2013.7.13(土)
「あ、シャワーならそこにあるわよ」
見回したが、そんな設備は見当たらない。
「ほら。
あの散水ホース。
シャワー代わりになるんじゃない?」
後でバスルームを借りるとしても、ここで尿を流せるに越したことはない。
由美は、夫人のアイデアに乗ることにした。
「こっちまで引っ張ってきて。
わたしも浴びたいから」
浴びたいのなら、一緒に来ればいいとも思ったが……。
デッキを洗い流すためには、ホースを引いてきた方がいいだろう。
壁の水栓を捻ると、リールにわだかまったホースが、生を得たように張り詰めた。
水栓を、一杯まで回す。
しかし、先端からは水が出て来なかった。
ノズルを持ちあげると、“ストップ”の表示で止まっている。
ほかに、“ストレート”“キリ”“ジョロ”“シャワー”“拡散”の表示が巡っている。
ノズルを回転させることにより、さまざまな水勢に切り替えられるようだ。
由美は、リールが倒れないように注意しながら、夫人の元までホースを引いてきた。
「あなた、先に使っていいわよ」
夫人の好意に甘えることにした。
先端をデッキに向け、ノズルを回す。
“ストレート”の位置では、手に反動が来るほどの威力だった。
デッキを叩いた水飛沫が、顔まで噴きあげた。
ノズルを“シャワー”に移すと、水流はたちまち姿を変えた。
十分にシャワーとして機能する水量だった。
由美は、ノズルを頭上に掲げた。
豊かな水のヴェールが、髪に降り注ぐ。
「気持ちいい?」
夫人の問いかけにうなずきながら、全身を洗い流す。
ひととおり洗い終えたところで、ホースを夫人に渡そうとしたが……。
夫人はデッキに仰向いたまま、起ちあがる気配を見せなかった。
見回したが、そんな設備は見当たらない。
「ほら。
あの散水ホース。
シャワー代わりになるんじゃない?」
後でバスルームを借りるとしても、ここで尿を流せるに越したことはない。
由美は、夫人のアイデアに乗ることにした。
「こっちまで引っ張ってきて。
わたしも浴びたいから」
浴びたいのなら、一緒に来ればいいとも思ったが……。
デッキを洗い流すためには、ホースを引いてきた方がいいだろう。
壁の水栓を捻ると、リールにわだかまったホースが、生を得たように張り詰めた。
水栓を、一杯まで回す。
しかし、先端からは水が出て来なかった。
ノズルを持ちあげると、“ストップ”の表示で止まっている。
ほかに、“ストレート”“キリ”“ジョロ”“シャワー”“拡散”の表示が巡っている。
ノズルを回転させることにより、さまざまな水勢に切り替えられるようだ。
由美は、リールが倒れないように注意しながら、夫人の元までホースを引いてきた。
「あなた、先に使っていいわよ」
夫人の好意に甘えることにした。
先端をデッキに向け、ノズルを回す。
“ストレート”の位置では、手に反動が来るほどの威力だった。
デッキを叩いた水飛沫が、顔まで噴きあげた。
ノズルを“シャワー”に移すと、水流はたちまち姿を変えた。
十分にシャワーとして機能する水量だった。
由美は、ノズルを頭上に掲げた。
豊かな水のヴェールが、髪に降り注ぐ。
「気持ちいい?」
夫人の問いかけにうなずきながら、全身を洗い流す。
ひととおり洗い終えたところで、ホースを夫人に渡そうとしたが……。
夫人はデッキに仰向いたまま、起ちあがる気配を見せなかった。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2013/07/13 07:43
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食「どうでしょうね。
わざわざ崖の上のお堂まで登りますかね?
食べ物もありませんよ」
み「追良瀬川があるではないか」
食「は?」
み「川には魚がおるだろう。
お堂の上から、釣糸下げたんじゃないの?」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2013071007470198b.jpg
↑ねずみ男ではありませねん。ムーミンです(千葉県夷隅郡大多喜町にて)。
食「確かに、お堂からは追良瀬渓谷を望むことができますけど……。
竿が届くような位置じゃありませんよ」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20130710074644879.jpg
↑木々の隙間から遠く望めるようです。この画像では霧で見えず。
み「リールを使えば届くだろ」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20130710074646aaf.jpg
↑飛距離を競う『スポーツキャスティング』という競技があるそうです。
食「江戸時代の話をしてるんですよね」
み「そうだっけ?
まぁ、いい。
でも実際、魚はいるんでしょ?」
食「追良瀬川は、川魚の宝庫と呼ばれてます。
かつては、集落で食べきれないほどのアユが採れたそうです」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201307100747035ca.jpg
食「今は、そこまではいきませんが……。
それでも、アユのほかに、イワナ、ヤマメなどが釣れます」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20130710074641b9c.jpg
↑八郎太郎が我慢できずに食べた岩魚の塩焼き。確かに喉が渇きそうだ。
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2. Mikiko- 2013/07/13 07:44
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食「遠方からの釣り客も多いらしいですよ」
み「ふーん。
それにしては、釣り客らしい人は乗ってなかったけど」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201307100746409c7.jpg
↑かつて、紀勢本線を走ってた臨時夜行列車だそうです。
食「渓流釣りの解禁は、4月から9月までです」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201307100747083e0.jpg
↑伝説の達人、追良瀬川に降臨。
み「ありゃ、もう終わってたのか」
食「それに……。
『リゾートしらかみ』は、『追良瀬駅』に泊まりませんから……。
追良瀬川目当ての釣り客が乗ってるわけもないです」
み「ふん」
食「渓流釣りに、もちろん海釣り。
深浦は、釣り好きには堪えられない町でしょうね」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201307100747075dd.jpg
↑鉄女なんて、もう古いのか?
み「海釣りは、何が釣れるの?」
食「春は、クロダイにカレイ、ホッケ。
夏は、クロダイに加え、サバにマダイ、キス。
秋は、クロダイ、スズキ、アジ、イカ、サヨリ。
冬は……」
み「クロダイ!」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20130710074643fcc.jpg
↑確かに、姿のいい魚です。
食「当たりです。
あと、アイナメ、ホッケ、イカ」
み「クロダイってのは、1年中釣れるわけ?」
食「棲み着いて、移動しないんでしょうかね?」
み「口が卑しいんじゃないの?
あと、バカだとか」
http://blog-imgs-48.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201307100747052cc.jpg
↑バカ魚ならぬ、魚バカ。新宿にあるようです。
食「さー。
そこまで詳しくないですから」
実際、悪食で、スイカやミカンでも釣れるそうです。
続きは、次回。
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3. ハーレクイン- 2013/07/13 09:55
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“ストレート”“キリ”“ジョロ”“シャワー”“拡散”の5通りですか、倉沢邸屋上の散水装置。
シャワーノズルのバリエーションも豊富になったけど、ストレート以外はそんなに変わらんと思うがなあ。どないですろう。
「気持ちいい?」
倉沢夫人の問いかけは、次の展開への伏線かな?
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4. ハーレクイン- 2013/07/13 10:00
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千葉のムーミン
何を考えておるのだ。
>『スポーツキャスティング』という競技があるそうです。
あるそうですって、あるよ。有名じゃん。
『釣りキチ三平』『美味しんぼ』を見よ。
パソの野郎、「おいらせがわ」で入力すると、まず「奥入瀬川」と変換しよるんだよね。追良瀬川はその次。
追良瀬川に失礼ではないか。といっても知名度がなあ、段違いだわなあ。
ほお。
追良瀬川は魚の宝庫。釣り人のメッカ。
ふうーん。アユにヤマメにイワナねえ。
この3種、川の水温で住み分けてるんだよ。いいかな、受験生諸君。
おー。
八郎太郎とは懐かしい。
「み」さん「み」さん。八郎太郎と辰子姫は関係あるんだよ。マスミンは教えてくれなかったようだが。
紀勢本線の臨時夜行列車「いそつり」。
知らぬ。
まあ、こんなものまでよう探してくるねえ。
伝説の達人。
知らぬ。
知らぬものは知らぬ。
“ならぬものはならぬ”は「八重の桜」。源流は保科正之。
>み「ありゃ、もう終わってたのか」
現時点は10月10日だもんなあ。
>食「『リゾートしらかみ』は、『追良瀬駅』に泊まりませんから……。」
そりゃ“泊ま”らんわな。「停まる」かも知れんけど。
「釣り女」ねえ。「スタイリッシュな女子アングラー」ねえ。
ほんとにいるのか。「鉄女」だって見たことないぞ。
クロダイ、カレイ、ホッケ、サバ、マダイ、キス、スズキ、アジ、イカ、サヨリ、アイナメ……。
生息場所が全然違うと思うが。釣り方も様々だろうなあ、よくは知らんが。
ちなみに、イカは魚ではないぞ(つまらんツッコミや)。
クロダイはスイカで釣れる。
海老で鯛を釣る、というやつだな。
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5. Mikiko- 2013/07/13 13:53
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半日出勤して来ました。
大雨洪水警報が出て驚きましたが、すぐに解除されました。
散水ノズル。
わたしも、ストレートとシャワーしか使いませんね。
もちろん、ベランダの水やりに使う場合です。
スポーツキャスティング。
初めて知った。
練習は、どこでするのかな?
やっぱ、砂浜とかだよね。
でも、投げるのは一瞬だけど、巻取りに時間がかかるんじゃないか?
自動巻取機みたいなのがあるんだろうか。
ぱかもん。
八郎太郎と辰子姫の話は……。
十和田湖に行ったときのために、取っておいたのではないか。
行くかどうかは、まだわからんけど。
いそつり。
↓画像は、こちらから拝借。
http://www.cwo.zaq.ne.jp/dd5416/page015.html
マニアって人種は、やはりスゴいものですね。
『追良瀬駅』に泊まりません。
間違ってはおらんではないか。
実際、泊まらないんだから。
釣女。
やっぱり、トイレが難関だよな。
どうしてるのかね?
イカの話。
江戸時代。
旗本と御家人の子供同士は、仲が悪かったそうで……。
常にいがみ合っていたそうです。
御家人は、将軍にお目見え出来ないということで……。
“お目見え以下”と称されてました。
で、旗本の子は、御家人の子を“イカ”と言って罵ったそうなんです。
それに対し、御家人の子が……。
“タコ”と言い返したとか。
これは、『半七捕物帳』からのネタです。
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6. ハーレクイン- 2013/07/13 15:19
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休日出勤ですか。
それはご苦労さん。
スポーツキャスティングの練習は、もちろん砂浜でもやりますが、初心者の場合、公園とか学校の校庭とかでもやるらしいですよ。あまり飛びませんからね。もちろん、許可を得て、ね。
自動巻き取り機、なんてものは聞いたことありませんね。練習の手間暇を惜しんでいては、上達せんと思うぞ。
ぱかもん→ばかもん、だな。
何だよう、十和田湖に行った時のためって、そこで話を蒸し返すのか。
ほんまかいな。今、思いついたのではないのか。田沢湖には行かなかったわけだし。
自分で“行くかどうかは、まだわからん”と言ってるくらいだからなあ。
はあー。
「関西地区サボ」ねえ。
わたしもいちおー「鉄」なんだけど、もはや絶句だな。
>実際、泊まらないんだから
んっとに、めげんやっちゃな。
御家人は“イカ”。
も一つ、というかまったく意味不明。
旗本だって、お目見えったって、大したものでは無かったろうに。江戸末期の旗本なんて、ビンボの象徴だったぞ。
江戸幕府の死に水を取った男、超どビンボ旗本の子せがれ、勝鱗太郎海舟を見よ。
ま、この一家のビンボは、親父、勝小吉のせいだが。
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7. Mikiko- 2013/07/13 19:06
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学校や公園(役所)が、許可を出すわけないと思うが。
針は付けてないんだろうけど……。
当然、錘は付いてるよね。
人に当たったら、怪我するに決まってます。
それはさておき……。
練習は、効率よく行わねばなりませんね。
複数の竿を使って、自動で巻き取らせながら次々と投げれば、効率いいではないか。
長篠の戦いの「鉄砲三段打ち」を手本とすべき(最もこれは、史実ではないそうですが)。
トローリングに使うリールにはモーターが付いてて、自動で巻き取れるんじゃないのか?
大ぱかもん。
わざと書いたのじゃ。
イカとタコの罵り合い。
原典、見つけました。
『半七捕物帳/朝顔屋敷』(http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/files/959_14988.html)。
↓以下、件の場所を抜粋。
『大身の子と小身の子とはとかくに折り合いが悪い。大身の子は御目見以下の以下をもじって「烏賊」と罵ると、小身の方では負けずに「章魚」と云いかえす。この烏賊と章魚との争いが年々絶えない』
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8. ハーレクイン- 2013/07/13 20:25
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>学校や公園(役所)が、許可を出すわけない
言われてみればその通りだな。
では、あれ(どれや)は与太か。
え、「鉄砲三段打ち」も与太かい。これで信長は天下を取ったんだろ。
リールの自動巻き。これは間違いなく与太だな。だって、巻取りを自動でやれば、一体、釣りって何なの、になるじゃん。
>わざと書いた
ホンマかなあ、ぱかもん。
イカは以下。
なるほど。納得です、綺堂せんせ。
朝顔屋敷。
タイトル、いやいや、外題がよろしおますなあ。
明日、読ませていただきます。今日はたいがい酔うとりますのでなあ。
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9. Mikiko- 2013/07/13 22:20
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↓「鉄砲三段打ち」が史実でないことは、すでに定説です。
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201205150184.html
火縄銃というのは、非常にトラブルの多い火器で……。
たくさんの銃を、規則正しく撃つことなど不可能なんだそうです。
こないだの『歴史秘話ヒストリア』でも言ってたし。
電動リール。
↓普通に存在するようです。
http://item.rakuten.co.jp/osakana-zamurai/at01-0037/
書く前に、調べなはれ。
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10. ハーレクイン- 2013/07/14 03:58
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規則正しく、は無理でも、多量の火器で圧倒した、というのは事実なんじゃないかね
「こないだの『歴史秘話』」って、雑賀衆の話かい?
電動リール。あるのか。
これは一言も無いなあ。
しかし、釣り人もここまで軟弱になったか(一言、言うとるやないか)。
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11. Mikiko- 2013/07/14 07:45
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『三段撃ち』というシステムではなかった、ということですよ。
そうそう。
雑賀衆です。
やっぱり、信長はせっかちだったんですね。
少数の敵を追い詰めるためには……。
秀吉の兵糧攻めの方が、ずっと確実だったわけです。
電動リールは……。
あくまで、手動巻きあげをアシストする機能じゃないでしょうか。
電動自転車みたいなものですね。
こういうのがあれば、非力な釣女でも、大物を釣りを楽しめるわけだ。
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12. ハーレクイン- 2013/07/14 10:51
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あ、釣女。
なるほど、女性のことは全く考えてなかったなあ。
反省。