Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
センセイのリュック/幕間 アイリスの匣 #73
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戯曲『センセイのリュック』作:ハーレクイン



幕間(小説形式)アイリスの匣#73



 巨大なガラステーブルの回りには、数脚のソファが配置されていた。座面はテーブルの長辺に沿って伸び、テーブルの角で直角に折れ曲がり、更に短辺に添って伸びている。テーブル沿いの他の二辺にはソファは無かった。
あやめは、長辺側の最も端の位置に腰かけた。明子はソファを回り込み、あやめの隣に腰を下ろした。

「ほんまにごめんね、こんなもんしか無(の)うて」
「そんな、とんでもおへん」

 あやめと明子は、ほぼ同時にオイルサーディンの缶詰にフォークを伸ばした。缶詰はすぐに空になる。

「ほな、あやめさん。あらためて乾杯や」
「何に乾杯しましょう」
「そらあ『二人の幸せに』にですがね。あ。これはもうやったかなあ」
「あはは、そうですなあ」
「まあ、よろし。『二人の幸せに』」
「『二人の幸せに』」
「かんぱあい」

 あやめは、覗きこむように明子を眺めた

「なんぞ、作りましょか」
「えー。プロの料理人さんに作ってもらうやなんて、なんや恥ずかしおすなあ。ほんでも、なんかあったかなあ」
「失礼します」

 あやめは立ち上がり、冷蔵庫を開けた。何もない。
 冷凍庫を開ける。やはり何もない。
 あやめはしゃがみこみ、冷蔵室を開けた。キャベツが丸ごと一つ転がっていた。

「キャベツがおす(あります)なあ」
「そんなん、おしたかいな」
「使(つこ)て、よろしおすか」
「そらあ、お好きなように」
「へえ、ほな」

 あやめはキャベツを取出した、二枚、三枚、剥ぎ取る。大きくざく切りにする。
 さらに剥いたキャベツの葉を細かく千切りにする。あやめの背後に明子が近づいた。

「さすが見事な手際やねえ、あやめさん」
「危(あぶ)のおすえ、明子はん」

 明子は、背後からあやめを羽交い絞めにした。

「ひゃい」
「あやめさあん」
「明子はん、ほんまに危(あぶ)のおすさかい……」
「あやめさあん」
「明子はん、行儀悪るおすえ」

 明子は手を引いた。
 行儀悪い、は明子にも堪えるのだろう。
 あやめは、フライパンに油を引き、ざく切りにしたキャベツを放り込んだ。軽く炒める。塩を振りかけるが胡椒はない。こればかりはどうしようもない。

「明子はん。胡椒は……おまへんわなあ」
「胡椒ねえ、今度買(こ)うときますわ」

 ではしょうがない。
 あやめは、炒めたキャベツを鉢に盛る。
 千切りにしたキャベツを皿に盛ったところで、冷蔵庫の扉にドレッシングがあったのを思い出した。

「明子はん。ドレッシング、使わせてもろてよろしおすか」
「好きなようにやって。ここはもう、あやめさんの家やで」

 再びあからさまな明子の言葉だった。
 あやめは、冷蔵庫の扉から取り出したドレッシングを見た。まだ封を切っていない。

「明子はん。まだ使(つこ)てはらへんのどすか、ドレッシング」
「ああ、せやねえ。つい、気まぐれで買(こ)うたんやけんど、うちに包丁が使えるわけも無し。キャベツかていつ買(こ)うたんやら。悪なってへん? あやめさん」
「キャベツはそないに悪なりませんよ。冷蔵庫に入れる必要もないくらいどす」
「ああ、そうなん。なんや料理学校の授業受けとるみたいですなあ」

 あやめと明子は見つめ合った。
 くすくすと笑いあう。
 あやめはドレッシングの封を切った。千切りキャベツに振りかける。炒めたキャベツの鉢と共にテーブルに運んだ。

「お待たせしました」
「うわあ、おおきに、あやめさん。さすが手際がええねえ」
「すんまへん。こんなもんしか無(の)うて。あ」

 明子は微笑みながらあやめを見詰めた。

「ごめんね、あやめさん。今度はいろんなもん、用意しとくからね」
「すんまへん、すんまへん。失礼なこと、申し上げました」
「もう、そないに謝ることやおへんがな」

 明子は、アイストングを取り上げた。氷を摘み上げる。
 あやめのグラスに、次いで自分のグラスに氷を投入する。
 二人のグラスの腹に、露が湧いた。

「さあ、あやめさん、乾杯や」
「何に乾杯ですやろ」
「そらあもう、これしかおまへんがね。『二人の幸せに』」
「『二人の幸せに』」
「『かんぱあい』」

 明子は、自分のグラスを一気に飲み干した。
 あやめも、グラスの中身を半分ほど飲む。

「くぅー、もう、たまらんね」
「お強いんですねえ、明子はん」
「まあねえ、なんせ『うわばみ明子』やからねえ」

 あやめは、明子を正面から見詰めた。

「飲み友達、多おすんか」
「多いも何も、友達、知り合いいうたら、呑み助ばっかりですがね」
「はあー」
「あやめさんも、その仲間入りやね
「そんな、明子はん。どうぞ、お上がりやす」

 あやめは、キャベツの炒め物と、キャベツのサラダの皿を明子の前に押しやった。
 明子は箸を取り、炒め物の皿に伸ばした。

「おいしいっ」
「おおきに、ありがとさんどす」
「さすがプロやねえ。ただの炒め物やのに、なんでこないに味が違うんやろ」

 あやめは、微笑みながら明子を見詰めた。

「炒め物のコツは、炒め方もそうどすが、大事なのは塩加減どす。塩の使い方が炒め物の味を決めます」
「へええー、塩」
「胡椒があれば、もっと美味しく仕上がるんどすけど」
「ああ、ごめんね、あやめさん。今度必ず買(こ)うとくからね」

 あやめは慌てて、顏の前で手を振った。

「そんな、とんでもおへん。失礼なことを申し上げました」
「もうそんな。うちに遠慮しはることなんておへんよ、あやめさん」
「へえ……」
「さあ、あやめさん。あらためて乾杯や」
「何に乾杯しましょう」
「そらあ、決まってますがね。『美味しいキャベツに』ですがね」
「あはは。なるほど。では『美味しいキャベツに』」
「『美味しいキャベツに』」
「『かんぱあい』』
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コメント一覧
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2014/07/24 08:36
    • かんぱあい。
      盛り上がっています、あやめ-明子の酒宴。
      酒宴を盛り上げるのは、酒でも肴でもありません。
      参加者の一体感ですね。
      さあ、この酒宴。どう収まりつくのでしょうか。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2014/07/24 19:42
    •  美味しそうです。
       バーベキューもいいよね。
       わたしは、鯖の水煮の缶詰を食べるとき……。
       必ず、ざく切りの生キャベツと一緒です。
       鯖の脂と生キャベツが、絶妙にマッチします。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2014/07/24 21:50
    • 後付けで言うな、と言われそうですが……。
      そうなんですよ!
      魚の缶詰を入れるべきやったなあ、というのは投稿後に気付きました。
      しかしもはや後の祭り。
      京の祇園祭は今日、後祭りの一環・花傘巡行。
      八坂神社の祭礼です。
      長きに渡った祇園祭もあと1週間。あやめや幸介は少しでも見物できたのでしょうか。
      できるわけないわなあ。源蔵に殴られるよ。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2014/07/25 07:52
    •  何といっても、歯ざわりがいいです。
       ウサギになった気分も味わえます。
       祇園祭って、今ごろなんですか。
       暑すぎだろ。
       今日はおそらく、熱中症で倒れる人が出ると思います。

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2014/07/25 09:13
    • 例年、7月1日~7月31日にかけて、連日様々な催しが行われます。
      ただでさえ暑い京の夏、何もそんなときにやらいでも、と思いますが、そこがそれ1000年以上の伝統を誇る祇園祭。京都っ子最大のイベントですからねえ。
      暑さもものかわ、少々の人が倒れようが死のうが、この1か月、京の都は祭り一色です。
      わたしは行く気しませんが。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2014/07/25 22:07
    •  基本、お祭りには行きまへん。
       新潟まつりへの参加は、ほんまに苦痛です。
       今年こそ、雨が降ってくれんかな。

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2014/07/26 00:30
    • また参加か、新潟祭り。
      うまく理由をつけて欠席できんのか。
      わたしなら真っ先にバックレるな。
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