Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
センセイのリュック/第十場 第三景
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戯曲『センセイのリュック』作:ハーレクイン



第十場 第三景 楠の下



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↑舞台用語です(クリックで大きい画像が表示されます)。用語の解説は、第二場第二景のはじめにあります。


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↑今回の舞台設定と、女優さんの動きです(クリックで大きい画像が表示されます)。


登場人物
 南香奈枝(みなみ かなえ):梅ヶ丘女子高 生物科教師
 前之園陽子(まえのえ ようこ):梅ヶ丘女子高2年生、美術部員
 右嶋茜(みぎしま あかね):梅ヶ丘女子高1年、地学部天文班員
 右嶋緑(みぎしま みどり):梅ヶ丘女子高1年、地学部天文班員


梅ヶ丘女子高、伊豆研修所近くの林の中。
楠の巨木の下、全裸でポーズをとる茜と緑。
絵筆の動きを止め、香奈枝の思い出話に聞き入る陽子。


陽子「あれ?
   いいんですかあ、手、出して」
香奈枝「いいも悪いも、それは、あんたの勝手だろ。
   あやめはあたしの所有物ってわけじゃなし、
   あたしが口出すことじゃないでしょ。
   第一、あやめがどう出るかはわからんし」
陽子「あれ?
   せんせ、ちょっと動揺してますぅ?」
香奈枝「あ、あほか。
   教師をからかうんじゃない」
陽子「普通、先生って、
   事態に窮すると『教師云々』に逃げるんですよねえ。
   かなちゃんもおんなじかあ」
香奈枝「ほんっとに憎ったらしい女だね、あんたって。
   恋人とか、いないだろ」
陽子「あたしの恋人は、フェルメールと香奈枝せんせです」
香奈枝「おい、なんだよう。
   この話の流れの中で、
   その言い方はずるいぞう」
陽子「だあって、ほんとのことですもん
香奈枝「こいつめ。
   濡れてきたぞ。どうしてくれるんだよう」

陽子「だめですよ、せんせ。
   今、作画中なんだから」
香奈枝「そんなこと言って。
   さっきからあんた、ぜんぜん筆が動いとらんではないか」
陽子「だあって、せんせがおしゃべりするから」
香奈枝「それはあんたが聞きたがるからだろ、
   あやめとのこと。
   それに双子ちゃんの自己催眠の話や、
   流星群の話もはじめるし……」
陽子「それもせんせが聞きたがるからじゃないですか」
香奈枝「ああ、もうええもうええ。
   どれ、見せてもらおうかな。
   ニンフのようだという双子ちゃんの絵」
陽子「どうぞ」


チェアを引きずって、キャンバスの前を空ける陽子。
香奈枝は腕を組み、キャンバスの前に立つ。
全体に暗い色調の絵である。
頭上を覆う楠の葉叢を通り抜け、天からかすかに漏れ墜ちる陽光が、双子の体を白く浮き上がらせている。
楠の切り株に腰かけ、天の彼方を見晴るかすように仰向く茜。
草の上に座り、茜の腿に上体を凭せ掛け、眠るように目を閉じる緑。

抜けるように白い双子の体は天に向かおうとし、背景の色調が二人の体を地に引き止めようとする。
画面全体を支配するものは静謐さ。
随所に漂う緊張感。
陰と陽、静寂と喧騒との微妙なバランス……。

ときおり、野鳥の囀りが聞こえる。
キャンバスの中からも、野鳥の声が聞こえてきそうである。
香奈枝は身じろぎもせず、一言も発さず、キャンバスに見入る。
どれくらいの時が流れたのか、香奈枝の口から、微かにうめくような声が漏れる。


香奈枝「うーむ」


囁くように、陽子が答える。


陽子「どうですか、先生」
香奈枝「あたしゃ、絵のことなんぞ何もわからんがな、
   これは……。
   陽子、あんたひょっとして、只者じゃないのかもしれんな」
陽子「先生、素直に褒め言葉と取りますよ」
香奈枝「褒めてるんだよ、もちろん。
   普通、こんな可愛らしい女の子がモデルだと、
   フワフワしてどうにもならん、という絵もあるが、
   これはなんか、異様な迫力があるよ。
   心地よい緊張感、とでも言えばいいかなあ。
   どっかで聞いたような褒め言葉だが」
陽子「そっかあ、よかった。
   自分では、自分の描いたものがどんなものなのか、
   なんとも分からないですからねえ。
   世界に一人だけでも認めてくれる人がいて、
   とっても嬉しいです」
香奈枝「そんなに謙遜することはないぞ。
   あ、でもあんた、
   人物画は初めてだって言ってたな」
陽子「そうなんですよ。
   風景なんかだと、そこそこ自信はあるんですけどね」
香奈枝「自信もっていいよ、人物も。
   生物の教師が保証しても、
   も一つ説得力がないかもしれんが」
陽子「そんなことありません」
香奈枝「今度、風景画も見せてもらおうかな」
陽子「いつでもお見せします。
   うれしいっ」


絵筆とパレットを、キャンバス脇の小机の上に置き、香奈枝に抱きつく陽子。
抱き返し、両腕で陽子の体を抱きしめる香奈枝。
立ったまま、キスを交わす二人。


陽子「あはああああ」
香奈枝「ふうん」
陽子「せんせ、ああ、せんせえ」
香奈枝「久しぶりだのう、陽子」
陽子「そうねえ。あの、屋上の夜以来だね」
香奈枝「楽しかったのう、あの時は」
陽子「そうねえ。朝子はいないけど双子ちゃんはいるし、
   あの時とほぼ同じメンバーだね」
香奈枝「じゃ、同じように楽しいことしようか」
陽子「ああん。そんなこと言っちゃやだ、せんせ。
   わたしも濡れてきちゃったよ」
香奈枝「陽子、可愛いおっぱい、見せてみな」
陽子「え、うそ、いつ脱がしたの、服。
   やだあ」
香奈枝「秘技『脱皮促進』とはこのことじゃ。
   どんな服でも5秒で脱がせる。
   『エクジソン』または、
   『前胸腺ホルモン』と称するホルモンを作用させるのだな」
陽子「まあたそういう与太を。
   エクジソンは昆虫のホルモンでしょうが」
香奈枝「ほう、よく知っておるのう。
   今の高校生物の教科書からは削除されてしまったのだが」
陽子「誰かが、香奈枝先生の得意技『脱皮促進』、
   なんて言ってたんで、ネットで調べたんです」
香奈枝「ほう、それはご苦労というか、もの好きというか」
陽子「で? 実際にはどうやるんですか」
香奈枝「特に技なんてないよ。
   いろんな女の、いろんな服を、何度も脱がせる。
   これしかないわな。
   いわゆる『習うより慣れよ』、『経験は学問にまさる』。
   『亀の甲より年の功』。ん? これはちょっと違うか」
陽子「もう、婆くさいなあ」
香奈枝「何を言うか。先人の知恵を馬鹿にしてはいかんぞ」
陽子「へいへい。
   んじゃわたしに経験を積ませて下せえ。
   脱がすよ」


香奈枝をまっすぐ立たせ、手早く脱がせていく陽子。しかし、香奈枝ほど手際はよくない。何とか全て脱がし終える陽子。


香奈枝「まだまだ、経験が必要のようだのう」
陽子「また、練習させてね、せんせ」
香奈枝「おう。
   今度は、脱がせにくい服をたっぷり着こんできてあげよう」
陽子「ね、せんせ。
   抱っこして。
   おっぱい揉んで。
   おまんこ弄って」
香奈枝「よしよし。
   あんたは、すぐいくからなあ。
   危ないからそこに寝ころびな」


茜と緑の座る楠の前の草むらに横たわる陽子。
陽子に寄り添って寝転び、陽子を抱きしめる香奈枝。
全裸の四人の女達を、真夏の午後の木漏れ日が彩る。
センセイのリュック【第十場 第二景】目次センセイのリュック【第十場 第四景】




コメント一覧
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2013/01/15 09:59
    • フェルメールフリーク陽子ちゃんが、双子座シスターズ、ジェミニ右嶋のヌードの見事さに感じ入り、絵に描こうかなと考えたのは、第四場「夜の屋上」の第四景でした。
      そのとき、次の会話を交わしております。
      陽子「……なんか、感動しちゃった。
         わたし、人物は描かないんだけど、
         双子ちゃんのヌード、描かせてもらおうかなあ」
      茜「ほんとですかあ」
      緑「いいですよお」
      この時交わした約束がようやく果たされました。
      夏の午後、静謐な伊豆の林の中、楠の巨木に見守られ、陽子画伯の作画は続きます。
      夢のような美しい情景ですが(作者が言うなよ)香奈枝せんせに邪魔されちゃいました。はたして、絵は無事に完成するのでしょうか。
      ま、それはともかく、作者は悩んでおります。悩みまくっております。
      近くは、今現在継続中の「伊豆の場」、これをどこまで続けるか。今回でおしまい、という手もあるのですが、それも少し心残りです。
      遠くは、いずれ伊豆は終わり舞台は梅ヶ丘に戻る。そこで一気にラストシーン、という手もあるのですが、もう少し続けたい気も。体育祭とか文化祭とかのシーンも脳裏をよぎるのですよ。
      さらにさらに、管理人さんに課題として与えられた“あやめ殺人事件”、これをどうするか。ストーリーをぼちぼち考えつつはあるのですが、これを『リュック』にどう嵌め込むか。
      いやあ、悩みは尽きません。
      とはいえ“締め切りは忘れた頃にやって来る”(何を言っておるのだ、おまいは)。そんなに悠長に構えている暇はありません。決断せねば、早急に決断せねば。
      「決断と実行」あるのみです(これ、誰が言ったんだっけ)。
      書くって、楽しいなあ。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2013/01/15 20:38
    •  『あやめ事件』は、無理に嵌めこまずとも、別の時期に特番でやればいいと思う。
       脚本じゃなく、小説形式にしても面白いんじゃないでしょうか?
       伊豆の場。
       東海地震が起きて、伊豆半島が日本列島から切り離され……。
       ひょっこりひょうたん島みたいに、太平洋を漂い始めるというエンディングはどうだ?
       このときの山崩れで、金の詰まったトランクが出て来るとかさ。
       そう言えば、梅ヶ丘女子高って、どこにあるんだっけ?
       東京なら、無事じゃ済まないわな。
       あと……。
       異様に迫力があるという双子の絵。
       ぜひ、見てみたいものです。
       描いてくれんか?

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2013/01/15 21:01
    • でいいんなら、『あやめ殺人事件』というよりも『あやめ物語』でじっくり書きたいなあ。
      もちろん小説でね。
      梅ヶ丘女子高の所在地は、私もいろいろ考えましたが、ま、どこでもいいんじゃないでしょうか(本来は大阪、ということになるのですが)。読んで下さる方の故郷、ということで。
      双子ちゃんの絵は、わたしも是非、見たい。
      わたしの頭の中にはイメージが出来上がっちゃいましたが……わたしなどに描けるはずもありませぬ。
      ほんとに、誰か描いてくれんかのう。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2013/01/16 08:00
    •  伊豆に研修所を持つかねぇ。
       そもそも、大阪弁をしゃべってないではないか。
       そう言えば……。
       伊豆は伊豆でも、どのあたりなんだろうね。
       伊豆長岡なら、三島から伊豆箱根鉄道で24分。
       でも、下田になると……。
       三島から、東海道本線で熱海、伊東線に乗り換え、伊東。
       伊豆急に乗り換えて、伊豆急下田。
       時間は何と、乗り換え時間を除いて102分。
       三島から、2時間もかかります。
       一口に伊豆と言っても……。
       付け根と先端じゃ、所要時間が大違いってことです。

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2013/01/16 11:59
    • 梅ヶ丘女子高の立地は、わたしにとっては大阪だが、読者それぞれに想像して貰えばいいんだよ。
      それに、登場人物全員に大阪弁を喋らせたら、間違いなくコントになってしまうぜ。
      あ、あれ?
      それはそれとして、よう考えたら、これも面白いかなあ。大阪弁小説。斬新やろ。
      いや、ようけあるか、オダサク織田作之助とか。
      んでも、全編大阪弁、大阪弁エロ小説。これはないかもしれん。
      ふむ。
      わたしの頭の中にある伊豆の風景は、学生時代にただ一度だけ伊豆に行った時のものです。
      残念ながら伊豆のどこだったのか、全く記憶にありません。大勢でぞろぞろ行ったのでね。わたしは、あなた任せでついていっただけ。
      これも、読者それぞれに想像していただくしかありませんが、海の美しさと、魚の美味しさは鮮明に記憶しております。
      ♪伊豆の伊東とは郵便便り
       下田港とはヤレホンニサ風便り

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2013/01/16 20:23
    •  谷崎潤一郎の『細雪』がそうだったんじゃないかな。
       あと、田辺聖子とか。

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2013/01/16 23:18
    • 確かに大阪弁、というか神戸弁だけど上品すぎてね、わたしにはああは書けんなあ。どっちかというと田辺のおばはん、お聖どんやろなあ。
      しかし、細雪のラストは、えーと三女だっけ、名前忘れちまったい、が上京する場面だが下痢しとるんだよね。
      で、うんこ堪えて夜汽車に乗る、という場面だったと思うが、これでわざと破調にしたのかなあ。
      どないだ? 谷崎はん。
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