2012.11.6(火)
↑舞台用語です(クリックで大きい画像が表示されます)。用語の解説は、第二場第二景のはじめにあります。
↑今回の舞台設定と、女優さんの動きです。(クリックで大きい画像が表示されます)。
登場人物
東希美 (あずま のぞみ):梅ヶ丘女子高2年生、生物部部長
北珠恵 (きた たまえ):梅ヶ丘女子高2年生、生物部副部長
牛島恭子(うしじま きょうこ):梅ヶ丘女子高1年生、生物部員
辰巳乙女(たつみ おとめ):梅ヶ丘女子高1年生、生物部員
鳥取菜々(とっとり なな):梅ヶ丘女子高1年生、生物部員
馬場崎舞(ばばさき まい):梅ヶ丘女子高1年生、生物部員
犬養翔子(いぬかい しょうこ):梅ヶ丘女子高1年生、生物部員
乾かほり(いぬい かおり):梅ヶ丘女子高1年生、生物部員
伊豆研修所の浴室。
浴室入り口の廊下で、希美、珠恵と、恭子ら生物部一年生六人が話している。
希美「ここだよ、お風呂場」
恭子「へえー、なんか、古色蒼然っていうか」
乙女「中、ボロボロなんじゃないですか」
菜々「お湯、漏れたりして」
珠恵「失礼なこと言うんじゃないよ。
入り口や脱衣場はともかく、浴室は総檜造りだよ。
浴槽はもちろん、洗い場の床や壁までね」
舞「檜造りって」
翔子「高級なんですかあ」
かほり「しょせん木製でしょ」
珠恵「あほ。総檜って、造るのにいくらかかると思ってんの。
タイル製やプラスチック製など、裸足で逃げ出すよ」
恭子「お風呂なんだから」
乙女「“裸で逃げ出す”の方がいいんじゃないですかあ」
菜々「あ、上手い、座布団一枚」
希美「バカ言ってないで、この札、そこに掛けな」
「大和撫子入浴中」と書かれた木札を、舞に手渡す希美。
舞「なんですかあ、この札」
希美「読んでみな」
舞「えーっと、だいわ……」
翔子「ぶし……」
かほり「にゅうよくちゅう」
希美「ぶはははははは。
愚か者たちめ。
おへそが茶を沸かしたついでに裸で踊り出すわ。
“だいわぶし”。
がはははははは」
珠恵「なに馬鹿笑いしてんのよ。
あんたも去年、そう読んだでしょうが」
希美「あ、こら、余計なことを」
恭子「あ、わっかりました。
“だいわ”じゃなくて『やまと』ですね。
宇宙戦艦ヤマト、の『やまと』」
乙女「ということは……“やまとぶし”にゅうよくちゅう」
菜々「あ、そうか。
“お侍さんが入ってま-す”ということかあ」
希美「んっとにあほだな。
わたしらは女の子でしょうが、なんで侍なんだよ」
珠恵「“ぶし”が違ってるのよ。
それは『なでしこ』って読むの」
舞「ほえ? んじゃ……」
翔子「『やまとなでしこ』」
かほり「『にゅうよくちゅう』ですかあ」
希美「そおだよ」
恭子「『なでしこ』って」
乙女「聞いたことありますけど」
菜々「サッカーじゃない?」
珠恵「女子サッカー日本代表チームの愛称
『なでしこジャパン』は、
この『撫子(なでしこ)』に由来するのよ」
舞「『撫子(なでしこ)』って……」
翔子「ひょっとして……」
かほり「植物の『ナデシコ』のことですかあ」
希美「そのとおり。
ナデシコを漢字で書くと『撫子』なんだよ。
おい、恭子、『ナデシコ』とはどんな植物だ。
言ってみろ」
恭子「ほえ? いきなりですねえ。
えーと、被子植物門」
乙女「双子葉植物綱」
菜々「ナデシコ亜綱」
舞「ナデシコ目」
翔子「ナデシコ科」
かほり「ナデシコ属、の植物の総称です」
恭子「夏から秋にかけ」
乙女「ピンク色の花を咲かせます」
菜々「花弁、つまり花びらは五枚」
舞「花弁の先は細かく裂けています」
翔子「草丈は50~60㎝」
かほり「本州から四国、九州に広く分布する、
多年生の草本でーす」
珠恵「はい、よくできました。
それでは、
この札に書いてある『大和撫子(やまとなでしこ)』
とは何でしょう」
恭子「えーっとお」
乙女「んっとお」
菜々「それはあ」
舞「たぶん」
翔子「ナデシコのお」
かほり「変種なのでは」
珠恵「生物以外の話になると、とたんにダメだね。
大和(やまと)とは、日本の国のことでしょ。
大和撫子(やまとなでしこ)とは、
日本人女性をナデシコの花に見立てた一種の美称なんだよ。
その心は『可憐で繊細だが心は強い』ということらしいね」
恭子「可憐で」
乙女「繊細だが」
菜々「心は強い」
希美「ま、当てはまらん女もようけおるがな」
舞「だあれの」
翔子「ことでしょう」
かほり「希美せんぱいのことかなあ」
希美「んだとお、失礼なことを言うな。
わたしはナデシコの化身とも言われる女だ」
恭子「ま、それはともかく、なでしこジャパンも」
乙女「『心は強い』はともかく」
菜々『可憐で』『繊細』はどうなんでしょうね」
舞「ま、それはともかく、要するにその札は」
翔子「『今、女の子が入浴中だから男は入っちゃだめ』
という意味ですかあ」
希美「そうだよ。この研修所に浴室は一つしかないからね」
かほり「でも梅ヶ丘は女子高なんだから」
恭子「そんな札、意味ないんじゃないですかあ」
乙女「管理人さんも女性なんだしい」
菜々「男の人なんかいないんだしい」
珠恵「なに言ってんのよ、教職員に男性がいるでしょう」
希美「そうそう生物の『マエケン』、国語の『タムケン』、
世界史の『ホリケン』、音楽の『シミケン』。
ま、今回は来てないようだけどね」
舞「じゃあ、男性が入浴中のときはどうするんですかあ」
翔子「その時、女の子が入って行ったら」
かほり「それはそれでまずいんじゃ」
珠恵「その時には、こっちの札をかけるの」
珠恵は恭子たち一年生の前にもう一枚の札を示す。その札には『日本男児入浴中』とある。
恭子「ははあ、これは」
乙女「こっちはわかりやすいですねえ」
菜々「でもこの札を無視して、わざと入る女の子もいたりして」
希美「そんなの、あんたくらいだよ。
さあ、入るよ」
入り口の引き戸を引き開け、脱衣場に入る希美。続いて、珠恵と六人の一年生もぞろぞろと脱衣場に入る。
舞「うっわー」
翔子「脱衣場も古色蒼然ですねえ」
かほり「床、抜けたりしないでしょうね」
希美「アホ言ってないでさっさと脱ぎな。
管理人さんも言ってたろ。あとがつかえてるんだから」
珠恵&一年生「はーい」
真っ先に着ているものを脱ぎ捨て、浴室に入る希美。希美に倣うように、残る全員も全裸になり浴室に入る。
コメント一覧
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1. ハーレクイン- 2012/11/06 09:52
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ということで、管理人さんの御忠告もあり、大乱交パーティの前にワンクッション置くことにしました。
浴室前の場、ついで脱衣場の場、浴室の場。いくらでも引っぱれそうです。
えーと、今回話題に出ました男性教師。
一応確認しておきましょう。
生物の『マエケン』は前田健太。
広島東洋カープの投手。今や日本のエースと言ってもよろしかろう。
国語の『タムケン』は、たむらけんじ。
吉本芸人。「炭火焼肉たむら」経営者。
世界史の『ホリケン』は堀内健。
お笑いグループ「ネプチューン」所属。片キン。
音楽の『シミケン』は清水健太郎。
「失恋レストラン」の大ヒットを飛ばすも、その後の度重なる覚醒剤使用で逮捕、懲役を重ねる。今、どうしてるのかなあ
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2. Mikiko- 2012/11/06 18:45
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名前に似合わず、強靱な草ですね。
わが家のベランダでも、長いことハンギングバスケットで楽しませてくれました。
南向きベランダのハンギングは、強烈に乾燥します。
それでも、平気でした。
大和撫子の本名は、カワラナデシコ(河原撫子)。
その名のとおり、石がゴロゴロしてる河原でも生育します。
しかしながら……。
うちの撫子は、滅び去りました。
原因はわかってます。
豆乳の搾りカスを、ハンギングに撒き続けたからです。
栄養あると思ったんだけどな。
逆に、栄養ありすぎてダメだったのかも。
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3. ハーレクイン- 2012/11/06 20:22
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それはそうでしょう。
何といっても日本女性のシンボルですからねえ。
>栄養あり過ぎてダメだったのかも
うーむ。
なにやらかにやら、いろいろ考えさせられるエピソードですなあ。
美味い物を食べさせたらダメになる。
いい生活をさせたら滅び去る。
我が家の撫子もたくましいしなあ。
ふむ。
その昔、「貧乏人は麦を食え」「米は金持ちが食う」と言い放ったおっさんがおったが、ま、実際にはマスコミが面白おかしく改竄した台詞らしいが、ある意味真実をついているのかもなあ。
ま、そんなことに関わりなく、ナデシコの花は元気いっぱいだなあ。
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4. Mikiko- 2012/11/07 08:09
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貧しい人々が、日々のパンにさえ事欠いてると聞き……。
「パンが無いのなら、ケーキを食べればいいじゃない」
こう言い放って、民衆の怒りを買い、断頭台の露と消えました。
うー。
具合悪い。
もう一眠りしよう。
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5. ハーレクイン- 2012/11/07 09:48
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わたしの母親の得意台詞ですが、具合悪い時には寝てるだけではあきまへんで。
医者、医者。
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6. Mikiko- 2012/11/07 19:32
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蒸気でホットアイマスクを付け、再び就寝。
もらった薬、やたらと眠くなるんです。
でも、お昼前に目覚めたら……。
熱が引いてました。
どうやら、峠は越えた模様。
明日は、出社できそうです。
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7. ハーレクイン- 2012/11/07 20:28
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熱、ひきはりましたか。
それは重畳。
やはり「寝るは百薬の長」ですかのう。
「酒は百薬の長」なあんてのもありますが。