Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
元禄江戸異聞 根来(三十一)
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「元禄江戸異聞 根来」 作:八十八十郎(はちじゅう はちじゅうろう)


(三十一)


 伊織が連れ込まれた座敷から更に奥へ、渡廊下が池を廻った先に小さな離れ屋が見えた。
 薄暗い中に灯りを映した障子が浮かび上がって、寂し気な海辺の町には似合わぬ瀟洒な風情を漂わせている。
 しかしその中では一糸まとわぬ女たちが蛇の様に絡み合っていた。
 沙月女に抱かれた蓬莱の伸びやかな裸体が、布団の上で一際大きくうねり上がる。
「んむん~……?」
「んぐ……、んぐううう……」
 多分慣れ親しんだ二人の恥戯なのだろう、みっちりと唇を吸い合わせたまま問いかける沙月女に蓬莱もくぐもった喘ぎで答える。
 極みをせがまれたのか、沙月女の右手が蓬莱の股間でその動きを早めていく。
「ふんん~」
 生々しく唇を重ねながら、蓬莱の鼻から思いがけず若い娘のような甘え声が漏れた。
 顔を紅潮させた沙月女も蓬莱の太腿を両足に挟んで、引き締まった尻の膨らみを前後に弾ませる。
「ほ……、ほねがひ……ひ、ひっひょに……」
「んん……?」
 唇の間から漏れた蓬莱の哀願を聞くと、沙月女は腰を使いながらその右手の動きを小刻みに速めていく。
「んん? ふんん~~?」
「んぐ! ……ふうう~~~!」
 沙月女に舌を吸われながら、蓬莱は喉の奥から泣き声を上げた。
「ふん……? ふん? ……ふんん?」
「んぐ……!! んんん~~~!!」
 汗を光らせた沙月女の浅黒い背中を両手で掴むと、やおら蓬莱は白く伸びやかな裸身を弓なりに反り上げる。
 叫びを上げようと大きく開いた蓬莱の口を、やはり大きく口を開けた沙月女が覆い塞ぐ。
 激しく股間を抉られながら、蓬莱の身体が獣じみて戦慄いた。
「んごおおお!!!」
「ふうん! ふうんん!!」
 極みに縛られた蓬莱になおも容赦なく右手を使いながら、沙月女は蓬莱の太ももに激しく腰を擦り付ける。
「う! ……ぐ!!」
「ふうううんん!!! ふううん!!」
 敷布団から転がり出た二人の身体が、固く抱き合ったまま二度三度と畳の上で跳ねた。
 指を折って数えるほどの間お互いの情欲を受け止め合うと、二人の身体から潮が引く様に力が抜けていく。
 蓬莱を鷲掴みにした沙月女の指の間から、極みの露が尻の膨らみから畳へと伝い落ちて行った。

 ようやく熱い吐息も鎮まり、蓬莱は沙月女の胸でうっとりと瞳を閉じている。
「蓬莱? ……ねえ蓬莱、ほら布団で寝なよ」
「う、ううん……いやだ。沙月女は京で他の女を抱いてきたんだろ? 今夜は、もう離れないよ」
 目を閉じたまま眉を寄せると、蓬莱は沙月女の整った乳房に顔を押し付ける。
「お役目だから仕方ないじゃないか。それくらいあんただって分かるだろう?」
「ふん、そんなこと言って。きっと自分も女と気を遣ったに違いないんだ」
 いつもの言い訳さえ通じない蓬莱に、沙月女は真顔で口を開く。
「明日は朝早くから荷が着く。先に帰った飛燕の話しじゃ、島影では荷に目を付けた甲賀者が襲ってきたんだよ」
「そんな奴ら、放っておいても大丈夫だよ……。ここの女親分だって、どっかの女を引っ張り込んでお楽しみの最中じゃないか……うんん~」
「あ~もう……」
 沙月目は溜息をつくと、赤子のように乳房に埋めてくる蓬莱の顔を指で引き起こす。
 その勢いで唇を求める蓬莱から沙月女は顔を背けた。
「まったく、術を解いてる時のあんたは子供と同じだね。あたしを守ってくれるんじゃなかったのかい? あの飛燕だって今回は目をやられたんだよ」
 沙月目の指の上から蓬莱の顎が離れた。
 徐々に気が満ちているのか、その顔に薄っすらと赤みが差してくる。
「沙月女は必ずあたしが守ってあげる。布団が暖かいからあんたはここで寝な。あたしはそっちで寝る」
 さっさと布団に潜り込む蓬莱の様子に笑みを浮かべると、沙月女は肩をすくめて二人で温めた布団に身をくるんだのである。


 小浜の町外れにある、ひなびた商人宿の一室。
 まだ手付かずの夕餉を前に、お蝶はまんじりともしない夜を迎えていた。
 こんな時刻まで戻らないところを見ると、狙い通りに伊織はお竜一家に取り入ったと思われた。
 夕方までそれとなく一家の様子を見ていたお蝶だったが、夜はそんな行いも目立ち過ぎて旅籠に引き上げて来たのである。
「お蝶、私のことは大丈夫。それより若の居所が分かるまでは、くれぐれも敵に怪しまれることは謹んでくれ。よいな、お蝶」
 そう伊織に釘を刺されたうえは、一家に忍び込むなど軽はずみな行いは出来そうになかった。
 理由もなく伊織の身分が知れることはあるまいが、囚われの身よりお蝶を悩ませる伊織の情景が頭に浮かぶ。
 好みだからと言って、お竜がただ伊織を一家に留め置くとは思えない。
 “今頃、伊織様は……”
 思わずお蝶は目を閉じ、両のこぶしを膝の上で握りしめる。

 とその時、微かに階段のきしむ音がお蝶の耳に入った。
 “は! ……伊織様!”
 目を見開いて振り返った時、入り口の戸襖が静かに引き開けられた。。
 そこには肩下一尺ほども長い黒髪を光らせて、紺袴に白い合わせをまとった女が蝋燭の灯りに浮かび上がった。
「紫乃様!」
「遅くなりました」
「あなた、お戻りになったんで……?」
 帯刀紫乃は鴨居に長身をかがめて部屋に入ると、静かに引き戸を締める。
 何やら斜に背負った袋の紐を解いてお蝶の前に静々と腰を降ろした。
「大長刀をこれに取り換えるのに時間がかかってしまいました」
「こ、これは……?」
 紫乃は長細い袋の端から覗く木の束を手で掴んだ。
「大長刀ではいかにも目立ち過ぎてお役の妨げになるばかり。短くて柄の芯に鉄を仕込んだものを作らせました」
「なんですって」
 お蝶の目の前に、5尺前後の長さであろうか、小さめの刃を備えた長刀に似た武器が抜き出された。
「以前の刃は手間賃として刀工に渡しました。この刃では多くは切れないかもしれませんが……」
 お蝶は灯りに鈍く光るその武器をじっと見つめた。
「し、しかし………紫乃様はこの度の首尾を見守るだけとのお約束では……」
 紫乃は涼やかな眼差しがお蝶に向ける。
「おなごだからと言って、脇に控えているなど私には承服出来ません。同じ武芸に生きる者として、未熟であれば生き永らえぬだけのこと」
「し、しかし紫乃様……」
「此度の一件、何故か伊織様の子を思う気持ちが身に染みて、私の武芸者としての道を懸けるに足る事だと感じました」
「紫乃様……」
「それにお蝶さん、あなたにはひとつ聞きたいことがあるのです」
 慌てて口を開こうとしたお蝶を遮るように紫乃はお蝶の顔をじっと見つめた。
「さらわれた子供は、あなたが産んだお子ですか?」
 帯刀紫乃の問いかけにお蝶は息を呑んだ。

「い、いいえまさか……、私などが産んだ子供ではありません……」
 お蝶は長いまつげを伏せて消え入るような声で答えた。
「し、しかし私は、あなたと伊織様は切っても切れぬ仲だと感じていたのですが?」
 覗き込むようにして問いかける紫乃に、お蝶はじっと畳に目を落としたままだった。
 そしていかに武芸者とは言っても、紫乃に同じ女の心を感じたのである。
「し、して、その母親はいずれに……?」
「そ、それは……、今申し上げることは出来ません」
 紫乃はその眼差しをお蝶から畳の上に向けた。
「私には、どうしてあなたがそのように伊織様に尽くされるのか……ふう……」
 小さくため息をついた紫乃に、お蝶はその顔を上げる。
「私は伊織様を心からお慕いしております。そしてそのお子が私の腕の中で初めて産声を上げた時、その子は私の子と同じなのでございます」
 顔を上げたお蝶の目から一滴の涙が零れ落ちた。
 紫乃は浮きかけていた腰を畳の上にゆっくりと戻した。
「そ、その……、母親がどこか別に生きているとしてもですか」
 とうとう袖口を目に当ててお蝶は静かに頷く。
 その様子を見やりながら紫乃は優しい眼差しをお蝶に向けた。
「わかりました。もう何もお聞きしません。して伊織様は今何処に……?」
 小さく鼻をすすると、お蝶は赤くなった目を紫乃に向けた。
「今、怪しいと目を付けたお竜一家を調べに出ておられます。この時間にお戻りになられぬところをみると、うまく中に入りこめたものと……」
「ええ!?」
 思いがけず紫乃は眉を寄せて声を上げた。
「少し頼り無げにしていらっしゃるのに、おひとりで大丈夫でしょうか……?」
「え……?」
 大きく胸で息をした紫乃にお蝶は何かしら感じるものがあった。
 そして改めて伊織の安否を思い起こした自分も、締め付けられる様な痛みをその胸に覚えたのである。


「う………」
 うつ伏せのまま、伊織は敷布団を掴んだ手に力を入れた。
 背筋の窪みに何度もお竜の舌が渦を巻いた挙句に、急に脇腹のくびれを甘咬みされたのである。
 快感を与える手管だけを問えば、お竜の愛撫は文句なく女の快感を沸き立たせるものであった。
 うつ伏せの足の先から背中まで、伊織の肌を隈なくお竜の手や唇や舌が這い回った。
 優しく撫でるかと思えば強くつぼに差し込み、かと言ってくすぐったさに白けさす様な不調法もないのだ。
 取り入るために割りきって身を任せているものの、伊織は快感にふつふつと身体の血が沸き立つのを感じていた。
 上からお竜の肌身が重なると、押し付けられた乳房の膨らみの中で乳首が背中に食い込むのを感じる。
 そして乳房の先で硬くなった自分の乳首も、敷布団に擦れるたびに切ない刺激を身の内に響かせるのだ。
「あ……」
「ふふふ……気持ちいいだろう……?」
 つい小さく声を漏らした伊織の耳元を、お竜の淫靡な囁きがなぶった。
 耳たぶを甘く噛まれて微かに首筋が震える。
 情けないことに自分の女が熱く潤い始めたのを感じて、伊織はその両太腿をしっかりと閉じ合わせたのである。
元禄江戸異聞 根来(三十)目次元禄江戸異聞 根来(三十二)


コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2017/04/13 07:58
    • 商人宿
       昔のビジネスホテルですね。
       主に行商人が利用しました。
       近代になってからも、サラリーマンの出張で使われました。
       わたしの街にも、旧街道沿いにいくつか残ってます。
       店は閉めてないようなのですが、人が泊まってる気配はありません。
       久留里線の久留里駅近くの商人宿では……。
       ↓商人が、宿の店先で商売が出来たそうです。
      http://akindoyado.com/
       サイトの写真を見ると、職人さんみたいですね。
       包丁研ぎとか、らお屋(キセル掃除・修理)などが、定期的に回ってきたのでしょうか。
       こういう人たちにとっては……。
       通年同じ場所にいるより、はるかに実入りが良かったでしょうね。

    • ––––––
      2. くるっとまわってHQ
    • 2017/04/13 17:48
    •  ↑にゃんこの目~
      久留里線
       九州福岡かと思った(それは久留米)。
       千葉県ですね。
      JR東日本久留里線
       軌間1,067㎜
       路線総延長32.2㎞
       起(木更津駅)・終点(上総亀山駅)を含む駅数14
       全線単線・全線非電化
       終点の上総亀山駅は房総半島のど真ん中に位置しますが、ここに接続する他路線は無し。典型的な盲腸線ですね。
       千葉県は、かつては「気動車王国」と呼ばれたそうですが、電化が進み、現在県内JRの非電化路線は久留里線だけです。
       路線名の由来はもちろん、途中駅の『久留里駅』。ここから先、終点までは、運行本数が日に8本程度だとか。
       それにしても「くるり」とはユニークな地名ですが、この地にあった久留里城が由来のようです。築城したのは上総武田氏(甲斐の武田の縁戚)の祖、武田信長(おいおい)。
       が、「くるり」の由来はわかりませんでした。
      らお屋
       参考文献:『センセイのリュック/第三場 第一景』
       と、隙あらばの番宣。

    • ––––––
      3. Mikiko
    • 2017/04/13 20:09
    • 千葉の私鉄では……
       いすみ鉄道、小湊鉄道が非電化でした。
       銚子電鉄は、生意気にも電化されてましたね。
       電鉄だから、当たり前か。
       商人宿。
       いわゆる、駅前旅館です。
       井伏鱒二の同名小説を映画化した『駅名旅館(昭和33年公開)』が有名です。
       なにしろ、出演者がスゴい。
       森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺、淡島千景、淡路恵子、草笛光子、藤木悠、多々良純、左卜全、山茶花究、浪花千栄子、野村昭子、市原悦子、若水ヤエ子、常田富士男、藤村有弘、などなど。
       ちょっと見てみたいですね。

    • ––––––
      4. 醜女
    • 2017/04/13 20:33
    • 八十八郎さんはここ以外でも作品を残されているのですか?

    • ––––––
      5. 千葉の女が……HQ
    • 2017/04/14 03:49
    •  ↑は、以前やりましたな
        『ストレートコンビ』というお笑いコンビの持ちネタだそうです
      非電化いすみ&小湊
       いすみ鉄道は、何度も映像を見ました。社長が名物だそうです。
       『いすみ』は『夷隅』だと思いますが、なぜ漢字表記しないんですかね。読めないから?
       『夷』がいやだから?
       たしかに、夷(えびす)の隅っこ、だもんなあ。
       銚子電鉄が電化されてるのは路線総延長が6.4㎞と短いからじゃないですかね。小湊は39.1㎞、いすみは26.8㎞です。
       ちなみに、銚子鉄道の名物は『ぬれせんべい』。
      映画『駅前旅館』
       のちに、喜劇『駅前旅館』としてシリーズ化されたそうです。
       わたしは1本も、1シーンたりとも見ていません(いばってんじゃねえよ)。

    • ––––––
      6. Mikiko
    • 2017/04/14 07:30
    • 醜女さん&ハーレクインさん
      > 醜女さん
       八十八十郎さんは、かつて、別のサイトで投稿しておられたそうです。
       でも、そのサイトはとっくの昔に閉鎖され……。
       作品は埋もれてしまってました。
       手元に残ってたのはプリントアウトした用紙だけで、インクが消えかけてたとか。
       それを改めて打ち直し、当サイトに寄稿してくださったのです。
       その入力作業が創作のカンを呼び戻したのでしょう、新作を手がけられるようになりました。
      > ハーレクインさん
       濡れせんべい。
       堅焼きを噛めないご老人用に開発されたのでしょうか?
       どう考えても、美味しそうには思えません。
       知らずに買って、「せんべいが湿気てる」と苦情を言った人がいるとか。
       千葉県。
       大きな都市が、たくさんあります。
       政令指定都市の千葉市が、97万人。
       もうすぐ、100万都市です。
       船橋市が、63万人。
       市川市が、49万人。
       松戸市も、49万人。
       柏市が、42万人。
       人口30万人を超えてる都市だけで、これだけあります。
       このほかに、10万人を超える市が、11もあります。

    • ––––––
      7. せんべい怖いHQ
    • 2017/04/14 12:38
    •  ↑それはまんじゅう
      >せんべいが湿気てる
       おもしろーい。座布団1枚。
       なんて言っちゃあ失礼かな。
      千葉の大都市
       県北部に集中してますね。やはりなあ、というところですが、まあこういうのはどの都道府県でも同じでしょう。田舎は東京では多摩、大阪では泉州と河内(堺市より南、と考えればよろしかろう)。

    • ––––––
      8. Mikiko
    • 2017/04/14 19:42
    • 最近、不定期で……
       歯が痛むようになりました。
       定期的に通ってる歯医者には申告したのですが、虫歯じゃないそうです。
       きのうからは、たくあんを噛むのにも苦労してます。
       ババアくさくて腹立たしいです。
       濡れせんべい、買おうかな。
       これまでは、ロキソニンを飲み続けてると、そのうち痛みが消えていったんですけどね。

    • ––––––
      9. 医事評論家HQ
    • 2017/04/14 22:49
    • 歯医者に行きなはれ
       あ、行ってるのか。
       虫歯じゃなきゃなんなんだよ。やばい病気だったりして。
       痛み止めに頼ると、病気の発見が遅れることがあります。
       医者を替えた方がいいじゃないですかね。
       大きな病院で検査してもらうとか。

    • ––––––
      10. Mikiko
    • 2017/04/15 08:12
    • 昨年の6月ころ……
       やはり、痛くなったんです。
       あまりに痛いんで、ロキソニンのジェネリックを、ネットで5箱も買いました。
       ところが、買った途端、痛みが消えたんです。
       今回のは、去年よりは軽いです。
       去年は、噛んでないときでも痛かったですから。
       痛む歯が変わるんですよね。

    • ––––––
      11. 自前の歯少なしHQ
    • 2017/04/15 12:12
    • だからあ
       ちゃんと、医者行きなはれ。
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