Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
センセイのリュック/幕間 アイリスの匣 #203
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戯曲『センセイのリュック』作:ハーレクイン



幕間(小説形式)アイリスの匣#203



「ここが……違いまする」

 言いさして恭子(のりこ)は、片手を伸べた。
 手の甲が上、掌が下。五指は軽く開き……指の先が腕の総てを導くように直ぐに前方に向かった。向かう先には……誘うがごとく、艶然と笑むがごとくに盛り上がる笹津由の胸の双丘。
 子を成し、乳を与え、加えて恭子と兵部、生さぬ仲の二人の乳飲み子にもたっぷりと授乳したにもかかわらず、笹津由の両の乳房は些かの衰えも見せていなかった。その並び立つ双丘は、あり得ぬ事ではあるが未だ満々と乳を湛えているかに見えた。


 京の隣国、江州(ごうしゅう)は近江の国。
 湖国とも称えられるこの水の国は、その国土面積の実に1割6分余りが琵琶湖の水面である。
 母なる湖(うみ)琵琶湖。湖面面積669.23㎞2、最大水深103.58m、平均水深41.2m、貯水量27.5㎞3。
 その広大な湖面には、冬の荒れた日には比叡颪が吹き荒び、波立ち騒ぐ湖水面は荒海をも思わせる。だが、春日(しゅんじつ)の穏やかな日などは、まさにさざ波一つ立たない鏡の湖面である。見晴るかす対岸は霞の彼方に遥かに遠く、果ても見えない。時に蜃気楼が立つこともあると云われる琵琶湖。
 近江の国は言うに及ばず、山城、大和、摂津……畿内の多くの国々の人々の命をを育んだ、まさに母の湖。
 笹津由の豊かな胸乳(むなち)は、恰(あたか)も琵琶の湖の如くに、満々と命の水、乳を未だに蓄えているかに見えた。


 恭子(のりこ)の伸べた片手の手首が返った。上向きだった手の甲が恭子自身を向き、下を向いていた掌が手の向かう正面、笹津由の片方の胸乳を向いた。触れる。離れる。触れる、触れる……。恭子の掌のほぼ中央は、笹津由の乳首の先端に軽く軽く、あたかも様子を窺うかのように、訪いを入れるかのように、微かに触れた。

「む……」

 笹津由は、その訪いに応じ、微かに声を漏らした。あまりに微かなその声は、恭子には届かない。
 恭子は、ゆるゆると掌を動かした。右に、左に、上に、下に。恭子は立てた掌の全体を、見えない鉛直面に沿って回転させた。今の時代で云うならば、恰も時計の針の回る向きに、また、その逆の向きに、恭子の掌は笹津由の乳首を弄いまわした。

「お……」

 笹津由の漏らす声はやや大きくなった。それは恭子(のりこ)の耳にも十分届いた。

「ささ……」
「姫、そこだけかの」
「だけ、とは」
「知れたこと。をみな(女)とをのこ(男)の体の違い。そこはそれだけかと問うており申す」

 言われて恭子は、暫時手を止めた。
 一呼吸も置かず、開いた恭子の手は、その五指共に内側に折り畳まれた。恭子の伸べた手は握りしめられた。その五指の先は、恰も鳥の鉤爪の如く、柔らかい獲物の肉に喰い込んだ。
 獲物……豊かに盛り上がる笹津由の胸肉。双の乳房の片方である。

「おお」

 笹津由は、さらに声を大きくした。
 聞いた恭子(のりこ)は知らず、手を緩めた。

「お、すまぬ。痛(いと)うしてしもうたか」

 言いさして恭子は延べた手を引こうとした。
 その恭子の手を、笹津由の両手が包み込んだ。押し留めるかのように、恭子の手をわが胸に押し付ける笹津由であった。

「なんの、大事おじゃらぬ。姫、もそっと……」

 捉えた恭子の片手ごと、わが胸を揉み込む笹津由であった。
 恭子はされるまま、笹津由の乳を掴んだ。握った、握りしめた。乳は温かかった。柔らかかった。そして弾むがごとく、吸い付けるがごとく、笹津由の乳は恭子の手の動きに応えた。

「姫……」

 呼びかける笹津由に、恭子(のりこ)は短く答えた。

「あい……」
「覚えて、おいでかのう」
「なに、を……」
「姫が幼き折」
「幼き……」
「今より、ずっと……。ようよう歩まるるようになられた頃の事」
「左様に幼き折のことなぞ、とんと……」

 笹津由は軽く笑い声をあげた。微苦笑、とでもいうような……。

「そう、もはや乳を飲まるることは無くなられておられしが、休まるるおりには……」
「休む折には……」
「なかなかにお目が固ういらして」
「さようであったか、のう」
「添い寝仕る我に、物語や昔語りなどせがまるるのじゃが……」
「あい」

 笹津由は、一旦言葉を切った。
 その昔語りを今、成しておるのじゃのう笹津由はと、短い沈黙の間に恭子(のりこ)は考えた。その昔語りを思い起こそうとした。
 が、その暇は与えず、言葉を継ぐ笹津由であった。

「その折、話を聞きながら姫の手は……」

 またも言葉を切る笹津由に、恭子は問いかけた。その手は未だに笹津由の乳の上にある。

「我が手が、どうじゃと?」
「姫の手は」
「あい」
「我が乳を……」

 そこで言葉は止め、笹津由の両手は、包み込んだ恭子の片手ごと、我が乳房を再び軽く揉み込んだ。
 恭子は即座に反応した。
 これまで、笹津由の両手に誘われるまま、されるままであった恭子の片手はこの時、自らの意思を明確に表して動いた。恭子の掌はより強く笹津由の乳房を押し付け、その五指は明らかに柔らかい肉に喰い込んだ。

「こう、であったかのう」

 言いさして恭子(のりこ)は、更に自らの意思も露わに、笹津由の乳を揉んだ。

「おおお」
「このように……であったかのう、笹津由」

 その言葉と同様、恭子の五指は問いかけるように笹津由の乳房を揉み込んだ。

(こうじゃな)
(こうであったな)
(このように、であったなあ)
(母、よ……)

 笹津由の両手は、包み込んだ恭子の手に力を加えた。その力は意思を持っていた。止めよ、という明確な意思をもって、笹津由の両手は恭子の手を押し留めた。

「左様なおいたは、いけませぬなあ、姫」

 笹津由の意思に抗うことなく、伸べた恭子(のりこ)の片腕にも意思が生じた。これも笹津由に明確に伝わった。笹津由は包み込む両手を軽く緩め、恭子は逃れるように、名残を惜しむように、伸べた腕を引き戻した。
 恭子は目を上げた。視線の先を、笹津由の乳房から顔に移した。恭子の視線と笹津由のそれが行き会い、絡み合った。
 二人は同時に、無言のまま軽く笑んだ。記憶という、思いを同じくする者どうしの交わす笑みであった。

「姫……」

 先に声を発したのは笹津由であった。笑みを残したまま、笹津由は恭子に呼び掛けた。

「あい」
「それだけかの」
「だけ、とは」
「早(は)や、お忘れか」
「む」

 言葉に詰まる恭子に、笹津由の声は窘(たしな)め、嬲る色合いを帯びた。

「さても迂闊なる姫君であらしゃることよ」
「む……」

 恭子(のりこ)の顔が軽く歪んだ。心中の思いがそのまま露わになる恭子であった。
 噛む、とまではいかないまでも、恭子は両の唇を引き結んだ。結んだ唇をこじ開け、声にならぬ声を漏らす恭子であった。

「お忘れとあらばお教え参らしょう」
「…………」
「をのこ(男)と……」

 聞くなり恭子は高く叫んだ。

「をみな(女)、じゃあ!」
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コメント一覧
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    • ––––––
      1. ハーレクイン
    • 2017/07/11 09:35
    • 長引いております 『アイリスの匣』斎王編、宮中の場。
       話の流れでは、どう考えてもこの先、恭子-笹津由で一発。
       で、兵部との一発はまあ止めておいて、野宮神社に戻ってその兵部と恭子名残の一発(の続き)。
       で、ようやく、小まめ時間の野宮に戻る、という段取りになります。

       そもそも、このエロ斎王話は道代(だれや、あんた)の妄想。
       これが始まりましたのが、アイリス188回。現在の宮中の場は、その恭子の思い出話(つまり、管理人さんお得意の妄想のマトリョーシカ)で、これの始まりが195回。つまりそれぞれ15回、8回を重ねており、しかも未だに終わる気配すら無し。
       『アイリスの匣』本編?に戻り、懸案の「小まめの恨み」にとりかかるのはいつの事でしょうか。まあ、今年中には間違いなく……(ええかげんにせえよ)。

       それはともかく、現在の時代は平安期という設定ですので、地の文はともかく、セリフは当時の、しかも御所言葉ということになるわけです。それなりの雰囲気を出そうとはしておりますが、詳しいお方から見れば噴飯物でしょう。
       浅学非才の作者のやらかすこととお笑いいただき、ご教示いただければこれに勝る喜びはございません。

       『アイリスの匣』。
       今後ともよろしくお願い申し上げます。

    • ––––––
      2. Mikiko
    • 2017/07/11 19:43
    • 平安に詳しいお方
       そんな人が、このサイトを覗くわけがありません。
       平安高校に詳しい人なら、いるかも知れませんが。

       噴飯物。
       これを、誤用する人が多いそうです。
       意味の回答で……。
       「腹立たしくて仕方ないこと(誤)」が、「おかしくてたまらないこと(正)」を大きく上回ったとか。
       まさしく、噴飯物です。

       稀勢の里。
       出場を決めたからには、最後まで取り切るべき。
       うまくいけば取り続け……。
       負けが混めば休場などという、虫のいいことは許されません。
       2場所続けて勝ち越せなければ、大関なら陥落です。
       陥落できない横綱は、引退するほかはありません。

    • ––––––
      3. ハーレクイン
    • 2017/07/12 00:44
    • 覗かない
       そうですかねえ。
       エッチ大好き国文学者さん、なんて方がいらっしゃると思うんですが。この道(どの道だろう)ばかりは「人類みな兄弟」だと思うんですが

      ♪この道は~いつか来た道~

       そういえば、「通りすがりの国文学者」という、芝居でいえば「さしたる用もなかりせば」の義経みたいなのが登場する漫画があります。


      噴飯物
       “腹立たしくて仕方ないこと”
       初めて聞く解釈です。

       ご飯を口に含んだとたん、おもろい話を聞いて反射的にそのご飯を吐き出す、というより噴き出す。で、噴飯(ふんぱん)。
       漫画でよく見られる、いわば定番の表現だと思うんですが。
       まあ、漫画の場合はご飯以外にお菓子とか、お茶とか、酒とか(もったいねえ)噴き出すものは様々ですが。


      夕方眠くて……
       寝てしまい、見ていないんですが稀勢ちゃん、力なく土俵を割ったようです。よほど悪いんでしょうか、左肩。

       NHKのBSで夜中の0時からやってました(これは知らなかった)ので見ました。
       もはやゼニの取れる相撲ではない。先のことは先のこと。引退、じゃなく休場を勧告します(通りすがりの相撲解説者)。
       そういえば、皆勤して負け越した横綱がかつていたような……。

       鶴竜も負けちゃいました。付き合いのいいことです。

    • ––––––
      4. Mikiko
    • 2017/07/12 07:26
    • 噴飯
       “噴”の字が、憤怒の“憤”と似てるからでしょうか。
       飯が不味くて怒って噴き出す、という解釈ですかね。

       稀勢の里。
       出てダメだったら休場なんて、虫のいい話です。
       大関なら、その代償は陥落で払えますが……。
       横綱は、引退するほかありません。
       とにかく、相撲に死に物狂いさが無いです。
       頭を付けるくらい、出来ないんですかね。

    • ––––––
      5. ハーレクイン
    • 2017/07/12 11:25
    • 鶴竜引退
       じゃなくて休場です。
       昨日の取り組みで足首を痛めたとか。とすると、土俵下に転落した際、としか考えられないんですが、あの程度で休場するほどの怪我をしますかね。
       今どき、60,70の爺いでもそこまでひ弱ではないでしょう(ホンマかーい)。死者?にムチ打つようですが、情けないことです。

      稀勢の里も負けて1勝2敗。
       対戦相手の栃ノ心に頭を付けられて棒立ち、あっさり(でもないけど)土俵を割りました。その栃ノ心は、191センチの長身。この人に頭を付けられては苦しいよね。
       稀勢の里。左廻しにこだわり過ぎ、後手に回っているような気がします
       
       で、その栃の心。
       今場所ここまでの3番、たまたま全部見ました。これまではなんかひ弱、腰高、という感があったんですが、体が一回り大きくなったように見えます。
       相撲に迫力が増したようで、化けるんじゃないですかね。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2017/07/12 19:47
    • カク竜
       今年は、1,5,7月が途中休場。
       唯一皆勤した3月場所も、10勝5敗。
       次出てダメなら引退と、井筒親方も言明してるようです。

       稀勢の里、今日は勝って2勝2敗。
       初めて、必死さが出た相撲でした。
       とにかく、取りながら調子を上げていくしかありません。

       栃ノ心、今日の日馬富士戦は残念でした。
       日馬富士も、今日負けてたら大変なことになりますからね。
       栃ノ心は、身体が硬いんじゃないでしょうか。
       膝に爆弾も抱えてますしね。

    • ––––––
      7. ハーレクイン
    • 2017/07/12 21:22
    • 栃ノ心
       今日は相手が悪かった、というところでしょうか。

       爆弾を抱えていないお相撲さんは、出たての新弟子さんくらいでしょう。故障は格闘家の宿命です。
       「攻撃は最大の防御」ですが「故障は最大の敵」です(誰が言うたんや、そんなこと)。
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