Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
センセイのリュック/幕間 アイリスの匣 #86
コメント一覧へジャンプ    コメント投稿へジャンプ
戯曲『センセイのリュック』作:ハーレクイン



幕間(小説形式)アイリスの匣#86



 係長の六地蔵警部補が声を上げた。

「よっしゃ、話し戻すど。ここまででわかっとることの整理や。えー、現場は先斗町の料亭『花よ志』の裏庭。ま、殺しいうことで、被害者はいまんとこ身元不明の女。凶器は細身の刃物、包丁かどうかは鑑識待ちゆうことやな。ほな保、次や」
「へい、おやっさん。えー、現場でっけど、これも皆はん見てもろとりますやろけんど、確認しときます」

 司会を務める醍醐保巡査はチョークを握り、壁の黒板に図を描いた。
cdbdad7b.jpg

↑クリックで大きい画像が表示されます。

「こんなとこでんな。鴨川は図の左手が上流です。鴨川の土手と現場の裏庭とは木製の塀で仕切られとりま。結構高い塀で、大の大人が上に手ぇ伸ばしてもまだ届きまへん。しやから、庭から鴨川は見えまへんわ。
 ま、塀自体のつくりはチャチなもんなんでっけど、潰したり押し破ったりした形跡はおまへん。綺麗なもんですわ。あ、ほれと、塀に脚立のようなもんを立てかけた形跡も見当たりまへん。ま、この点は鑑識の報告待ちでっけど」
「ようするに、鴨川の土手から庭に侵入した可能性は無いっちゅうこっちゃな」

 山科(やましな)源太巡査部長が吠えるように言った。
 醍醐巡査が答える。

「ま、まったく可能性が無いとは言い切れまへんやろけど」
「ふん」

 山科が鼻を鳴らした。再び吠える。

「ということは、裏庭へは建物(たてもん)の中通って裏口を出るか……」
「左側の木戸通って路地伝いに……いうことでんな」

 北大路兄、波之進巡査が言った。
 醍醐巡査は睨むように北大路兄を見たが、何も言わずに話を続ける。

「そういうことですわ。ほんで、通りから建物(たてもん)に入るには、玄関か、この勝手口でんな」

 柳辻巡査長が醍醐に問いかける。

「おい、その勝手口につながる右っ側(かわ)の路地やけんど、行き止まりなんかい」
「ほうどすわ。この路ぉ地のどん詰まりはこの絵のとおり、右っ側(かわ)の建物(たてもん)がはみ出すように塞いどりましてな。こっから裏庭へは行けまへん」

 醍醐が、自分が黒板に描いた「花よ志」の見取り図を示しながら答えた。
 柳辻巡査長が、確認するように再び醍醐に問いかける。

「『花よ志』と右隣がぴったりくっついとる、ゆうことかい」
「ほうでんなあ」

 と、醍醐巡査。

「ほらお前。建基法(建築基準法)違反やないんか」
「おそらく、そうどすやろ」
「ふん」

 柳辻は、山科に張りあうように鼻を鳴らし、吐き捨てるようにつぶやいた。

「まあええ。ほのあたりは儂らの領分やないわい」

 六地蔵警部補が、その柳辻巡査長に顔を向け、あらためて発言を促す。

「ほな次、近所の聞き込みや。どないやった、ヤナはん」
「へい。とりあえず『花よ志』の近隣から始めて先斗町沿いの店、聞き込みました。まあ、死亡時刻がまだはっきりしまへんけんど、たぶんゆんべ(夕べ)遅(おそ)がけ、日付変わって今日になっとったやろいう見当で、当たりました」

 柳辻巡査長が喋りはじめた。コンビを組んでいる北大路伸之丞巡査、双子の片割れは手帳を開き、確認している。

「まあ、昼間から宵にかけては近所のもんやら観光客やら、ほれに芸妓や舞妓やらでごった返す通りでっさかい、話聞く相手には事欠きまへんねんけんど、ほれだけに上っ面の話だけで。
 ほらほうですわなあ、なんの事件も起こらん時の繁華街、周りに特に注意する人間もおまへんわ。
 で、肝心の夜遅うとなりますと、まず人は通りまへんのんで。近隣の店も軒並み門、閉めます。目撃情報もへったくれもおまへん。やっかいな場所ですわ」
「せやのう」

 六地蔵が相槌を打ち、腕組みをして天井を見上げた。
 柳辻は話を続ける。

「近隣の店でも、事件にかかわりのありそうな話は出ませなんだ。夜中になんや聞き慣れん物音聞いたとか、昼間、怪しげな見慣れん人間がうろうろしとったとか、なあんもおまへなんだ。
 まあ、さっきも言いましたけんど観光客の多いとこでっから、見慣れん人間は普段からようけ(大勢)うろうろしとるんでっけどな。
 『花よ志』の両隣りでは特にしつこく聞いたんでっけど、ここでも何もなしですわ。普段と変わらんかった、いう話ばっかりで」

 伸之丞巡査が付け加える。

「一応、被害者の人相、風体も聞いてみたんでっけど、心当たりのあるもん、おませなんだ」
「ほうですわ。そこらうろうろしとる野次馬も手当たり次第つかまえて聞いたんでっけど、これも空振りでしたわ」

 柳辻巡査長は、いつものことだと言いたそうな口調で語り終えた。
 六地蔵警部補は、なだめるように柳辻と伸之丞に声を掛ける。

「まあ、先刻承知やろけんど、何も無いいうのんも大事な情報や。ご苦労やったの」
「へい」「へえ」

 柳辻巡査長と北大路伸之丞巡査は、同時に返事した。
 六地蔵は、声を張り上げる。

「ほな次……」
「ああ、もうちょっと。事件に関係あるかどうかわかりまへんねんけど」

 柳辻がためらうように言葉を継いだ。
 六地蔵が身を乗り出し見据える。

「なんやヤナはん、なんでも言うたらええがな。ここには身内だけや。ほれに関係あるなしは、現時点では判断つかんやろ」
「そうでんなあ、ほな(それなら)……」

 柳辻はなおもためらっていたが、ふっきるように語り出した。

「近隣の店のもんらが、申し合せたように言うことなんでっけど、あんまり評判ようおまへんな、『花よ志』」
「ほう」

 六地蔵があらためて柳辻に注目した。山科、醍醐、北大路の波、の三人も一斉に柳辻を見た。続ける柳辻。相方の北大路伸は俯いて手帳を見ていた。

「いや、味の評判は飛びきりよろしいんでっけどな。店のもんの評判がも一つ、というかも二つというか……」
「評判悪い言うことかい。誰がどやっちゅうんや」

 山科巡査部長が喚いた。
 腹を決めた柳辻巡査長は、淡々と語り継ぐ。

「まず板場しきっとる、えーと、なんちゅうたかいな伸」
「関目ですわ」

 北大路伸之丞巡査は、手帳に目を落としたまま答えた。

「ああせや、関目。下の名前は源蔵らしいんでっけど、近所のもんは申し合せたように『狂犬源蔵』言いよりました」

 山科巡査部長が歯ぎしりするように問い直す。

「狂犬? なんじゃいそれ」
「手ぇが早いらしいんですわ。ちょっとでも気に入らんことあるとすぐに手ぇ出す。相手が男やろうが女やろうが、自分の店のもんやろうが出入りの業者やろうが近隣のもんやろうが、みさかい無しらしいですわ。近所でもあいつにやられたもん、ごろごろ出てきましたわ。さすがに客には手ぇ出さんらしいでっけど」
「口で言うより手のほが早い、いうやつでんな」

 北大路波之進巡査がまぜっかえした。弟の伸之丞巡査も続く。

「♪馬鹿を相手の時じゃない」
「こら、会議中やど」

 軽く笑いの起きた室内。六地蔵警部補が軽くたしなめた上で、さらに柳辻巡査長に問いかける。

「しかしそんなんでよう問題起こらんのう。今まで事件とかになったことないんかい」
「そのあたりは調べて見な分かりまへんけど、どうも……無いようでんな。そのへん、『花よ志』っちゅう老舗の威光、いうとこあるんちゃいまっかなあ」

 柳辻は室内の五人を見渡し、さらに語り続けた。

「ほれから、店の女将」
センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #85】目次センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #87】




コメント一覧
コメント投稿へジャンプ    ページトップへ

    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2015/02/03 09:09
    •  ここにきてようやく、各刑事の人となりが作者にも見えてまいりました。
       (初めに決めとらんかったんかい!)
       そない言わはりまっけどあんさん、いっぺんに6人でっせ。なかなかすぐには。
       六地蔵警部補なんて、少し変わっちゃったようです、人柄。始めは「口軽刑事」だったんですけど、会議が始まるとそれなりに貫録が出て来たようです。ま、先のことは分かりませんけど。
       各刑事の人相・風体などもう少し書きこめばよかったかな、とも思いますがそのあたりは追々……。とりあえず会議を急がんと。
       初動捜査はスピードが命。もたもたしとったら府警に持って行かれます、捜査。
       「狂犬源蔵」は近所でも有名なんですねえ、ある意味わかりやすいお人……かな。
       そういえば、花板の野田のおやっさんはどうしたんでしょうねえ。あやめの入店時に登場したっきり、どこかに雲隠れしちゃいました。わたしも忘れとりましたわ(うそウソ)。ま、これも追々。
       中京署の捜査会議、もう少し続くようです。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2015/02/03 19:51
    •  殺人事件ともなれば、会議室がひとつあてがわれ……。
       扉の脇に、『祇園料亭「花よ志」殺人事件特別捜査本部』とか墨書された紙が貼られるんでないの?
       ところで、鑑識からの報告は、まだ無いんですね?
       きのう、夕食のとき、『鶴瓶の家族に乾杯』を見てたら、ゲストが六角精児さんだったんですが……。
       テロップが「兵庫県出身」となってたので、不思議に思いました。
       高校が、名取裕子と同じ、神奈川県の厚木高校だと知ってたからです。
       Wikiで調べたら、小学校の時に、兵庫県高砂市から神奈川県相模原市に引っ越したようです。
       しかし……。
       あの人が、鑑識のイメージを作っちゃいましたよね。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2015/02/03 20:25
    •  うーん、どうなん。
       府警だとそうだろうけど所轄だからなあ。筆を使える人がおらんかもしれんし……まさか模造紙にマジックじゃおかしかろ。
       それに前回書いたけど、中京署は今それどこじゃないんだよ。心筋梗塞、じゃなくて阪神高速(ああ、またやっちゃった)の大事故の後始末でね。部屋だって会議室どころか、倉庫か物置みたいなとこだし。
       まあ、地蔵班の普段の行いの成せる業、かもしれません。
       鑑識は次回に登場します、乞うご期待。六角氏のイメージを壊すのに苦労しました。先日の『相棒』なんてほとんど主役、タイトルが「米沢守、最後の挨拶」だもんね。
       しかし、厚木高校なんてよく知ってるねえ。
       そういえば、六角氏も鉄道ファンなんですよね。先日のタモリ倶楽部が北陸新幹線特集でしたが、六角氏も出演してはりました。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2015/02/04 07:49
    •  所轄に設置されます。
       そこに府警が出張ってきて、あれこれ指図するわけですね。
       初動捜査で目星が付かなければ、当然、設置されるでしょう。
       いわゆる、“帳場が立つ”というやつです。
       先日、『相棒』の再放送を見ました。
       まだ、亀山刑事のころのスペシャル版。
       2008年の正月、「寝台特急カシオペア」が舞台。
       2008年の正月明け、わたしは突如目覚めて、小説を書き出しました(参照→http://mikikosroom.com/archives/2697991.html)。
       感慨深いものがありましたね。

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2015/02/04 09:51
    •  都道府県警の刑事で、初動捜査を担当するものを機動捜査隊(機捜)と云い、初動捜査を所轄署の刑事と共に行います。解決が長引くと機動捜査隊は手を引き、以後は所轄署に捜査本部が設置され、所轄の刑事が捜査を継続するそうです。もちろん、広域捜査が必要な場合などは、都道府県警に捜査本部が設置されるでしょう。
       だから、刑事事件を担うのは主に所轄ということですね。もちろん、府警のえらいさんなんかは捜査に口を挟んでくるでしょう。
       前コメで、「もたもたしとったら府警に持って行かれます、捜査」と書いたのは間違いですね。いやあ、本文に書いとったらヤバかったなあ。
       カシオペアが舞台の『相棒』といいますと、season6 第10話「寝台特急カシオペア殺人事件!」ですね。
       亀山巡査部長はseason7 第9話「レベル4~後編・薫最後の事件」までの出演でした。ちょっとステレオタイプだけど、右京さんのいい相棒でした。好一対とはこのこと。元気にやっているのかなあ。
       『わたしがエロ小説を書き始めたわけ』
      >ムラムラしました。
       まさしく「発情」って感じでした。
       このムラムラ、発情はまだ続いているんでしょうか。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2015/02/04 19:46
    •  本放送(2008年1月1日)のとき、録画して見てるんですが……。
       車内の様子をもう一度見たくなり、録画しました。
       2008年の1月が舞台だったということは、今回初めて知りました。
       記念に、DVDに落としておきました。
       初心に帰りたいとき、見直すことにします。
       最近、さーっぱりムラムラせんのよ。

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2015/02/04 20:16
    •  やっぱりなあ。
       その年でもう枯れて来たか。
       『東北』の悪影響と見たが、どうだ。エロ気まったくなしの大作を書いてるとなあ、どうしても……。
       どうすんだよ、この先。
       少し夜遊びでもするか。で、若い子をひっかける、と。

    • ––––––
      8. Mikiko
    • 2015/02/05 07:44
    •  悪影響もあるかと思いますが、気分転換になってることも否定できません。
       ムラムラしなくなったら書けなくなる、というものでも無いようです。
       今も、コンスタントに書けてます。
       現在、未投稿分のストックも、200枚ほどありますし。
       ただ、エロシーンそのものより、そこに至るまでの過程を書く方が、楽しくなりましたけど。

    • ––––––
      9. ハーレクイン
    • 2015/02/05 08:24
    •  情念で書くのではなく、理性で書くわけですな。
       なんか、作家みたいではないか。
       しかし「過程を楽しむ」というのはなあ、どうなん?
       ヤルよりも、前戯。前戯よりもオトすこと。それよりなにより、それらを全て想像して頭の中で楽しむ、ということですな。
      なんか爺むさいなあ。
    コメントする   【センセイのリュック/幕間 アイリスの匣 #86】
コメント一覧へジャンプ    ページトップへ


Comment:本文 絵文字  ※入力できるのは、全角で800字までです。

↓お帰りのさいには↓
愛のワンクリ お願いします
新しいウィンドウは開きません

相互リンクサイトのみなさま(Ⅰ)
レズ画像・きれいな画像倉庫 未知の星 ひとみの内緒話 愛と官能の美学
ましゅまろくらぶ 官能的なエロ小説 禁断の体験 エッチな告白集 官能文書わーるど
新・SM小説書庫2 秘密のエッチ体験談まとめ 潤文学 ちょっとHな小説
萌木ケイの官能小説 おとなの淫文ファイル エッチのあとさき 恥と屈辱の交差点 赤星直也のエロ小説
羞恥の風 人妻の浮気話 艶みるく 変態小説 淫鬼の棲む地下室

相互リンクサイトのみなさま(Ⅱ)
緊縛新聞 SM~猟奇の性書~変態 空想の泉~The Fountain of Daydream~ 性転換・TS・女体化劇場
快感小説 Playing Archives 恥ずかしがりたがり。 恍惚團 ~ドライ・オーガズムの深淵~
HAKASEの第二読み物ブログ 18's Summer かめべや ぺたの横書き
黒い教室 女性のための官能小説 調教倶楽部 魔法の鍵
女の陰影 妄想ココット お姫様倶楽部.com エピソードセックス
女性のH体験告白集 被支配中毒 ひめ魅、ゴコロ。 [官能小説] 熟女の園

相互リンクサイトのみなさま(Ⅲ)
ちょっとHなおとなのための… 漂浪の果てに riccia Eros'Entertainment
渡硝子の性感快楽駆け込み寺 性小説 潤文学ブログ 最低のオリ アダルト検索一発サーチ
むね☆きゅんファンサイト 出羽健書蔵庫 ライトHノベルの部屋 制服美少女快楽地獄
オシッコオモラシオムツシーン収集所 空想地帯 被虐のハイパーヒロインズ アダルト官能小説快楽機姦研究所
被虐願望 渋谷子宮 RE:BIRTH 羞恥集 マルガリテの部屋

あおいつぼみ 葵蕾 エロ体験談で抜けるコピペ プライド 黒塚工房
官能小説 レイプ嗜好 人妻!人妻!人妻! wombatの官能小説 女性作家専門官能小説
羊頭狗肉 おしっこ我慢NAVI ねっとりぐちょぐちょ 美里のオナニー日記
黒イ都 ひよこの家 エロショッカー軍団 エッチな体験談・告白
★相互リンク募集中!(メールしてね)★

ランキング/画像・動画(1~10)
厳選2chまとめ おかず動画アンテナ
エログちゃんねる 人気ブログランキング
正しいH小説の勧め 小説の匣
官能小説アンテナ にほんブログ村
Girls Love Search ライブドアブログ

ランキング/画像・動画(11~30)
GL Search 萌駅 アダルトブログランキング おたりんく
アダルト動画まとめ ネット小説ランキング セックス・ノベル・ネット 【携帯】GL狂愛Rank
Adult Novels Search 少女禁忌区域 Cyber あまてらす クリエイターコレクションR18
GAY ART NAVIGATION ヌケルアダルト作品 アダルト検索BBJapan ぱっくりんく





<ランキング/画像・動画(31~50)ここまで-->
△Top