Mikiko's Room

 ゴシック系長編レズビアン小説 「由美と美弥子」を連載しています(完全18禁なので、良い子のみんなは覗かないでね)。
 「由美と美弥子」には、ほとんど女性しか出てきませんが、登場する全ての女性が変態です。
 文章は「蒼古」を旨とし、納戸の奥から発掘されたエロ本に載ってた(挿絵:加藤かほる)、みたいな感じを目指しています。
 美しき変態たちの宴を、どうぞお楽しみください。
管理人:Mikiko
元禄江戸異聞 根来(二十一)
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「元禄江戸異聞 根来」 作:八十八十郎(はちじゅう はちじゅうろう)


(二十一)


 ひなびた港の昼下がり、穏やかな海が思い出したように小さな波音を立てる。
 松の木陰で乱れた荷を整えると、薬売りの女は再び背袋を担いで歩き始めた。
 荷捌き場に何気なく視線を巡らせた後、漁師町の細い道を山に向かう坂へと曲がり込んでいく。
 重そうな荷物で足を遅くした女ではあったが、背を曲げたまま休むことなく上へ上へとその姿は遠ざかって行った。

 山道から川のせせらぎが聞こえる谷あいに降りてくると、女はやっと背袋の紐を肩から外した。
「桔梗様、桔梗様……」
 こんもりとした藪がざわざわと音を立てて、笹をかき分けた大石桔梗が姿を現す。
「ご苦労だった。して首尾は……? 若様の気配はあったか?」
 その問いかけに苦笑いを浮かべて蔓は口を開く。
「まだほんの物見ですから、まだそんなことまで分かりは致しません」
「そ、そうか……。いや、そうであったな……」
 桔梗は少々気が抜けたように傍らの岩に腰を降ろした。
「ただ普通の港ではないことは間違いありません。一般の人足に交じってやくざめいた者がいたり、何かしら私たちの着物と違った衣装の者がいるのは気になります」
「そうか」
 蔓の話に桔梗は目を光らせた。

「どうも抜け荷に近い匂いがします……。もう時を待っても仕方がありません、今夜忍び込んで調べようと思いますが……」
「うむ、わかった。では私は鶴千代君を、お前は荷の中身を調べることに……」
「い、いや桔梗様」
 蔓は片手を上げて桔梗の言葉を抑えた。
「忍び込んで中を調べるのは私にお任せください。申し訳ありませんが、桔梗様はその間見張りのお役を……」
「見張り?」
 不満そうな顔をした桔梗に、さらに蔓は口を開く。
「畏れながら桔梗様は、実際の戦や果し合いにお出でなったことがありますか……?」
「い、いや……」
 桔梗はその勝気な目を悔し気に伏せた。
 その様子を見ると蔓は少し顔を和らげて続ける。
「忍んで物を調べるのは私共忍びの特権、もしその中に未熟な者がいればお役を果たすことが出来ぬばかりか、味方の命取りにさえなりかねません」
 その言葉に大石桔梗は蔓に向かって顔を上げた。
 少年の様な無垢な瞳が一途に蔓を見つめる。
「うむ、お前の言う通りだ。私はお役目を果たすた為ならどの様な事でもする。蔓、頼む、私にどうすればよいのか教えてくれ」
 その顔をじっと見つめた蔓は、やがてその顔に優しい笑みを浮かべた。
「桔梗様……。私はあなたを敵に回さず本当に良かったと思います。あなたは、本当のお侍でいらっしゃいますね」
「え……?」
 怪訝な表情でまだ見つめる桔梗に、蔓は心なしか顔を赤らめた。
 その眼差しから逃げるように川面へ顔を向けると、蔓は苦笑いを浮かべた。
「もうずいぶん体を洗っておりませんね。桔梗様からもその匂いが」
 桔梗は慌てて襟元に鼻を近づける。
「女の匂いがするか?」
「あっははは……」
 蔓は笑い声をあげた。
「汗の臭いですよ。ちょっとその川で体を洗いましょう。私が先に浴びて乾かし場を作っておきますから」
「あ、なに? このような川で、水浴び……?」
 戸惑う桔梗を残して立ち上がると、蔓は帯を解きながら河原に向かって足を進めたのである。

 桔梗は川の水で冷え切った体に慌てて着物を巻き付けた。
 初夏とは言え山の水は冷たく、汗を落とした後は逃げるように河原に上がったのである。
「桔梗様、こっちこっち」
 声のする方を見ると、藪を丸く切り開いた中に、片手で毛布を広げた蔓が桔梗を見つめていた。
 毛布の中に思いがけず滑らかで女らしい裸体が垣間見える。
「あ……、か、かずら……」
 立ち止まったままの桔梗に蔓は呼びかける。
「寒いでしょう? さあ落ち着くまでこの中に。大事を前に風邪を引いてしまいますよ、さあ、はやく、この中に!」
 急かされただけではなく冷えた体に震えがくるのを覚えて、仕方なく桔梗は蔓が広げた毛布の中に身を滑らせる。
「あははは、まあ冷たい!!」
 蔓は笑い声を上げて、冷え切った桔梗の身体を毛布ごと自分の身体で包み込んだのである。

 桔梗は目の前の蔓の目線にどう接してよいのか分からず、上目づかいに青空の中の杉林を見つめていた。
 そんな桔梗の仕草に、蔓は含み笑いで言った。
「ふふ……、私の頬に頬を乗せていただいて大丈夫ですから。ほらその方が楽ですよ」
 上体を抱きよせられて、桔梗は首をひねって蔓の頬に上から自分の頬を重ねた。
 より密着した蔓の身体から心地よい温かみが伝わってくる。
「しばらくすれば私も桔梗様も温かくなります」
「う、うむ、すまぬ」
 桔梗は少し体の力を抜いてその優しい言葉に答えた。
 蔓の身体が一層暖かく桔梗の身体を包み込み、互いの乳房の柔らかみの中に寒さで強張った乳首の在りかまで伝えて来るのだった。
「殿方どころか、桔梗様はとてもきれいなお身体をしていらっしゃいますね」
「え……?」
 桔梗は返事のしようもなく蔓の腕の中で身を固くする。
「たぶん色事など縁のない育ちをしていらっしゃったのでしょう……」
 桔梗はお互いの頬を通して蔓の言葉を聞いた。

「私が桔梗様を女の方だと感づいたのを不思議だと思われましたか?」
「うん……。ただ茶店で居合わせただけで、なぜそのようなことが……」
 蔓はゆっくりと口を開く。
「まだ三つ四つのころから何日も水を与えられず、餓鬼の様に飲み水にありついた時に本当の水の臭いが分かるものです。繰り返しそんな日々が何年も続いて……」
 桔梗はじっと蔓の話に聞き入った。
「普通より優れていると一族から選ばれた子供は、もう自分の命や暮らしを持つことは出来ないのです。そして……」
「そして……?」
「いつの間にか、人並み外れた能力を身に着ける代わりに……」
 ふいに桔梗は自分を抱いた蔓の両腕に力が入るのを感じた。
「その時はもう人ではなく、親も里もない忍びになっているのです」
 しばし沈黙のまま、二人をせせらぎの音が包んだ。
 蔓は何やら熱いものが、桔梗から自分の頬に伝い降りて来るのを感じた。
 唇の端にその甘く塩辛い露が伝い降りて来た時、
「あ……、あははは!」
 蔓は突然笑い声を上げた。
「冗談ですよう、桔梗様! 私はちょっと生まれつき五感が効くだけ。真面目な桔梗様は何でも信じてしまわれるから、ちょっとからかっただけですよ!」
「蔓!」
 そう名前を呼んで抱き着いてきた桔梗を、蔓はまるで姉の様にしっかりと抱きしめたのだった。

 もう丑三つも近い夜半、海沿いの荷捌き場の中に明々といくつも篝火が焚かれていた。
 蔓は唾で濡れた指をじっと見つめた。
 背後に控えている桔梗に目で合図を送り、身を低めたまま風上へと移動する。
 懐から金筒を取り出して中仕切りを引き抜くと、慎重に先端の蓋を開ける。
 ゆっくりと微かな湯気がたなびき行く先に3,4人の見張りと思しき三下がたむろしていた。
 しばらくすると、三下たちは頭を振りながら建物の壁を背に座り込み始めた。
 蔓は桔梗の耳に唇を寄せて囁く。
「この術だと、相手は居眠りしただけで忍び込まれたことにも気づかないんです」
 桔梗は黙ってその言葉に頷いた。
 懐の革袋からごく細い針を取り出すと、蔓はその一本を口に含む。
 桔梗がじっと見つめる中を、暗がりに身を低めながら三下の方に近づいていった。
 蔓の口から三下に向けて、幾度か微かな光が線をえがく。
 しばらくして、手招きする蔓に向かって桔梗は静かに足を進めた。

 三下たちの身体から含み張りを抜く蔓の後ろに桔梗は身を寄せる。
 蔓は桔梗の耳元に囁いた。
「私はこの建物の中を調べてみます。桔梗様はこの外で見張りを願います。誰か近づいてきたら、この木の棒を向こうの暗がりに投げて、私に構わず後ろに逃げてください。よろしいですか?」
「し、しかし……」
「私の言うことを聞いて。迎え撃って私を救おうとしないことです。若の居場所もわからないのに、今はまだそのような決戦の時ではありません。よろしいですね」
「うむ、わかった」
 蔓は小さく頷くと建物の入り口に近づいていった。

 部屋の隅に置かれた篝火が蔵の内壁をぼんやりと照らし出していた。
 その手前には濃い影を描いていくつもの白い袋が積み上げられている。
 慎重に中の気配を窺うと、蔓は積み上げられた袋に近づいていく。
 “は!”
 一つの袋の紐を緩めようとした時、突然蔓は袋の前から身をひるがえした。
 何かが風を切る微かな気配を感じた。
 慌てて動いた後を見ると、一本の細い金串が篝火の光に輝いていた。
「あっはははは、お見事」
 頭上の暗がりの中で、女の笑い声が小屋組みに響いた。
「ようやく今夜は退屈しのぎが出来そうだ、あははは……」
 蔓は忙しない視線を頭上に巡らす。
 しかし研ぎ澄ました蔓の五感にも、この相手は洋としてその居場所を伝えてこないのだった。
「うまく交わしたが、さあ今度はどうかな?」
 懐から小刀を取り出したとたん、再び微かな気配が風を切って蔓を襲った。
 きな臭い音を立てて小刀が金串をはじいた時、蔓の身体が大きく揺らいだ。
 別の方から飛んできたもう一本の金串が蔓の左腕を襲ったのである。
 蔓は必死で身を転がすとその金串を抜き去って身構えた。
「ふふふ、さあもう年貢の納め時かな?」
「もう少し楽しませておくれなきゃつまらないよ」
 からかう様にこだまする二つの女の声に、さすがの蔓も悲壮な面持ちで頭上の暗闇に当てのない視線を巡らせたのである。
元禄江戸異聞 根来(二十)目次元禄江戸異聞 根来(二十二)

コメント一覧
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    • ––––––
      1. Mikiko
    • 2016/11/24 07:39
    • 川での水浴びシーン
       時代劇の定番でしたね。
       イメージ元は、泉鏡花の『高野聖』でしょうか?
       入浴シーンでは、『水戸黄門』の由美かおるさんもお約束でした。
       テレビ時代劇が衰退した要因のひとつに、お色気シーンの消滅もあるようです。
       PTAとかの圧力なんですかね?
       子供部屋にテレビが置かれるようになったことと関係してるのかも知れません。

    • ––––––
      2. 風呂と由美HQ
    • 2016/11/24 10:33
    • 今回の蔓さんのセリフ
      >普通の港ではないことは間違いありません。
      >一般の人足に交じってやくざめいた者がいたり……

       どうなんでしょうね。港に胡乱な連中がいるのは普通だと思いますが。
       火野葦平『花と竜』などを見ますと……。
       いや、これは余計なことを申し上げました。

       それにしても『水戸黄門』。
       由美かおる姐さんの入浴シーンは懐かしい。
       PTAがらみで規制を掛けるほど過激なものではない、と思いますがねえ。

    • ––––––
      3. Mikiko
    • 2016/11/24 19:43
    • 港の親分と云えば……
       清水次郎長ですかね。
       廻船が入る港なら、権益もあったでしょうね。

       由美かおるさんがお風呂に入るシーンは、旅先の旅籠ですよね。
       あんなにゆったりした湯船があったかは、ギモンです。
       男女別とも思えませんし。
       『東海道中膝栗毛』には、五右衛門風呂が出てきます。
       でも、入り方がわからずに騒動を起こしてますから、一般的じゃなかったのでしょう。

    • ––––––
      4. 入浴利権ハーレクイン
    • 2016/11/24 22:21
    • 権益
       それはそうです。
       利権のあるところやくざ者あり。
       まさに砂糖にたかる蟻です。

      由美かおるの湯船
       もちろんドラマ用でしょう。
       よく覚えているのは、覗き男に気付いた由美さんが、手桶の湯をぶっかけるシーンです。おっぱいは、もう一方の腕でしっかり隠してはりました。

      弥次さん(喜多さんだったかな)の入浴法
       下駄を履いて入ったんだったかな。

    • ––––––
      5. Mikiko
    • 2016/11/25 07:29
    • バスト
       昔の写真などを見ると、日本の田舎の女性は、平気でトップレスだったようです。
       海女さんなんか、特にそうですよね。
       昔は、人前で授乳なども行ってたようです。
       胸を隠すようになったのは、やはり欧米文化の影響でしょうか。
       でも、ドラクロアの描くジャンヌ・ダルクは、トップレスです。
       よーわからんです。

    • ––––––
      6. 乳しぼりハーレクイン
    • 2016/11/25 13:07
    •  ↑千葉の女、だっけ

      モロちちジャパン
       まあ、実際に見たことはありませんが、絵などではたいがいタレちちです。
       実際にはどうだったんでしょうね。

      トップレスのドラクロア
       『民衆を導く自由の女神』ですね。左手に銃を握り、右手に三色旗を掲げています。よく見ないとわかりませんが、両乳とも乳首が描かれているようです。
       まあ、「うちについてきなはれ!」というところでしょうから、そのなりふりかまわぬ心意気を描いているんでしょう。

       これに限らず、胸を描いた絵画・彫刻は数多くあります
       ゴヤ『裸のマハ』、セザンヌ『水浴図』シリーズ、『ミロのビーナス』……。
       が、まあしかし、現実世界ではないかな。
       欧州は寒いからなあ。
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