2015.5.8(金)
「もう、来年からは絶対に断ろう。
彼女が予約した日には、涼太をどこかに預けるわ」
「そうですね」
「でも……。
もし今日、何かあったらどうしよう」
「大丈夫ですよ」
「保証できる?」
「……」
「出来ないでしょ。
もし何かあったら、涼太は、小学生で父親になるのよ」
「考えすぎですから」
「半ズボン穿いた子が、自分の子供おぶって歩くのよ。
この町を」
「あり得ませんって」
どうやら千穂は、妄想が暴走するタイプのようだ。
「やっぱり心配。
ちょっと様子、伺って来る。
あなたたちも来て」
「え?
わたしたちもですか?」
「だって。
もし、何かしてる場面だったら……。
わたし、どうしていいかわからないわ」
「わたしたちだって、わかりませんよ」
「2人して片方ずつ掴まえて、引き離してちょうだい」
「そんな……。
犬じゃないんですから」
「急ぎましょう」
もう、何を言っても耳に入らないのだろう。
千穂は、両手で由美と美弥子の腕を掴むと、廊下を前のめりで歩き始めた。
浴場の前まで来たものの、千穂はしばらく、入口の暖簾を睨んでいた。
宿を女性専用に改装したとき、お風呂の入口も旅館風に一新したそうだ。
赤い大きな暖簾に、『ゆ』の白文字が抜けていた。
千穂は、耳を澄ませているようだった。
しかし、脱衣室を抜けた浴室からの声は、ここまでは届かないだろう。
「入りましょう」
意を決したように、千穂は、扉の引き手に手を掛けた。
引き戸の扉は、大きな音を起てることもなく開いた。
半自動の扉だった。
開けるときは手動だが、手を離すと、ひとりでに閉まる。
電動なのかと思ったら、そうではなかった。
ワイヤーが巻き取られて、ひとりでに扉が閉まる仕組みだそうだ。
日曜大工でも取り付けられる装置だと云う。
彼女が予約した日には、涼太をどこかに預けるわ」
「そうですね」
「でも……。
もし今日、何かあったらどうしよう」
「大丈夫ですよ」
「保証できる?」
「……」
「出来ないでしょ。
もし何かあったら、涼太は、小学生で父親になるのよ」
「考えすぎですから」
「半ズボン穿いた子が、自分の子供おぶって歩くのよ。
この町を」
「あり得ませんって」
どうやら千穂は、妄想が暴走するタイプのようだ。
「やっぱり心配。
ちょっと様子、伺って来る。
あなたたちも来て」
「え?
わたしたちもですか?」
「だって。
もし、何かしてる場面だったら……。
わたし、どうしていいかわからないわ」
「わたしたちだって、わかりませんよ」
「2人して片方ずつ掴まえて、引き離してちょうだい」
「そんな……。
犬じゃないんですから」
「急ぎましょう」
もう、何を言っても耳に入らないのだろう。
千穂は、両手で由美と美弥子の腕を掴むと、廊下を前のめりで歩き始めた。
浴場の前まで来たものの、千穂はしばらく、入口の暖簾を睨んでいた。
宿を女性専用に改装したとき、お風呂の入口も旅館風に一新したそうだ。
赤い大きな暖簾に、『ゆ』の白文字が抜けていた。
千穂は、耳を澄ませているようだった。
しかし、脱衣室を抜けた浴室からの声は、ここまでは届かないだろう。
「入りましょう」
意を決したように、千穂は、扉の引き手に手を掛けた。
引き戸の扉は、大きな音を起てることもなく開いた。
半自動の扉だった。
開けるときは手動だが、手を離すと、ひとりでに閉まる。
電動なのかと思ったら、そうではなかった。
ワイヤーが巻き取られて、ひとりでに扉が閉まる仕組みだそうだ。
日曜大工でも取り付けられる装置だと云う。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2015/05/08 07:19
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律「ぜったい怒られると思うわ、福岡の読者に」
み「大丈夫。
エロ小説読んでるヤツなんて、小心者ばっかりだから」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201505041836323cf.jpg
↑こちらで購入できます→http://clubt.jp/myproduct/213735.html
律「また、そういう問題発言を。
ところで、そろそろ着いてもいいんじゃないの?
さっき、25分とか言ってなかった?」
み「おう、そうじゃ。
青森でバスを乗り過ごしたら、次に来るまで3年くらい待たなきゃならん」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201505041836486d4.jpg
↑大阪、『箕面の滝』近辺にあるようです。右の空いたところに座って、記念撮影せよということでしょうか。
律「止めなさいって。
どうしてそう、問題発言ばかりするの」
バ「次は、『三内丸山遺跡前』……。
『三内丸山遺跡前』です。
『三内丸山遺跡』においでの方は、こちらでお降りください(こんな放送はしないと思います)」
み「こちらで降りずに、どこで降りるというのだ。
先生、ピンポン押して」
律「どこにあるの?」
み「そこらにあるでしょ。
早くしないと、行き過ぎちゃうよ。
3年待たなきゃならん」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150504183630b3f.jpg
↑別名、三年殺し。この像は、韓国にあります。
律「止めなさいって」
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2. Mikiko- 2015/05/08 07:20
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み「ピンポーン」
律「口で言うな。
恥ずかしい女。
あ、あったあった」
『ピンポーン』
http://www.youtube.com/watch?v=2LYVubD8KL8
み「もっと押して」
律「1回で十分でしょ」
み「聞こえないかも知れないじゃない。
そんなら、わたしが押す」
『ピンポンピンポンピンポンピンポーン』
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150504183626c47.jpg
律「止めなさい!
ランプが着くから、わかるわよ」
バ「次、止まります」
み「おー、やっとわかってくれたではないか」
律「あんたと一緒にいると、汗が出てくるわ」
み「新陳代謝が活発になって、健康によろしい。
人間カプサイシンと呼んでくれ」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20150504183627f9c.jpg
律「あ、着いたみたいね。
なんだ、こんなに降りるんじゃない。
わたしたちが、ピンポン押す必要もなかったわよ」
http://blog-imgs-74.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2015050418362952e.jpg
続きは、次回。
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3. きりしま- 2015/05/08 07:48
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閉まるときだけ自動のドアって電車の貫通路にもありますね。
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4. ハーレクイン- 2015/05/08 12:20
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>半ズボン穿いた子が、自分の子供おぶって歩く
>妄想が暴走する
>犬じゃないんですから
軽く遊んでません? Miさん。
ま、たまにはいいか。
息詰まる場面ばかりだと、息が詰まるよね(おい)。
>ワイヤーが巻き取られて、ひとりでに扉が閉まる仕組み
ずいぶん以前に出てきたよね。
この仕組みが設置されている場所が、少なくとももう一か所ある。皆さん、ご存知かな。
あ、『由美美弥』の物語内ではありません。
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5. ハーレクイン- 2015/05/08 12:24
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電車の貫通路でもありません、きりしまさん。
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6. ハーレクイン- 2015/05/08 12:27
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>小心者ばっかり
なんで知ってるのだ「み」さん。
『箕面の滝』。
ずいぶん小奇麗になっちゃいましたが、以前はどことなく薄汚れた雰囲気でした。
阪急電車宝塚線の支線、箕面線の終点『箕面駅』から歩きます。
この道を滝道(たきみち)と云いますが、なんか薄暗くてね。まあ、山懐の森林内の道だから、薄暗いのは当たり前なんだけど。
滝はね、それほどの物でもありません。水量も落差も「こんなものかあ」という感じです。いちおう『日本の滝百選』には選ばれていますが、ベストテン入りは到底無理でしょう。
箕面の名物は、猿(ニホンザル)と紅葉。どちらも秋がシーズンですね。
猿(一応、野生)はね、冬に備えて活発に活動します。観光客が襲われるのもこの頃が多い。もちろん食べ物を狙われるわけです。「餌をやらないでください」といったって、猿の方には通用しませんわな。
猿はともかく紅葉。
滝道の両側のみやげ物店の店先では“もみじまんじゅう”じゃなくて『もみじの天ぷら』を製造・販売します。これも箕面名物。カエデなどの紅葉を天ぷらに揚げたものです。ほとんど油の味しかしませんので、決して美味しいというものではありませんが、まあ、名物とはそんなものでしょう。
箕面を“みのも”と読む方が多いようですが、正しくは「みのお」です。よろしく(箕面市観光課HQ)。
あれ?
もうバスに乗ってたっけ、お二人さん、で確認しました。
なんと『由美美弥』1744回・東北1120回まで遡りましたよ。いつもの事とはいえ、とんでもねえな。
その1120回ですが、タイトルが『北に行こう!』になってまっせ。津軽海峡を渡るのかと思っちまったぜ。
『ピンポンピンポンピンポンピンポーン』
『ピンポン』は、1回押したらそれ以上は鳴らないと思うが。少なくとも、わたしらんとこはそうです。そうしないと、ガキどもが押しまくるのでうるさくってしょうがない。
あ、「み」さんがガキだとは言ってないよ、そう思っただけで。
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7. Mikiko- 2015/05/08 19:54
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> きりしまさん
そうそう。
電車の内扉がそうですよね。
けっこう重かった気がします。
あれは、バネかなんかなんでしょうか。
> ハーレクインさん
ひとりでにドアが閉まるのは、わたしの部屋の入口です。
わたしでも、日曜大工で取り付けられました。
ピンポンの件は、確かにそうですね。
ま、話を面白くするのに、多少の脚色は許されるでしょ。
明日は、終日、出勤です。
あー、気鬱じゃ。
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8. ハーレクイン- 2015/05/08 20:19
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わたしなんかしょっちゅうやります、大阪人のサガですね。
結構、大いにやりたまへ。
昔は……土曜は半ドン(死語か?)、休みなんかじゃなかったんだよ。
たまの土曜出勤、新鮮な気持ちで頑張りましょう。
ちなみにわたしは休みです(わはは)。
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9. Mikiko- 2015/05/09 07:46
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いいんです。
丸1日は辛い。
しかも、土曜出勤は、2週連続です。
ま、わがままは言いますまい。
健康で仕事が出来るんですから。
たとえば、末期がんになったとしたら……。
病気と引き換えが出来るなら、どんな辛い仕事でも引き受けられるでしょうから。
明日1日、平穏な休日がいただけることを感謝します。
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10. ハーレクイン- 2015/05/09 12:55
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そうそう、明日はまた明日の風が吹く。
Tommorow is another day(そろそろ止めにせんとなあ)。