Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
センセイのリュック/幕間 アイリスの匣 #47
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戯曲『センセイのリュック』作:ハーレクイン



幕間(小説形式) アイリスの匣 #47



 祇園の料亭「花よ志」の仲居頭のお道、道代は、女将志摩子の自室の襖の脇近く、廊下に立ち耳を澄まし、室内の物音、会話を聞いていた。左手は着物の襟元から潜って乳房を、右手は裾を掻き分けて陰部を探っていた。
 オナニーである。道代の唇は固く閉じられ、呻き声が漏れるのを防いでいたが、快感が高まるにつれ、どうしても漏れてしまう。だが、室内の志摩子と花世が上げる嬌声は大きく、道代の声をかき消していた。

「あふう」

 室内の声が大きくなるとともに、道代の両手は激しく動く。声が漏れる。

「ひいいい」
「いっひい」

 道代が志摩子の部屋を立ち聞きするのはいつものことであった。志摩子もうすうす感付いているらしいが、道代を叱責することはなかった。
 室内の声がひときわ大きくなる。道代はクリトリスを一気に擂り潰した。

「いくっ」

 室内の声が消えると同時に、道代はアクメに達した。膝を折り、廊下に跪いて快感の余韻に浸る。室内からは何の物音も声も聞こえてこなかった。
 ようやく立ち上がった道代は、よろめきながら廊下を自室へ戻って行った。その着物は襟も裾も開き、しどけなく着崩れていた。




 あやめが「花よ志」に入ってから半年余り。季節は初夏になっていた。
 あやめは、板場の裏口から出た庭先で多量のジャガイモの皮を剥いていた。あやめが包丁を使うのは野菜の皮剥きだけだった。それ以外に、「花よ志」の板場で包丁を持たせられたことはなかった。料理の一品すら任せられたことはない。野菜の皮剥き以外の仕事は、洗い物と掃除、ゴミ出しなどだけだった。

「おい良雄」
「へい、兄さん」
「慈姑(クワイ)と牛蒡(ゴンボ)が足らん。注文しとったら間に合わんから、新入りに言うて買(こ)うてこさせ」
「へい、どのくらい買わせましょ」
「慈姑は籠にいっぱいや。牛蒡は5、6本でええ」
「へい」
「急がせろよ。自転車は今使えんようやから、走って行かせ」
「へい」
「イモがまだ剥けとらんかったら、お前が残り剥け」
「へーい」

 焼方の平野良雄は、裏口から庭に出た。あやめに声を掛ける。

「ああやめちゃん。どないや、剥けたか」
「あ、平野兄さん。今、剥き終わりました」
「ほう、さすが、早いなあ」
「持って入りますね」
「あ、ええ、ええ。儂がやっとく。それより、今から錦(にしき)へ行(い)て慈姑(クワイ)と牛蒡(ゴンボ)、買(こ)うて来てくれ。慈姑は籠にいっぱい、牛蒡は5、6本」
「はい」
「今、自転車使えんから、歩いてな。そないに急がいでもええ。たまの息抜きや。のんびり行(い)てくりゃええがな」
「わかりました。行ってきます」

 あやめは、籐籠を手に「花よ志」の裏口をを出た。
 錦(にしき)とは錦市場(にしきいちば)の略で、魚や野菜をはじめ各種食材を扱う店がおよそ130店舗。これが東西に真っ直ぐに伸びる390mの道の両側に軒を並べている。京料理に用いる食材で、錦で手に入らぬものは無いと言われる、いわば「京の台所」であった。割烹、料亭などもこの錦市場で仕入れる店も多い。「花よ志」もそうであった。
 阪急京都線が地下を東西に走る四条大通り。この一つ北側の細い通りが錦小路通りで、錦市場はこの通りの途中にあった。

 「花よ志」を出たあやめは、四条大通りの北側の歩道を西に向かって歩いた。しばらく行って右に、つまり北方向に折れる、すぐに錦市場の入り口に行き当たった。「花よ志」を出てほんの15分、いや10分ほどであった。
 錦市場はアーケード街になっている。カラフルなアーケードを見上げ、あやめは通りを歩き始めた。錦小路通りの道幅は4~5m。両側の店舗は、ほとんどが道にはみ出して商品を並べており、多くの人出とも相まって、市場内の道はごった返していた。
 ほんの数分歩いたあやめは、一軒の店舗の前で立ち止まった。掲げられた屋号は「まさはる」。野菜専門店である。
 店内に入ったあやめを、店の女将が目ざとく見つけた。

「いやあ、あやめちゃんやないの。どないしたん、今頃。おつかい?」
「はい、慈姑(クワイ)をこの籠にいっぱいと、あと牛蒡を6本、お願いします」
「はいよ、ちょっと待っとり」

 女将の春子は、籠を手に奥に入った。この店の屋号「まさはる」は、先代の店主、政夫が、娘の春子が生まれたときに改名したと聞いている。政と春で、まさはる、というわけである。つまり、春子は家付き娘で、現在の店主は婿養子ということになる。

「よっこらせ。あー重た。あやめちゃん、大丈夫? 持てる?」
「大丈夫です」
「ほうか。いや、どないしたんあやめちゃん。その顔」

 あやめの横顔に目を止めた春子は、半ば悲鳴のような声を上げた。あやめの左の目もとは青黒く腫れあがっている。

「ええ、ちょっと、粗相をしてしもて」
「ははあ、またあのどぐされやろ。関目源蔵、狂犬源蔵」
「ええ、まあ……」
「ほんまに。『花よ志』はんも、なんであんなどぐされを飼(こ)うとくんやろねえ」
「でも、腕は飛びきりです」
「なんぼ腕が良(よ)うても、人間に問題ありすぎやわ」
「はは」

 あやめは籠を胸に抱き、腫れた目を春子から隠すように横を向いた。

「あやめちゃん、急ぐんか」
「いえ、それほどでも」
「ほなお茶でも飲んでいき。久しぶりやん」
「はい」

 あやめは春子の後について店の奥に向かい、上り口の畳に腰を掛けた。

「はい、お茶」
「あ、すみません」
「で、どうなん。『花よ志』はんはともかく、『かわふ路』はんの景気は。相変わらず人手足りてへんのかいな」

「かわふ路」は、あやめの実家、鞍馬の料亭だ。あやめの兄の健三が板場を仕切っている。

「はい、ほんでも下の子がかなり腕を上げて来たそうで、一息付けてるそうです」
「ほうか、ほれは結構なこっちゃけど、時子はん、やめはったやろ。お運びの方、手ぇ足らんのちゃうん」

 兄嫁潔子と大揉めに揉めた時子は、結局「かわふ路」をやめていた。そのことを兄から聞いたあやめは暗い気持ちになったが、今のあやめにはどうすることもできなかった。
 時子と春子は古い友人である。あやめが春子と知り合ったのも、お時を通してだ。

「こないだ、ゆうても二月も前になるかな。ここまで訪(たん)ねてくれてな。いろいろ話を聞かせてもろた。やめた経緯(いきさつ)もな。
「そうですか……」
「あんたによろしゅうに、言うてたで」
「お時さん、お元気でしたか」
「元気元気。ちょっと太ってたかな。それなりに蓄えはあるし、しばらくのんびりさせてもらう、言うてた。すぐ年金も入るようになるし。このまま仲居稼業、引退するんやないかな」




「まさはる」を出たあやめは、来た道を戻りながら考えた。

(いったい、いつになったら料理させてもらえるんやろ)
(包丁だけは毎日研いでるけど)
(イモや人参の皮剥きだけやもんなあ)

(狂犬源蔵、か……)
(この半年、ほとんど毎日のように殴られてきた)
(殴られるのは辛抱でけるけど)
(ろくに包丁持たせてもらえんのはなあ)
(いったい、いつまでこんな……)
(この先、どこまで辛抱でけるかなあ)

 思い悩むあやめは、「花よ志」に帰りつき、裏口を開けて板場に入った。

「ただ今、戻りました」
センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #46】目次センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #48】




コメント一覧
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2014/01/21 13:10
    • 今回で通算47回を迎えさせていただきました。日頃のご愛読、誠に有難うございます。
      で『アイリス』、上のタイトルにも御座いますように、もともとはシナリオ『センセイのリュック』に挟み込まれ、その一部をなす小説なんですね。で、本家『リュック』は現在、46回(景)まで掲載させていただいております。
      (おっさん、何をごちゃごちゃ言うとんねん)
      ああ、つまりですね。『アイリス』は今回の47回で、本家の『リュック』の回数を上回ったと、こういうことなんですね。
      別に自慢しているわけではございません。「ええのかなあ“幕間”小説が“本舞台”の上演回数を上回って」と、戸惑っているわけです。
      (ほんまに、いつまいでもだらだらと)
      そんな、ああた。徒に引き延ばしているわけでも、先行きの当ても無く書いているわけではございません。『アイリス』。ここにきてようやく先が見えてきました。
      (ということは、ここまでは何の当てものう書いとったと、こういうことやな)
      あ。
      わはははは。いや、まあ、その、なんですわ。
      ま、ともかく、先が見えたと申しましても、まだまだ先は長い(日本語、変)。この機会に気合を入れ直し、書いてまいる所存です。
      今後ともご愛読賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
      で、今回、お道姐さんの悪癖「立ち聞き」が明らかになりました。しかも、オナりながら。
      このシチュは、AVでも結構見かけます。ただ、どう考えてもこれは前回に書くべきでした。失敗したかなあ、厚生、恒星、あ、いや構成。
      白状しちゃいましょう、前回執筆時には忘れていたのですよ。ま、将来一冊の単行本にまとまれば問題なかろうか、と(地球滅亡の日が来ても有り得んわ)。
      「錦市場」
      有名です、京都人で知らない人はいません。関西一円でもよく知られています。
      で、錦の八百屋「まさはる」の女将、春子はん。このお方は間違いなくあやめさんの味方ですが、なんの助けにもなりません。ま、心の支えというところですね。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2014/01/21 20:03
    •  うらやましい限りです。
       わたしは、書いてて見えたことないですね。
       全編を通じた“先”が見えないのはもちろんですが……。
       各章ごとの“先”も、見えないまま書いてます。
       結局、とっちらかしたまま幕引きというパターンになってしまいがちですね。
       一冊の本。
       電子本化するという野望(もちろん自作)を、昔は持ってたんですがね。
       今となっては、退職するまで無理でしょうね。
       ハーレクインさんはヒマなんだから、自分でやればいいのに。
       「錦市場」。
       ごく最近まで、「綿市場」と読んでました。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2014/01/21 21:54
    • 『リュック』の場合、ラストシーンは決まってます。しかも、既に書いてあります。これを書いたのは、『リュック』第一場第一景と同時です。
      で、『アイリス』のラストシーンも考え付きました。「匣」の中身も決まりました。こちらはまだ頭の中にあるだけで、書いてはいませんが。
      ですからあとは、ラストに至るまでの道筋を考える、というのが主な作業になります。
      で、お道、いや寄り道をしまくり・道草を食いまくったりして。
      >とっちらかしたまま幕引き
      最近、とみに多い様な……(わはは)。
      電子本。
      いくら暇があっても、技術が無きゃ不可能だよ。
      錦≒綿
      なるほど。
      逆に、綿矢りさを錦矢りさ、と書いたりして。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2014/01/22 07:56
    •  わたしは、「いよっ、国だ」と覚えました。
       アメリカ大陸を発見したのは、コロンブスでは無く……。
       見張りの水夫だというギャグもありましたね。
       匣の中身はなんじゃいな?
      1.マトリョーシカみたいに、匣が無限に詰まってる。
      2.関目源蔵の生首。
      3.組み立て式屋台。
       電子本。
       技術は、習得すればいいだけです。
       図書館なら、電子書籍の作り方の本も置いてあると思います。
       ↓こういう本。
      http://books.rakuten.co.jp/rb/12285438/

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2014/01/22 10:04
    • 国王から賞金が出る、ということになっていて、で、ギャグではなく実際に発見したのは水夫だったんだけど、コロンブスが無理やり自分の手柄にしたとか。
      随分あくの強いおっさんだったみたいですね、コロンブス。略奪や虐殺もやったしね。地元の人達(いわゆるインディアン)には鬼に見えたんじゃないかなあ。
      >匣の中身は何じゃいな
      そんなん、教えられまっかいな。クイズにもできん、秘中の秘。
      “わたしだけが知っている”。
      ふっふっふ。
      それにしても1と2はわかるけど、3はなんじゃい?!
      電子書籍の作り方。
      ほんとに、いろんなものがあるんだなあ。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2014/01/22 20:26
    •  当たり前の話であろ。
       船長が発見者と称されるのが、当然でないの?
       3は、そのまんまです。
       匣をパタパタと開いていくと、屋台になるのです。

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2014/01/22 21:50
    • 「実際に」最初に発見した者に賞金を出す、といったのだよ、国王は。
      ま、発見者と「称する」のは船長でいいけどね。
      >箱をパタパタと開いていくと、屋台になる
      わ、わからぬ……。

    • ––––––
      8. Mikiko
    • 2014/01/23 07:38
    •  ↓アメリカにありました。
      http://blog-imgs-62.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20140123071744d87.jpg
       でも、持ち運ぶには、ちょっと大きすぎるようです。
       これはたぶん、据置型ですね。
       営業が終わったら、蓋をして鍵を掛けるのでしょう。
       アメリカらしいです。

    • ––––––
      9. ハーレクイン
    • 2014/01/23 11:46
    • 匣の中身は赤線が、おっと、明かせんが、とりあえず大きさはお教えしよう。
      片手で持てるくらいどす。
      どうぞよろしゅうに。

    • ––––––
      10. Mikiko
    • 2014/01/23 20:14
    •  それを持って、永平寺に精進料理の修行に行くわけですね。
       茜さす道を、ひとり去っていくあやめ。
       美しいフィナーレです。

    • ––––––
      11. ハーレクイン
    • 2014/01/23 21:07
    • あんたは額田王かい。
      ま、確かに美しい光景ですが、勝手にフィナーレを決めるんじゃねえよ。ひとり去って行くのはその通りなのだがね。
      あ、やば。また少しバラしちまったよ。
      誰でも思いつくんだなあ。ちょっと考え直すか。
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