Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
由美と美弥子 0790
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「あがががが」

 顎が、外れたように落ちていた。
 細い三日月の視界に、空が見えた。
 瞳が、上瞼に隠れようとしているのだ。
 しかし、その姿勢では、心地良い喪神に凭れることは叶わなかった。
 たちまちバランスを崩し、美弥子は前にのめった。

「あっ」

 相臀から両手を前に回し、身体を支えようとしたが……。
 両手の平が突いたのは、精液の塊だった。
 ジェル状の粘性を保ってはいたが、むろん美弥子の身体を受け止めるまでの応力は無い。
 美弥子の両腕は、精液を突き抜いた。

「あぁっ」

 後ろから、美里が支えようとしたようだったが……。
 間に合わなかった。
 美弥子は、顔面から精液に突っ伏した。
 栗の花が、脳内に散華する。
 美弥子は、両腕を真下に突き出した。
 もちろん、地面に手を突くためだった。
 しかし、その瞬間は訪れなかった。
 美弥子の身体は、精液に抱き止められていた。
 中空に浮くように、両脚が地面を離れた。
 片脚が遅れて離れたせいか、左右のバランスが崩れたようだ。
 美弥子の身体は反転し、顔が上を向いた。

 目を見開いても、スライム状の精液が視界を閉ざしていた。
 しかし、明るかった。
 陽の光が、真上からあたっているようだ。
 精液は、固まりかけの寒天のように、キラキラと輝いていた。
 不思議と息苦しくなかった。

 美弥子は、全身の緊張を解いた。
 精液の揺りかごに、身を委ねる。
 心臓の鼓動だけが聞こえた。
 自分の心音のはずだが……。
 遠くから聞こえるようにも思えた。
 懐かしい響きだった。
 そうか……。
 ここはきっと、母の胎内に似ているのだ。

 美弥子は、微睡むように目を閉じようとした。
 その時、視界を何かがよぎった。
 美弥子は、もう一度目を見開いた。
 細い糸状のものが、無数に蠢いていた。
 精液の中を、尾を振って泳いでいる。
 明らかに生きていた。
 答えは、ひとつしか見つからない。
 精子だ。
由美と美弥子 789目次由美と美弥子 791





コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2011/08/31 07:35
    • み「今はさ……。
       ひとつの家に、大人の人数分だけ車があって……」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201108272023548d1.gif
      み「家の車庫から車に乗れば、どこにでも行けるわけだよね」
      律「新潟は、典型的な車社会なわけね」
      み「車を持たなきゃ、生きて行けないね。
       免許が無ければ、就職も出来ない」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110827202327040.jpg
      み「町中の商店街は、ことごとくシャッター通りで……」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110827202328503.jpg
      み「お店は、郊外の大型スーパーだけになっちゃったからね」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110827202328428.jpg
      ↑イオン新潟南
      律「運転できないお年寄りとかは、どうすんの?」
      み「わたしの住んでるあたりだと……。
       区が、大型スーパーを通るバスを運行してる」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201108272023559b4.jpg

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2011/08/31 07:36
    • み「それでもまだ、江戸時代から続く露天市もあるし……」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201108272023264a3.jpg
      み「農家の人が毎朝行商に来るから、比較的便利なんだよ」
      律「あ、知ってる。
       トラック乗って来て、お店開くのよね」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110827202327e41.jpg
      み「あれは、八百屋さんとかがやってるんでしょ?」
      律「違うの?」
      み「農家の人が、朝採った野菜を軽トラに積んで来て……。
       一軒一軒、売って回るのよ」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2011082720232656e.jpg
      律「そりゃ、便利だわ」

    • ––––––
      3. Mikiko
    • 2011/08/31 07:36
    • み「また、脱線したな。
       何の話だっけ?」
      律「車社会」
      み「それそれ。
       江戸時代って、今と似てたんだよ。
       家の裏から舟に乗れば……。
       どこにでも行けたんだから。
       行こうと思えば、信濃川から海にだって出れたわけだからね」
      律「舟社会ね」
      み「はは。
       上手いこと言う。
       つまり当時は……。
       川が、道路の役目をしてたってわけよ」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110827202353a23.jpg
      ↑ベトナムです
      律「それで……。
       重量物を運搬するには、舟が一番便利だったってことね」
      み「そう」
      律「で、“肥やし舟”が存在したってわけか。
       お百姓さんが集めてたのよね。
       収集料金って、どのくらいだったんだろ?」
      み「いくらだと思う?」
      律「うーん」
      み「今の“うーん”は、洒落のつもり?」
      律「違うわよ。
       そうね……。
       一両くらい?」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201108272023539c8.jpg
      み「阿呆か!
       ほら、マスミンが笑ってるわよ」
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201108272023557a7.jpg
       続きは、次回。

    • ––––––
      4. ハーレクイン
    • 2011/08/31 09:43
    • 精液の海を漂う美弥子……。
      シュールで美しい情景だなあ。
      由美美弥
      今日の名言
      >>そうか……。
      >>ここはきっと、母の胎内に似ているのだ。
      胎児の頃の記憶があるという人がいる、という話がありました。
      ほんまかなあ、と思いますが、いやいや、あってもおかしくない、とも思います。

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2011/08/31 10:22
    • 「区が、大型スーパーを通るバスを運行」かあ。
      大阪市には、通常の市バス以外に、きめ細かく地域内を運行し、特にお年寄りが役所や病院、買い物に行くのに便利なように、という似たような発想の公営バスが運行されています。料金はどこまで乗っても100円。普通の市バスの半額です。
      その車体の色から「赤バス」と称しています。
      発想はいいのですが、住民には不評、乗車率は低いようで、よくカラで走っています。
      なぜ不評なのか。
      運行頻度が低いのと、“きめ細かく運行”が災いして、むちゃくちゃ時間がかかる、というのが原因です。
      発想はよかったんだけどね。うまくいかんよなあ。
      運行頻度を上げるほどの予算はないだろうし、“きめ細かく”をやめたら、そもそも何のための「赤バス」や、ということになってしまうしねえ。
      うまくいかんよなあ。そのうち廃止になるんやないかな。
      「農家の人が、朝採った野菜を軽トラに積んで来て……。一軒一軒、売って回るのよ」
      江戸期の行商、棒手振りと同じだな。
      新潟って、ほんとに「水の都」だったんだなあ。
      かつては、近郊の大量輸送に最も適した交通機関、舟。
      トラックが出現し、舟の役割が終わったとき、「水の都」の繁栄は過去の夢になったのだな、新潟は。
      大阪もな。八百八橋(はっぴゃくやはし)は、過去の夢だ。
      ●露と落ち露と消えにし我が身かな浪速のことは夢のまた夢(秀吉)

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2011/08/31 19:43
    •  昨年の大雪のとき、区バスに乗りました。
       JRも新潟交通のバスも、まったく動いてなかったので。
       なぜ、区バスが動いてたかというと……。
       市民病院行きの経路だったからです。
       病院を通る経路は、優先して除雪されるんですね。
       で、市民病院から、新潟駅行きに乗り替えるというウルトラCを思いついたわけです。
       しかし……。
       乗ってしばらくして、大後悔。
       とにかく、部落の細道のようなとこに、ことごとく入っていくわけです。
       乗ってる身としては、同じところをグルグル回ってるようにしか思えない。
       直線で行けば、15分くらいの距離を……。
       1時間半くらいかかったんじゃないでしょうか?
       ほかにまったく移動手段が無い人でなければ、ぜったいに乗らないでしょうね。
       この日、会社に着いたのは……。
       午後2時を回ってからでした。
       明治11年に新潟を訪れたイザベラ・バード(紀行作家)は……。
       新潟の堀割を“運河”と呼び、賞賛したそうです。
       信濃川から迷いこんだ鮭が、背びれを立てて泳いでいたとか。

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2011/08/31 19:56
    • 裏夏実、登場人物が一人増えてしまった。
      おかげで山場が一つ増えた。
      ま、これは今日一気に書き上げたので問題ないのだが……。
      今日1日で12枚書いたよ。書けば書けるもんだな。
      まだ、書けそうな気がする。
      それはともかく、先に行ってまた同じようなことになったらどうしよう。いつまでも終わらんくなる。
      今回だって、夏実が、登場人物(半分創作)の思いを受け入れなかったことから派生し、新たな人物の登場になったのだ。
      ま、幸い、おかげで裏夏実、初の濡れ場が書けたがの。
      うーむ。
      登場人物が勝手に動き出す、とはこういうことなのかなあ。

    • ––––––
      8. Mikiko
    • 2011/08/31 20:08
    •  わたしは、1日に12枚も書いたことなんか無いもの。
       「いつまでも終わらんくなる」ってのは……。
       まさに、「由美美弥」書いてるわたしと一緒。
       そういうもんです。
       しかし……。
       やっと、初の濡れ場って……。
       今まで、何書いてたんだ?

    • ––––––
      9. ハーレクイン
    • 2011/08/31 20:28
    • 何書いてたって言われても……。
      夏実って誰だあ、ということだな。
      可愛い子だなあ。
      んでもって、登場人物すべてが愛おしいなあ。
      書くって、こういうことなんだな。
      今までも書いたことはあるんだがな。
      主人公が無機質のものばかりだったからなあ。

    • ––––––
      10. Mikiko
    • 2011/09/01 07:45
    •  いろいろやっかいです。
       わたしもそうなんだけどね。
       本来、作者ってのは神様で……。
       はるかな高みから糸を垂らし、登場人物を操る存在であるべき。
       で、無慈悲な試練や不幸を仕掛けて、登場人物を虐めたりするわけだ。
       でも、愛しくなると、可哀想なことが出来なくなっちゃうんだよね。
       ま、プロ作家じゃないんだから……。
       好きなように書きましょうよ。

    • ––––––
      11. ハーレクイン
    • 2011/09/01 09:26
    • 以下、Wikiからの抜粋。
      1831-1904
      英国の女性紀行作家。
      1878年(明治11年)、東京-日光-新潟-北海道、また神戸-京都-伊勢-大阪を旅し「日本奥地紀行」などを著述。
      バード曰く、
      「世界中で日本ほど婦人が危険にも無作法な目にも合わず、まったく安全に旅行できる国はない……」
      う~ん、今はどうかな。

    • ––––––
      12. ハーレクイン
    • 2011/09/01 10:01
    • 今、思い返してみれば、私の作家(?)としてのデビュー(?!)は高校生の時。
      同級生に、半ば無理やり読ませたSFもどきの、2枚にも満たない小品でした。
      読者(?)の評価はなんもなし。
      初めて読者がついた(!)のは浪人生の時。
      大阪の淀屋橋、というか中之島というか、に大阪府立中之島図書館があります。
      府立図書館のメインは東大阪市に移転してしまいましたが、かつてはこの中之島が、大阪府のメイン図書館でした。
       (『星に生まれたもの』を見よ!)
      んで、ここの自習室が大阪の受験生の自習室のメッカだったんですね。
      勉強もせんのに、ここの自習室に通っていれば、なんとなく勉強しているような錯覚に陥ったのです。
      そういう意味で、中之島、というのは受験生の聖地でした。
      んで、ここのトイレの個室の壁に書いたのだよ。エロ小説を。
      さあ、何枚分くらいあったろうのう。
      山場だけ、主人公の造形もへったくれもなし。
      ただただ「ああん、いいわ、気持ちいいわ、いくいくいく」なあんてのを書いただけなのだが。なんと、読者がついたのだよ。
      翌日その個室に入ると、私の作品(!)の脇に「続きを書け!」との“作者へのお便り”が。
      いやあ、嬉しかったよ。あの喜びは「書く」経験のない人にはわからぬだろうなあ。
      んで、書きましたよ、もちろん。Part2を。
      枚数からいうとpart1の倍はあったかなあ。
      んで、さらに翌日、ドキドキわくわくしながら件の個室に入りますと……すべてはペンキで塗りつぶされて消されておりました。“作者へのお便り”も含めてのう。
      む、無念じゃ。
      さらに書き込む気力もなく、悄然と図書館を引き上げたのを覚えております。
       (んったく、受験生が勉強もせんと……)

    • ––––––
      13. Mikiko
    • 2011/09/01 19:57
    •  そんな経験があったなら……。
       どうして、エロ文道に進まなかったのかね。
       ひょっとしたら今ごろ、大家になってたかも知れないのに。
       わたしの若いころは、自意識過剰のカタマリで……。
       エロ小説なぞ、よう書けませんでした。
       考えてみれば……。
       素人には、トイレの壁くらいしか発表の場が無かったんだよな。
       まさか、自作を自由に発表できる時代が来るとは……。
       誰も考えもしなかったでしょうね。
       今、トイレの落書なんて、無くなったんじゃないか?

    • ––––––
      14. ハーレクイン
    • 2011/09/01 20:26
    • 学者さんになりたかったのだよ。
      あの、白衣。
      あれが着たくて着たくてのう。
      しかし考えてみれば、学生時代はピンク映画館に入り浸り、愛読書は団鬼六と千草忠夫。
      どう考えても学者さんになれるわけはない。
      せいぜい予備校の講師だな(わはは)。
      うーむ。
      道を間違ったかのう。
      ま、しかし。
      人生は一度だけだ。

    • ––––––
      15. Mikiko
    • 2011/09/02 06:28
    •  お茶の水博士になりたかったわけか。
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/2011090206270962f.jpg
       でも、もしなってたとしても……。
       アトムじゃなくて……。
       ダッチワイフを造ってたかもね。
      http://blog-imgs-34.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20110902062709107.jpg

    • ––––––
      16. ハーレクイン
    • 2011/09/02 08:57
    • 第1次南極越冬隊が実際にダッチワイフを持って行ったかどうかは、いまだに謎に包まれているようですが……。
      小松左京『復活の日』
      全世界が新種ウィルスにより死に絶え、極寒の南極大陸の各国観測隊のみが生き延びた世界……。
      わずかな女性隊員が、男性隊員全員を相手にする、というシステムが出来上がった。
      もちろん女性全員の同意を得たうえで。
      次世代の子供をつくる、という目的も踏まえて……。
      それでも、男性隊員一人当たり、数か月に1度しか機会はない。我慢できん奴はどうするのだ。
      そこに、最高責任者(名前忘れた)の檄が轟く。
      曰く、
      「マスでもかいてろ!!」
      それにしても、画像の「特殊用途愛玩人形」。
      むっちゃ可愛いじゃねえか。
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