Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
由美と美弥子 0024
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 自らの尿で、ショーツを濡らしてしまった。
 思いもかけなかった失態に、美弥子は動転していた。

 更に追い打ちをかけるように、そのショーツでトイレを溢れさせてしまった。
 何も出来ず、壁際に立ち竦むだけだった。
 その時突然、扉が叩かれたのだ。

 そう言えばこの個室に入るとき、他の扉はすべて閉まっていた。
 隣の個室にも、誰か居たのだ。
 若い声なので、同じ学生だろう。
 失態を、その人に知られてしまった。
 しかも、扉を開けて中に入れろと言う。
 美弥子の額に冷や汗が浮いた。
 このまま立ち去って欲しいと願った。
 しかし、扉は再び叩かれた。

「このままだと、トイレが水浸しになっちゃいますよ!
 開けてくれないなら、人を呼んできます」

 こんな状況の中で、扉の外に人が集まって来る……。
 考えただけで恐ろしい事態だった。
 溢れた水は、ヒールの踵を洗っている。
 もはや、この人の助けを借りるほかは無いのだ。

「待って」

 美弥子は、観念して扉の鍵を外した。
 扉が細く開くと同時に、人が滑り込んできた。

 その人は言葉もなく、美弥子の顔を見ることもなかった。
 俯いたまま扉の鍵を後ろ手に閉めると、直ぐさま四つん這いになった。
 何の躊躇いもなく、溢れる便器に腕を突っ込む。

 美弥子はその背中を見下ろしながら、ただ立ち竦んでいた。
 言葉を発することが出来なかった。
 その人は、全裸だったのだ。

 少女のような幼い体形をしていた。
 白い肌に、背骨が浮いて見えた。
 美弥子は呆然としながら、その背骨の列を数えていた。

 短い格闘の末、その人の手によりショーツが奪還された。
 水が、音を立てて引いてゆく。
 助かった……。

 その人はゆっくりと立ち上がった。
 そして真っ直ぐに美弥子を見た。
 その瞬間、美弥子は更に大きく目を見開いた。
 知っている顔だった。
 知っているどころか、同じクラスの学生だ。
 一度も口を利いたことは無いが……。
 確か、藤村由美と言ったはずだ。
 可愛らしい顔をした、物静かな少女だった。

 本来なら、助けてもらったお礼を言うべきなのだろう。
 しかし、判らなかった。
 なぜこの少女は、全裸でいるのか。
 しかもなぜ、こんなにも真っ直ぐに、自分の目を見ていられるのか。
 服を着ている自分の方がおかしいのではないか、一瞬そんなことを思わせるほど無垢な視線だった。

 美弥子は、耐えきれずに視線を外した。
 流れる視角の隅に、少女の下腹部がよぎった。
 違和感を感じ、もう一度視線がそこに戻る。
 少女の下腹部には、あるべき物が無かった。

 性毛が無いのだ。
 上から見下ろしているので、性器はほとんど見えない。
 恥丘がぷっくりと膨らんだ、幼女のような下腹部だった。
 目を逸らさなければと思ったのだが、美弥子の視線は、強い磁力に引きつけられたように、そこから離れなかった。

 記憶の底で、泥が噴き上がっていた。
 そこから何かが浮かび上がってくる。
 深い湖の底を離れた廃船が、ゆっくりと浮揚してくる。
 湖面に黒い影が揺らめいた。
 そして突然、廃船は湖上に姿を現した。
 押し殺していた記憶が、一瞬にして蘇った。
 美弥子は後ずさった。

『帰ってきた……。
 あの人が帰って来た……』

 背中を壁に預け、美弥子は喘いだ。
 息が苦しい。

「美弥子、さん……?」

 少女が一歩踏み出す。

「ひっ」

 美弥子の理性が吹き飛んだ。

「ごめんなさい!
 ごめんなさい、先生。
 許して……。
 美弥子を許して」

 美弥子は、蘇った記憶の中に、一瞬にして引きずり込まれていった。


★作者注)次回の25回から173回までは、美弥子の回想シーンとなります。今回の続きは、174回です。★
由美と美弥子 023目次由美と美弥子 025





コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2008/07/13 08:20
    •  てなわけで、次回からは、美弥子の「蘇った記憶」の中に入っていきます。
       前回ようやく出会った由美と美弥子ですが、このシーンの続きはもうしばらく先になりそうです。
    コメントする   【由美と美弥子 0024】
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