2014.11.8(土)
悲しげに身を捩る亜希子の体に、時折不自然な力が入り始めた。
「ああ……いやっ、……ゆるして! もうっ……やめて!」
「はあ……はあ……もう我慢できないんでしょ? いいよ、さあほら……」
薫は両手で亜希子の裸身を一層強く抱き寄せる。
クリトリスに恥骨を密着させると、反り返った物で濡れた襞を揺すり上げる。
「はあ……、ほら……気持ちいいでしょ? いくって言ってごらん」
「いや……だめっ……あはああ……いやっ!!」
「いやじゃないでしょ? ほらほら、もう我慢出来ないんでしょ? さあ、いいのよ、思いっきり……」
薫の柳腰が狂おしく蠢めいて亜希子を追い立てる。
「ああ~、いや、いやっ……!!」
薫の腕の中で、亜希子の身体が強張った。
「もうだめでしょ! ああ、可愛いわ! ほら言って、いくって言って!!」
「んああっ、いやあっ!」
悲しげに眉を寄せた亜希子は、薫の肩に両手を突っ張ってうねり上がった。
それを追いかけて激しく腰を使いながら、薫は亜希子の耳元に訴える。
「はあはあ……ほらほらもうだめでしょ、我慢できないでしょ? 言って! いくって言って!!」
猛々しく薫に貫かれながら、亜希子の白い身体に浅ましい痙攣が走る。
「はあああ………、ああいやっ! ……いやあっ!!」
とうとう亜希子は、薫に合わせて激しくその腰を振った。
「はあっ、………あああ~!!」
「ほら! いくって言って!!」
「くはあっ………い、……いくう…………!!!」
なおも薫に突き動かされながら、亜希子の身体を目くるめく絶頂の波が走った。
「いやっ! もうやめて~~~っ!!!」
獣のように絡み合った女達の横で、碧の悲壮な叫び声が上がった。
「うう……ううう……」
荒い息遣いの合間に、碧の啜り泣きが聞こえる。
大きく胸を波打たせている亜希子の両脇に手をつくと、薫はゆっくりとその腰を上げる。
まだ猛々しく脈打つ物が亜希子から跳ね出て、音を立てて薫の下腹を叩いた。
「うふふ、まだよ。まだいけるでしょう……?」
上から両手を握り合せると、薫は再び亜希子に身を重ねていく。
「……お願い……もうゆるして………」
身をよじりながら亜希子は弱々しい呟きを漏らす。
「うふふ……だめよ、……ほら……」
「いやあ…………ん……あ……ぐ……」
微妙に腰を動かして、手を使わないまま薫は亜希子とひとつになった。
「あたしたち、最高の相性よね……」
優しく乳首を競り合わすと、そのまま身の重みを預けていく。
強張った乳首が互いの乳房の柔らかみに食い込む。
求めて来る薫の唇を、亜希子は顔を背けて避けた。
「お願い、もうやめて……」
「あなた、まだあの娘のことを考えてるの? あんな娘、いなくなればいいのよ。いいえ、もうすぐ私が消し去ってあげるわ」
そう言って意味深な笑みを浮べると、薫は再びゆるゆると下肢を動かし始める。
「お願い、もう……ゆるして……」
眉の間に縦じわを寄せて亜希子はきつく目を閉じる。
「ふふ、やめていいの? 多分あなた……」
そり返った怒張で濡れた襞を揺るがしながら、薫は亜希子の耳に唇を寄せた。
「またすぐいっちゃうわよ……」
熱い吐息と共に囁かれて、亜希子は身が震えるのを覚えた。
薫が言うように、一度絶頂に押し上げられた身体は、再び簡単に燃え上がりそうなのだ。
ゆるゆると襞を押し引きされるだけで、切ない疼きが身の内に湧き上がって来る。
「今日はあたし、たくさん出そうよ」
その呟きに、亜希子は目を開けて薫の顔を見上げた。
「今度はあなたに合せて、奥にたっぷり出してあげる」
「そ、そんなこと、だめっ! ……い、いや! ………ぐむん………」
必死に訴える唇が薫の唇に塞がれた。
唇を割られると同時に、亜希子を熱く満たしたものが抉る様に動き始める。
亜希子は薫の両手をきつく握り返した。
「ふ……、んぐ……うう……!」
甘い舌を吸わされながら、亜希子は強張った呻きを上げて身を戦慄かせた。
「んっ……んんぐっ………、ぷはっ……はあっ……」
亜希子は薫の唇を振り切って、焼け付く様な息を吐いた。
必死に薫の肩を掴んで傍らの碧の姿を探す。
しかしもうそこには、碧の姿を見つけることは出来なかった。
「あんな娘はもういなくなったわ」
薫は亜希子の奥に脈打つ物を押し込むと動きを止めた。
「……んん……」
これ以上ないほど満たされて、亜希子の身体が小さく震える。
「もともとあたしたちは夫婦なのよ。あなたを誰にも渡さないわ」
「……え……?」
亜希子は詰まった声を出した。
「あなたはあたしの妻なのよ。でも、もういいわ、もうあの娘はいない。さあ何もかも忘れて、私のものになるのよ」
そう言うと薫はその下半身をゆっくりと波打たせ始めた。
汗ばんだ互いの乳房が滑らかに競り合う。
「あの娘はいないわ。ここには、あたしとあなただけよ……」
亜希子はそれを悪魔の囁きの様に聞いた。
我知らず絡み付く濡れた襞を、薫のものが優しくめくり返す。
「ああ……いやああ……」
信じられない事に亜希子のその拒絶の声は、微かではあるが女の媚を帯びていたのである。
「あはっ! ……だめっ……!」
裏返った声を上げて、亜希子は薫の肩を掴んだ。
引き抜かれた熱い強張りでクリトリスを摩られたのである。
湿った音を立てて押し引きしているものを、薫は時折急に引き抜いて亜希子になすり付けるのだ。
「あうう~~~っ!」
節くれだったものが悲しい突起を滑り上がる度に、亜希子は身をのけ反らせて痙攣した。
「ふうっ……、あたしももう、たまんないわ……」
「くううう……」
薫の鈴口がクリトリスに競り合う時、亜希子はその先から漏れる熱い露が敏感なものに纏わり付くのを感じた。
そのまま濡れた襞を押し分けて、再び熱い怒張が亜希子に押し込まれる。
改めて薫は亜希子を抱きしめると、煽る様にその腰を使い始めた。
「ああっ……ああだめっ……」
「ふうっ……あたしを締め付けてるわね。だめでなんでしょう? いいわよ、ほら、……ふうう……思いっきりいって……」
そう耳元に囁きながら、薫は容赦なく亜希子を突き上げる。
「ああいやっ……ごめんなさい! ……ゆるしてっ……!」
「いやじゃないでしょ! ふうっ、もうだめなんでしょ! ほらほら……」
「あああ……いやあ……っ!」
そんな泣き声を上げながら、とうとう亜希子は薫に合わせて腰を振り始めていた。
「ほら、あたしにしっかり抱きついて……はあ……」
陰毛と共に恥骨がクリトリスを押し揉んで、薫の怒張が亜希子をえぐり込む。
「ひい……、あかしくなるう……!」
亜希子は尻の肉を震わせながら薫の腰を押し上げた。
「はあ……いいよおかしくなって! さあ来て、たっぷり出してあげる! 」
「いやっ!いやあああっ!!」
そんな悲鳴も無視して、薫は亜希子を抱きしめる。
「ううっ……ほらもうだめでしょう? くう……あたしももうだめっ!! 出ちゃう!!」
「いやあああっ……!」
きつく繋がったまま、二人の下肢が激しく振り立てられた。
「くう……もう出ちゃう!! 来てっ、亜希子……!!!」
「だ、だめよ、だめっ!! ……ああいやあっ!」
獣の様に抱き合いながら、亜希子は薫の怒張を食い縛った。
薫の熱い弾力が亜希子の中で激しく跳ねた。
「ああっいくいくっ! ………ああいくううっ………!!!」
自分の奥で熱い液体が弾け出るのを感じながら、亜希子を耐えがたい絶頂が襲った。
目の裏に稲光が走り、身体が反り上がって激しく痙攣する。
跳ねる怒張を締めつけたまま、亜希子は幾度も狂おしく腰を振った。
射精の快感に耐え切れぬ薫に首筋を噛まれる。
亜希子はその背中に爪を立てながら意識が遠のいていった。
「亜希子さん、亜希子さん……」
遠くから呼びかける声に、亜希子はふと目を開いた。
目の前に心配そうに見つめる碧の顔があった。
「ずいぶんうなされて……、悪い夢を見たのね」
「え……ええ……」
亜希子はふらつく頭を片手で押えながら身を起こした。
「亜希子さん、大丈夫……?」
亜希子はそんな碧の顔をまともに見ることが出来なかった。
「今、何時ごろかしら……?」
「あと15分くらいで夜12時のお祈りよ。もう最後の一日ですね」
「そうね。もう最後なのね……」
「あたしとっても嬉しかった。亜希子さんと一緒にいられて……」
亜希子は顔を上げて碧を見た。
無垢な笑みを浮べた顔が亜希子を見つめていた。
思わず亜希子は碧を抱き寄せていた。
固く目を閉じて先ほどの悪魔の囁きを追い払おうとする。
「どうしたの、亜希子さん……?」
「ううん、なんでもないのよ」
両肩に手を添えて、改めて亜希子は碧の顔を見た。
「これが最後じゃないわ。私たちはずっと一緒よ」
「本当……?」
「ええ、本当ですとも」
亜希子は喜びに輝く碧の瞳を笑顔で見つめた。
「うれしい!」
胸に飛び込んだ碧を亜希子は優しく抱き締めた。
しかしそんな亜希子の表情が不安げに変化した。
「なんか中が煙ってるわね……」
「ええ?」
「それに何だか少し暑いと思わない?」
碧も亜希子から身を離して周囲を見回す。
「夕方から大雨になったけど、少し換気が悪いのかしら……?」
二人が顔を上げて天井の換気孔を見ると、かがり火の立ち登る天井付近には何故か紫色の煙が立ち込めているのだった。