2009.9.2(水)
由美の尻は、小舟を漕ぐ艪のように、宙を煽り続けていた。
ベランダの手摺りに吊された右脚が、手摺りの上に突き出ていた。
タオルケットに括られた膝が真っ直ぐに伸び、脛は青空を指していた。
爪先が、空を掴むようにすべて開いていた。
指先の狭間の空を、鳩の群れが旋回しているのが見えた。
絶頂が近かった。
青空を仰ぎながら迎える絶頂は、美弥子とのベランダを思い起こさせた。
『美弥ちゃん……』
青空に、美弥子の顔が浮かんだ。
悲しげに、由美を見下ろしていた。
『ごめんね……』
由美の頬を涙が伝った。
『美弥ちゃん、由美、もうイッちゃう』
由美は青空の美弥子から目線を切り、頸を仰け反らせた。
隣室とのパネルを見つめながら、絶頂を待った。
由美が瞳を迫り上がらせ、唇から歓喜を迸らせようとした、その時だった。
不意に、陰核から刺激が消えた。
「あ、あ」
由美は小さな悲鳴を零しながら、頸を振り戻した。
ミサが口角を上げ、真っ直ぐに見下ろしていた。
「今、イキそうだったでしょ?
ダメだよ。
勝手にイッちゃ。
お答えがないでしょ、まだ」
「あ、あぁ」
「ちゃんとしゃべりなさい。
由美ちゃん。
お尻までタラタラ垂れてる、このお汁はなんですか?」
「……」
「言わないと、ずっとこのままだよ」
「うぅっ」
由美の口から嗚咽が零れた。
絶頂の間際までたどり着きながら、その扉が開かれない。
四肢は戒められ、自ら扉を開くことは適わなかった。
ミサの手で、開いてもらうしかないのだ。
ベランダの手摺りに吊された右脚が、手摺りの上に突き出ていた。
タオルケットに括られた膝が真っ直ぐに伸び、脛は青空を指していた。
爪先が、空を掴むようにすべて開いていた。
指先の狭間の空を、鳩の群れが旋回しているのが見えた。
絶頂が近かった。
青空を仰ぎながら迎える絶頂は、美弥子とのベランダを思い起こさせた。
『美弥ちゃん……』
青空に、美弥子の顔が浮かんだ。
悲しげに、由美を見下ろしていた。
『ごめんね……』
由美の頬を涙が伝った。
『美弥ちゃん、由美、もうイッちゃう』
由美は青空の美弥子から目線を切り、頸を仰け反らせた。
隣室とのパネルを見つめながら、絶頂を待った。
由美が瞳を迫り上がらせ、唇から歓喜を迸らせようとした、その時だった。
不意に、陰核から刺激が消えた。
「あ、あ」
由美は小さな悲鳴を零しながら、頸を振り戻した。
ミサが口角を上げ、真っ直ぐに見下ろしていた。
「今、イキそうだったでしょ?
ダメだよ。
勝手にイッちゃ。
お答えがないでしょ、まだ」
「あ、あぁ」
「ちゃんとしゃべりなさい。
由美ちゃん。
お尻までタラタラ垂れてる、このお汁はなんですか?」
「……」
「言わないと、ずっとこのままだよ」
「うぅっ」
由美の口から嗚咽が零れた。
絶頂の間際までたどり着きながら、その扉が開かれない。
四肢は戒められ、自ら扉を開くことは適わなかった。
ミサの手で、開いてもらうしかないのだ。
コメント一覧
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1. Mikiko- 2009/09/02 07:25
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さて、1回飛ばしてしまったヤマタノオロチのお話の続きです。
あるサイトの画像を見て……。
思わず、「ヤマタノオロチだっ!」と叫んだわけは……。
その時見た画像は、どうしても見つかりませんので、似たような画像を載せます。
http://blog-imgs-24.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/200908230951478e4.jpg
もう1枚。
http://blog-imgs-24.fc2.com/m/i/k/mikikosroom/20090824161402cc9.jpg
いずれも、溶岩流が山肌を流れ下る画像です。
どうです?
まさに、たくさんの頭を持つ、真っ赤なヘビに見えませんか?
『8つの頭と8本の尾を持ち、目はホオズキのように真っ赤で、背中には苔や木が生え、腹は血でただれ、8つの谷、8つの峰にまたがるほど巨大』
ひょっとしたらわたし、大発見したのではなかろうか……。
ドキドキしました。
で、「ヤマタノオロチ=溶岩流」という説が無いか、ネット検索したところ……。
がっくり……。
やっぱり、その説を唱えてる人がいたんです。
しかも偉い人。
寺田寅彦(1878~1935)という人です。
物理学者でありながら、夏目漱石の高弟。
随筆家としても有名な人です。
わたしが見つけたのは、「寺田寅彦随筆集」にあった「神話と地球物理学」という一文。
昭和8年8月に発表された文章です。
中に、次のような記述があります(原文に行分けはありません。全文はこちら→http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2357_13804.html)。
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高志の八俣の大蛇の話も火山からふき出す熔岩流の光景を連想させるものである。
「年ごとに来て喫うなる」というのは、噴火の間歇性を暗示する。
「それが目は酸漿なして」とあるのは、熔岩流の末端の裂罅から内部の灼熱部が隠見する状況の記述にふさわしい。
「身一つに頭八つ尾八つあり」は熔岩流が山の谷や沢を求めて合流あるいは分流するさまを暗示する。
「またその身に蘿また檜榲生い」というのは熔岩流の表面の峨々たる起伏の形容とも見られなくはない。
「その長さ谿八谷峡八尾をわたりて」は、そのままにして解釈はいらない。
「その腹をみれば、ことごとに常に血爛れたりとまおす」は、やはり側面の裂罅からうかがわれる内部の灼熱状態を示唆的にそう言ったものと考えられなくはない。
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まさに、そのまんまですよね。
斐伊川の氾濫なんて例えより、ずっと視覚的に近いじゃありませんか。
それにこの説なら、山の頂上近くがオロチに襲われるって疑問も氷解します。
溶岩流は、頂上から流れ下って来るわけですから。
ただ、この説でも説明し難い記述が、神話にはあります。
『毎年古志(こし)からヤマタノオロチがやって来て娘を食べてしまった。』
古志というのは、「越」のことです。
『Wikipedia』を引くと……。
「越国(こしのくに)とは、現在の福井県敦賀市から山形県庄内地方の一部に相当する地域を領した、古代の勢力圏である」
つまり、その越の国から出雲に、ヤマタノオロチはやってくるわけです。
この記述、単純な火山噴火説からは、説明がつきません。
もちろん、洪水説でも説明できませんけど。
なんとか説明できんもんか……。
考えました。
オロチは、越から出雲にやって来る……。
越と出雲を繋ぐもの……。
首を捻るうち……。
突如、閃きました。
あったんです。
越と出雲を繋ぐものが。
続きは、あさって。
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2. 淡雪- 2009/09/02 08:18
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読ませるわよねー。
Mikikoさんは。
いまや、労力の半分以上はコメントに使ってますね。
コメントのエロ部を除いた内容でも、ひとつブログが出来そうよね。
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3. Mikiko- 2009/09/02 19:48
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コメントの方が、メインコンテンツになっちゃってますよね。
オマケの方がデカくなったお菓子みたいです。
コメント書くのに、かなりの時間を取られてるのは確かです。
本編の1回分は、30分くらいで書けるけど……。
最近のコメントは、そんな時間じゃ書けませんわな。
調べものとか、しなくちゃならないし……。
最近は、本編とコメントが完全に乖離しちゃってるから……。
こういう形式でいいのかと、考えないこともないです。
コメント欄は、制約も多いしね。
でも、今さらやり方変えるのも面倒なので……。
このまま行くつもりですけど。
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4. 淡雪- 2009/09/02 21:54
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ほんまに面白いものになってますよ。
頑張ってるなあ。ミキコさんは。
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5. Mikiko- 2009/09/03 07:50
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照れますが……。
自分でも、頑張ってると思うから……。
とっても嬉しいです。
これだけやって、面白くないなんて言われたら、ぺちゃんこですもん。
来てくれたお客さまには、なんとか楽しんでってもらいたいじゃない?
生まれながらの芸人なんでしょうかね。
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6. 淡雪- 2009/09/03 08:40
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旺盛なるサービス精神ですね。
でも人を幸せにすること自体、すごくシアワセなことよね。
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7. Mikiko- 2009/09/03 19:44
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いやにほめるね。
何も出ないぞ。
でも、ほんとだよよね。
わたしの文章読んで、楽しんでいただけるなら……。
これに勝る喜びはありません。
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8. 淡雪- 2009/09/03 20:12
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片付け物を続けているので、なんか自分の癖?に向き合う毎日です。
主人から、身辺整理みたいで気持ち悪いからやめてくれと言われました。
でも、つづけてるのよ。意地悪かしら。^^
仏に近づいているのかしら。
でも、きっちり毒も捨ててはいませんよ。
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9. Mikiko- 2009/09/03 20:24
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片付けものなんてしないんじゃないの?
わたしなんか、母からしょっちゅう言われてるけど……。
あれって、早く仏に近づけって言ってるのか?
片付けものって……。
自分の心を片付けてるのかもね。
きっちり収まったら、また歩き出しましょう。
再び、散らかすために。