2008.6.25(水)
この日、午後の一限目は、小教室での授業だった。
由美も、美弥子と同じ授業を取っていたのだが、この日は欠席した。
あの薬は、必ず午後の一限目に効いてくる。
美弥子はいつも、前方の席で熱心にノートを取っていた。
しかも小教室だから、途中でトイレに立つことには躊躇いがあるはずだ。
薬が効き始めても、美弥子はまず、この授業中は我慢しようとするだろう。
しかし、あの薬はそんな事を許さない。
授業終了まで持たないと悟った美弥子は、必ずトイレに立つ。
その時は、かなり切迫しているはずだ。
間違いなく、一番近いトイレを目指す。
そのトイレこそは、由美が美弥子の便臭に包まれてオナニーに耽った、あの「昭和の遺物」だった。
午後の授業が始まるとすぐ、由美はそのトイレに向かった。
思ったとおり、中には誰もいなかった。
聞こえるのは自分の靴音だけ。
四つある個室の扉は、すべて開いていた。
由美はバッグを洗面台に置くと、掃除用具入れから脚立とデッキブラシを持ち出した。
以前、清掃婦がここを開けていたとき、中に何が入っているか見ていたのだ。
由美は、脚立を一番奥の個室前に据えた。
このトイレは、一番奥だけが洋式である。
おそらく美弥子は、あの日と同じく、ここを目指すはずだ。
しかし、洋式便器に座られては、肝心の箇所が見えない。
美弥子には、何としても和式に入って貰わなければならなかった。
由美は脚立に昇ると個室の扉を閉め、天井と扉の隙間から身を乗り出した。
そこからデッキブラシの柄を差し入れる。
デッキブラシの先が、扉のラッチを捉えた。
力を込めてブラシを横に動かすと、確かな音と共に鍵が掛かった。
同じようにして、一番手前の個室にも鍵を掛ける。
脚立とブラシを片付けると、バッグを取り、由美は手前から二つ目の個室に入った。
中から鍵を掛ける。
これで開いている個室は、奥から二番目だけだ。
美弥子はそこに入るしかない。
由美は個室の扉に凭れたまま、しばらく目を閉じていた。
とんでもないことをしようとしていることは、自分でも判っていた。
しかし、もう自分を止められなかった。
由美は目を開けると、持っていたバッグを扉のフックに掛けた。
持ち手の片側だけを掛けたので、大振りなバッグは口を開いて下がっている。
由美は、履いているパンプスを脱いだ。
由美も、美弥子と同じ授業を取っていたのだが、この日は欠席した。
あの薬は、必ず午後の一限目に効いてくる。
美弥子はいつも、前方の席で熱心にノートを取っていた。
しかも小教室だから、途中でトイレに立つことには躊躇いがあるはずだ。
薬が効き始めても、美弥子はまず、この授業中は我慢しようとするだろう。
しかし、あの薬はそんな事を許さない。
授業終了まで持たないと悟った美弥子は、必ずトイレに立つ。
その時は、かなり切迫しているはずだ。
間違いなく、一番近いトイレを目指す。
そのトイレこそは、由美が美弥子の便臭に包まれてオナニーに耽った、あの「昭和の遺物」だった。
午後の授業が始まるとすぐ、由美はそのトイレに向かった。
思ったとおり、中には誰もいなかった。
聞こえるのは自分の靴音だけ。
四つある個室の扉は、すべて開いていた。
由美はバッグを洗面台に置くと、掃除用具入れから脚立とデッキブラシを持ち出した。
以前、清掃婦がここを開けていたとき、中に何が入っているか見ていたのだ。
由美は、脚立を一番奥の個室前に据えた。
このトイレは、一番奥だけが洋式である。
おそらく美弥子は、あの日と同じく、ここを目指すはずだ。
しかし、洋式便器に座られては、肝心の箇所が見えない。
美弥子には、何としても和式に入って貰わなければならなかった。
由美は脚立に昇ると個室の扉を閉め、天井と扉の隙間から身を乗り出した。
そこからデッキブラシの柄を差し入れる。
デッキブラシの先が、扉のラッチを捉えた。
力を込めてブラシを横に動かすと、確かな音と共に鍵が掛かった。
同じようにして、一番手前の個室にも鍵を掛ける。
脚立とブラシを片付けると、バッグを取り、由美は手前から二つ目の個室に入った。
中から鍵を掛ける。
これで開いている個室は、奥から二番目だけだ。
美弥子はそこに入るしかない。
由美は個室の扉に凭れたまま、しばらく目を閉じていた。
とんでもないことをしようとしていることは、自分でも判っていた。
しかし、もう自分を止められなかった。
由美は目を開けると、持っていたバッグを扉のフックに掛けた。
持ち手の片側だけを掛けたので、大振りなバッグは口を開いて下がっている。
由美は、履いているパンプスを脱いだ。