Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
センセイのリュック/幕間 アイリスの匣 #55
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戯曲『センセイのリュック』作:ハーレクイン



幕間(小説形式) アイリスの匣 #55



「うっわー、すっごぉおーい」

 あやめは驚嘆の声を上げた。
 大文字山の頂上付近である。広々と視界が開け、京都市中のほとんどが見渡せた。

「でや、すごいやろ、あやめ」
「うん、すごい、ほんまにすごい。おおきに、久美。こんなん見せてくれて、ほんまにおおきに」

 あやめは久美に抱きついた。唇を久美の唇に合わせる。キスをせがむ。

「むふ」
「あん」
「むふう」
「あはあん」
「久美。くうみい」

 八月初めの大文字山である。周りには何人かの人が居る。だが、二人は全く気にしなかった。
 キスを交わす二人の足もとには、送り火の点火用の石組みが麓に向かって並んでいる。

「なあ、久美、あれで火、燃やすのん?」
「せや、あの石組みを火床、云うてな。あの上に薪を積み上げて火、付けるわけやね」
「ふうーん。で、その火床が『大』の字の形に並んでるわけやね。幾つくらいあるんやろね」
「さあ、幾つやろね。うちもそこまでは知らんわ。ま、十(とお)や二十(にじゅう)ではきかんやろね」
「字の大きさって、どれくらいなん?」
「さあ、ほれも正確には知らんけんど、何十メートル。ひょっとしたら百メートル超すかもしれんね」
「どっから見えるん?」
「東山の大文字は、市内のどっからでも見えるけんど、一番ええのは鴨川べりや。しやから、鴨川の川床は最高のビューポイントやね。
 この左大文字は、さっき歩いてきたやろ、西大路通り。ほれと金閣寺の周辺やね、よう見えるんは」

 あやめと久美は、互いの体に腕を回し、しっかり抱きしめあいながら、大文字山からの眺望に見入った。

「おなかすいたねえ、あやめ」
「せやねえ、ご飯にしよっか」
「よう考えたらうち、あやめの料理食べるの初めてやなあ」
「今日のは、料理云うほどのもんやないよ」
「なに言うてんのん。仲居仲間はみんな言うてるよ。あやめの料理は、どんなもんをどないに料理しようが凄いって。実際に食べた仲居はおらんやろけんど、座敷でのお客はんの評判は凄いって」
「ほんなに褒めても、今日はたいしたもん出んで。ただのおにぎりや」
「ええねん。何でもええねん。『花よ志』の仲居で、あやめの料理を食べられるんはうちだけや。ほんまにうちは果報もんや」

 あやめは、背中のデイパックを下ろした。片手に下げる。

「あこに座ろか、久美」

 あやめは、傍らの地面に半ば埋もれた丸太に久美を誘った。久美はウェストポーチを外し、あやめとぴったり寄り添って丸太に腰を下ろす。
 あやめはデイパックから、竹の皮に包んだ握り飯を取り出した。包みを開く。中には握り飯が四つ。その傍らに薄く切った大根の漬け物が添えてある。膝の上に、開いた包みを置いた。
 久美はウェストポーチからおしぼりを取り出した。一つをあやめに渡す。二人は丹念に手を拭った。
 あやめが久美に声を掛ける。

「よろしゅう、おあがりやす」
「いっただきまーす」

 久美は、あやめの膝に手を伸ばし、握り飯を一つ取り上げた。

「さきに言うとくけんど、中身は何も入ってへんよ。海苔も巻いてへんし、何もまぶしてへんし……。店の食材をそないに使うわけにいかんからねえ」
「ええねん。あやめの手が握ったおにぎりやろ。ほれで十分すぎるわ」

 久美は握り飯を一口かじった。噛む、噛み締める。咀嚼する。嚥下する……。
 久美の目から涙が零れ落ちた。
 それを認めたあやめが、久美に囁く。

「久美……」
「こんな……こんなん食べんの、初めてやわ。あやめえ、あんたって、魔法使い?」
「なにを大仰な。ただの塩おむすびやないの」
「ちゃう。確かに塩おむすびやけんど、『ただの』おむすびなんかやない。これは……これは王様の食べ物や。ここは女王の食卓や」
「たいがいにしぃや、久美。顔、赤(あ)こなるわ」
「おおきに。おおきにあやめ。うちはほんまに果報もんや」

 久美は、握り飯を頬張りながら、首をこてんと傾けてあやめの肩に預けた。あやめも握り飯をかみしめ、久美の体のぬくもりを感じながら、目の前に広がる京の町の光景を見つめた。

「はい、久美、お茶」

 あやめは、デイパックから取り出した水筒のお茶をコップに注ぎ、久美に渡した。

「おおきに。あ、うち、リンゴ、持ってきたよ」
「ほな、うち、剥くわ」
「すまんね、ほい、ナイフ」
「すまんことない。料理はうちの領分や」
「はは、そらまあそうやけど」

 あやめは器用にリンゴの皮を剥き、切り分け、芯を除く。握り飯がなくなった膝の上の竹皮に並べる。

「さ、おあがりやす」
「おおきに、いっただきまーす」

 久美は、リンゴの一切れを指で摘まみ、かじる。相変わらず頭をあやめの肩に預けながら問いかけた。

「なあ、あやめ」
「ん、なに?」
「あんたとの付き合いも長いよねえ」
「せやねえ。はじめて会(お)うたんは去年の年末やろ。もう半年以上になるんやねえ」

 あやめは、久美の肩を片腕で抱き寄せる。久美が唇を寄せてきた。二人は唇を重ねあう。互いの唇が開く。久美の舌があやめの口中に侵入する。噛み砕かれたリンゴが唾液と混じりあい、送り込まれた。
 あやめはリンゴの一部を嚥下する。残りを、舌を使って久美の口中に送り返した。久美も嚥下する。二人の口元からそれぞれ一筋、唾液交じりのリンゴが流れ落ちた。
 唇を外した久美があやめに声を掛ける。

「なあ、あやめぇ」
「ん、なぁに?」
「うちら……いつまで一緒におられるやろねえ」

 あやめは思わず、正面から久美の顔を見た。

「そんなん……うちは修行中の身やし、考えてもわからんやん」
「せやけど、ほらほうなんやけど、あんた自身はどない思(おも)てんのん」
「そんなん、決まってるやん。うちは久美とずっとずっと一緒におりたい」
「ほんま! あやめ」
「ほんなこと、今さら何で聞くのん、久美!」
「ごめん、ごめんやで。ほんでもうち、時々ごっつ(すごく)不安になんねん。あやめがどっか(どこかへ)行てまう(行ってしまう)んやないやろか、とか考えて……」
「久美……」

 あやめは、あらためて久美の肩を抱き寄せる。舌を伸ばし、久美の口元のリンゴを舐めとった。久美もそれに倣う。
 二人は改めてしっかり唇を合わせ、舌を絡ませ合った。
センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #54】目次センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #56】




コメント一覧
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2014/03/18 09:51
    • まったく、とんでもなく季節感のない話題になってしまいました。五山の送り火、左大文字。
      8月16日午後8時15分に点火されます。火床の数は53。「大」の横棒の長さは48メートル、左払いが68メートル、右払いは59メートルです。
      左大文字のビューポイントは、あやめと久美が歩いた西大路通です。通りのほぼ正面が大文字山なので、かなり遠くからでも見えます。で、通りの中央が最もよく見えるということで、各交差点では、通りが赤信号になると人が溢れ出て、通りを埋め尽くすとか。
      他の四山の点火は、大文字が8時、妙法が8時10分、船形が8時15分、鳥居形が8時20分です。なんで一斉に点火しないんだろうね。
      あやめ料理第4弾は「塩おむすび」。
      久美に言わせると「王様の食べ物」だそうです。で、大文字山は「女王の食卓」だとか。
      あやめと久美の今の関係の危うさが、図らずも露呈されました。ま、二人とも胸の中には抱えていたのでしょう。
      どうなるのかなあ。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2014/03/18 20:10
    •  点火の瞬間を、順繰りに見れるようにということではないのか?
       同じ場所から、ぜんぶ見えるのかね?
       塩むすび。
       なんでそんなに美味しいのか、理由が書いてなければ納得でけんぞ。
       味を左右するとしたら……。
       米の種類、水加減、炊き方、塩の種類、まぶす量、握る強さ、握ってからの時間、とかでしょうか?
       わたしは、自慢じゃないですが、味の区別は付かないでしょうね。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2014/03/18 21:53
    • 五山全部を見通せる場所はないと思う。
      といって、20分以内に移動して全てを見るのも不可能だと思われます。
      塩むすび。
      いろいろあげてくれましたが、一つ抜けておるぞ。
      愛情、これだ。
      どちらにしても……美味いものは美味い!
      それだけ。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2014/03/19 07:51
    •  ↓越後松之山の棚田米。
      http://blog-imgs-69.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20140319062655e2b.jpg
       ↓宮城県、塩竈の藻塩。
      http://blog-imgs-69.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201403190630017e1.jpg
       これが合わさると……。
       ↓究極の塩むすびが出来るようです。
      http://ameblo.jp/withwitch/entry-11318498128.html
       竈で炊いたら、最高でしょうね。
       ↓松之山の棚田米は、木造校舎を改築した宿『三省ハウス』でも食べられます。
      http://www.sanshohouse.jp/index.php
       これからの季節、松之山はお楽しみ満載です。
       『残雪の美人林を散歩する宿泊プラン(4/1~5/17)』。
       『山菜を楽しむ宿泊パック(4/19~6/15)』。
       『棚田の風景を眺める宿泊プラン(5/18~6/14)』。

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2014/03/19 09:53
    • コメは「魚沼産コシヒカリ」。越後松之山の棚田米。
      塩は陸前「塩竈の藻塩」。焼くや藻塩の……♪。
      竈はともかく、一つ大事なものが抜けておるな。握り手の技量。
      京都祇園の「花よ志」さんでは何を使っているのかなあ。
      松の山ってどこじゃい、で、探しちまったよ。
      最寄駅は北越急行「まつだい駅」。
      三省ハウス。
      一泊二食付、大人一人6,300円也。
      それにしても、松之山の美人林って、以前にも出てきたような……。
      五山全部を見通せる場所、ありそうです。
      河原町御池の「京都ホテルオークラ」。
      ここのてっぺん17Fの展望ラウンジからなら見通せるかもしれません。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2014/03/19 19:49
    •  ↓『ためしてガッテン』流。
      http://marron-dietrecipe.com/outdoor/outdoor_onigirigatten.html
       空気を含ませるように握るのが極意みたいです。
       ご飯粒を潰さないってことですかね?
       松之山温泉には、1度泊まったことがあります。
       秋だったので、美人林は見ませんでしたが。
       残雪の中の芽吹きは、ことのほか美しいそうです。
       ただ、有名になりすぎたので……。
       カメラマンだらけという噂も聞きます。

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2014/03/19 21:47
    • ご飯粒が潰れるまで……それはいくら何でも握り過ぎだよ。そういうのを「親の仇のように」握るといいます。
      >空気を含ませるように
      これは、にぎり寿司の極意でもあるようです。
      ブナという樹木は、東日本の森林、いわゆる落葉樹林のシンボルなんですね。我々西日本育ちの人間にとっては一つの憧れです。西日本は常緑樹林、ブナはありません。1000メートルを超える山地にはありますけどね。
      大学に入って初めてブナ林を見たとき、感動とまではいきませんが、しみじみ「ああ、これがブナかあ」と感じ入ったものです。

    • ––––––
      8. Mikiko
    • 2014/03/20 07:33
    •  落葉樹ですが、枯れた葉が秋に落ちず、春まで枝に残ってます。
      http://blog-imgs-69.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20140320072217e27.jpg
      ↑カシワ
       葉を落とすための離層が発達してないとのことです。
       こういう樹木は、かつては常緑樹だったと云われてます。
       ブナも、幼木では、なかなか葉が落ちないみたいです。
       ブナ科の樹木はもともと、南方が起源だったようです。

    • ––––––
      9. ハーレクイン
    • 2014/03/20 09:48
    • 葉の付け根に生じる死細胞の層。
      老化ホルモンの一種、エチレンの作用により形成されるとか。
      葉を落とさないカシワ。
      落葉樹が葉を落とすのは、冬季に無駄なエネルギー消費を避けるため、とされています。
      ま、枯葉ならエネルギーは消費しないでしょうから、落ちなくても大丈夫か。

    • ––––––
      10. Mikiko
    • 2014/03/20 19:41
    •  根元に積もるから、冬期の地温を保つ効果もあるのでは?

    • ––––––
      11. ハーレクイン
    • 2014/03/20 22:54
    •  ま、保温効果があるかどうかはともかく、落とすべき葉はきちんと落としてほしいものです。
      ♪来る日の寒さをものがたり
       雨に壊れたベンチには
       愛をささやく歌もない
       恋人よ……
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