Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
センセイのリュック/幕間 アイリスの匣 #122
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戯曲『センセイのリュック』作:ハーレクイン



幕間(小説形式)アイリスの匣#122



 花世が達する悲鳴を聞くと同時に、廊下で立ち聞きしていたお道も、自らの陰核を擦り潰した。

「ぐふっ」

 花世とほぼ同時に達した道代は、瞬時に上下の唇を固く引き結んだ。愉悦の嬌声は何とか堪えたが、その嬌声が混ざったような、鼻孔から噴き出す激しい鼻息は止めようがなかった。
 道代はそのまま廊下にへたり込んだ。両膝を板張りの廊下に突く。そのまま廊下に尻を落とす。両の膝下から足先にかけては、自然に左の体側に伸びた。
 横坐りである。上体がふらつき、足先とは反対側に傾いた。右の肩が、廊下と室内とを隔す襖に当たった。道代の肩は、軽い音と振動を襖に与えた。

 室内では、花世の腰の近くに横坐りになった志摩子が目を上げた。襖が立てる微かな音を耳聡く聞きつけたのだ。志摩子の耳は、廊下が鳴る音も、道代の漏らす鼻息も聞き付けていた。
 志摩子は軽く鼻を鳴らした。お道の所業は先刻承知、とでもいうように素知らぬ風に、尿塗れの自らの顔を拭う。いや、拭うというより、まるで化粧をするかのように、白粉を塗り込めるかのように、花世の尿を顔中に塗りたくった。顔だけではない。両腕から、肩から、腋の下から、胸乳から、下腹から、両の太腿から……そして陰部に。

 陰部の奥深く、陰唇を掻き分け、陰核から膣前庭から、膣口に指を差し込んで指先の届く限りの膣内に至るまで、隈なく花世の尿を塗り込んだ。
 志摩子は、ぞろりと舌を伸ばし、口元の尿を舐め取った。尿を塗り込める両の手を時折口に持って行き、尿塗れの手を舐めまわす。掌から甲。五指・十指の全てを口に含む。伸ばした舌を指の股に差し込む。指間を抉じ開けるように舌をねじ込む。ねじ込んだ舌を右に左に蠢かす。指を舐め上げ舐め下す。志摩子の両手の尿は残らず舐め取られた。

 尿の味が全く感じられなくなった志摩子は、花世の体に手を伸ばした。両の掌を大きく広げ、尿塗れの花世の体表面の尿を、掌と十指の腹に丹念に塗り付ける。尿塗れの両手を、先ほどと同様に舐める。尿の味は、今度はすぐに薄れ、消えて行った。
 志摩子は周りの畳に目を遣った。畳に吹き零れた花世の尿は、すでに吸い取られていた。花世が排尿した直後は池のようだった畳の表面は、今は湿地帯ですらなく、ただの湿った土地に過ぎなかった。

 志摩子は、一目見て畳をあきらめた。
 ではあとは、花世の体にわずかに付着する残滓しかない。志摩子は改めて花世の体に覆いかぶさった。舐める。吸う。啜る。
 花世の全身を、志摩子の舌と口は這い回った。その探索は執拗であった。一滴の尿も逃してなるか。恰も、機材を手に、隈なく土地を調べる測量士のような丹念窮まる仕事ぶりであった。
 しかし、花世の体の背面に至ることはもちろん、陰部に踏み込むことも叶わなかった。花世の両脚は固く閉じられている。志摩子の舌は、花世の陰毛をむなしく掻き分けることしかできなかった。
 志摩子の舌と口は、花世の全身の探索を能う限り終えた。
 ようやく花世が目を覚ました。

「女将さあん」

 志摩子は、花世の股間から顔を上げた。その姿勢はうつ伏せ。長々と全身を伸ばしていた。わずかに舌と口を浮かせ、花世の目を見る。

「ああ、はな。気ぃついたか」
「へえ。何してはんのん(しておいでになるの)? 女将さん」
「あんたの体、きれえ(奇麗)にしたげて(してあげて)ますのや」
「きれえて……さっき、お風呂入りましたえ、うち(私)」
「せやない(そうではない)がな。あんたさっき、おしっこしたやおへんか。それ、きれえに、したげてまんねやがな(してあげてるんですよ)」

 花世は本気で抗議した。

「おしっこて……うち、そんなん、してえしまへんえ(していませんよ)」
「なにゆうてますのん。あんた、さっきえらい勢いでおしっこ漏らして、ほんで気ぃうしのうた(失った)んやおへんか(じゃないですか)。忘れたんか」
「いやや(いやだわ)。そんなん、知りまへん」
「おしっこすんのと同時に気ぃうしのうた(失った)みたいやったからなあ。しやから(だから)覚えてへんねんで、あんた」

 言うなり志摩子は上体を起こした。花世の体の両側に肘を突く。そのまま花世に覆いかぶさりながら肘と膝で躙り、身をずり上げて花世に顔を近づけた。両膝は花世の腰のあたりを挟み込んでいる。柔道の縦四方固(たてしほうがため)のような体勢であった。

「ほれ、匂い嗅いでみいな(みなさい)。あんたのおしっこの匂いや」

 言うなり、志摩子はぶつけるような勢いで花世の顔に自らの顔を近づけた。花世の鼻を口に含む。噛む、吸う、舐める。吸う、吸う、吸う。噛む、齧る、歯を立てる。舐める、舐める、舐める、舐める……。
 志摩子の舌は、花世の鼻の穴を探り当てた。地に潜ろうとするミミズのように、巣穴に潜り込もうとする蛇のように、志摩子の舌先は花世の鼻孔に潜り込もうとした。が、人の舌が人の鼻孔に挿入できるはずもない。
 志摩子の舌先は、いたずらの罰として家から追い出されたいたずらっ子のように、瓜子姫の家に入り込もうとする天邪鬼のように、鼻孔という花世の体内への入り口を叩き続けた。

 入(い)れて、入れて、入れて、入れてえな(入れて下さい)、入れてえな、入れてえな、もうてんご(悪さ)せえへんさかい(しないから)、なんも悪させんさかい、ここ開けてえな、入れてえな、入れてえな、入れてえな……

 志摩子の舌先から注ぎ込まれる香りは圧倒的であった。
 花世は酔った。
 志摩子の体臭を載せた酒薫に酔った。伏見筺姫の薫りに酔った。狂気の薫風に酔った。そして、自らの尿臭に酔った。
 その香りは、花世を狂わせる凶暴な兇器であった。花世は狂おしく風に舞う花びらになった。
 狂え、狂え、狂え、狂え……。

「くっ」

 花世は、自らを翻弄する何者かから逃れようと、全身で踠(もが)こうとした。
 縄に縛められた両腕は動かない。両脚も動かない。志摩子の両脚に固められた腰は、盤石の重みで動きを封じられている。
 動くのは首のみ。
 花世は仰け反った。
 後頭部を支点に顎を突き上げた。
 花世の顎先は、何者かを糾弾するように天を指さした。
 花世は吠えた。

「くわあっ」

 志摩子は顔を外した。
 軽く腕を伸ばし上体を起こした。花世を見つめる。声を掛ける。母親が、頑是ない我が子を慈しむような声音だった。

「どないしたん、はな」

 花世の顎が落ちた。
 全身の緊張が解ける。
 志摩子を見つめ返す。
 縋(すが)るように志摩子を見返した。

「おかみ、さあん」
「はな……」

 志摩子は、再び顔を落とした。その唇は、一直線に花世のそれに向かっていた。しかしその速度は小さかった。ゆるゆると、楽しみを先に伸ばすように、花世を焦らすように、志摩子の口は悠然と下降してゆく。その様は、空中静止から慎重に下降する回転翼機を思わせた。
 花世は焦れた。
 着地しようとする回転翼機を待ち受ける離着陸場。その揺るがないはずの大地が持ち上がり、自ら着陸機を迎えるかのように、花世の唇は上昇した。花世は首を擡(もた)げた。先ほどの顎先に代わり、唇が天を目指した。
 下降する志摩子の唇と、上昇する花世の唇は、中空で出会った。
 回転翼機は着地した。
 着陸機を受け止めた大地は、そのまま沈んでいった。
 花世の頭部は、穏やかに畳に横たわった。
 唇が開く。
 志摩子の唇も開く。
 しっかりと合わさった二人の唇のつくる閉鎖空間。
 その密室で、二つの舌が絡み合った。
センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #121】目次センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #123】




コメント一覧
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2015/10/13 10:25
    •  とぼけてはります(いらっしゃいます)、花世姐さん。
       「そんなん」といいますのは、「おしっこ」のことですが、あんだけやらかしといて、それはおまへんやろー。
       で、その花世姐さんと志摩子女将の絡み、まだまだ続きそうです。よろしくお付き合いください。
       それにしてもこの花世姐さん。初めはほんのチョイ役、どころかただの点景人物のはずだったのですが、今後重要な役目を担っていただくことになりそうです。
       わからんもんです。
       作者の思うようには動いてくれない登場人物。
       書き始める前は「作者は神だ」と思っとりましたがなんの何の。作品世界は登場人物のもの、作者はただの観客に過ぎない、ということが分かってまいりました。
       ただただ、「あれよ」と見詰めるばかりです。
       どこへ行く!『アイリス』。  

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2015/10/13 19:46
    •  そんなもんですかの。
       わたしは、コントロールできてるつもりですが。
       場面は、さっぱり進みませんけど。
       コントロールできないのは、自分自身なのかも?

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2015/10/14 02:03
    • >コントロールできてる
       あなたは神だ!
       さいとう・たかを、だったと思うのですが……
       怪しげな科学者が開発した“人間巨大化方”により、身長が10mくらいになった男。「神」とあがめられるようになり、多くの信者?を引き連れて……という話なんですが、この神?の得意セリフが、
       「Goooood!!」(ゴッドです、goodではありません。英語はややこしいなあ)

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2015/10/14 07:33
    •  10メートルなんですか?
       それは、不便ですね。
       まず、食料はどうするんでしょう。
       牛なんか、丸ごと食べなきゃならないですよね。
       野菜は、1食につき、畑ひとつだな。
       あと、食べた後のトイレ。
       隠れて出来ないですよね。
       した後のウンコの処理も大変。
       普通の人間の身の丈よりデカいんですからね。
       どうすんだ?

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2015/10/14 08:38
    •  食物など、穢れたものは摂らないのだ(たぶん)。
       とうぜん、うんこもしっ子もしないのだ(たぶん)。
       詳しくは、さいとう・プロにお問い合わせください。
       それにしても、わたしも興味津々です。
       あっちの方の処理は、どないすんねんやろ。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2015/10/14 19:46
    •  穴が空いてないではないか。
       あっちの方も、不用だろ。

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2015/10/14 23:06
    •  おしっこで宮殿の火事を消しました。ちゃんと穴は開いていた、ということです。もちろん、彼は巨大化したわけじゃないですが。
       で、ガリバー。王様に「無礼者!」とか言われて処刑されかける。で、逃げ出した……だったよね。

    • ––––––
      8. Mikiko
    • 2015/10/15 07:25
    •  わたしはひょっとして、読んでないのかな。

    • ––––––
      9. ハーレクイン
    • 2015/10/15 09:06
    •  絵本で読んだだけです。
       あと、何年か前にテレビでやりました。なんと、実写版です。

    • ––––––
      10. Mikiko
    • 2015/10/15 19:42
    •  ↓これですかね?
      http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=v-A09uPf8JQ

    • ––––––
      11. ハーレクイン
    • 2015/10/15 20:23
    •  ぜんっぜん、まったく、あっち向いてほい、ほど違います。
       わたしの見た映画は、もっと原作に即した(原作、読んでないけど)リアルな(ガリバーに“リアル”はおかしいけど)作品でした。
       ガリバーは「小人国」「大人(だいじん)国」「空中国(なんと『ラピュタ』です)」「馬の国」の四つのエピソードから成るのですが、わたしの見た映画は、この四つ全てが出てきたと記憶しています。わたしの記憶ですから、あてにはなりませんが。
       ガリバー旅行記。
       おもろいんで、↓正式な題名を書いておきましょう。もちろん、Wikiの引き写しです。
       『船医から始まり後に複数の船の船長となったレミュエル・ガリヴァーによる、世界の諸僻地への旅行記四篇』 ("Travels into Several Remote Nations of the World, in Four Parts. By Lemuel Gulliver, First a Surgeon, and then a Captain of several Ships")
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