2016.12.12(月)
■
数日後、わたしは退院した。
エントランスまで送りに出てくれた師長と風間看護師は、心底名残り惜しそうだった。
あれ以来毎晩、2人には精を絞り取られ続けた。
しかし、それを拒絶できない自分がいた。
女性器の中で射精する歓びを、堪えられないのだ。
一晩で、2回ずつ……。
4回、射精したこともある。
師長と風間看護師、2回ずつだ。
この2人、ほんとに妊娠は大丈夫なのだろうか。
師長は、年齢的に可能性は高くないかも知れないが……。
風間看護師は、まだ十分に現役だろう。
それが、師長と競うように、中出しを貪ったのだ。
別れ際、風間看護師は「また、いつでもいらっしゃい」と言ってから……。
「看護師の言うべき言葉じゃなかったわね」と、泣笑いのように表情を崩した。
■
姉の運転する車で、家に帰った。
山中薫の家を見るのは、初めてだった。
姉の車がBMWだったので、ある程度は予想していたのだが……。
その家は、想像以上の豪邸だった。
バラック同然だったわたしのあばら屋とは、比べ物にならない。
ほんとうに、手の届かない存在だったのだ。
山中薫は。
しかし今……。
わたしは、その身体の中にいる。
車中のリモコンで開く門扉を抜け、レンガ貼りが広がるロータリーに、BMWは停まった。
車を降りると同時に、音を聞きつけたのだろう、玄関の扉が開いた。
出てきた女性が、わたしを見て顔を輝かせた。
この人が、山中薫の母親だろうか。
中年、いや初老に近いかもしれない。
姉の雰囲気とは、まったく違う。
決して不美人ではないが、地味な顔立ちだった。
服装も、質素すぎるほどだ。
「どうしたの、薫?
まだ思い出せない?」
姉が、わたしの顔を覗きこんだ。
わたしは事故の後遺症で、まだ記憶が完全には戻らないという診断になっている。
これは、ひどく便利な症状だった。
自分の家を初めて見たような顔をしていても、怪訝に思われない。
扉を出た女性が駆け寄ってきた。
「おぼっちゃま。
……」
数日後、わたしは退院した。
エントランスまで送りに出てくれた師長と風間看護師は、心底名残り惜しそうだった。
あれ以来毎晩、2人には精を絞り取られ続けた。
しかし、それを拒絶できない自分がいた。
女性器の中で射精する歓びを、堪えられないのだ。
一晩で、2回ずつ……。
4回、射精したこともある。
師長と風間看護師、2回ずつだ。
この2人、ほんとに妊娠は大丈夫なのだろうか。
師長は、年齢的に可能性は高くないかも知れないが……。
風間看護師は、まだ十分に現役だろう。
それが、師長と競うように、中出しを貪ったのだ。
別れ際、風間看護師は「また、いつでもいらっしゃい」と言ってから……。
「看護師の言うべき言葉じゃなかったわね」と、泣笑いのように表情を崩した。
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姉の運転する車で、家に帰った。
山中薫の家を見るのは、初めてだった。
姉の車がBMWだったので、ある程度は予想していたのだが……。
その家は、想像以上の豪邸だった。
バラック同然だったわたしのあばら屋とは、比べ物にならない。
ほんとうに、手の届かない存在だったのだ。
山中薫は。
しかし今……。
わたしは、その身体の中にいる。
車中のリモコンで開く門扉を抜け、レンガ貼りが広がるロータリーに、BMWは停まった。
車を降りると同時に、音を聞きつけたのだろう、玄関の扉が開いた。
出てきた女性が、わたしを見て顔を輝かせた。
この人が、山中薫の母親だろうか。
中年、いや初老に近いかもしれない。
姉の雰囲気とは、まったく違う。
決して不美人ではないが、地味な顔立ちだった。
服装も、質素すぎるほどだ。
「どうしたの、薫?
まだ思い出せない?」
姉が、わたしの顔を覗きこんだ。
わたしは事故の後遺症で、まだ記憶が完全には戻らないという診断になっている。
これは、ひどく便利な症状だった。
自分の家を初めて見たような顔をしていても、怪訝に思われない。
扉を出た女性が駆け寄ってきた。
「おぼっちゃま。
……」
コメント一覧
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1. Mikiko- 2016/12/12 07:58
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今年の漢字
今日は、『今年の漢字』の発表。
今年の出来事で真っ先に思い出すのは、熊本地震です。
でも、「震」「災」ともに、過去に選ばれてます。
災害は毎年のように起こってしまいますからね。
ちなみに昨年は、「安」。
これは、安らかな年だったということでなく、安らぎを願うという意味だったようです。
今年は、リオオリンピックがあり、東京オリンピック問題もあったので……。
「輪」がいいかなと思ったんですが、これも2013年に選ばれてました。
さて振り返って、『Mikiko's Room』の1年を漢字で表すと、どうなるでしょう?
やっぱり、「蘇」ですかね。
FC2からライブドアに移り、蘇りましたから。
しかしながら、コンテンツ的には真新しさがなく……。
小説も、マンネリ感が否めません。
惰性の「惰」でしょうか。
ま、でも、何はともあれ、無事1年を終えることが出来そうで……。
これについては、ホッとしています。
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2. 一晩で4回- 2016/12/12 08:45
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まあ「抜か六」なんてお方もおられるとか。どうということはないでしょう。
>姉の運転する車で、家に帰った
あ、そうか。
「わたし」は現在、山中薫君だったな。
で、「おぼっちゃま」ですか。
豪邸と云い、いっぺん、こんな目にあってみたいね。
今年の漢字
『金』も候補のようです。リオオリンピックですね。
Mikiko‘s Roomの今年漢字。えらく内省的ですな。
「連」はどうでしょう。超長期連載ということです。
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3. Mikiko- 2016/12/12 19:45
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決まりました
「金」だそうです。
2000年、2012年に続き、3回目です。
面白みに欠けますね。
それでは、『Mikiko's Room』は、「鉑(プラチナ)」にしましょうかね。
現在、プラチナの価格は、金を下回っておりますが……。
2年前までは、金よりも高かったのです。
遠からず、再逆転することでしょう。
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4. と金成金ハーレクイン- 2016/12/12 20:56
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プラチナ
白金、ですね。
元素記号はPt。
元素番号87、原子量195.084。
融点1768.3℃、沸点3825℃。
白銀色の金属。
化学的に非常に安定しており、金と同じく王水以外には溶けない。