Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
風楡の季節【第13章】
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「風楡(かぜにれ)の季節」作:ハーレクイン


第13章 由美と夏実2


 由美は立ち上がり、バスローブを脱ぎ捨てる。下には何も着けていない。

 床に横たわる全裸の夏実。
 その傍らに立つ全裸の由美。
 由美を見上げる夏実。
 夏実を見下ろす由美。
 二人の全裸の少女たちは、四月の陽光に誇らしげにその体を曝している。それは、ギリシャ彫刻のヴィーナス像にも見える。

 由美が不意に膝を折る。
 夏実の右側に横たわり、寄り添って体を伸ばす。それは、先ほど、意識のない由美の傍らに膝をつき、横たわった夏実の動きをそのままなぞったような動きだった。
 横たわる二体のヴィーナス像。
 由美の肌は抜けるように白く、夏実の肌は陽光を沁み込ませたように浅黒い。

 女と男はもともとは一身一体の生き物だった。それが神の手で二つに引き裂かれ、自らの半身を求めてさまよい続けるのだ……という言い伝えがある。
 二体の全裸のヴィーナスは、元は一体だったのかもしれない。今、ようやくめぐり逢ったのだ。
 二体で一体のヴィーナス……。

 由美は、左腕を夏実の右脇下に差し込み、夏実の頭を抱え込む。夏実の前髪を右手でかき上げ、瞳を覗き込む。

「夏実、あなた、男性との経験は……無いわよね」
「ありません」
「オナニーは? さっき外で出会ったとき『夕べ3回した』って言ってたけど」
「それは嘘です、すみません。オナニーは……昨日、初めて覚えました」
「きのう? はじめて? ほんと?」
「はい。あんな気持ちいいこと……生まれて初めてでした……やだ」
「ふーん。晩生っていうかネンネっていうか……柔道はあんなに強いのにねえ」
「柔道は関係ないと思いますけど……由美さんはあるんですか、オナニー」
「もちろんあるわよ。それが普通よ」
「そうですか……皆、普通にやってるんだ」
「ま、皆が皆かどうかまではわからないけどね。
 それより夏実。女の子とはどうなの」
「女の子ともありません。ま、しいて言えば、さっき話した美玖とのことはありますが……あれは経験とまでは言えませんよね」

 夏実の脳裏を、香奈枝とのことも行き過ぎたが……。

「でも夏実。わたしにキスしたりしたってことは、女の子には興味あるんでしょ」
「あ、ええ、それはもちろん。でも……」

 夏実は言葉に詰まる。先ほど、意識のない由美に触れ、全身を舐めまわしたことは甘美な体験だったが、しかし、それだけだった。

(なぜ……)

 なぜあの時「違う」と感じたのか、夏実にはよくわからない。

「でも……なあに」
「よく、わかりません」
「また始まったな、夏実の『よくわからない』」

 由美は微笑む。夏実もつられたように微笑みを返す。二人の少女は、声に出してくすくすと笑いあった。
 由美の唇が夏実の唇に近づき、触れる。小鳥が餌をついばむように触れる。夏実の唇も自然にそれに応え、由美の唇をついばむ。覚えたてのキスの感触を確かめるような、幼児の様なキスだった。

「由美さんは、経験あるんですか、女のひとと」
「あるわよ、ついこの間知り合ったばかりなんだけどね。生まれたときからの、いえ前世からのお付き合いがあるような、そんなひととね」
「あの、白いドレスの……ひとですね」
「そうよ」

 夏実は思う。

(そうか、やはり……命より大事って……そんなに)

 夏実は思わず嘆息する。
 由美が問いかける。

「どうしたの」
「あ、いえ……そんなひとがいるなら……だめですね」
「だめって、何が?」
「わたし由美さんと……いえ、由美さんに……して、ほしいって……してもらえたらって……思ったんですけど」
「もちろん、いいわよ。わたしも夏実としたい」
「でも……いいんですか、ドレスのひとは」
「わたしと美弥ちゃんは……あ、名前言っちゃったな、まあ、いいか。わたしと美弥ちゃんの関係はね、わたしが夏実としたからって、どうこうなるようなものじゃないの」
「それは……でも」
「それにね、なぜかよくわからないけど、夏実とも、ただの行きずりとも思えなくなってね」
「由美さん……」

「夏実……わたしの言うこと、なんでも聞ける?」
「あ、はい、もちろんです」

 由美はにっこり微笑み、改めて夏実に顔を寄せ、夏実の唇に唇を合わせる。先ほどと同様、ついばむようなキスを数回……。
 二人の唇が自然に開き、隙間なく合わさる。由美の舌が夏実の口腔内に入り込む。舌の上辺を、夏実の上の前歯の先端が掠める。二人の舌が触れ合う、擦れ合う、絡み合う……。

 二人が行う初めてのキスのはずなのに、今まで幾度となく唇を合わせてきた者どうしが久方ぶりに行うような、そんな手慣れた、それでいてこの上なく激しく、ぶつかり合うような、お互いを相手にぶつけるような……そんなキスだった。
 夏実は、鼻孔で呼吸し、耐えがたいように鼻声を漏らす。

「ん、ふうん」

 由美が唇を外し浮かせる。夏実は喘ぐように呼気を吐き出す。

「あっ、はああ」

 絹の様な唾液が細い糸を引き、由美の下唇と夏実の口内を繋ぐ。

「夏実、舌……出して」

 夏実の舌先が開いた唇の間から覗く。

「だめ、もっと」

 夏実の舌がさらに伸びる。

「もっと、もっとよ」

 夏実の舌先が天をめざし伸び上る。夏実の咽喉奥から呻きが漏れる。

「えっ、ええっ」

 前歯の先で支えられた舌が緊張する。舌先が震える。

「だめよ、まだだめよ夏実、もっとよ」

 目尻に涙が滲む夏実の瞳が、訴えかけるように由美の瞳を見つめる。

「ええっ、うえっ」

(お願い、舌、吸って)
(吸って、お願い、由美さん、吸って)

「けへっ」

 由美の唇の間からようやく舌先が覗く。夏実の目がその舌先を目ざとく見つけ、焦がれるように凝視する。由美の顔が少し下に降り、舌も下方へ、待ち焦がれ慄く夏実の舌先へ近づく。さらに由美の舌が伸びる、伸びる……。
 ようやく二つの舌先が触れ合う。だが……。

(駄目、もう……)

 夏実は限界まで上方に伸ばした舌の姿勢を、それ以上保てなくなった。舌全体が痙攣しそうだ。夏実は舌を少し引き戻すとともに首を擡げ、由美を迎えるように顔全を近づける。
 二人の唇が再び触れ合い、舌が絡み合う。由美は、夏実の舌と唇から逃れるように顔を起こす。

「ああっ、いやあ」
「駄目よ夏実、言いつけは守ってね。わたしは『舌を伸ばしなさい』と言ったのよ」

 夏実の顔がくしゃくしゃに歪む。
 由美の命令に背くつもりはない。しかし、もう体が、舌が言うことを聞かない。聞いてくれない。夏実は、もどかしさと苛立たしさと、由美の命令に従うことのできない情けなさと、そして由美としっかり口を合わせたい欲望との狭間で、立ち往生する。知らぬうちに涙が吹き零れる。
 夏実は自分が、柔道を始めたころの、何も知らず、何をどうして良いかわからず、母が自分に何を望んでいるのかも理解できない、幼女の頃に戻ってしまったように感じられた。

「あらあら、何も泣くことはないでしょ」
「すみません、ごめんなさい」

 夏実は擡げていた首を落とし、逆にのけぞるように後頭部を床に預ける。

「ごめんなさい、由美さん。ごめんなさい、ごめんなさい。言いつけを守れなくてごめんなさい、ごめんなさい」

 涙を吹き零し、熱病患者の譫言のように、ひたすら謝罪の言葉を繰り返す夏実。その夏実を愛おしそうに抱きしめ、由美は声をかける。

「さあ、泣き虫さん、泣き虫夏っちゃん。そのままでいいから口を開きなさい」

 のど元を晒し、唇を開く夏実に、由美は改めて唇をかぶせる。夏実の口腔内で再び二人の舌が絡み合う。
 由美の舌は愛おしそうに夏実の舌を愛撫する。夏実の舌はようやく与えられた由美の舌に慄きながら応える。応えながら由美の舌を押し戻し、自ら由美の口腔内に忍び込む。再び由美の舌が夏実の舌を押し戻す……。
 二つの舌は、二つの口腔内の全てをステージとして自在に乱舞する。二人だけの舞踏会はいつ果てるともなく続く……。

 夏実の身体感覚はさらに時を遡る。母の胎内を通り抜け、新生児として産声を上げ、生まれて初めての産湯につかったときのような、緩やかな温かさと、得も言われぬ穏やかな安らぎの中にいた。そのような感覚の記憶がありえるのだろうか……。

 夏実の涙腺から絶え間なく涙が流れ出し目尻から耳元へ、目頭から溢れて鼻梁の麓を伝い流れる。
 由美の唇と舌は夏実の唇から離れ、その涙を舐め、掬い取り、吸い取る。一滴も零さないとでも言うように、これが、今の夏実との行為の目的ででもあるかのように、夏実の全てを受け入れ、夏実の全てを理解する唯一の術だとでも言うように。

「うっ、くっ、うくっ」

(なぜ、こんなに涙が出るんだろう)
(今まで泣いたことって、ほとんどない)
(柔道を始めた最初の年はよく泣いたけど)
(悔しくって、情けなくって、泣いた)
(泣くたんびに母さんに叱られた)

(でも今は……なぜこんなに泣けるんだろう)
(悲しいのか、嬉しいのか、よくわからない)

 夏実は、今の自分の様々な思いよく理解できず混乱しながら、涙を止められずにいた。

(いつまでも泣き止まないと、由美さんにかまってもらえない)

 それでも夏実の涙は止まらなかった。
 由美が上体を起こし、夏実に声をかける。

「夏実、解こうか」

 夏実の心臓が跳ね上がった。
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2012/01/31 11:24
    • えー、突っ込まれる前に先回りして申し述べます。
      以前から海苔ピーさんご指摘のように、この『風楡の季節』、「由美と美弥子サイドストーリー」と銘打ちながら、ご本家の時系列を無視するわ、登場キャラの細かい設定を勝手に変えるわ。寛容な管理人さんの鷹揚なお心がなければとっくに掲載中止になっているところですが……。
      今回、その「時系列無視」の報いが如実に露呈してしまいました。
      ご本家では、まだ言葉すら交わしていないはず(『風楡』の季節設定は4月半ばですからねえ)の由美ちゃん美弥ちゃんが、とっくのとうに結ばれている、ということになってしまいました。
      いくらパラレルワールドという逃げを打ってもこれはあんまりや。
      ということで、『由美と美弥子』ご愛読の皆様、すべてのMikiko’s Roomファンの皆々様。申し訳御座いません。
      “『由美美弥』と『風楡』では時の流れる速度が異なるのだ”ということにさせて下さいますよう、伏してお願い申し上げます。
       (もう完全にSFやな)
      このような事態に立ち至った原因は、物語の冒頭「怒り狂って桜吹雪の中を歩む夏実」というイメージにこだわったためです。この物語を思いついた時、真っ先に浮かんだイメージがこれだったのですよ。で、物語をここから始めてしまいましたのでね。その結果がこの事態を招いたわけです。
      原因はもう一つあります。
      『風楡』第2章で、物語に箔をつけようというさもしい魂胆から、宮沢賢治の『春と修羅』を勝手に引用してしまいました。これも“桜吹雪の中の夏実”のイメージから思いついたわけで、ずいぶん迷ったのですが、誘惑に勝てませんでした。
      ということで『風楡』の季節設定は4月にせざるを得なかったわけです。ご存じのように『春と修羅』の設定も四月ですからねえ。
      ですが、今更すべてを書き直すわけにも参りません。どうか「アホなやっちゃ」と笑い飛ばしてご寛恕いただきますよう、アホ作者、伏してお願い申し上げます。
      さらに(まだあんのかい)、昨年末頃「1月中に完結」と申し述べましたが、まだまだ終わりませぬ。というか、終われませぬ。頑固者の夏実が最後のあがきをしております(登場人物のせいにすな!)。
      こやつを何とか肩固め(史上最弱の柔道家、HQの得意技)で抑え込んで完結に持っていく所存。2月中には終わりますでしょう。
      なにとぞ、最後までお付き合いをよろしくお願い申し上げます。
      番宣、あ、いや、お詫びとご挨拶を終わります。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2012/01/31 20:16
    •  オリジナルを書く方が、ずっと楽だよな。
       なぜ、二次小説が、あんなに書かれてるんだろう?
       ともかく!
       どんな結末を迎えるのか……。
       そこまで、どう持っていくのか……。
       お手並み拝見です。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2012/02/01 02:21
    • この期に及んで、プレッシャーをかけるのはご勘弁。
      結末は……。
      ちらっとヒント、と思いましたがいやいや、やめとこう。
      あ、女教師は登場しません。念の為。
      あのお方は、到底私などの手におえるタマではありません。
      女教師ファンの方には申し訳ありませんが……。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2012/02/01 06:10
    •  海苔ピーに、ぜんぶバレちゃうぞ。
       女教師の口調は、書いてると気持ちいいものです。
       全能感みたいなのが感じられます。
       一度やってみたまへ。
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