Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
センセイのリュック/第四場 第一景
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戯曲『センセイのリュック』作:ハーレクイン



第四場 第一景 夜の屋上



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↑舞台用語です(クリックで大きい画像が表示されます)。用語の解説は、第二場第二景のはじめにあります。


006f8c54.jpg

↑今回の舞台設定と、女優さんの動きです(クリックで大きい画像が表示されます)。


新登場人物
 後閑朝子(ごせき ともこ):梅ヶ丘女子高2年、地学部天文班チーフ
 右嶋茜(みぎしま あかね):梅ヶ丘女子高1年、地学部天文班員
 右嶋緑(みぎしま みどり):梅ヶ丘女子高1年、地学部天文班員


梅ヶ丘女子高、旧館屋上。
夜。

舞台設定は、第三場と同じ。
舞台上の照明は落とされ、夜になったことを示している。ただし「階段室」には照明がある。
また、“ピラミッド”下の香奈枝と陽子には、スポットが当たっている

屋上と部室の間を行ったり来たり、せわしなく動き回る朝子、茜、緑の三人。屋上に天体望遠鏡を据え付けている。
時折夜空を見上げる三人。

香奈枝と陽子は“ピラミッド”の下、屋上の床面に横たわり、抱き合ったま眠っている。


朝子「ああ、もう、くっそう。
   まあた曇ってきやがった」
茜「だから、チーフ。
   今日は無理だって、皆言ってたじゃないですか」
緑「そおですよ。だから他の人、誰も来てないし」
朝子「まったく、根性無しばっかりだよ、うちの部は」
茜「根性で空は晴れませんよ」
緑「そおですよ。気象の夕子チーフも、今夜は絶対曇りだって」
朝子「夕子ぉ? あいつの天気予報なんぞあてになるかい」
茜「あてになるかいって、当たったじゃないですか
朝子「そらあ、でたらめ言ってたって100回に1回は当たるわい」
緑「でたらめで100回に99回外すというのもすごいですね」
朝子「ああもう、あんたらは。
   何の役にも立たんくせに、口だけは達者なんだから」
茜「あ、ひどぉい」
朝子「そうだろうが、いっつもいっつもつるんで動くから、
   二人なのに一人前の役にしか立たんし」
   茜・緑「ああ~、ひっどぉい」
朝子「*ユニゾンでしゃべるのはやめろ。
   口だけは二人分だな。
   あんたらはこまどり姉妹か」

*ユニゾン:斉唱。同じメロディ・リズムでの合唱。

緑「誰ですかあ、こまどりって」
朝子「こまどり姉妹を知らんのか。常識が無いなあ。
   まさか、ザ・ピーナッツも知らんかったりして」
茜「ピーナッツは知ってますよ。昔の双子デュオでしょ」
緑「こないだ見た怪獣映画に出てましたよ、ピーナッツ」
朝子「妙なものを引き合いに出したな。
   何だ、怪獣って。ゴジラか。
   歌手なんだから、歌の話題にしろよ」
緑「でも、歌ってましたよ、映画の中で」
茜「ゴジラじゃないです、モスラです。
   ♪モスラ~やっ、モスラぁ~」
茜・緑「♪ドンガカサクヤっ、インドムゥ~」
朝子「ああ、もういいもういい。
   よくそんな歌、覚えられるな」
緑「You Tubeで何度か聞いて、耳コピですぅ」
茜「すごいですよモスラ」
緑「昆虫のくせに東京タワーをへし折るんです」
朝子「どうせへし折るんなら東京スカイツリ―にすりゃええに」
茜「えー、1961年公開ですよ、モスラ」
緑「スカイツリ―なんて、影も形もありませんよ」
朝子「おう、そうかい。
   んで? ピーナッツのモスラ覚えてどうしようってんだ」
茜「今度、なんかの余興でやろうと思って」
緑「ウケると思うんですよね、衣装も作って」
朝子「あほ。そんな暇あったら勉強せんかい」
茜「勉強って、こないだ中間終わったばっかじゃないですか」
緑「そんな勉強ばっかしてたら、アホになりますよ」
朝子「ほんっとに口の減らんこまどりだな」
茜「だから、こまどりなんて知りませんって」
緑「せめてマナカナちゃんにしてくださいよ」
朝子「こまどりを馬鹿にしてはいかんぞ。
   ファンの男がこまどり姉妹の片方に惚れて、
   結婚してくれ、と言った、
   もちろん断るわな。
   断られて逆上したこの男、
   こまどりの舞台に乱入して刺しちゃったんだよ。
   ま、命に別状なかったらしいが、
   それくらいの人気だったらしいぞ、こまどり。
   ところが、刺されたのはもう一人の方だったらしいが」
茜「あっら~、おまぬけな暴漢さん」
緑「結婚して、というくらいなら見分け付けないとねえ」
茜・緑「いやあねぇ」
朝子「あんたらも刺されるくらい可愛げがあればな」
茜・緑「ああ~、ひっどぉい」
朝子「だからユニゾンでしゃべるなって」

茜「でもぉ、これはぁ」
緑「生まれたときからですもん」
茜・緑「ねえぇ~え」
朝子「いくら双子といっても、
   まさか二人同時に産声を上げたわけでもないだろに」
茜「あ、そうらしいですよ」
緑「母が言ってます。二人分の産声を同時に聞いたって」
朝子「それはお母さん、出産の苦しさで錯乱してたんだよ」
茜「安産だったって聞いてますけど、ね~え」
緑「うん。しゅぽんしゅぽんって、連発銃みたいだったって」
朝子「ああもう、頭痛くなってきた」
茜「バファリンありますけど」
朝子「もう疲れた」
緑「ファイト!いっぱぁーつ、リポビタンありますけど」
朝子「そんなもんまで持ち歩いてんの」
緑「ウソです」
茜「鷽(ウソ)といっても、鳥じゃないですよ」
朝子「もういい、もうわかった。
   今度の部会で提案する。
   双子の入部はこれを許さず、とな」
緑「あ、ひっどぉ~い」
茜「差別だ」
緑「双子蔑視だ」
茜「全日本双子連絡協議会に訴えてやる」
朝子「え、そんなのあるの」
茜・緑「うっそぴょ~ん」
朝子「きっさまらぁ」

緑「あ、チーフ、先輩、怒っちゃいや」
茜「どうどうどう」
朝子「わたしは馬かい。も、許さん」
緑「おおっと、殿中でござる。羽交い絞め」
茜「またはフルネルソン」
朝子「御放し下され、梶川どのぉ」
緑「ノリがいいですねえ、チーフ」
茜「よーし、そのままだよ。
   とりあえず、ここ触ったらおとなしくなるかな」
朝子「あ、こら、緑。そこはおっぱい……」
茜「ブッブー。あたしは茜でーす」
朝子「どっちゃでもええわい、
   あんたらは双子1号・2号で十分だ」
緑「あーああ、ロンドンブーツにされちゃったよ」
茜「無礼なチーフに天誅を、えい、どうだ」
朝子「いやあ~ん」
緑「お、可愛い声。あかね、乳首弱そうだよ、チーフ」
茜「ようし、うりうりうり、どおだ朝子チーフ」
朝子「いやあ、いやいや、やめてえ」
緑「ねえチーフ、キスしようよ、こっち向いて」
茜「あ、ずる~い、みどり。あたしもキスする」
緑「じゃ、三人でしよう。チーフ、口、開けて」
朝子「いやいや、いやあ」
茜「なあに言ってんの、好きなくせに。
   こないだ、美術部の前之園さんとしてたでしょ、屋上の隅で。
   見たよ、あたしたち」
朝子「なによ、ウソよ、そんな」
緑「往生際悪いなあ。ほら、あかね、するよ、キス」
茜「おいきた」
朝子「あむ、んんんんん、んんっ」


三人で唇を合わせ、舌を絡め合う朝子と、茜・緑。
ピラミッドの下では陽子が目を覚ます。


陽子「あー、痛ったあ。
   コンクリの上で寝るのは体に悪いなあ。
   全身ばきばきだ。
   せんせ、香奈枝せんせ。起きて」
香奈枝「お、おう、陽子ではないか。
   何をしておる」
陽子「何って、せんせ。寝ちゃったみたいだよ、わたしたち」
香奈枝「おう、そうか。
   何だ、真っ暗ではないか。何時だあ、今」
陽子「えーっと、8時過ぎですね」
香奈枝「もうそんな時間か、ずいぶん寝たなあ。
   道理で頭すっきり、お肌ぴちぴちだよ」
陽子「えー、せんせ。体痛くないのお」
香奈枝「へ? 痛いって、なんで」
陽子「だってコンクリの上に直寝(じかね)したんだよ。
   わたしなんかもう、体ぐきぐき」
香奈枝「情けないのう、修行が足りん。
   それでは野宿できんぞ」
陽子「野宿って、しませんよそんなこと」
香奈枝「そうかあ、
   スケッチ旅行とかでする機会はあろうに」
陽子「そういう時はちゃんとしたとこに泊まります。
   少なくとも屋根のあるとこにね」
香奈枝「そうかあ、夜空を見上げて寝るのはええもんだぞ。
   山に入ると星が凄い。
   『降る様な星空』という手垢のついた言い廻しも、
   まんざらでたらめでもないのがわかるぞ。
   流れ星とかも結構あるしのう」
陽子「でも、雨が降ったらどうするんですかあ」
香奈枝「♪雨が降ったら濡れればいいさ」
陽子「何ですかあ、その歌」
香奈枝「知らんか。
   山の歌の定番『雪山賛歌』の一節だ。
   ♪雪ぃよ岩ぁよ我らぁ~が宿りぃ~」
陽子「画家としては、キャンバスを濡らすわけにはいきませんね」
香奈枝「はは、そらそうだの。
   どれ陽子。こっちゃこう」
陽子「またするの、せんせ」
香奈枝「あほ、マッサージしてやろうというのだ」
陽子「わあ、うれしい。でもベッドないし」
香奈枝「立っててもできる。ほれ」


立ち上がって向かい合い、抱き合う香奈枝と陽子。
香奈枝は陽子を抱きしめ、背中をほぐすように擦る。


陽子「ああん、せんせ、きもちいい」
香奈枝「気持ちよかろ」
陽子「背中の痛いとこ、よくわかるねえ、せんせ」
香奈枝「野宿歴数十年の経験のなせる技だな」
陽子「ね、せんせ。キスして」
香奈枝「なんだ、唇もこわばっとるのか」
陽子「もう、そんなわけないでしょ。
   いいから、して、キス」
香奈枝「ほれ」
陽子「ああん……せんせ……んんんん」
香奈枝「むむ、んんんん」
陽子「ああ、せんせ……マッサージもいいけど、
   キス、ほんとに上手ねえ」
香奈枝「キス歴数十年の経験のなせる技だな」
陽子「今まで何人としたの」
香奈枝「さああ、もう数えきれんのう」
陽子「もう、憎らしいったら」
香奈枝「♪どうした拍子か あなたという人
   ♪憎うて憎うて たまらないほど 好きなのよ」
陽子「なあにそれ、せんせ」
香奈枝「ようは知らぬが、小唄だの」
陽子「小唄って、なあに」
香奈枝「もとは端唄(はうた)といったが、
   三味線に載せて歌う、短い、日本独特の歌曲だな。
   江戸期の文化・文政の時代に完成したそうだ」
陽子「あ、化政文化」
香奈枝「そそ、さすが知っとるな。
   1800年代初期だから、そろそろ武士の勢いは衰え、
   町人の文化が花開いた時期だな。
   かなり退廃的な香りもするがな」
陽子「ふう~ん、小唄ねえ。
   いろんなこと知ってるんだね、せんせ」
香奈枝「ま、あんたの倍くらい生きとるからのう。
   人は、歳を重ねんとわからんこともあるしな」
陽子「せんせ、なんかガッコの先生みたいだよ」
香奈枝「あほ、あたしゃガッコのセンセだ」

香奈枝「さあ、帰るか、美術部の陽子さん」
陽子「うん、生物の香奈枝せんせ」


香奈枝の左腕に両腕を絡め、香奈枝にぶら下がるように出口に向かう陽子。
朝子たちがセットした天体望遠鏡の前で立ち止まる香奈枝と陽子。


陽子「あ、望遠鏡が出てる。
   ということは……今夜は地学部の観測会か」
香奈枝「観測会? 夜にかあ」
陽子「せんせ、日食の観測じゃないんですよ。
   普段は月や星を観測するんだから、夜に決まってますよ」
香奈枝「ほう、なるほど。それはご苦労だの」
陽子「徹夜で朝までやりますからね。
   徹夜観測会。
   略して『テッカン』って言ってるみたいですね」
香奈枝「ほう、テッカン。面白そうだの。
   ちょっと見学させてもらうか」
陽子「そうですね。でも、なんで誰もいないんだろ」


開いたドアから階段室に入る陽子。
茜、朝子とキスしたまま、ふと視線を上げて陽子を見る緑。


緑「いやあああああああああああ」
センセイのリュック【第三場 第三景】目次センセイのリュック【第四場 第二景】/a>




コメント一覧
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2012/06/12 09:16
    • 暗転で、第三場から第四場に進んだ『リュック』ですが、舞台設定は変わっておりません。屋上、舞台奥に、新たに天体望遠鏡がセットされただけ。
       手抜きや。
      なにをああた、そのような。
      この設定でさらに話を進めませぬと、舞台に「階段室」などを拵えた意味がございませんがな。
      この「階段室」は、梅ヶ丘女子高、地学部の部室でもあるわけでして、これから地学部の面々の活躍が展開されるわけでおます。
      しかしこうなると“ピラミッド”が邪魔だなあ。
      舞台上には女優さんが何と5人。うまく動いてくれますかどうですか。
      すべては監督の采配にかかっておりますが、第四場はすでに進行中。あとは女優さんたちに任せるしかありません。
      監督は舞台袖で固唾を飲んで見守っております。
      それにしても『リュック』。
      生物部、テニス部、美術部、地学部と各部を渡り歩いておりますが、そろそろ校外に出るかなあ、とも考えております。
      “センセイのリュック”自体は、まだ登場しておりません。
      何処にあるのか。
      そして……何が入ってるんでしょうか。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2012/06/12 20:13
    •  わたしは、中学も高校も帰宅部だったので……。
       部活の雰囲気は、まーったくわからんのだ。
       授業が終わっても、まだ学校に残ってる人の気が知れなかった。
       人付き合いが苦手だったので、クラス内の人間関係だけで手一杯。
       さらに交流を広げるなんて、とても考えられなかった。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2012/06/12 20:46
    • そんな昔からあったのか。
      わたしらのときは、高校はともかく、中学では強制的に何らかの部に入らされたものだ。
      ほんとは写真部か、ブラスバンドに入りたかったのだがね。どっちにしようか迷っているうちに、柔道部に入りたがってたクラスメートに、ムリヤリ引きずりこまれたのだ。
      腹立つことに、このクラスメートの野郎、わたしより少しだけ強かったのだよ、柔道。
      高校でT研に入ったのは、もちろん望遠鏡に触りたかったから(単純なやつ)。
      テニス部や美術部などは別によく知ってるわけではありませんが、「ああ、やっとるな」てな感じで、遠くからテニスコートを見たり、美術室を入り口から覗いたりはしました。その程度。
      ただ、写真部とは、部として付き合いが深かったなあ。
      そのあたりは、今後『リュック』のエピソードとしてご紹介しましょう。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2012/06/13 07:45
    •  B高校を覗きたかったからではないのか?
       当時の写真部ってのは、暗室とかもあったのかな。
       淫靡な気配、濃厚ですね。
       美術部や写真部では、モデルを使ったりもしたんだろうか。
       ま、プロを雇えるわけないから……。
       生徒が、なったんだろうけど。
       ヌードも……、ありとか?

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2012/06/13 13:17
    • 暗室は、もちろんあったよ。
      で、この暗室を使いたいがためにT研は写真部とタイアップしていたのだ。
      ただし、写真部に女子はいなかった……ような。
      我々が押しかけているときは、どっかに隠れていたのかもしれんが。
      一方、T研の女子は全員気象班。写真なんぞに興味なし。
      ということで、淫靡な気配など全くなく、暗室内は、むさい男どもで押すな押すなでした。
      そういえば、写真部の連中はどんなの撮ってたんやろ。記憶になし。
      美術部については何の記憶も無し。全く付き合いなかったからなあ。
      付き合いがあれば、こっそりヌード鑑賞させてくれてたりして。
      そういえば、B高校を覗いた時、写真も撮っときゃよかったなあ。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2012/06/13 19:51
    •  今なら……。
       「気象予報士」を取得して、お天気お姉さんになるという道があるけど……。
       テレビも無かった当時、何のために気象の研究なんかしようとしたんだろう?
       良妻賢母になって、洗濯物を干すためか?

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2012/06/13 22:06
    • 中学や高校の部活をそんなにマジに取っちゃダメダメ。
      別に将来の目的のためにやってるんやおまへん、部活。
      遊び遊び。
      または暇つぶし。
      ま、例外はあるけどね。
      「野球で甲子園に行く→プロ野球選手」とか、
      「気象大学校に進学する→気象庁」とか。
      まれに「超望遠レンズによる盗撮技術を磨く→講談社FRIDAY」とかね。
      それにしても「テレビもなかった時代」って……あったぞ、テレビ。
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