Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
続元禄江戸異聞(二十二)
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「続元禄江戸異聞」 作:八十八十郎(はちじゅう はちじゅうろう)


(二十二)


幾十というカラスの群れが縦横に宙を滑って、木々の間を飛び回って逃げるお通に挑みかかってくる。
「はあっ、はあっ・・くっ・・。」
しかし木の幹を楯に逃げ回るばかりかと思われたお通であったが、息を切らしながらまだその目はらんらんと輝いていた。
「さあっ、こっちだ! はあっ・・ほら、ついておいでっ・・はあっ・・。」
三十路半ばの身体に鞭打って飛び跳ねながら、お通は叫んだ。
黒い羽ばたく塊が、渦を巻いてその後を追って来る。

「ほら、あそこだ!」
森の中に勢いよく飛び込んで来た黒麗は、飛び回るお通を指差して赤蛇尼に叫んだ。
しかしその直後、吹き抜ける風に思わず黒麗は周囲を見回す。
「ああっ!! いけないっ!!!」
慌てて口笛を吹こうとした瞬間、
“ボワっ!!!”
大気を揺るがす音と共に、森の中に一斉に激しい火の手が上がった。
“ギャアッ! ギャアッ!”
炎の中を逃げ惑うカラスが、次々とその羽を焼かれて地面に落ちてくる。
「な、なんてこと・・・。」
黒麗はその光景に呆然と立ち尽くした。
なんとお通は、森の中をぐるぐると逃げながら、火薬を撒いて火を放ったのである。
「黒麗、ここは危ない! ほら、向こうですっ!!」
赤蛇尼は我を失っている黒麗に叫ぶと、森の中を指差す。
その先には暗い森の中を走って逃げるお通の姿が見えた。
「くそっ、逃がすかっ!」
二人はいきり立ってその後を追って行く。
目で合図を交わすと、二手に分かれて相手を挟む作戦を取った。
逃げるお通は次第に疲れてきたのか、時折落ちた下枝に足を取られる姿も見せ始めている。
やがて徐々に間合いを詰めた二人の目に、一本の太い杉の幹に身を隠すお通の姿が見えた。
“よし、もう疲れたか・・。追い詰めた。”
赤蛇尼と黒麗は互いに顔を見合わせながら、少しずつお通に近づいて行く。
その間合いが三間足らずとなった時、赤蛇尼はそっと懐から銀色に光る半月状の得物を取り出した。
黒麗に目で合図を送ると、杉の木に向かって半月状の物を飛ばした。
それは銀色に弧を描きながら杉の木の向こうに廻り込んで行く。
幹の横からお通の町人姿が飛び出した瞬間、黒麗は続けざまに二本の手裏剣を放った。
見事に胸元を二本の手裏剣が捉え、その姿は暗い木の根元に崩れ落ちていった。
「よし、やった!」
黒麗がそう叫んだ後、二人はまだ油断なく倒れたお通に近づいて行く。
だがあと一間余りに近づいた時、赤蛇尼の目が大きく見開かれた。
「うっ、空蝉っ!」
一尺ほどな太さの木に、お通の町人服が巻き付けられてある。
そしてじりじりと何かを焦がす様な音が二人の耳に入った。
「危ないっ!!!」
赤蛇尼がそう叫ぶと同時に、二人は飛び退いて近くの木の陰に転がり込んだ。
“ドーン!!”
突然の大音響と共に、お通の身代わりとなった木切れが爆発した。
爆発で折れた杉の木が、頭を抱えた二人の上に倒れ込んで来る。
なおも身を転がして二人は木の崩落を避けた。
もう崩れ落ちる物が無いことを確かめると、二人はゆっくりとその身を起こしていく。
「くそっ・・・、な、なんて奴だ。」
泥だらけになった顔を片手で拭いながら、黒麗は悔しそうに呟いて唇を噛んだ。


五月晴れに澄み切った青空の中を、ひとつの黒いものが風に揺れながら近づいて来る。
水月が目を細めて見やる中を、開け放った窓の手摺に一羽のカラスが止まり付いた。
その足に結わえられた紙を取ると、傍らの美夜叉に声をかける。
「お頭様、これを・・。」
「うむ・・。」
黙って目を通す美夜叉に水月が問いかける。
「何か・・・?」
「うむ・・、二川にて赤蛇尼と黒麗が、初めての敵と相対したということ・・・。」
水月はその目に不安を浮かべながら聞く。
「して、その首尾はなんと・・・?」
「二人がかりで、その一人を取り逃がしたそうじゃ。」
水月は腕を組んで考え込む美夜叉の顔をじっと見つめた。
「あの二人が取り逃がすとは、・・・そして火術、空蝉・・・、伊賀者か・・?
しかし中川家は公儀隠密とは何の関わりも無いはず・・。まして、そんな腕の立つくノ一がそこらにおるとは思えぬ・・・。」
水月は忍び相手と知って再びその顔を険しくした。
「いや待て、この文では相手は三十半ば・・? そやつの年頃からしてまさか・・・。」
そう呟くと、美夜叉は我に返った様に顔を上げて水月に言った。
「少なくとも相手は忍びが二人は付いておる。それも只ならぬ腕前と見て取れた。
水月、お前も戻って鳴海を過ぎた辺りで仕掛け、そして亀山辺りまでで大勢を決めるのじゃ。そこら辺りならここから目と鼻の先。どうにでも仕掛けられる。よいな・・。」
「はい、承知致しました・・・。」
いよいよ目前に迫った己の運命を呪いながら、水月は鳴海に向け屋敷を後にした。


もう殆ど暮れかかった薄暗がりの中を、美夜叉は屋敷の更に奥へと入って行く。
やがて松張りの廊下を大げさな木戸で仕切った奥に足を踏み入れると、それまでの瀟洒な家の造りとは全く趣を異にした格子戸があった。
美夜叉は格子戸越しに座敷牢の中のお美代を覗き込む。
ここに囚われの身となったお美代は、恐れを押し隠して美夜叉をねめつけていた。
「こ、この極悪人! あんたなんか、す、すぐ伊織様が成敗してくれるんだからねっ。」
「ほほう、威勢がよいのう。どうやらもう、赤蛇尼の術も解けたようじゃな・・・?」
お美代は思わず息を詰めて美夜叉を睨み返した。
しかし何と言ってもまだ若い娘、その言葉にみるみる瞳を潤ませてしまう。
「赤蛇尼に操を奪われ、せっかくお方様にもご寵愛を頂こうと思うたが、国元にお帰りになり残念であった・・・。」
お美代は悔しげに顔を伏せたが、思い直した様に涙の伝う顔を上げて叫んだ。
「汚い真似しやがってっ。あたしは・・、あたしの心は何も変わっちゃいないんだ!
お前たちと違って、あたしは大手を振ってお天道様の下を歩ける様にできてるんだ。
さあ、此処に入って来な! あんたの首っ玉に噛みついてやるっ!」
美夜叉はそんなお美代の悲痛な叫びにも薄笑いを浮かべて答える。
「ふふふ・・お前、その空元気だけでも大したものじゃ。身体も丈夫そうであるし、
どうじゃ、私の元で働いてみぬか・・? 一生食うに困らぬ暮らしはさせてやるぞ。」
その言葉に、お美代は噛みつくように言った。
「誰にものを言ってんだいっ。飯を食うだけなら虫っけらでも出来るんだ。あたしゃあ、あんた達みたいな虫っけらたあ訳が違うんだ。見損なうなっ!」
「そうか、では仕方がないのう・・・。」
美夜叉はそう呟くと、平然と木戸の錠を開けて中へ入って行く。
威勢のいい啖呵を切ったお美代ではあったが、美夜叉のその妖しい雰囲気に、おびえた目で身を固くした。
「さあ、お前にわたしの首が噛めるか・・?」
ついにお美代は意を決して美夜叉に掴みかかって行った。
だが僅かに身を逸らしただけの美夜叉に片手首を掴まれると、その手を後ろに捻られたまま片膝をついた。
「ち、ちくしょうっ! は、はなせっ!!」
美夜叉は右手で手首を捻り上げたまま、左手で膝立ちのお美代の肩を抱いた。
「おお、女の割には力もあるな・・。」
そんな事を呟きながら、お美代の着物の襟を掴んで、左肩を肩脱ぎに引き開ける。
お美代のうなじから肩先に掛けて若い素肌が露わになり、半ば剥き出た胸の膨らみが、その下の乳房の重さを訴えていた。
「あっ!・・く・・・ や、やめろ!」
必死に首を振る抗いも意に介さぬ様に、美夜叉ははだけた着物の合わせ目に左手を差しみ、お美代の左の乳房を掴み出した。
「あっ、いやあっ!!」
美夜叉は頬を緩めると、お美代の耳に囁やく。
「ふふふ、これは生きが良くて赤蛇尼もさぞ堪能した事であろう・・。しかし私はそんなまやかしなど使わず、お前に身体の喜びを教えてやろう・・。」
「ああっ!や、やめろっ!離せっ!!」
美夜叉に片手で帯を解かれながら、お美代は悲痛な叫びを上げたのだった。
続元禄江戸異聞(二十一)目次続元禄江戸異聞(二十三)



コメント一覧
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2012/05/17 09:35
    • そうか、お通姐さんの得意は火術か。
      黒麗と赤蛇尼の二人、ついでにカラスたちを翻弄するお通姐さん。それにしても……“三十路”をえらく強調されておるが、何の、まだまだいけるぞ、お通姐さん。
      あれ? 岡崎でけりつけるのではなかったんですかあ、お頭。
      亀山まで自重するとは、えらく慎重ですのう。
      あれ? 中川家って?
      剛と礼二かあ。
      威勢はいいが所詮素人の小娘、お美代ちゃん。美夜叉にとっては、朝飯前に赤子の手を捻るも同然。
      さあ、お美代ちゃん! やられてしまうのか。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2012/05/17 19:46
    •  次々と繰り出される、王道忍術。
       今回は、空蝉。
       カムイとかの漫画でも、お馴染みの技ですね。
       こんな本もあるようです。
      http://blog-imgs-53.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20120517175810d76.jpg
       か、買おうかな。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2012/05/17 20:18
    • 必殺技「変位抜刀霞切り」は以前ご紹介しましたがもう一つ、「飯綱(いづな)落とし」はご存じでしょうか。
      森林の中、互いに樹から樹へ飛び移りながら(これだけで凄いと思うが)の戦いの最中、相手の背後から抱き付いて両腕両脚の動きを封じ(いわゆるバックを取る、というやつですな)、そのまま脳天逆落としの体勢で地面に落下していく。
      相討ちか、と思われた瞬間、カムイの頭は相手の背中のあたりにあり(そうなるように抱き付く)、先に地面に激突するのは相手の頭。カムイは頭は地面すれすれで無事、セーフ。
      相手は頭の鉢が割れ、頚椎も骨折でほぼ即死、という荒技である。
      うーむ、説明が難しいのう。画像で見れば一目瞭然なのだが。
      ちなみに技名の「飯綱」は、イタチの一種「飯綱、イイズナ」が鳥を捕獲するのにこの技を使うのを見て、カムイがインスピレーションを得た、ということらしいがホンマかいな。
      さらにちなみに、いわゆる狐ツキの管狐は、この飯綱イタチのことだとする話もあるが、ここまでくると眉唾だなあ。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2012/05/17 20:26
    •  忍術なのか?
       なんだか、プロレス技のようだが。
       相手の頭が割れるほどの勢いで落ちたら……。
       抱きついてる方だって、無事には済まないと思うがのぅ。

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2012/05/17 21:04
    • プロレス技でいうとバックドロップが近いですかねえ。
      「霞切り」もそうですが、カムイの最大の武器はつまるところ身の軽さ、いわゆる体術ですね。
      これは立派な忍びの技です。お通姐さんだって、先ず森の中を走り回って火薬を仕掛けたではないですか
      「分身の術」なんて、強靭な体力なしには成り立ちませんぞ。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2012/05/18 06:31
    •  確か、バルタン星人が使ってたよな。(V)o\o(V)
       突っ立ってるだけで、そんなに体力使ってるようには見えなかったが。
       でも、生身の人間がやろうとしたら……。
       残像が残るほど素早く動かねばならないってことか?

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2012/05/18 10:42
    • のバルタン星人。
      貼り付けるとこうなる(V)o\o(V)、なんでだろ?
      真ん中は「¥」じゃないと、らしくないんだよね

    • ––––––
      8. ハーレクイン
    • 2012/05/18 11:10
    • ヒトの眼は、見たものを50ミリ秒~100ミリ秒(0.05秒~0.1秒)の時間、保持する(時間分解能というらしい)。
      だから、この時間内に2つの離れた場所の間を移動すれば、見事、「分身の術」成功だな。

    • ––––––
      9. Mikiko
    • 2012/05/18 20:00
    •  Wordで書いてるんだっけ?
       Wordは、半角と全角の見え方が妙な場合がありますからね。
       半角の方が、全角よりデカく見える文字もあります。
       全角文字のつもりが、半角で入ってるんじゃないかな?
       下書きには、Notepadとかの方がいいと思うよ。

    • ––––––
      10. ハーレクイン
    • 2012/05/18 20:36
    • えー?
      だって、Mikiさんの前回コメのバルタンも、
      (V)o\o(V)
      になってますやん。
      コメント欄に張り付けると(V)o\o(V)に化けるんだよ。
      以前に顔文字バルタンを使ったときは、そんなことなかったのになあ。
      Notepadって何ですかあ?

    • ––––––
      11. Mikiko
    • 2012/05/18 22:43
    •  同居が難しいようです。
       Notepadは、アクセサリにあるメモ帳です。

    • ––––––
      12. ハーレクイン
    • 2012/05/18 23:14
    • 了解しました。
      実は『センセイのリュック』を書き始めるとき、メモ帳にしようかな、とも思ったのですが。で、少し書き始めたのですが、Wordに戻っちゃいました。
      新しいことを始めるのをためらうのは歳とった証拠だ、といいますが、うーむ。
      次回作はメモ帳で書いてみよう。
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