Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
身体の涙(18)
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「身体の涙」作:八十八十郎(はちじゅうはちじゅうろう)


(18)


 部屋中に満ちた激しい息遣いも消えて、気怠い静寂が二人を包んでいた。
 先ほどまで優美を狂わせていた奈緒子は、今は優美の胸で子供の様な寝息を立てている。
 優美の乳房に顔を埋めた奈緒子を優美はたまらなく愛おしく感じた。
 枕脇のティッシュの塊を右手を伸ばしてゴミ箱に捨てる。
 行為後の後始末と、キスで奈緒子の唇の廻りをきれいにするのは優美の役目だった。
 股間をティッシュで拭かれながら、いつも奈緒子は声を出して笑った。

 出会いの頃を思い出して、優美は我ながら感慨を覚える。
 今では奈緒子の唇が下半身に近づくにつれ、自分から両足を開いて奈緒子を迎え入れてしまうのだ。
 そして一度、二度と絶頂に追い上げられた後は、奈緒子が身をずり上げて濡れそぼったものを優美に揉み合せて来るのが分かっていた。
 みっちりと抱き合いながら巧みにオーガズムを合わせてくる奈緒子の行為は、まさに男女の比ではなかった。
 絶頂で溢れ出した互いの愛液が、熱くお尻を伝い落ちるのが分かった。
 全身が溶け合って、二人は獣の様に叫びながらオーガズムを共有した。

 優美は壁掛けの時計に視線を向けて、奈緒子の身体を小さく揺すった。
 もうお別れの時間が迫っていたのである。

 二人は奈緒子のマンションを出て国電の駅へと歩いていた。
 奈緒子は足を速めながら自然と自分の表情が硬くなるのを感じた。
 腕時計を見ると午後一時を指している。
 優美はそんな奈緒子の様子が気になって、遠慮がちに声をかける。
「奈緒子さん、どうかしたの・・・?」
 奈緒子は意外そうな笑みを浮かべて優美に答える。
「なに? 何でもないわよ。ちょっと時間がなくなっちゃったから。」
 しかし奈緒子はこの後に控えた問題を思って、嫌でも自分を奮い立たせようとしていたのである。
 それは幸枝と仕事のこと、そしてもうひとつは矢野彩香のことであった。
 幸枝のおためごかしに乗った自分も迂闊だったが、今やN局の看板番組である24時間TVの流れから奈緒子の会社は完全に外れてしまっていたのである。
 勿論もう彩香の存在も知っていた。
 奈緒子は大人の関係を重視して、従来の様に幸枝のお遊びは気にせずに対処していたのである。
 しかしほとんどの仕事に矢野彩香が関わっているのを知った今は、もう奈緒子も黙っている訳にはいかなかった。
 幸枝が彩香を連れ回している事にも不思議とジェラシーは感じなかった。
 今回は奈緒子にとってそんな次元の問題ではなかったのだ。
 何だか自分という人間の存在を無視、いや否定された様な気がした。
 矢野彩香というまだ右も左も分からない様な若い女の出現で、自分が何の意味も無い人間になってしまうのが我慢できなかった。

「じゃあね、また。」
 奈緒子はそう言うと駅の階段を上って行く。
 優美はまだ何となく奈緒子の様子が気になって、その背中に声をかけた。
「奈緒子さん、気を付けてね。」
 奈緒子は何故かゆっくり振り返ると、笑って優美に手を振った。
 それにつられて優美も笑顔で奈緒子を見上げる。
 奈緒子の背中は駅の階段の向こうに消えた。
 しかしその時優美は、その奈緒子の笑顔をその後何度も思い出すことになろうとは思いもしなかった。


 午後7時過ぎ、街はもう夕闇に包まれつつあった。
 奈緒子は人垣を縫って自分のマンションに向かっていた。
 いや向かっているつもりだった。
 奈緒子にはほとんど街の景色も目に入らなかった。
 何かに急かれる様に足を運んでいる。
 人垣を縫うのがやっとだった。
 小さな路地を曲がって人もまばらになると、奈緒子の目に涙が滲み、やがて一つの滴が頬を伝った。
 それからはもう、溢れ出る涙を止めることは出来なかった。

 今日の午後から奈緒子はN局の幸枝に会いに行った。
 他人をはばかる話なので、幸枝はわざわざ応接室で奈緒子を迎えた。
 今までの仕事の貢献も含めて詰め寄る奈緒子に対して、初めは笑いながらごまかしていた幸枝であったが、最後には、
「とにかく会社の方針もあるし、仕方ないのよ。それにあんただって随分いい思いもしたし、いい生活も出来る様になったんじゃないの。」
 その言葉に、奈緒子は呆然と幸枝の顔を見つめた。
「ま、まあ、私も個人的にお礼していいくらいの気持ちも持ってるんだから、遠慮なく言って。」
 幸枝の目は笑ったように見えて、その奥に冷たい光を放っていた。
 奈緒子は席を立ち、応接室を飛び出していた。
 幸枝の仕打ちにも腹が立ったが、そんな台詞を受ける生きざまになっていた自分が腹立たしかった。

 そのまま訳も無く歩き出した奈緒子を、業者用の待合室の前で矢野彩香が待ち受けていた。
「沢田奈緒子さんでしょう? ちょっとお話がしたいのですが。今誰も居ないので、どうぞ。」
 彩香は待合室のドアを開けた。
 奈緒子は彩香の顔を睨みつけると、挑戦を受けるように先に立って部屋に入った。
「矢野彩香と申します。初めまして。」
 彩香は奈緒子がソファーに座るのを待って口を開いた。
 奈緒子は彩香に視線を向けず、なるだけ冷静を装った。
「私の事はもう知っているのね。私はあなたに何も話すことは無いわ。もし話をするとしても、多分あなたが気分を悪くする事ばかりだと思うわよ。」
 そんな奈緒子の返事にも、彩香は因縁の無い口調で続ける。
「ええ、わかってます。でも私は沢田さんのことを、とても尊敬してるんですよ。」
 奈緒子は少し虚勢の笑みを浮べたが、相変わらず冷たく返事する。
「そう、ありがとう。でもあなた、何が言いたいの? 要件を言ってください。」
 彩香はまだあどけなさの残る顔に、いつになく大人びた表情を浮かべて言った。
「河野部長も今のままではないと思います。今はこれ以上何も申し上げられませんが、ただ沢田さんも同じように有能な方だと思うんです。ですからたとえ河野部長を利用しなくても、きっとどこにいらしても活躍出来る方だと・・。こんな何も分からない私が言うのも失礼なんですが。」
 奈緒子は改めて彩香の顔を見た。
“この子、何者なんだろう・・・?”
「申し訳ありませんが、私、沢田さんのことを調べさせていただきました。それに、副島優美さんのことも・・・。ここでは詳しい話も出来ないので、今夜沢田さんのマンションに伺ってもよろしいですか?」
 奈緒子は冷水を浴びた様な気がした。
 自分の事はさておき、優美の名前が出たことが奈緒子を怯えさせた。
“優美に、優美の家庭に何かあったら・・・。”
 堪らず奈緒子は彩香に問いただした。
「どういう事?! あなた、いったい何が言いたいの?」
 彩香は意外にあくの無い顔で答えた。
「そんなにご心配なさる事じゃないですよ。それに私、沢田さんに何だか親近感を持ってるんです。年の離れたお姉さんみたいな。」
 そんな彩香に疑惑の眼差しを向けながら、奈緒子はその申し出を承諾せざるを得なかった。
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コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2013/05/23 19:39
    •  久しぶりに聞きましたね。
       とても懐かしい響きです。
       JRの立ち上げは、1987年(昭和62年)4月1日。
       この小説が書かれたのは、少なくともそれ以前……。
       26年以上前ってことですね。
       古びてないのはさすがですが……。
       むしろ、この26年、街の風景はそれほど変わらなかったということでしょうか。
       一番大きな違いは、携帯電話の進歩でしょうね。
       1987年というと、携帯はほとんど普及してなかったと思います。
       小説に携帯が出てこないのは、そのせいでしょう。
       でも、中途半端なポケベル時代とかじゃなくて、むしろ良かったですよね。
       全部書き直しになっちゃいますから。

    • ––––––
      2. ハーレクイン
    • 2013/05/23 22:08
    • ま、彩香ちゃんがただの小娘でないのは先刻承知なのですが、後ろで糸を引いてるおっさんがいるからなあ。
      奈緒子さんのマンションにまで押しかけて、何をするつもりなんでしょうねえ、彩香ちゃん。
      当然、ただの表敬訪問ではありませんわな。
      それにしても、
      >優美は、その奈緒子の笑顔をその後何度も思い出すことに……
      ですか。
      ふむ。
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