Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
センセイのリュック/幕間 アイリスの匣 #30
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戯曲『センセイのリュック』作:ハーレクイン



幕間(小説形式) アイリスの匣 #30



「あふ」

 香奈枝の左手の人差し指が、包皮の上から陰核を押える。擦る。捏ねる。中指が膣口から膣内に潜り込む。指先が膣壁を掻く。指の腹が膣壁を激しく擦る。

「あふう」

 あやめに初めて縛られたあの日以来、オナニーは全くしていなかった。しかし、あやめがいなくなった日から、香奈枝は狂ったようにオナニーに耽った。
 だが……

 いけなかった。
 いくら陰部を擦ろうが、肛門に指を這わせようが、いけなかった。
 なぜ、何故いけない。
 香奈枝は泣いた。
 泣きながら陰部を、陰核を、膣内を、肛門を擦った。泣きじゃくりながら、股間を掻き毟った。
 それでも、いけなかった。

 泣いてもわめいても、愛しいあやめは帰ってこない。
 それでも、あやめの面影は去ってはくれない
 あやめの手、口、唇、舌……。肉に刻み込まれた記憶は薄れることはなかった。

「あやめぇ……」

 香奈枝は、押し入れの襖を見た。睨みつけた。

 あそこには、あの奥には、あやめがいる。
 間違いなくあやめがいる。

 これまでは、気持ちの上でも、実際にも封印してきた。
 あのあやめに触れたら、あのあやめに触れてしまったら、耐えきれるとは思えない。あやめの不在を受け入れることができるとは思えない。

 だが、駄目だ、もうだめだ。
 これ以上耐えきれない。もう、どうなろうと……。

 香奈枝は布団を抜け出し、押し入れに躙り寄った。
 襖を開ける。
 下の段の、一番奥にあるダンボール箱。
 香奈枝は、獲物に飛びかかる肉食獣のように箱に飛び付いた。引き出す、室内に放り投げる。
 箱が倒れ、中身が転び出る。

 縄だ。
 縄束だ。
 あやめだ。
 いとしいあやめだ。

 あやめは、ほんの身の回りの品だけを持ちだし、荷物のほとんどを置いていった。この、多くの縄もそうだ。

 あやめはもう、誰かを縛る気はないのだろうか。
 あやめが人を縛るのは、あたしが最後なのだろうか。

 そんなことを思いながら、香奈枝は縄束の一つを手にした。
 解く。
 床に蜷局を巻く縄。
 香奈枝は、慣れた仕草で縄を捌いた。
 香奈枝は、あやめに一方的に縛られるだけだった。香奈枝があやめを縛ることは一度もなかった。
 だが、縄の扱いは香奈枝の体が覚えていた。
 忘れるわけがない、わからないわけがない。
 あれほど、あやめに縛られたのだ。
 初めて出会ったあの夜以来、縛られない日は一度としてなかった。香奈枝にとって、あやめとは、この縄のことなのだ。

「あやめぇ」

 香奈枝は舌を伸ばし、縄の一端を舐め上げた。舐める、頬ずりする、噛む……。

「あやめえぇ」

 縄を股間に押し付ける。擦る。揉み込む。

「あはああぁ」

 縄を二重にする。見なくても、扱けば、扱きさえすれば縄の中央はわかる。縄の折り目を右手で握り、縄筋を跨いで四つん這いになる。獣の姿勢である。
 左手で縄を手繰り、股間を通して背に回す。左右の両手で縄を引き絞る。二重の縄は深々と股間に喰いこんだ。

「くあっ」

 右手を引く。縄が陰核を押し潰す。

「かああああ」

 左手を引く。縄が肛門を擦り上げる。

「いひいいい」

 右手を引く。

「くああああ」

 左手を引く。

「ひっ、ひいいいいっ」

 香奈枝は、狂ったように左右の手を交互に引いた。縄は香奈枝の股間を往復し、陰核を、膣前庭を、会陰を、肛門を、すり潰した、蹂躙した。
 だが……いけない。

 なぜ……なぜなの。
 どうして、いけない。
 縄でも駄目なら。
 もう、狂うしかない。
 いや、死ぬしかない。

 香奈枝の脳裏を、はじめてあやめに縛られた記憶がよぎる。鮮やかに記憶がよみがえる。

 高手小手縛り……。

 あれだ。
 あやめは、いつの夜も必ず高手小手に縛ってくれた。
 あやめは、さまざまな縛りを施してくれたが、
 高手小手がない夜はなかった。
 あやめが縄を手にすると、
 あたしの両腕は自然に背後に回った。
 両腕を背に回し、両手首を重ねあわせた。
 左右の手首を一つにし、縄が絡まった。
 二人の夜の始まりだった。

 高手小手……。

 だが、あやめはもういない。
 どうすれば高手小手に……。

 香奈枝は懊悩した。
センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #29】目次センセイのリュック【幕間 アイリスの匣 #31】




コメント一覧
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2013/09/24 13:18
    • あやめさんに捨てられた香奈枝せんせの苦悩の日々が続きます。
      オナニーでいけないというのは辛いですねえ。縄を用いた縄オナでもいけない香奈枝せんせ。辛いですねえ、たまりませんねえ、なぜいけないんでしょうねえ。もちろん作者がそうしてるんですねえ。
      あまりしつこくすると香奈枝せんせに殺される恐れもありますが、しかし、この試練にはちゃんと意味があるんですねえ。どういう意味かといいますと、『アイリス』金沢編の最後で明かされます。えーと、#33ということになりますか。
      がんばれ、香奈枝せんせ。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2013/09/24 19:41
    •  堺の刃物職人を特集してました。
       日本全国の料理人が使う包丁の8割が、堺産だそうです。
       堺では、鉄砲鍛冶から刃物鍛冶に転身した職人が多かったそうです。
       一般の安い包丁は、鉄板を切り抜いて作るそうですが……。
       もちろん、堺の包丁は違います。
       鉄と鋼の塊を貼り合わせ、1本1本、叩いて作ります。
       例の箱型フイゴが、現役で使われてました。
       最後の研ぎを行う職人さんなんか、フイゴを足で操作してました。
       板前さんが、使い込んだ包丁を見せてくれてましたが……。
       研ぎを繰り返すために、包丁が2回りくらい小さくなってました。
       握る柄の部分も、中程がすり減って細くなってました。
       「手の形に馴染んでくる」んだそうです。
       ああなったらもう、ほかの包丁は使えないんでしょうね。
       いやー、面白かったです。
       あやめさんの包丁は、実家に置いてあるんでしょうか?
       彼女の性格からしたら、捨てたのかも知れませんね。
       でも、刃物って、どうやって捨てるんだろ?
       川に投げたりしたら、危ないよな。
       やっぱり、箱に収めて埋めるかね。
       山の中とか。
       となると、修行に使う包丁は新しく作るわけですよね。
       行方を探す場合、堺の包丁職人を尋ねるという手もあるよな。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2013/09/24 22:05
    • 今現在、鞄の中にあります。
      いったんは料理の道をあきらめたあやめさんですが、愛用の包丁を捨てるのは忍びない。大学まで持って行って、普段使いとして使っていました。で、京都に戻るとき、身の回りの品と一緒に鞄の隅に忍ばせて来たんですね。これから、活躍することになる……かな?

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2013/09/25 07:48
    •  警察に鞄を調べられたら……。
       銃刀法違反になるのかと思い、検索してみました。
       正当な理由があって所持しているのであれば、問題ないそうです。
       あやめさんの場合……。
       料理人が料理修行の赴任地に向かうという正当な理由があるので……。
       見つかっても大丈夫なわけですね。

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2013/09/25 09:03
    • 包丁も引っかかるんですか!
      そう言われてみれば、使いようによっては十分凶器になりますが……。
      ふむ。
      実は今予定している『アイリス』のクライマックス。この状況を使おうと思ってるんですよ。つまり「正当な理由」無しに包丁を持ち歩く、という……。
      あ、あまりバラさないほうがいいな。
      ちなみに、あやめさんの所持している包丁は一本ではありません。三本です。ま、このあたりも追い追い……。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2013/09/25 19:44
    •  刺身包丁なんて、これ以上ない凶器でしょう。
       なお、包丁を買って、自宅に持ち帰る途上であれば……。
       携帯してても、罪にはなりません。
       家に持ち帰るという、正当な理由があるからですね。

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2013/09/25 22:19
    • まあ、使う人間がその気になれば、いつでも凶器に早変わりだよね。
      でね、女性には実感しにくいでしょうが、床屋ね。
      髪刈いの、ヒゲ剃りいの、シャンプーしいの……。
      このヒゲ剃りね、職人さんが剃刀片手に額から頬から顎から剃って行きます。この時よく思うんだよ。
      もし職人さんがその気になれば、簡単に喉を掻っ捌かれてお陀仏だなあ、と。
      剃刀も凶器です。

    • ––––––
      8. Mikiko
    • 2013/09/26 07:25
    •  ↓スウィーニー・トッドというキャラがあるようです。
      http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%89
       映画やミュージカルにもなってるとか。

    • ––––––
      9. ハーレクイン
    • 2013/09/26 14:54
    • いろんな作者の作品にこの名前のキャラが登場するということですか? そんなことしていいのかなあ、という気もしますが。ちょさっけんの侵害にならないんでしょうか。
      なんか、切り裂きジャックを思わせますね。
      人肉入りパイを作るということでは、トマス・ハリスの「ハンニバル・レクター(人食いレクター)もの」のような……。ただし、こちらレクター博士の手になる人肉料理は、ずっと華麗でバラエティに富んでいます。
      被害者の肝臓を取出し、レバーのソテーを作るとか、麻酔をかけた被害者の頭蓋骨を取り外し、生きたまま大脳をスプーンで掬って食するとか……。

    • ––––––
      10. Mikiko
    • 2013/09/26 19:33
    •  「猿の脳みその躍り食い(?)」というのを読んだことがあります。
       生きた猿を、締め具のようなものでテーブルに固定します。
       で、お客さんのテーブルには、スプーンのほかに、ハンマーが置かれてます。
       このハンマーで猿の頭蓋骨をかち割って、スプーンで脳みそを啜るわけですね。
       とーてー、美味しそうには思えませんが。

    • ––––––
      11. ハーレクイン
    • 2013/09/26 21:19
    • 脳は普通に食べるようです。
      USAやフランス、メキシコ、キューバなどでも脳を食べるとか。食材としては、牛、豚、羊、山羊など家畜の脳が主だそうですが、さすがに踊り食いは少ないようです。
      しかし、そのサルの場合生きてるわけでしょう。大暴れするんじゃないですか。叫び声?!も上げるだろうし……。なんか凄惨な食卓になりそうですね。
      レクター博士の場合、殺してから、または麻酔をかけてから調理にとりかかりましたから、けっこう優雅な趣きはありました。
      こういう“人を食った”話は他にもあったなあ、思い出せませんが。

    • ––––––
      12. Mikiko
    • 2013/09/27 07:50
    •  脳みそ料理があったって、別に不思議じゃないですよね。
       殺されて食べられてるサルは……。
       賢人の表情をしてるんじゃないでしょうか。
      http://blog-imgs-37.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20120325114334ef3.jpg

    • ––––––
      13. ハーレクイン
    • 2013/09/27 09:47
    • どうせ食べるんだから、残さず食べてあげるのが礼儀かもしれません。
      「脳を食べられているサルは涙ぐんでいる」という記載がありました。ほんとかどうかはわかりませんが。
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