2012.3.1(木)
「ああっ、・・だめっ!」
赤蛇尼はそう言いながら慌てて腰を引くと、お蝶にあてがっていた自分の濡れたものを離した。
女のものを揉み合わせて極みを共にしようとする赤蛇尼に、お蝶は巧みに腰の動きをずらして、下から赤蛇尼の敏感な突起を擦り上げて先に気を遣らせようとしたのである。
お蝶は仰向けの身体を後ろから黒麗に羽交い絞めにされ、広げられた両足の間を赤蛇尼のもので蹂躙されていたのだ。
お蝶は抗おうにも上体を全く封じられている。こんな相手は初めてだった。
仮に暴れて裸同士の組み打ちに持ち込んでも、黒麗はとても歯の立つ相手ではなさそうなのだ。
黒麗は可笑しそうに口を開いた。
「あははは、この女たいしたもんだ。赤蛇尼、あんたまた下腰を取られていたよ。」
苦しげに荒い息を吐きながらお蝶は必死だった。
愛しい伊織の他に、いやそれどころか、憎い敵と身体の喜びを分け合う等という事は絶対に許せなかったのである。
「もう面倒だねえ、あんたも・・。もうこいつに構わず、自分だけ気を遣りゃいいじゃないか・・、あははは。」
からかう様に笑う黒麗をふんと鼻を鳴らして睨むと、赤蛇尼は呟いた。
「仕方がない・・。少し骨が折れますけど、どうしてもあなたと一緒に・・・。」
赤蛇尼はお蝶の両足を赤子がおしめを変える様な恰好で抱え込むと、膝立ちで自分のものをお蝶の濡れたものに押し当てていく。
動く相手を落としたかったが、仕方なくお蝶の下肢の動きを封じて、一方的に追い上げた挙句に自分も果てようと思ったのである。
もう互いの濡れたものの間には、黒麗の液体が垂らされていた。揉み合わせば嫌が応にも快楽は高まるばかりなのだ。
赤蛇尼の白くふっくらとした尻の膨らみが、お蝶の高く上げられた両足の間でゆるゆると蠢き始めた。
陰毛のざらつきと共に、恥骨を覆った柔らかい膨らみでお蝶の敏感なしこりを揉み上げていく。
「ん・・・、んくっ・・。」
「んふうう~・・・。」
敵味方の関係を越えて、互いの濡れたものからは疼くような愉悦が身体に染み渡っていく。
「ああ・・、見てるだけで堪んないねえ・・。この女、ぶるぶる震えて我慢してるよ。
・・・うふふ。」
お蝶の肩越しに、黒麗が上気した顔付で赤蛇尼に囁く。
赤蛇尼は淫らな笑みを浮かべながら、ちらりと黒麗に視線を送り、そしてわざと見せつける様に、背を丸めて微かに揺れているお蝶の乳房に吸い付いた。
お蝶の弾き立った乳首が、ふくよかな唇に吸い引かれるかと思うと、赤い舌でめらめらと弄られている。
「んくっ、・・んううっ・・。」
お蝶はやるせなく拘束された身体を戦慄かせた。
「ああ~、もうたまんないっ。」
黒麗は歯がいたらしくそう言うと、後ろから自分のものをお蝶の腰の辺りに擦り付け始めた。
赤蛇尼は乳首を吸い離すと、なおさら腰の動きを速めながらお蝶の唇を求めていく。
「んふっ!」
お蝶は必死で顔を逸らすと赤蛇尼の唇を避けた。
しかし後ろから伸びてきた黒麗の右手が、お蝶の顎を掴み上げた。
「あはっ! ・・んがっ!」
上向きに開いたお蝶の口の中に、赤蛇尼は透き通った自分の唾液を垂らし込んだ。
すかさず赤蛇尼は己が唇で、ふくよかなお蝶の唇を塞ぐ。
「んふっ! んんん~・・んぐ・・んぐ。」
お蝶はどうする事も出来ずに、赤蛇尼の甘露を呑みこんだ。
「んんん・・んうううう~・・。」
「ふむ・・ふんっ・・・ふんっ・・ふんっ・・。」
唇を合わせてなおさら興奮したのか、赤蛇尼は腰をせりあげて動きを速めだした。
もう頃合いと判断して、もう遠慮なく敏感なしこり同士を競り合わせていく。
ぬめりの中でもぷりぷりと弾き合うままに、互いのしこりから疼く様な快感が身を貫いていく。
「んんんん~・・・、ぐっ・・ぷはっ! ・・・ああっ! ・・あはっ!」
唇を離して喘ぎを上げ、赤蛇尼は狂おしくお蝶に尻を振り立てる。
「んぐうううう~・・・。」
お蝶は眉を寄せて唇を噛み、身体が小刻みに震えた。
両の乳房を後ろから黒麗の両手で掴み込まれる。
「ああっ・・・やめてっ・・・。」
お蝶の口から初めて弱々しい女の喘ぎが漏れた。
頭の中を、もう白い霧が覆い尽くそうとしていたのだ。
もうどちらのものとも分からぬ様に濡れたものが吸い付き合い、その中で疼くしこりが激しく揉み合わされ続ける。
ついにお蝶と赤蛇尼は、相次いで極みの叫びを上げた。
「んっ! んぐっ! あああっ・・・!」
「はあっ! 私も! ・・・ああ一緒に・・・ああっ! もうダメっ、果てるうっ・・!!」
絶息する様に赤蛇尼がそう叫んで掻き抱いてきた時、お蝶も身体を熱いはがねが貫き通った様に極みに襲われた。
「ああうう~~~っ!!」
「ぐっ・・・ああっ!、あはあ~~~っ・・!!」
二つの女体が、股間を押し付け合いながら狂おしく戦慄いた。
“ああっ、伊織様っ! ・・・許してっ・・!!”
獣の様な極みを赤蛇尼と交し合いながら、薄れゆく意識の中でお蝶はそう叫んでいた。
雨戸の隙間から漏れ来る光が、もう外は夜明けを迎えつつある事を伝えていた。
先に身仕舞を済ませた黒麗が雨戸を開けながら言った。
「あたしは先に水月たちと落ち合うことにするよ。あんたも遅れずにね・・。」
赤蛇尼はやっと僧衣を着込むと答える。
「はい、わたしもこの女を始末したら追って参ります。それに、娘にかけた術の事も伝えておかねばなりません。」
「うん、じゃあまた後で。」
黒麗が去って行くと、赤蛇尼はゆっくりとお蝶を振り返る。
お蝶は手足を縛られ、猿轡を噛んで板の間に転がっていた。
「本当によい思いをさせていただきました・・。残念ですが、これであなたともお別れです。」
赤蛇尼はお蝶の前に身を屈ませると続けた。
「あなたはこの世ともお別れになりますが、忍びで生きてきたあなたなら覚悟は出来ていたでしょう。・・・残念です、同じ旗の下で会いたかったですね・・・。」
そう言って、赤蛇尼は小刀に手をかけた。
と、その時、表でお蝶の耳に聞きなれた叫び声がした。
「ここです! この中です!」
「お蝶っ! 何処だ、お蝶っ!!」
お蝶は大きく目を見開いた。
“い、伊織様っ!!”
赤蛇尼が身構える暇も無く、戸襖を蹴破って伊織が踊り込んで来た。
「お、お蝶っ!」
伊織は全裸で縛られているお蝶を見ると、思いを込めてその名を叫んだ。
赤蛇尼は開いた雨戸の間から表へ飛び出て行く。
伊織も脱兎の如くそれを追って外へ飛び出した。
そのまま逃げ足を使うかと思われた赤蛇尼が、ふと立ち止まって伊織の方を振り返った。
伊織は大刀を抜き、油断なくその間合いを詰めていく。
「ふふふ、お頭が心配した通り、なかなか使えそうですね・・。」
赤蛇尼は伊織の切っ先に尋常ならぬ殺気を感じつつも、何故か薄笑いを浮かべて伊織が近づくのを待っている。
おりしも上り始めた朝日が、赤蛇尼の前に伊織の影を作っていた。
突然赤蛇尼が懐から二本の手裏剣を取り出し、両手でそれを伊織にかざした。
伊織の意識が手裏剣に集中した時、
「影っ!!」
鋭い気合と共に放たれた二本の手裏剣が、伊織の影を地面に縫い付けた。
伊織が手裏剣を目で追ったとたん、
「影は縫った! お前はもう動けない!!」
凛とした赤蛇尼の声が伊織の耳に響いた。
「な、何!?」
信じられない事に、伊織の身体はまるで人形の様に動けなくなっていた。
お美代から猿轡を解かれたお蝶が叫んだ。
「伊織様、幻術ですっ! 目を閉じて、腕は動きますっ!!」
お蝶の叫び声に目を閉じたとたん、何かが風を切って襲い来る気配を感じた。
自然に右手の大刀がうなり、甲高い音を立てて赤蛇尼が放った手裏剣が叩き落とされた。
二度三度と襲い来るものも、ことごとく伊織の太刀捌きが跳ね返していく。
次第に身体の柔らか味を感じた伊織は、次の手裏剣を身を屈ませて避けると、左手で同じ方向に小柄を飛ばした。
「あっ!!」
驚いた声とともに伊織が目を開けると、敵は肩口を押さえながら森の中へと駈け込んで行った。
やっと固い身体を動かしながら、伊織はお蝶とお美代の元へ引き返していく。
お蝶の縄を刀で切ると、両肩を掴んでそのやつれた顔を見つめた。
「お、お蝶・・・。無事でよかった・・。」
「伊織様・・・。」
お蝶はじっと伊織の目を見つめ返すと、みるみるその目に涙を溢れさせた。
そして突然伊織の胸に顔を伏せ、堰を切った様に泣きじゃくった。
「はああ、あたし悔しい、恥ずかしいっ! んうう~、ごめんなさい、伊織様・・。」
それを聞くと伊織は、きつくお蝶をその胸に抱きしめて言った。
「もう何も言うな・・。よかった、本当に無事でよかった・・・。」
「ああ~ん、お蝶さん、あたしの為に・・・ごめんなさい・・。」
お美代も大粒の涙を流して泣き始めた。
しばらく伊織の胸で肩を震わせていたお蝶だったが、やがて顔を上げると伊織の顔をじっと見ながら口を開いた。
「もう私たちの素性は、白蝋の知るところとなってしまいました。今までのような旅はもう終わりです。」
「う、うむ・・。」
伊織も真剣な眼差しでお蝶の言葉に頷く。
お蝶は板張りの上に居住まいを正すと、再び口を開いた。
「これからは、またどんな事が起こるか分かりません。もし再びあたしが敵の手に落ちる様なことがあれば・・、その時はあたしに構わず、先を急いでおくんなさい。」
「そ、そんな・・、ばかな事を言うな、お蝶。」
咎める伊織の言葉に押し被せるようにして、お蝶は続ける。
「いいえ、聞いておくんなさい、伊織様。忍びはただ遺恨や忠義で動くものではございません。お役目が果たされた後は、ただ意趣返しのために伊織様を襲う事はありません。
ですから何があっても後ろを見ずに、先に進むことです。」
それを聞くと、伊織は悲しげな眼差しをお蝶に向けて問いかける。
「どんな犠牲を払っても、お役目を先に果たせ・・・、と言うのだな・・?」
お蝶はその問いかけに、思いを込めて答えた。
「後生です・・・、伊織様・・。」
伊織は思わずお蝶の肩を抱くと、これまでに無い様な険しい眼差しで旅の行く末を見つめたのだった。
コメント一覧
-
––––––
1. ハーレクイン- 2012/03/01 12:15
-
既の所で伊織ちゃん乱入。
お蝶さん、よかったのう。
ま、赤蛇尼と黒麗にはやられちゃったが、二人がかりではしょうがないわな。あまり気にするな、お蝶さん。
それにしても、赤蛇尼の秘術「影縫い」。あったねー『伊賀の影丸』だっけ。
お美代ちゃんが気になるなー。大丈夫……のわきゃないわな。
うーむ。
それに、羅紗姫様をほっぽっといて大丈夫なんかあ、伊織ちゃん。
黒麗のセリフ「下腰を取られていた」って、よーわからん。勉強が足りんなあ。反省。
-
––––––
2. Mikiko- 2012/03/01 19:46
-
秋田県にかほ市に……。
小国下腰という地名があるようです。
『飛良泉本舗』から、ほど近い場所でした。
関係ないけど。
わたしも、よーわからんが……。
責めてるつもりが……。
下から責められてたってことじゃないの?
-
––––––
3. ハーレクイン- 2012/03/01 20:17
-
何て読むんやろ。
「おぐにしもこし」?