わたしは、一番の適任だと思いますよ」
老「日本史は、得意じゃったのか?」
み「よくぞ聞いてくださいました」
老「数学は、まったくダメじゃったそうじゃが……」
み「それは、言わんでいい!
 日本史のことを聞いてちょーだい」
日本史のことを聞いてちょーだい

老「難儀なヤツじゃの。
 何でわしが話を聞かにゃならんのだ。
 まあいい。
 それじゃ、語ってみやれ」
み「そんなに聞きたいのなら、語ってあげましょう」
老「聞きとうはないのじゃが……」
み「いいから、聞けよ!
 あのですね。
 高校時代のわたしは、日本史が大得意だったんです。
 当時わたしは、驚くべき記憶力を有してたからです」
驚くべき記憶力を有してた

老「ちょっと信じられんの」
み「今思い返すと、わたしにも信じられん。
 とにかく、年号なんて、何の苦労も無く覚えられたんです。
 ほかの人は、『鳴くよ(794)ウグイス平安京』なんて、語呂合わせで覚えてたみたいですけど……」
鳴くよ(794)ウグイス平安京

み「何であんなことしなきゃ覚えられないのか、不思議でした。
 中間期末、5回の試験……。
 ぜ~んぶ、学年トップでしたもの」
老「ほー。
 そりゃすごいの」
み「でしょ?
 しかも、一番悪かったときでも……。
 97点。
 全回、ダントツのトップだったんです」
老「なるほど。
 威張るだけのことはあるようじゃの」
み「でしょでしょ。
 『日本史だけの女王』と呼ばれてました」
日本史だけの女王

老「それはそれで……。
 哀しいものがあるが」
み「たしかに……。
 数学や物理はビリでしたから」
老「気が済んだかの?
 それでは、わしも語らせてもらうぞ」
み「わかりました。
 聞いてしんぜよう」
老「偉そうじゃの。
 まぁ、いいわい。
 茶々を入れずに、黙って聞くんじゃぞ」
茶々を入れずに

み「はいはい」
老「時は、いつとも知れぬ大昔。
 なにしろ、まだ田沢湖が出来る前のことじゃ」
み「何百万年前の話です?」
老「茶々を入れない!
 そんな昔では、人間が出て来れんではないか。
 じゃから、年代は『いつとも知れぬ大昔』と言っておるのじゃ」
み「はいはい。
 続けてください」
老「物語の舞台は、今の仙北市」
仙北市

老「ここは、3つの町村が合併してできた市じゃ」
み「……」
老「どこが合併して出来たか、聞かんのか?」
み「だって、黙って聞けって」
老「読者の疑問を代弁するような質問は、許可する」
み「ずいぶんと都合がいいですね。
 じゃぁ、聞きます。
 どこが合併して出来たんです?」
老「知らざぁ言って聞かせやしょう」
知らざぁ言って聞かせやしょう

み「いちいち腹の立つジジイだね」
老「何か言ったか?
 わしは地獄耳じゃぞ」
地獄耳

み「どうぞ。
 お続けください」
老「仙北市は……。
 仙北郡の角館町、田沢湖町、西木村の3町村が合併し、2005年に発足した市じゃ。
 合併に当たっては、いろいろすったもんだがあったのじゃが……。
 それを話し出すと、また大脱線になるでな。
 涙を飲んで省略する」
み「よかったぁ」
老「何か言ったか?」
み「続けてください」
老「物語の舞台は、かつての西木村領内になる」
秋田県仙北郡西木村

老「田沢湖の西側じゃな。
 そこに、辰子という娘がおった」
み「う。
 いきなり、その名前……。
 もう、わかっちゃいましたよ」
老「ま、ピンと来てあたりまえじゃろうな」
み「辰子の辰は……。
 辰年の辰でしょ?」
辰年の辰

老「そういうことじゃの。
 ネタがばれても、かまわず続けるぞ。
 辰子は、幼いころに父親を亡くし……。
 母親の手ひとつで育てられた」
み「似てますね。
 八郎太郎と。
 その父親って……」
老「黙って聞きなさい。
 辰子は、母親の愛情を一身に受け……。
 素直な娘に育った。
 友達と野山を駆け回る、どこにでもいる少女じゃった。
 しかし……。
 ある秋の日のこと。
 友達と木の実を拾った帰りのことじゃ」
木の実を拾った

老「言っておくが……。
 木の実ナナを拾ったわけではないぞ」
木の実ナナを拾ったわけではない

み「わかっとるわい!」
老「辰子は友達と別れ、家路を辿っておった。
 野山を駆け回ったせいか、ノドの乾きを覚えた。
 水筒の水も尽きていた」
水筒の水も尽きていた

老「で、林に湧く泉に立ち寄った」
林に湧く泉に立ち寄った

老「水を飲もうと、手の平を泉に差し出すと……。
 水面から、この世の者とは思えぬ美しい女性が、辰子を見あげていた。
 無論、水に映っていたのは、少女から大人になりかけた辰子の姿じゃった。
 辰子は声も出せず、その姿に見入った」
み「ナルシスの女版ですね」
ナルシス

老「そういうことじゃな。
 辰子は、永遠にこの姿であり続けたいと願った。
 しかし……。
 母親のことを思うと、胸が塞いだ。
 幼い頃の母親は、友達に自慢したくなるほど美しかった。
 しかし、辰子が長じるにつれ……。
 その美しさは、無惨なほどに衰えて行った。
 女手一つで娘を育て上げるために……。
 我が身を削ったんじゃな。
 辰子は……。
 自らの美しさも、やがては母親のように衰えていくことを悟り……。
 愕然とした」
み「美人に生まれるのも、善し悪しですねー」
老「おまえさんは、良かったのぅ。
 いらん心配が無くて」
み「なに!」
老「話を続ける。
 で、辰子はその日から……。
 夜な夜な、寝床を抜け出すようになった」
み「泥棒にでもなったんですか?」
泥棒にでもなった?

老「なんで泥棒になるんじゃ。
 話を聞きなさい」
み「はいはい」
老「辰子は……。
 院内岳という裏山に、毎晩通うようになったのじゃ」
院内岳

み「何しに?」
老「院内岳の大蔵観音に、百夜の願掛けをしたんじゃな」
み「何のため?」
老「わかりそうなもんじゃがの。
 若さと美貌を永遠に保ちたい、という願い事をするためじゃよ」
み「百日間も、夜中に山登りするんですか?」
老「そうじゃ」
み「そんなことしたら……。
 寝不足で隈が出来て、逆効果じゃないですか」
寝不足で隈

老「それだけ一途に思いこんだということじゃろ」
み「で、その願い、叶ったんですか?」
老「百日目の夜のことじゃ。
 辰子の前に、観音様が現れた」
辰子の前に、観音様が現れた

み「お~」
老「ひれ伏す辰子に、観音様はこう告げた。
 『山の北側に湧く泉の水を飲むが良い。
 さすれば、そなたの願いは叶うであろう』」
み「へ~。
 やってみるものですね。
 わたしもやってみようかな。
 百日参り」
老「おまえさんには、丑の刻参りの方が似合いそうじゃがの」
丑の刻参りの方が似合いそう

み「なに!」
老「話を続ける。
 辰子は、その足で泉を探しに行こうかと思ったが……。
 真っ暗な山中では、足元もままならぬ。
 仕方なく、家まで駆け戻った。
 布団に入ったが、嬉しさで眠れない。
 夜が明けるのを千秋の思いで待って、再び山に入った」
み「あったんですか、泉?」
老「ブナ林の中に……。
 ひっそりと眠るようにな」
ひっそりと眠るように湧く泉

老「辰子は、白い手を差し伸べ……。
 氷のように冷たい水を飲んだ。
 一口では足りぬと思い、二口、三口と啜るうち……。
 どういうわけか、だんだんノドが乾いてくる。
 とうとう辰子は、泉の縁に腹ばいになり……。
 水面に口を付け、直接飲み始めた」
み「それって、八郎太郎の話とそっくりじゃないですか」
老「そういうことじゃな」
み「となると……。
 続きも一緒ですか?」
老「うむ。
 我を忘れて、水を飲むうち……。
 突然、空が暗くなる。
 と思うと……。
 天が裂けるような雷が轟いた」
天が裂けるような雷が轟いた

老「同時に、激しい雨が降り出す。
 あっと言う間に山が崩れ……。
 溢れた水が谷を埋めて、たちまち深い湖が出来た」
たちまち深い湖が出来た

老「その湖を覗きこんだ辰子は、愕然とした。
 水に映っていたのは……。
 目は炎のように赤く、鱗を全身にまとった龍の姿じゃった」
、鱗を全身にまとった龍の姿

み「やっぱり……」
老「辰子はようやく、我が身に報いが下ったことを悟った。
 そして、出来たばかりの湖に身を沈めたんじゃ」
出来たばかりの湖に身を沈めた

み「どうして、そこまでの報いを受けなきゃならないんです?
 美しくあり続けたいというのは……。
 すべての女性の願いじゃないですか。
 あ、わかった!
 嫉妬だ」
嫉妬

み「観音様の嫉妬です。
 観音様は、『世界で一番美しいのは誰?』って、毎日鏡に聞いてたんですよ」
世界で一番美しいのは誰?

み「そしたら、ある日鏡が、『それは院内の辰子です』って答えた。
 嫉妬に燃えた観音様は、辰子をおびき寄せ……。
 毒リンゴを与えた」
毒リンゴを与えた

老「話が違って来ておるぞ。
 辰子も、哀れには相違ないが……。
 もっと哀れなのが、母親じゃった。
 帰ってこない辰子を案じた母親は、昼も夜も山に入り、探し回った。
 そしてある夜、見たことのない大きな湖を見つけた」
見たことのない大きな湖を見つけた

老「すると湖面から、母親を呼ぶ辰子の声が聞こえてきた」
湖面から、母親を呼ぶ辰子の声が聞こえてきた

老「辰子は、自らの身に起きた報いを母親に告げた。
 母親は嘆き悲しみ、泣き叫んだ。
 しかし、いくら呼んでも、もう辰子の声は応えてくれなかった。
 夜の白むころ……。
 母親は、辰子に別れを告げるため……。
 手に持った松明を、湖に投げた」
手に持った松明を、湖に投げた

み「うぅ。
 悲しすぎます」
老「母親の投げた松明が水に落ちると……。
 たちまち魚となって泳ぎだしたという。
 これが、田沢湖のクニマスじゃ」
これが、田沢湖のクニマス

老「クニマスの色が黒いのは……。
 もともとが焼けた松明だったから、というわけじゃ」
焼けた松明

み「え?
 クニマスって、あの“さかなクン”が発見したっていう?」
さかなクン

老「そうらしいの」
み「あれって、田沢湖でしたっけ?」
老「発見されたのは、山梨県の西湖じゃ」
山梨県の西湖

老「田沢湖のクニマスは、とっくの昔に死滅してしまった」
み「どうしてです?」
老「かつての田沢湖は、摩周湖に迫るほどの透明度を誇っておった。
 昭和6年(1931年)の調査によると、透明度31メートルというデータが残っておる」
み「今は違うってことですね」
老「戦争のせいじゃよ。
 昭和15年(1940年)、電力供給量を増やすため……。
 田沢湖の湖水を利用した水力発電所が作られた。
 当然、そのままでは、田沢湖は枯れてしまう。
 で、よその水系から水を引いて、田沢湖に流し入れたんじゃな」

老「そのとき田沢湖に流されたのが、玉川毒水と呼ばれる恐ろしい水でな」
玉川毒水

老「玉川温泉から出る、強酸性の温泉水じゃ」
玉川温泉

老「pH(ペーハー)は、実に1.2。
 レモンでも、2.5なんじゃぞ」
レモン

老「pH1.2という数字は、胃液と同じ」
胃液

み「そんなお湯に、源泉で入浴してるんですか?」
老「いろんなレベルに薄めた湯船があるようじゃ。
 もちろん、源泉の湯もある。
 これに入る場合は、注意が必要じゃぞ」
玉川温泉の湯

み「胃液と同じなら……。
 入ったら、溶けちゃうとか?」
溶けちゃう

老「中には、溶けてしまった人もおったかものぅ」
み「ほ、ほんとですか!」
老「湯船の底には……。
 白骨が沈んでいるということじゃ」
白骨が沈んでいる

み「どひゃ~」
老「ばかもん!
 まともに驚きおって。
 ウソに決まっとろうが」
み「このジジイ……」
老「あくまでpHが同じというだけで……。
 温泉は消化液では無い。
 従って、人間が溶けることはない。
 ……が」
み「が?」
老「なにしろ、主成分が塩酸じゃからのぅ」
主成分が塩酸

み「ひぇ」
老「皮膚の弱い幼児などは、尻たぶが溶けたという話もある」
み「めちゃめちゃ危険じゃないですか!」
老「子供は、湯に浸かったとたん泣き叫ぶそうじゃ。
 ま、おまえさんの面の皮なら、大丈夫じゃろうが」
面の皮

み「なに!」
老「しかし、いくら面の皮が厚い人でも、注意が必要じゃぞ」
み「どんな?」
老「よく、湯船につかりながら、お湯でツルンと顔を撫でる人がいるじゃろ」
み「テレビの紀行番組で、必ずやりますよね。
 レポーターが」
紀行番組のレポーター

老「あれを、玉川温泉の源泉でやったら、大変じゃぞ。
 お湯が目に入ってしまう。
 レモンよりも酸っぱいお湯なんじゃからな」
み「なるほど。
 『煙が目にしみる』ならぬ……。
煙が目にしみる

み「『お湯が目にしみる』ってわけですね」
老「そういうことじゃ。
 でも、この源泉は飲むことも出来るんじゃよ」
み「大丈夫なんですか」
老「もちろん、薄めての話じゃ。
 それでも飲むときは、ストローを使わねばならん」
ストローを使わねばならん
↑こんなストローは必要ありません

み「なぜです?」
老「お湯が、歯に着かないようにする必要があるからじゃ」
み「歯に着くと、どうなるんです?」
老「エナメル質が溶ける」
エナメル質

み「ひょぇ~」
老「この温泉、湧出量がまた半端じゃない。
 『大噴(おおぶけ)』と呼ばれる湧出口からは、毎分9,000リットルの湯が噴き出しとる」
大噴(おおぶけ)

み「9,000リットル!
 そう言えば、『福島に行こう!』で……。
 『アクアマリンふくしま』の大水層を、小学校のプールと比べたことがありました」
『アクアマリンふくしま』の大水層

み「プールの水量は……。
 25メートル(長さ)×15メートル(幅)×1.2メートル(深さ)で……。
 450立方メートルでした。
 『大噴(おおぶけ)』の湧出量、9,000リットルは……。
 すなわち、9立方メートル(ここで換算してみよう)」
老「なるほど、割算じゃな」
み「450÷9は……。
 電卓電卓!」
老「旅行に電卓持ってきたのか?」
み「経理課員なら……。
 電卓は、肌身離さず持ってますよ」
電卓は、肌身離さず

老「なんじゃ、その電卓は」
み「可愛いでしょ♪」
老「思い切り、似合わん」
み「やかましい!」
老「450÷9は……。
 小学生でも暗算できると思うがの」
み「自分の頭よりも、電卓が確実。
 450÷9=50!
 ギョギョ~。
 50分で、小学校のプールが満杯になっちゃうじゃないですか」
小学校のプールが満杯

み「1日は……。
 60分×24時間で、1,440分だから……。
 これを50分で割ると……。
 28.8。
 1日で、プール29杯分!」
老「単一の湧出口からの湧出量としては、日本一なんじゃよ。
 おぉ、そうじゃ。
 おまえさんの“ギョギョ~”で、思い出したわい。
 クニマスの話じゃったな」
クニマスの話

老「で、このような大量の強酸水が、田沢湖に流れこんだわけじゃ。
 1年もしないうちに……。
 クニマスどころか、魚はほとんで死滅してしまった」
み「ヒドいことしますね」
老「まったくじゃ」
み「反対運動とか、なかったんですか」
老「当時は、国を挙げての戦時体制の真っ直中じゃ」
国を挙げての戦時体制の真っ直中

老「反対などしようものなら、非国民扱いじゃろうな」
み「報いは……。
 辰子じゃなくて……。
 田沢湖の魚を殺した奴らにこそ下されるべき!」
老「ま、戦争に負けたんじゃから……。
 報いが下ったとも言えるが……」
報いが下った

老「それで一番苦労させられたのは一般国民なんじゃから、遣り切れん話じゃ」
一番苦労させられたのは一般国民
み「でも、何で山梨にクニマスがいたんです?
 田沢湖の固有種だったんでしょ?」
田沢湖と西湖

老「昭和10年(1935年)……。
 西湖に、10万個の受精卵が放流されとる。
 その卵が孵化し、繁殖を繰り返して現在に至ったようじゃ」
み「1935年って、発電所ができる5年前ですよね。
 スゴいタイミング」
老「玉川水系の導入計画は、以前から持ち上がっていたようじゃ。
 地元の漁師は……。
 玉川毒水なんかが入ったら……。
 クニマスは生きておれないと、わかっておったんじゃな。
 西湖のほかにも、本栖湖や琵琶湖にも卵を送ったらしい」
本栖湖
↑本栖湖

み「そのうちの西湖の卵が、生き延びてたというわけですね」
老「そういうことじゃ」
み「ところで……。
 いったいどういうわけで、さかなクンがクニマスを発見したんです?」
さかなクンがクニマスを発見

老「わしがそんなことまで知るか!
 と言いたいところじゃが……。
 話の都合上、詳しく知っておる。
 ことの発端は、京都大学の中坊教授が……」
京都大学の中坊教授

老「さかなクンに、クニマスのイラストを依頼したことなんじゃ」
さかなクンに、クニマスのイラストを依頼

老「さかなクンは、イラストの参考にしようと……。
 全国各地から、近縁種のヒメマスを取り寄せた。
 その中に、西湖から届いたのが混じってたわけじゃが……。
 その個体が、まさしくクニマスの特徴を備えておったんじゃな」
上がヒメマス、下がクニマス
↑上がヒメマス、下がクニマス(いずれも西湖の個体)

老「さかなクンは、その個体を中坊教授に送った。
 で、京大の研究グループが、遺伝子解析を行った結果……」
遺伝子解析

老「個体は、クニマスそのものであることが判明したわけじゃ」
み「へー。
 そういう経緯だったんですか。
 さかなクンが、西湖で釣ったのかと思ってた」
さかなクンが、西湖で釣った

み「でもそれじゃ、発見者は、そのクニマスを釣った人じゃないんですか?」
老「いやいや。
 西湖では、別に珍しい魚ではなく……。
 普通に泳いどったらしい」
み「は?」
老「地元では、見たまんま、クロマスと呼ばれておった」
地元では、見たまんま、クロマスと呼ばれていた

老「ヒメマスを狙った釣りでも、10匹に1匹はクニマスが釣れてたらしい」
10匹に1匹はクニマスが釣れてた
↑発見前の釣果の画像。左の3匹は、どうも怪しい。

み「じゃ、発見もなにも無いじゃないですか」
老「普通に釣られて、普通に食われておった」
クニマス料理

み「ありゃりゃ。
 クニマスって、美味しいんですか?」
老「これがな……。
 実に美味いんじゃよ。
 だが、この味を知る者は、以外と少ないらしい。
 というのも、クニマスは、釣れてもリリースされる場合が多かったようなんじゃ」
リリース

み「どうしてです?」
老「ヒメマスは産卵時期になると、色が黒っぽくなる。
 この時期のヒメマスは、マズいんじゃよ。
 それを知ってる人には、元々黒いクニマスも、マズそうに見えたんじゃろうな」
み「あ。
 ひょっとして、そのために個体数が保持されたんじゃないですか?」
老「それもあるかも知れんの」
み「食べてみたいな」
老「ウマいぞ~」
み「食べたことがあるって、生きてるときにですか?」
老「当たり前じゃ」
み「それじゃ、江戸時代じゃないですか。
 そもそもクニマスって、田沢湖には、いつごろ放流されたんですか?」
老「放流なんぞされとらん。
 元々、おった」
み「だって田沢湖は、カルデラ湖じゃないですか」
カルデラ湖

み「流入河川なんか、無かったわけでしょ。
 火口に雨水が溜まった湖なら、人が放流しない限り、魚はいないはず」
火口に雨水が溜まった湖

老「実は、田沢湖の成因ははっきりとはわかっていないんじゃ」
み「え?
 カルデラ湖じゃないの?」
老「もちろん、カルデラ説がもっとも有力ではある。
 昔の書物では、はっきりカルデラ湖と記されてたようじゃしな」
み「日本一深い湖が、カルデラじゃなかったら……。
 ほかにどんな成因があるんです?」
老「巨大隕石衝突説もあるぞ」
マニクアガン・クレーター
↑カナダ・ケベック州「マニクアガン・クレーター」

み「ほとんどSF」
老「もうひとつは、断層運動によって窪地が出来たという説。
 諏訪湖の成因が、これじゃな」
諏訪湖
↑諏訪湖

み「田沢湖の最大深度って、何メートルでしたっけ?」
老「423.4メートルじゃ」
み「いくらなんでも、断層運動で、そんな段差は出来ないでしょ」
断層運動

老「いずれにしろ、不思議な湖じゃよ。
 湖面の標高は、249メートル。
 すなわち、最深部の湖底は、海面下174.4メートルというわけじゃ」
み「うーん。
 隕石説もありそうですね」
隕石説

老「じゃろ。
 世界でも、17番目に深い湖じゃ」
東北に行こう!(14)目次東北に行こう!(16)



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