2010.5.23(日)
キッチンから、氷がアイスペールに移される音が聞こえていた。
2,3個、氷が床に落ちたらしい音も聞こえた。
叔母の心は、激しく揺れているのだ。
叔母が、どんな気持ちであんなことを頼んだかと思うと……。
切なかった。
由美は、この叔母が好きだった。
同じ無毛症であったことを知り、その思いはいっそう増していた。
しかも、この叔母は、由美にとってはキューピットでもあった。
叔母のおかげで、美弥子と出会うことができたのだ。
叔母の処方してくれた下剤が、由美と美弥子を遭わせてくれたのだから。
この叔母には、権利があると思った。
美弥子にバージンを奪われる権利が……。
叔母が、新しい氷とグラスを持って戻ってきた。
テーブルに並べる。
「さっきのこと……。
聞かなかったことにして。
どうかしてた、わたし」
「頼んでみる」
「え?」
「わたしから、美弥ちゃんに頼んでみる」
「そんな……。
もういいのよ。
由美の好きな人なんでしょ。
ほかの人のバージンを奪ってくださいなんて、頼めないよ」
「でも、頼んでみる。
だけど……。
美弥ちゃんが嫌って言ったら、許してね」
「由美……。
ほんと、誰に似たんだろうね。
絶対、姉さんの性格と違うよ」
「叔母ちゃんのこと、好きだから」
「レズっちゃったもんね」
「やだ」
「レズと言えば、もう一点共通点があったよ、由美とあたし」
「なに?」
「女の人が好きってこと。
わたしに男性経験が無かったのは……。
もちろん、この無毛症が大きな要因だけど。
もうひとつ、男の人には嫌悪感しか感じなかったってこともあるの。
今まで好きになったのは、みんな女性。
でも……。
実際には手も握ったこともない。
告白されたことは、何度もあるんだ。
ほとんどが看護師だった。
だけど……。
応えられなかった。
ひとり、わたしも大好きだった子がいてね。
必死な顔で告白してくれたの。
その場で抱きしめたかったけど……。
出来なかった。
わたしが頸を横に振るのを見ると……。
その子、泣きながら飛び出してった。
そのまま病院から消えてしまったの。
そう言えば……。
体型なんか、由美にそっくりな子だった」
由美を見つめる叔母の瞳から、涙が一粒零れた。
2,3個、氷が床に落ちたらしい音も聞こえた。
叔母の心は、激しく揺れているのだ。
叔母が、どんな気持ちであんなことを頼んだかと思うと……。
切なかった。
由美は、この叔母が好きだった。
同じ無毛症であったことを知り、その思いはいっそう増していた。
しかも、この叔母は、由美にとってはキューピットでもあった。
叔母のおかげで、美弥子と出会うことができたのだ。
叔母の処方してくれた下剤が、由美と美弥子を遭わせてくれたのだから。
この叔母には、権利があると思った。
美弥子にバージンを奪われる権利が……。
叔母が、新しい氷とグラスを持って戻ってきた。
テーブルに並べる。
「さっきのこと……。
聞かなかったことにして。
どうかしてた、わたし」
「頼んでみる」
「え?」
「わたしから、美弥ちゃんに頼んでみる」
「そんな……。
もういいのよ。
由美の好きな人なんでしょ。
ほかの人のバージンを奪ってくださいなんて、頼めないよ」
「でも、頼んでみる。
だけど……。
美弥ちゃんが嫌って言ったら、許してね」
「由美……。
ほんと、誰に似たんだろうね。
絶対、姉さんの性格と違うよ」
「叔母ちゃんのこと、好きだから」
「レズっちゃったもんね」
「やだ」
「レズと言えば、もう一点共通点があったよ、由美とあたし」
「なに?」
「女の人が好きってこと。
わたしに男性経験が無かったのは……。
もちろん、この無毛症が大きな要因だけど。
もうひとつ、男の人には嫌悪感しか感じなかったってこともあるの。
今まで好きになったのは、みんな女性。
でも……。
実際には手も握ったこともない。
告白されたことは、何度もあるんだ。
ほとんどが看護師だった。
だけど……。
応えられなかった。
ひとり、わたしも大好きだった子がいてね。
必死な顔で告白してくれたの。
その場で抱きしめたかったけど……。
出来なかった。
わたしが頸を横に振るのを見ると……。
その子、泣きながら飛び出してった。
そのまま病院から消えてしまったの。
そう言えば……。
体型なんか、由美にそっくりな子だった」
由美を見つめる叔母の瞳から、涙が一粒零れた。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2010/05/23 07:24
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さて、バスが立ち寄ったのは、ホテル花山酔(はなさんすい/http://www.hanasansui.co.jp/)。
http://blog-imgs-36.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201005152056408c8.jpg
さっそく、レストランへ。
http://blog-imgs-36.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20100515205639c89.jpg
出てきました、牛ステーキ(下の写真は、イメージ。花山酔の料理ではありません)。
http://blog-imgs-36.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201005152056393cb.jpg
各テーブルからは、歓声が。
豊後牛、ですぜ。
肉汁が……(これも、イメージ)。
http://blog-imgs-36.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201005152056394b1.jpg
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2. Mikiko- 2010/05/23 07:25
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「うめ~」
「ほんとに美味しい」
「赤ワインも美味いや。
いつも飲んでる紙パックのワインとは、やっぱ違うよ」
「同じだったら、大変ですよ」
「ワイングラスで飲むから、美味しいのかな?」
http://blog-imgs-36.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/201005152056402d4.jpg
「こないだ、Mikikoさんちに泊めてもらったとき……。
驚きました」
「何が?」
「だって、ワインをジョッキで飲むんだもの」
「家で、ワイングラスでなんか飲めるかよ。
お醤油とか取ろうとして腕を伸ばすと、必ずひっくり返るんだから」
「あんなジョッキ、初めて見ました」
http://blog-imgs-36.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20100515205640e61.jpg
楽天市場の販売サイト→http://pt.afl.rakuten.co.jp/c/025ceb89.3859455a/?url=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fmeicho2%2f2-1325-1501%2f
「そうか?
縁が二重構造になってて……。
空洞部分に保冷液が入ってる。
冷凍庫で凍らせて使うわけだ。
最後の1滴を飲み干すまで、冷え冷えが続くって優れもの」
「でも、ビールを飲むためのジョッキでしょ?
あれでワインを飲む人なんていませんよ」
「ここにいるだろうが。
二重構造だから、見た目より入らないんだぜ。
それよか美弥、ステーキ、一切れちょうだい」
「イヤです。
わたしがもらいたいくらいなんだから」
「失敗したな……」
「何がです?」
「美弥に、モモガー食わせとくんだった。
そうすりゃ、ステーキ全部入らなかったろうに」
「ハンバーガー、止めてもらって、感謝してます」
美弥ちゃんの口に、最後の一切れが……。
「あ~」
さて、食事の後ですが……。
希望する人は、ホテルのお風呂に入れます。
「わたし、入りたい。
朝、入ってないから」
「わたしは、朝入ったからなぁ」
「美弥も入ろうよ」
「お腹いっぱいだから、億劫だなぁ」
「入ろうよぉ」
「バカに勧めますね。
ここのお風呂って、有名なんですか?」
「知らん……」
「じゃ、なんでそんなに入りたがるんです?」
「実は……」
「何です?」
続きは、次回。
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3. 淡雪- 2010/05/23 09:33
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家族風呂?
50分、1500円とか・・・
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4. フェムリバ- 2010/05/23 10:20
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律子さん、ビアンだったのね!
しかも
あの「泣きながら病院を飛び出して行った人」と両思いだったなんて!
でもでも
律子さん、あの人はちょっと危険なの(泣)
付き合ったら、もれなく弟までついてくるんだよ?
自立可能な兄弟の面倒まで看ないといけないとか、絶対嫌じゃい・・・(泣)
おぉ~
取り合っちゃうほど美味しいわけですか♪
そういえば
高知の旅館(国民宿舎)でも、お肉取り合ってましたね(笑)
この保冷剤入りビールジョッキ、家の母も愛用してます!
氷は解けて不味くなるから、氷を入れなくて済むこのジョッキは、かなり重宝するそうです。
お風呂をプッシュする理由・・・
う~ん・・・
あ!
さては、ミキコ様・・・
大吊橋でおしっこチビッちゃってたんでしょう?
>淡雪さん
リフレッシュ出来てよかったですね♪
エステ、羨ましい~
(でも、6時間もマッサージしてもらったら、気持ち良くて寝ちゃうかも?)
もしかしたら
淡雪さんだったから、6時間みっちりしてくださったのかも!
エステティシャンを虜にするとは、恐れ入谷の鬼子母神です。
リフレッシュして頑張るって、大事ですよね。
いつだって、今と未来しかないんですから・・・
皆様、前を向いて歩きましょう♪
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5. Mikiko- 2010/05/23 12:00
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> 淡雪さん
あの家族風呂、良さげだよね。
閉ざされた感じで、ヤラシイ雰囲気がムンムン。
でも、観光バスのお客は、入れないんじゃないかな?
予約制みたいだし。
あなたまさか、体験済みじゃないでしょうね?
> フェムリバさん
わたしの小説には、女しか出てこない上に……。
出てくる女は、全員ビアン。
わたしは、自分が読みたい小説を書いてるので……。
リアリティは無視。
ファンタジーだと思ってます。
保冷剤入りのジョッキは、夏場、ほんとに重宝します。
でも、案外早く解けちゃうんだよ。
夕食だけなら、十分持ちますけどね。
ゆっくりと飲みたいって場合は……。
2つ用意して、交互に凍らせて使わなきゃならないだろうね。
欠点は……。
庫内で、結構な場所を取るってことです。
わたしが、お風呂に入りたがった理由は……。
明日の投稿を待て!
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6. バニラ- 2010/05/23 20:04
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こんばんわ。
叔母さん、切ないです。。
美弥ちゃんと抱き合う っていうのも、
実現しても、叔母さんなら、なんだか許せます。
それにしても!!
キッチンで氷を取り落とす所とか、
Mikikoさんの表現力は本当に素晴らしいです[絵文字:e-420]
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7. Mikiko- 2010/05/23 21:04
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2通目、ありがとう。
コメント入れてくださる人は……。
1,000人に1人くらいだと思うけど……。
裏を返してくださる方は、さらにその何分の1か。
3通目を入れてくれたら、もうお馴染みさんですよ。
バニラさんの感想を読んでると……。
なんか、切な系の純愛ものみたいだよね。
立派な変態小説なんですけど……。
でも、感情移入してくださって、ほんっとに嬉しいです。
表現力が素晴らしいなんて言われると……。
照れるぜ(ぽ)。