Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
センセイのリュック/幕間 アイリスの匣 #83
コメント一覧へジャンプ    コメント投稿へジャンプ
戯曲『センセイのリュック』作:ハーレクイン



幕間(小説形式)アイリスの匣#83



「ほれで、ほの後は……」

 口軽刑事は更に問いかけてきた。
 あやめは思いだすように、時折天井に目をやったり、刑事を見返したりしながら答えた。

「明子はんと11時に待ち合わせどしたさかい、10時半頃まで板場におって、ほの後、部屋に戻りました。で、着替えて……」
「あんさん、どなたかと相部屋やと聞いとりまっけど……」
「へえ、仲居の久美、田所久美どす」

 刑事は手帳のページを繰った。

「えーと、ああ、はあはあ、田所さん……」
「そうどす」
「ほのとき、田所はんは部屋においやしたんでっか」
「いえ、もうほの時間には仲居も仕事にかかってますさかい……」
「居はらへんかったと」
「へえ」

 口軽刑事の隣に座った若い刑事は、しきりに手帳に何やら書きつけている。あやめの供述を書きとめているのだろう。あやめは気になるが、まさかやめてくれとも言えない。
 警察の取り調べというのはこういうものなのだろうか。
 あやめは内心、ため息をつくような思いだった。

「ほれで、結局おたくさんが店を出はったのは、今日の何時ころですやろ」
「そうどすなあ。四条大橋の袂まで、うちの部屋から数えても5分と掛かりまへんし、うちが着いた時にはもう明子はんは来てはりましたけんど……11時のほんのちょっと前やなかったですやろか」
「どっから出はりました、店」
「へえ、普段やったら裏庭から路地通って、店脇の……さっき庭へ入った木戸から出るんですけんど、もう板場はお昼前の準備でごった返しとりましたんで、店の中通って勝手口から出ました」
「勝手口でっか……」
「へえ」
「それはどこになりますやろ」
「そうですなあ。さっき裏庭へ行くのに通った路ぉ地。あの反対側になります。玄関から見ますと、建物の右側どすなあ。勝手口出たとっからやっぱり路地になってまして、外へ出れます。建物の右っ側に出ます」
「花よ志」
↑クリックで大きい画像が表示されます。


 口軽刑事は、俯き、あやめからは視線を外し、言葉を絞り出した。

「それだけでっか、建物への出入り口は」
「へ、へえ……」

 刑事は視線を上げ、睨み付けるようにあやめを見ながら問いかけた。

「ほなまず……玄関」
「へえ」
「ほれから、厨房から裏庭への出口」
「へえ」
「裏庭からは、建物左の路ぉ地を通って表通りに出れる」
「へえ」
「ほれに、今言わはった勝手口。こっからは建物右の路ぉ地を通ってやはり表通りへ出れる」
「へえ」
「ただし、勝手口から裏庭へは行けん……」
「へえ。出て左へは、右側のお隣さんの建物が塞いでますよって」
「ということはでんな。『花よ志』はんの建物には、表通りへの出入り口が3か所ある……」
「そういうことですなあ」

 答えながらあやめは気付いた。
 店の他の人間は、もうほとんどがこういう取調べを受けたのだろう。なら……、

(建物の構造などはとっくに聞き出しているはずだ)
(なぜこんなにしつこく出入り口の事を聞いてくるのだろう)
(大事なことなのだろうか……)

「間違いおまへんな」
「へえ、出入り口は間違いのう3か所どす。ほら、裏庭の塀乗り越えたら、鴨川の土手に出れますやろけど」
「脚立使うか、猿でもない限り無理や、と。ほんで、脚立なんぞ使(つこ)た痕跡はない……」
「そうでっか……」
「おっと、これは捜査情報や。御内聞に」

 刑事は、持ち前の軽い口調で声を掛けてきた。

「へえ」
「ほんででんな。しつこいようでっけど、あんさんが今朝、店を出はったんは勝手口からや、と。ほんでそれは11時ちょっと前や、と」
「あ、へえ」
「裏庭は通ってはらへん訳でんな」
「へえ、今日はいっぺんも庭には出てまへん」
「そうでっか……」

 口軽刑事は腕を組み、考え込むように目を閉じた。
 あやめはその前に座り、所在なげに刑事を見つめる。
 若い刑事が、口軽刑事に声を掛けた。

「親爺(おや)っさん。そろそろ……」

 口軽刑事は腕組みを解き、あらためてあやめを見やる。

「お、これはすんまへんな。ほな、えー、東中はん。もう結構どす。おおきに、ありがとさんどした」
「あ、へえ」
「女将さんあたりから話はおますやろけんど、お店は2,3日お休みいただくことになります。その間、皆さんはご不自由ですやろけど、なるべく外出はお控えください」
「あ、へえ」
「またお話伺うかも知れまへん。その時はよろしゅう」
「へえ、ほな……」

 あやめは立ち上がり小部屋を出た。出掛けに室内を振り向くと、口軽刑事と若い刑事は顔を突き合わせて何やら話していた。
 廊下を少し行くとお道に出くわした。何やら煤けたような顔つきである。

「ああ、あやめ、もんたか(戻ったか)」
「ただ今戻りました、お道さん」
「でや、警察には呼ばれたんか」
「へえ、事情聴取云うんですか、今、話を聞かれたとこです」
「ほうか」
「もう、何がどうなってんのか……」
「はは、うちらも何が何やら。あんたもせっかくの休みやったのに、災難やなあ」
「いえ。それよりお道さん。警察の人から聞き来ましたけんど、お店お休みやて」

 お道の声が大きくなった。

「そうやがな。ま、店開けても、しばらく客来んやろけんど、ほんまに、迷惑な話や。ま、いつ開けるか、とか、そのあたりは女将さんから指示があるやろ。ほれまでなるべく部屋におり」
「へえ……」

 要領を得ないまま、あやめはお道に頭を下げ、自分の部屋に向かった。
センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #82】目次センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #84】

コメント一覧
コメント投稿へジャンプ    ページトップへ

    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2015/01/13 09:50
    • まだ続きます。
       しつこく出入り口にこだわる口軽刑事。
       露骨な複線、おっと伏線ですがさあ、これが何にどうつながるのでしょうか。
       いちおう確認しておきましょう。
       「花よ志」の建物は、京のこととて、細長い矩形とお考え下さい。
       短い方の一辺が表通りに、もう一辺が鴨川に面しています。
       長いほうの辺にはそれぞれ路地が沿って伸びており、入り口の木戸を通って表通りに出られます。
       表通りから、玄関に向かって左側の木戸をくぐると、左側の路地をずうっと通って裏庭に繋がります。路地の途中に出入り口はありません。  
       裏庭は建物の真裏にあたり、塀を挟んで鴨川に面しています。
       この裏庭には、厨房からの出口、まさに裏口が開いています。厨房は建物全体の最も奥に位置しているわけですね。
       事件の発端となった死体は、この裏庭で発見されました。
      (裏庭といいますと、こんなのありますね。「裏庭にはにわにわにはにわにわとりがいる」)
       玄関に向かって右側の木戸をくぐると、右側の路地が勝手口に繋がっています。ただし、この路地はここで行き止まり。裏庭には行けません。
       ということでございす。
       さあ、作者が敢えて「伏線」と称する、祇園「花よ志」建物の構造。これが謎解きにどうつながるのでしょうか。
       実はまだ、何も考えていないんですね(わはは)。
       ここでお詫びと訂正です。
       『アイリス』#58、23行目に、
      >あやめは、作業着を私服に着替え、「花よ志」の[色:FF0000]裏口[/色]から外へ出た。
      とあります。
       結果的にこれは失敗。あやめが「花よ志」を出たのは“裏口”ではなく「勝手口」だったんですね。
       これが、あやめのセリフなら「言い間違い」という言い訳がきくんですが、地の文ではそうもなりません。これは作者の大失態。
       上の文は……
      >あやめは、作業着を私服に着替え、「花よ志」の[色:FF0000]勝手口[/色]から外へ出た。
      とお考え下さい。
       まあ、これを書いたのは昨年の4月。殺人事件なんて、頭の中にかけらもなかったもんなあ。今回、「花よ志」の建物をご説明するにあたり、少し気になって確認しましたところ、やはり違っていました。
       申し訳ございません。お詫びして訂正します。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2015/01/13 20:42
    •  現場見取り図がつきものです。
       文章で書かれても、さーっぱりわかりません。
       描きまへんか?
       図を描くことによって、アイデアが浮かんだりするかもしれませんよ。
       間口が狭く、ウナギの寝床のように細長い町割りは、古い町によくあります。
       かく言う新潟もそうです。
       なんでかと云うと、昔は、間口の幅で税金が決まったからですね。
       #58、訂正しましょうか?

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2015/01/13 21:44
    • わかってくれよ。
      ↓そんなに複雑な構造ではなかろうがよ。


      ほとんど殴り書きですね。乞うご容赦。
      と、※の位置に図を載せたんですが、ここからは送れないのかなあ。どうやればいいんでしょうか。以前、図を送ったことあるはずなのになあ。
      それにしても、
      いつから推理小説になったんだろう『アイリス』。
      間口で決まる税金。
      ほお、聞き始めだ。
      与太ではなかろうな。
      #58の訂正。
      お言葉に甘えてお願いします。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2015/01/14 07:53
    •  いったい、どうやったんでしょうね。
       図は、メールで送っていただければ、わたしが貼り付けます。
       間口の幅に応じて掛けられる税金を、間口税と云ったようです。
       ↓こういうことも知らんで、京都のことを書いてはいかんですな。
      http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212035402
       #58は、訂正しておきました。

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2015/01/14 12:11
    • 「実際に載せる作業」はMiさんがやらはったんですがね。
      わたしにできるわけがない、と。
       間口税。
       間口三間ごとにかかる税金ねえ。
      で、ウナギの寝床の出来上がり、ですかい。
       『アイリス』#58の修正、確認しました。
      ありがとうございます。
      「裏口も勝手口も似たようなもんやろ」
       とんでもない。
       裏口から出ると庭ですが、勝手口からですと庭は通りません。
       図をご参照ください、って、ついさきほどメールで送付したところなんですがね。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2015/01/14 20:07
    •  ぜんぜん、敷地が長くないではないか。
       勝手口以降、鴨川までは、なぜ隣の敷地なのだ?

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2015/01/14 22:09
    • 縦・横の比はテキトーです。
       勝手口と鴨川を阻む隣家のはみ出し。
       もちろん話の都合です。
       庭への通路が二本あるとややこしいではないか。
       始めは勝手口を考えていなかったんだよ。でも、庭を通らずにあやめを外に出すために、裏口とは別の出入り口が必要になったのだ。まさか玄関から出すわけにもいくまい。
       ま、典型的なご都合主義ですね。
       図の右上あたりが少し汚れて見苦しいですね。修正用のホワイトを使った跡です。

    • ––––––
      8. Mikiko
    • 2015/01/15 07:26
    •  こんなにご都合主義の構造なのに、図が無ければわかるはずないではないか。
       そもそも、隣家の敷地と接するところまで、建物を建てられるのか?
       全体的に見ても、建ぺい率違反だと思います。
       ホワイトと云えば、さいとうたかを先生。
       タバコの火で乾かす必殺技、ワイルドでした。

    • ––––––
      9. ハーレクイン
    • 2015/01/15 09:28
    •  京都の、特に鴨川べりでは「それ何?」ですな。
       文中「路ぉ地」と書いてますが、実際には道ではなく隣家との間の隙間なのだよ。
       さいとうたかを氏のホワイト修正。
       『ゴルゴ13』って、まだ執筆中・連載中なんですね。連載の最新は第548話、単行本は175巻に達しているそうです。
    コメントする   【センセイのリュック/幕間 アイリスの匣 #83】
コメント一覧へジャンプ    ページトップへ


Comment:本文 絵文字  ※入力できるのは、全角で800字までです。

↓お帰りのさいには↓
愛のワンクリ お願いします
新しいウィンドウは開きません

相互リンクサイトのみなさま(Ⅰ)
レズ画像・きれいな画像倉庫 未知の星 ひとみの内緒話 愛と官能の美学
ましゅまろくらぶ 官能的なエロ小説 禁断の体験 エッチな告白集 官能文書わーるど
新・SM小説書庫2 秘密のエッチ体験談まとめ 潤文学 ちょっとHな小説
萌木ケイの官能小説 おとなの淫文ファイル エッチのあとさき 恥と屈辱の交差点 赤星直也のエロ小説
羞恥の風 人妻の浮気話 艶みるく 変態小説 淫鬼の棲む地下室

相互リンクサイトのみなさま(Ⅱ)
緊縛新聞 SM~猟奇の性書~変態 空想の泉~The Fountain of Daydream~ 性転換・TS・女体化劇場
快感小説 Playing Archives 恥ずかしがりたがり。 恍惚團 ~ドライ・オーガズムの深淵~
HAKASEの第二読み物ブログ 18's Summer かめべや ぺたの横書き
黒い教室 女性のための官能小説 調教倶楽部 魔法の鍵
女の陰影 妄想ココット お姫様倶楽部.com エピソードセックス
女性のH体験告白集 被支配中毒 ひめ魅、ゴコロ。 [官能小説] 熟女の園

相互リンクサイトのみなさま(Ⅲ)
ちょっとHなおとなのための… 漂浪の果てに riccia Eros'Entertainment
渡硝子の性感快楽駆け込み寺 性小説 潤文学ブログ 最低のオリ アダルト検索一発サーチ
むね☆きゅんファンサイト 出羽健書蔵庫 ライトHノベルの部屋 制服美少女快楽地獄
オシッコオモラシオムツシーン収集所 空想地帯 被虐のハイパーヒロインズ アダルト官能小説快楽機姦研究所
被虐願望 渋谷子宮 RE:BIRTH 羞恥集 マルガリテの部屋

あおいつぼみ 葵蕾 エロ体験談で抜けるコピペ プライド 黒塚工房
官能小説 レイプ嗜好 人妻!人妻!人妻! wombatの官能小説 女性作家専門官能小説
羊頭狗肉 おしっこ我慢NAVI ねっとりぐちょぐちょ 美里のオナニー日記
黒イ都 ひよこの家 エロショッカー軍団 エッチな体験談・告白
★相互リンク募集中!(メールしてね)★

ランキング/画像・動画(1~10)
厳選2chまとめ おかず動画アンテナ
エログちゃんねる 人気ブログランキング
正しいH小説の勧め 小説の匣
官能小説アンテナ にほんブログ村
Girls Love Search ライブドアブログ

ランキング/画像・動画(11~30)
GL Search 萌駅 アダルトブログランキング おたりんく
アダルト動画まとめ ネット小説ランキング セックス・ノベル・ネット 【携帯】GL狂愛Rank
Adult Novels Search 少女禁忌区域 Cyber あまてらす クリエイターコレクションR18
GAY ART NAVIGATION ヌケルアダルト作品 アダルト検索BBJapan ぱっくりんく





<ランキング/画像・動画(31~50)ここまで-->
△Top