2013.11.4(月)
「同じドアが並んでるから、わかんなくなっちゃうよね。
わたしも一度あった。
酔っ払って、一生懸命、隣のドア開けようとしてたの。
なんで鍵が開かないんだろうってさ。
あ、でも、最高のタイミングだよ。
試験勉強、飽きちゃったんでしょ?
ほら、これ持って」
ミサから渡されたのは、大きなレジ袋だった。
うっかり受け取ってしまったのは、お腹の前を隠すものが欲しかったからだ。
「今ね、飲み会やってるの」
ミサが、上を指さした。
「屋上。
追加の飲み物、買ってきたとこ。
行こ行こ」
「え……。
でも」
「大丈夫だって。
飲み会って言っても、わたしのほか、2人だから。
ひとりは、ほら、由美ちゃんの隣の部屋の子よ。
保育科だっけ?
由美ちゃんも誘おうかと思ったんだけど、試験勉強大変だって聞いてたから。
あとひとりは、このフロアの人。
知らない?」
ミサは、由美の後ろを指差した。
「あの広いシェアルームに、ひとりで住んでるの。
3年生。
小柄で派手な人、見たことない?
家が病院やってるんだって。
ちょーっと、タカビーだけどさ。
逆らわないで適当に相槌打ってれば、味方と思って安心してくれるから。
なにしろ、今日の飲み会のスポンサーだからね。
お金、みんなその人が出してくれたんだ。
適当に買って来てって、万札2枚も渡されたわ。
そんなに買ったら、持てないっての。
でも、あんまり悪いからさ……。
わたしの冷蔵庫に入ってるお酒も持って行こうと思って、部屋に寄ったわけ。
やっぱ、いいことはするもんだね。
こうして、もう一人相棒を釣りあげられたんだから。
さ、行こ行こ」
「でも……」
「こんな蒸し暑い夜に、部屋に籠ってるもんじゃないわよ。
気晴らし、気晴らし。
屋上、思いのほか気持ちいいから。
貸切のビヤガーデンみたい。
さ、レッツゴー」
わたしも一度あった。
酔っ払って、一生懸命、隣のドア開けようとしてたの。
なんで鍵が開かないんだろうってさ。
あ、でも、最高のタイミングだよ。
試験勉強、飽きちゃったんでしょ?
ほら、これ持って」
ミサから渡されたのは、大きなレジ袋だった。
うっかり受け取ってしまったのは、お腹の前を隠すものが欲しかったからだ。
「今ね、飲み会やってるの」
ミサが、上を指さした。
「屋上。
追加の飲み物、買ってきたとこ。
行こ行こ」
「え……。
でも」
「大丈夫だって。
飲み会って言っても、わたしのほか、2人だから。
ひとりは、ほら、由美ちゃんの隣の部屋の子よ。
保育科だっけ?
由美ちゃんも誘おうかと思ったんだけど、試験勉強大変だって聞いてたから。
あとひとりは、このフロアの人。
知らない?」
ミサは、由美の後ろを指差した。
「あの広いシェアルームに、ひとりで住んでるの。
3年生。
小柄で派手な人、見たことない?
家が病院やってるんだって。
ちょーっと、タカビーだけどさ。
逆らわないで適当に相槌打ってれば、味方と思って安心してくれるから。
なにしろ、今日の飲み会のスポンサーだからね。
お金、みんなその人が出してくれたんだ。
適当に買って来てって、万札2枚も渡されたわ。
そんなに買ったら、持てないっての。
でも、あんまり悪いからさ……。
わたしの冷蔵庫に入ってるお酒も持って行こうと思って、部屋に寄ったわけ。
やっぱ、いいことはするもんだね。
こうして、もう一人相棒を釣りあげられたんだから。
さ、行こ行こ」
「でも……」
「こんな蒸し暑い夜に、部屋に籠ってるもんじゃないわよ。
気晴らし、気晴らし。
屋上、思いのほか気持ちいいから。
貸切のビヤガーデンみたい。
さ、レッツゴー」
コメント一覧
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1. Mikiko- 2013/11/04 07:41
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食「五所川原市の和田喜八郎という人ですね。
天井裏から落ちてきたと言ってたそうです。
でも、和田の家は茅葺きで、天井裏は無かったとか」
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20131102194000dcd.jpg
↑実際の和田家ではありません。
み「初っ端からインチキじゃん。
どんな本よ?」
食「古代の津軽には、独自の文明が栄えていたという内容です。
遮光器土偶の姿をした「荒覇吐(アラハバキ)」神も登場します」
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201311021940038e3.jpg
食「『十三湊(とさみなと)』に首都が置かれ……」
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20131102194016547.jpg
食「中国、朝鮮、東南アジアはもちろん、アラビアやヨーロッパとも交易してたとか。
カトリック教会まであったそうです」
み「いつごろの話よ?」
食「古代から、14世紀までですね。
1340年ころの大津波で、十三湊は壊滅的被害を受け……。
政権が崩壊したそうです」
み「その津波ってのは、実際にあったわけ?」
食「痕跡は見つからなかったみたいですね」
み「結局、その和田喜三郎って人が捏造した文書ってこと?」
食「それが定説になってるようです。
文書の中に、『光年』だとか、『冥王星』だとか……。
20世紀に入ってからの天文用語が使われてるそうですし」
み「カンペキに偽物じゃん」
食「でも、1980年代から90年代にかけては、ブームになったみたいです。
岡本太郎も信奉してたそうです」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2013040504500899e.jpg
み「うーむ。
余計に胡散臭い」
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2. Mikiko- 2013/11/04 07:42
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食「高橋克彦原作のNHK大河ドラマ『炎立つ』では……」
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201311021940025fb.jpg
食「この文書の歴史観が取り込まれてたそうです」
み「そうだったのか。
逆に、見てみたかったな
いつごろの放送?」
食「平成5年ですね。
1993年」
み「うーむ。
20年近く前か。
再放送は……。
しそうも無いのぅ」
食「『東日流外三郡誌』のほかにも……。
『竹内文書』なんていう奇書もあったようですよ」
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20131102194019e0f.jpg
み「あ、それ聞いたことある。
高橋克彦も書いてたな」
食「『竜の柩』ですね。
しかし津軽って、伝記物が似合いますよね」
み「どっかに、キリストの墓があったんじゃないの?」
食「ほんとですか?
ちょっと、引いてみましょう。
あ、ありました。
津軽と云うより、南部でしょうかね?
十和田湖の方です。
新郷村(しんごうむら)」
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201311021940182b6.jpg
み「もっと、キリストっぽい名前の村じゃなかった?」
食「昔は、戸来村(へらいむら)と云ったようです」
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201311021939585c0.jpg
↑恐るべき名物が!
み「それそれ。
“ヘブライ”から来てるって云われてるんだよね」
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201311021940002f6.jpg
続きは、次回。
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3. ハーレクイン- 2013/11/04 11:17
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懐かしの、“保育の少女”。
実は、前回ミサちゃんが登場した時、書こうかなと思ったんだよ。あの“子豚ちゃん(夏実の命名)”は出ないのかなあって。
いやあ、懐かしい。第59章:クローゼットからの訪問者、第60章:水底、以来ではないか。そういえば、由美ちゃんの隣室だったなあ。
しかし、由美ちゃんが試験勉強大変だって、何でミサちゃんが知ってるんだろう。
で、新登場人物(まだ登場はしてないけど)「シェアルームの少女」。3年生ならもう少女とは言えんか。どんな子かなあ。
それにしても由美ちゃん、勉強せんでいいのか。
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4. ハーレクイン- 2013/11/04 11:19
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今回の『東北』。
どないにコメしてええやら、立ち尽くしてしまうよ。
『立ち尽くす明日』は柴田翔。
東日流外三郡誌!
荒覇吐神!
十三湊!
大津波!
岡本太郎! は、おいといて。
炎立つ!
竹内文書!
戸来村!
元祖キリスト餅!!
もうMiさんの独壇場だな。
ご案内「初めてのヘブライ語」のお姐ちゃんの後ろに見える、正三角形を二つ組み合わせた図形は「ダビデの星」といいますね。ユダヤ民族のシンボルマークです。
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5. Mikiko- 2013/11/04 13:00
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毎日、最上階のカフェテリアで朝食を摂ってますから……。
そのとき、試験の話もしてると思います。
古代史。
正統ではない、『ムー』系の話は大好きです。
オーパーツとかね。
ダビデの星は、ネタバレですぞ。
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6. ハーレクイン- 2013/11/04 14:49
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[太字]o[/太字]ut-[太字]o[/太字]f-[太字]p[/太字]lace [太字]art[/太字]ifact[太字]s[/太字](場違いな工芸品)。
「考古学上、その成立や製造法などが不明とされたり、当時の文明の加工技術や知見では製造が困難であるか、あるいは不可能と考えられる、主に出土品を指す用語である」
ふむ。
小松のおっちゃんの『果てしなき流れの果てに』。これに次のエピソードがあります。
やかましく鳴り響く音にイラついたティラノサウルスが、音のする洞窟の入り口に体当たりをかまし、無理やり覗き込むと、洞窟の奥深くに目覚まし時計が……。
オーパーツ。
タイムパラドックスものにはごまんと出てきますが、現実世界では、さて……。
えーっ。
ダビデの星がネタバレ!!
一番無難なのを取り上げたつもりなんだが。
それはすまんこってすが、やはり今の『東北』。コメするのは剣呑だなあ。
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7. Mikiko- 2013/11/04 19:11
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↓わたしが心惹かれるのは、三葉虫を踏んだ靴跡の化石(サイズは、およそ26㎝)。
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20131104170220680.jpg
三葉虫は、古生代にのみ存在した節足動物。
2億年以上前に、滅んだと云われてます。
一方、人類の誕生は、6500万年前。
“靴を履いた人”が、三葉虫を踏むわけ無いんですよ。
あるいはそれは、“人”では無かったのか?
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8. ハーレクイン- 2013/11/04 20:20
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化石を踏んだんじゃないのか。
三葉虫の足跡、といいますか、這いまわった跡が化石として残っています。かなり右往左往した揚句死んだようで、絶命直前の「もがき」のようなものが感じられます。
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9. Mikiko- 2013/11/04 22:12
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↓どう見ても、飛行物体ですが……。
http://blog-imgs-47.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20131104220808237.jpg
紀元前500年くらいに作られた品だとか。
常識派は、魚や鳥を模したものという評定のようですが……。
航空力学的に、理にかなった形だとか。
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10. ハーレクイン- 2013/11/04 23:59
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とうていそうは見えぬが。
しかし、魚を模したもの、は無理臭いよね。
航空力学なんて知らんからなあ。そう言われればそうかなあ、と思ってしまう。垂直尾翼みたいなものがあるしねえ。
どう見ても金属製だよね。よく錆びなかったね。材質は金かなあ。
発掘地はどこなんだろ。エジプトあたりか。
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11. Mikiko- 2013/11/05 07:31
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もちろん、金です。
なので、錆びません。
発掘されたのは、南米コロンビア。
↓オーパーツは、南米でよく出るようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%84%E4%B8%80%E8%A6%A7
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12. ハーレクイン- 2013/11/05 10:08
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コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、ボリビア、エクアドル、チリ……。
南米の国々というのは、小説や映像でしか知りませんが、なぜこんなにドキドキするんでしょうね。
アルゼンチン最南端、フェゴ島Tierra del Fuego。
南米最南端、ホーン岬。
ドレーク海峡。
吠える40度、狂う50度、絶叫する60度。
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13. Mikiko- 2013/11/05 20:44
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ラテンアメリカ文学が、ブームになったことがあります。
ガルシア・マルケス、ルイス・ボルヘス、バルガス・リョサ、フリオ・コルタサル。
わたしが読んだのは、騒ぎが鎮まった後でしたが。
確か、筒井康隆のエッセイから興味を持ったんじゃなかったかな。
国書刊行会から、シリーズ物が出てましたね。
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14. ハーレクイン- 2013/11/05 22:26
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知ってるのはボルヘスだけかな、『幻獣辞典』。
この手の、架空の、でっち上げ生物もので有名なものは幾つかありますが、何といっても『鼻行類』でしょうね。
一見、学術論文の形式を取りながら、中身は全くのでっち上げの書物。わたしはこれを初めて読んだとき、どうしても本物なのかにせ物なのかの判断に迷いました。なんせ訳者が本邦生物学の大家、日高敏隆だったのでね。
で、この本、末尾に「参考文献」を挙げてあります。どこまでも学術論文の形式を踏襲しているわけですね。で、この中に「ピルトダウン大学出版」という記述がありまして、やっと「ああ、やっぱりヨタか」と胸をなでおろしたものです。
「ピルトダウン」というのはでっち上げの化石人類のことで、長らく古生物学界を騒がせた与太話。生物学関係者の間では、知らない人はいないというほど有名な事件なんですね。
生物学関係者にとって、「ピルトダウン」とくると反射的に「ヨタ」です。ですから、「ピルトダウン大学」なんて金輪際ありえないんですね。
漫画ででっち上げ生物といいますと、諸星大二郎『栞と紙魚子』シリーズでしょうか。
傑作です。