Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
由美と美弥子 2151
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 その女性の視線は、わたしの身体を上から下まで繰り返し往復した。

「よかった……。
 五体ご無事で戻ってらして」

 絶句した女性は、片手で口を覆った。
 零れた涙が、覆った手の甲まで流れ伝った。

「水沢さん、ママは?」

 姉は、女性が泣いていることなどまったく斟酌しない口調で尋ねた。
 ということは、この女性は母ではないということだ。

「すみません、お嬢さま。
 奥さまは、ずっとお待ちです。
 今、お知らせして参ります」

 水沢と呼ばれた女性は、身を翻すと、再び扉の向こうに消えた。

「水沢のことも覚えてないの?
 それは可哀想よ。
 彼女が悲しまないように、ちょっとレクチャーしておく。
 水沢は、わたしたちが生まれる前から、ここに住みこんでる家政婦。
 元々、母の養育係だったんだけど……。
 母の嫁入りのとき、京都から一緒について来て、以来、ここに住みこんでるってわけ。
 わかった?
 わたしたち2人とも、彼女におしめも替えてもらって育ったんだから。
 母はそういうこと、まったくしない人なの」

 まるでドラマのような話だった。
 こんな世界が、ほんとうにこの世にあるのだ。

「さ、入りましょ」

 玄関……。
 それをはたして、玄関と呼んでもいいものだろうか?
 お城の入口のことを、いったいなんと呼ぶのだろう?
 とにかく、“玄関”という概念からは程遠い佇まいだった。
 扉を抜けると、吹き抜けの広いホールだった。
 もちろん、上がり框などはない。
 姉は靴のまま、ホールを進んだ。
 床は、大理石だろうか?
 姉のヒールが、高い音を立てて響いた。

「ほら、そんな見物人みたいな顔をしないで。
 後で、ひととおり案内してあげるから。
 ふふ。
 でも、記憶がなくなるって、面白いわね。
 何事も、最初のドキドキが一番楽しいもの。
 あなたとも、また最初から始められる。
 さ、こっちよ」
由美と美弥子 2150目次由美と美弥子 2152


コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2016/12/14 07:40
    • 本日、12月14日と云えば……
       赤穂浪士の討ち入りの日です。
       でもこれは、旧暦の日付けです。
       この時期の東京で、あんな大雪が降ることはありません(今年は、11月初雪という珍しいことがありましたが)。
       元禄15年12月14日を、グレゴリオ暦に直すと……。
       1703年1月30日。
       この時期であれば、大雪というのも頷けます。
       それに加えて、江戸時代は、今よりも寒かったそうです。
       品川で2メートルの雪が積もったという記録もありますし……。
       大阪では、淀川が氷結したそうです。
       江戸や大阪でこれですから、越後なんかもっとスゴいです。
       鈴木牧之(すずきぼくし)の『北越雪譜』には、積雪十八丈の記述があります。
       さすがにこれは、白髪三千丈の類でしょうが。
       十八丈と云えば……。
       54メートルになりますから。

    • ––––––
      2. ♪打てや響けやHQ
    • 2016/12/14 12:02
    •  ↑♪山鹿の太鼓
      >母の嫁入りのとき、京都から一緒について来て……
       なんか、皇女和宮の江戸降嫁みたいだね。
      >まるでドラマのような話
       まあ、ドラマじゃないけど「お話」ではあります。
      >扉を抜けると、吹き抜けの広いホール
       洋画だとごく普通のシーンだけど、邦画ではねえ。
       もちろん、これは「お話」、映画ではありません。
      〽時は元禄十五年十二月十四日
       江戸の夜風を震わせて
       響くは山鹿流儀の陣太鼓……
       先日テレビでやっていましたが、これまで伝わってきた吉良邸討ち入りには、史実と異なる点が種々あるとか。
       例えば内蔵助が打ち鳴らしたという陣太鼓。これは鳴らさなかった、というよりそもそも太鼓そのものを持参していなかった、とか。
       まあ、司会が古館伊知郎ですから、どこまで信憑性のある話かは分かりません。
       そういえば、『元禄名槍譜』の俵星玄蕃。この人も、架空の人物だそうです。

    • ––––––
      3. Mikiko
    • 2016/12/14 19:48
    • 『忠臣蔵』
       この言葉も、歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』から来てます。
       史実として取り上げる場合は、『赤穂事件』と呼ぶそうです。
       人の家に押し入るのに、わざわざ陣太鼓を打ち鳴らすバカはいません。
       そもそも、山鹿流の陣太鼓というものは存在しないそうです。
       俵星玄蕃。
       『俵星』は、槍で米俵も突き上げるという意味と、『仮名手本忠臣蔵』の大星由良之助の合体。
       この話を作ったのは、講釈師の大玄斎蕃格。
       『玄蕃』は、自分の名前から抜き出したんですね。

    • ––––––
      4. 赤穂事件ハーレクイン
    • 2016/12/14 23:09
    • 太鼓を鳴らすバカ
       まあ、確かにそうなんですが、「お話」としては、やはり鳴らしてほしいよね。
       吉良邸の隣家(もちろん武家、誰の屋敷だったかなあ)が、騒ぎを聞きつけて「すわ、討ち入りじゃ!」。
       で、吉良邸との境の塀際に高張提灯をずらりと並べて明るくし、赤穂浪士の助けとした。なんてエピソードを何かで読んだか見たかしましたが、これも「見てきたような嘘」なんでしょうね。
       旧暦の十五日(討ち入り時はもう日付が変わっていたとか)はもちろん満月。件の古舘一郎のテレビもこれを取り上げて「天然の照明」なんて言ってました。
       史実で、当夜が晴れていたかどうかはともかく、満月だったというのは間違いのないところです。
       ♪月も夜空に冴え渡る~(三波春夫『俵星玄蕃』)

    • ––––––
      5. Mikiko
    • 2016/12/15 07:52
    • 隣家
       ↓土屋逵直(つちやみちなお)という旗本でした。
      https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E5%B1%8B%E9%80%B5%E7%9B%B4
       提灯を掲げたのは、史実のようです。
       でも、自邸の警護のためというタテマエです。
       塀の前には射手を並べ、塀を越えてくる者は、誰であろうと射落とせと命じてます。
       実際に塀を越えて逃げてくる者がいたとしたら、それは吉良家の人間しかいません。
       でも、「誰であろうと」と言うことで、どちらかに荷担するものではないというタテマエなわけです。

    • ––––––
      6. 本音と建て前HQ
    • 2016/12/15 17:20
    • タテマエは自邸警護
       それはそうです。浪人の俵星ならともかく、仮にも旗本(でなくったって、武家なら誰でも)、表だって赤穂の味方をするわけにはいかんもんね。
       でも、当主の逵直はじめ、土屋家の家臣は内心、喝采を上げてたんでしょう。「ついにやったか! 浅野」というところでしょうか。
       しかし史実だとは思いませんでした。が、こういう類のエピソードはわんさとあったんでしょう。で、虚実取り混ぜて『忠臣蔵』が出来上がった、と。
      ♪赤穂浪士の邪魔する奴は 何人(なんぴと)たりとも通さんぞ

    • ––––––
      7. Mikiko
    • 2016/12/15 19:58
    • 吉良家で何かあれば……
       それは、浅野家遺臣の討ち入りだということは、当時の江戸市中の共通認識だったようです。

    • ––––––
      8. 愛読書は忠臣蔵HQ
    • 2016/12/15 21:49
    •  ↑まあ、それほどでも
      忠臣蔵
       映画やドラマは幾本も見ましたが、久しぶりに本を読むかな。
       池宮彰一郎『四十七人の刺客』。これはユニークです。
       松の廊下の顛末や、忠義・忠節といった要素をばっさり切り捨て、赤穂側大石vs.吉良側色部又四郎(米沢藩江戸家老)の知略・謀略戦という観点から書かれた、かなりドライな赤穂事件物語です。
       あ、これも映画化されていました。監督は市川崑、主演は高倉の健さん。ただ、例によって原作をかなりいじくってます。
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